妻を貫いた他人棒

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妻を貫いた他人棒
私は現在45歳、妻の理香は43歳の熟年夫婦です。

妻の身長は156cm、丸顔のポッチャリ型で、自分で言うのも憚られるのですが、齢の割には容姿が衰えていません。

知人から「素敵な奥様ですね。」と言われると、悪くない気がして思わずにんまりしてしまいます。

20代、30代のときは、世の男性と同じく、それこそ毎晩のように交わっていたのですが、40代辺りから精力減退の兆しが見えてきました。

営みが終わった後妻は何も言いませんが、私は妻が女盛りを迎えているというのに申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

きっかけは某Webサイトの乱交体験や寝取られ体験告白にログインしてからでした。

「最愛のあなたのパートナーが、あなたの手を握りながら今他人棒に貫かれようとしています」の件に目をやると、胸がドキドキして、悪魔のような「寝取られ願望」が沸いてきたのです。

男というのは、妻を愛すれば愛するほど、普段とは違った刺激を求め、このような妄想をもつものかもしれませんね。

私のものは、それほどのものではなく普通サイズだと思います。

勃起したときの長さは12cmほどで、まあ他人様に誇れるほどの物ではありません。

そんなこともあって、貞淑で従順な妻が、見ず知らずの男のもっと大きい男根に貫かれたらどうなるのだろうか・・・

もし、素性も知れない男の動きに感じてしまったら・・・それでも妻としての理性で女の悦びを抑えられるのか・・・

という思いが高まってきてどうにもならないところまできました。

でも、このことを妻に切り出す勇気も了承してもらえそうな自信もなく、抑え難い妄想に悶々とした日を過ごしました。

そんなある日、意を決して、ストレートに妻に打ち明けてみたのです。

「理香が、他の男のペニスを受け入れているところを見たいんだ」

「何考えてるの・・・・・・私がそんなことされて、あなた平気でいられるの?」

妻が、突然の話に驚いたのも無理はないでしょう。

「おまえを納得させられる正当な理由なんて持っていないんだ。理香が他の男と交わる姿が、ただ見たいだけなんだ」

「一緒にここまで歩いてきて・・・理香には感謝しているんだ。お互いもうそんなに若くないし、おまえの乱れている姿を見ると、もっともっと愛情が深まると思うんだ。」

自己本位の勝手な理屈をつけて、妻に頼み続けました。

頼むときは、必ず、セックスの後でした。

何ケ月もかけて頼んでいるうちに少しずつ妻の態度が変わってきました。

そんなある夜・・・・

「あなた、ずっとそのことを考えてきたの・・・・今は凄い抵抗があるわ。だって、あなたの前で、そんなことするの」

「あなたの見ている前で誰かとセックスして・・・もし、私がその相手の人とのセックスに感じてしまったら、あなたはショックを受けない?」

「うう~ん・・・・それが俺の望んでいる理香の姿なんだ」

「あなたがそこまで思いつめているのだったら・・・どんな人とするの?知らない人にされても気持ちよくなるのかな?」

「それは・・・願いをきいてくれるってこと ?」

「・・・絶対に私を嫌いにならないって約束守ってくれるなら・・・私があなた以外の人に抱かれた後も、今までのままだって」

「約束する・・・それが出来なきゃ、こんなこと打ち明けないよ」

それから、私はインターネット掲示板に男性募集をかけるか、それともWebサイトに載っている某所の乱交パーテイに参加するか、妻と相談してみました。

私は、メール交換から下相談などで時間がかかる単独男性を探すことより、手っ取り早い乱交サークルの方を妻に薦めました。

私にとっても初めての経験ですが、プレー上の決まりについてきちっと書かれていたからです。

それに何よりも妻の中に複数の人のものを入れてほしかったからです。

「乱交パーテイって、みんなの前で何人かの人とするんでしょ?あなたは、私のそんな姿を望んでいるのね?いいわ。でも、どうなっても知らないよ・・・あなたが、そんな私の姿を望んでいるんだから」

妻は私の望みどおりこちらの方を受け入れてくれました。

本当に従順な妻です。

いよいよ、サイトの人から連絡があった場所へ向かう日です。

前日には、一緒にお風呂に入り、妻の秘部の周りをきれいに剃ってあげました。

草丘に続く花芯のピンクの彩りが際立っています。

パーテイが開かれたのは某シテイホテル。

しばらくして最初に、プレールールについての確認がありました。

私は、このパーテイを管理している方に、自分が他の女性と交わることを控えて、

妻の痴態だけを眺めてみたいことをお願いし、許可をいただきました。

妻の方に目をやると、さすがに緊張しているのか体を堅くしています。

参加者は、女性が私の妻を含めて3人、男性の方は私を入れて6人でした。カップルらしき若い2人は見学だけのようです。

別室でバスローブに着替え、「それでは皆さん、ごゆっくり」の一声で、長い間待ち望んでいたことが始まろうとしています。

(本当にいいの・・・あなた・・・・後悔しない・・・?)

妻は私の方を振り向き、縋りつくような潤んだ瞳で見つめてきます。

(うん、他の人のチ○ポで悶える理香が見たいんだ。)

私は、暗黙の了承を、妻への目線と頷きで送ります。

最初に、妻に寄り添ってきた方は40台の男性でした。

股間に眼をやると、ほぼ私と同サイズかちょっと大き目の持ち物でした。

Aさんと呼ぶことにしましょう。私は、あらかじめAさんに、妻の主人であること、妻とのプレーだけを、側で見させていただきたいことを頼みました。

Aさんの手が妻の肩に回った時、妻の体がビクッと反応したのが分かりました。

「理香、素敵な方じゃないか。優しそうな方だから大丈夫だよ。」と妻に声をかけます。

「奇麗な方ですね。最初にこんな素敵な方とお手合わせできて嬉しいなあ。」

Aさんは妻に優しく語りかけますが、妻は膝を閉じて身を堅くしようとしています。

Aさんの手が妻の乳首に触れたとき、「あっ」という短い喘ぎが洩れました。

二人は抱き合った姿勢で、Aさんの手が妻を抱きしめ、愛撫を始めました。

妻の心臓の鼓動が波打っているのがわかります。夫の前で、他人の愛撫に身を任せる初めての経験をしているのは自分の妻なのです。

濃密なキスを交わした後、Aさんの顔が妻の股間に埋まっていきました。

妻が、思わず足を閉じようとします。

「理香、隠さないで・・・・もっと足を広げて」

「いやぁ・・・・ああ~ぁっ!」

クリ攻めを否定しながらも、だんだんと体が反応する喘ぎ声が尾を引いていきます。

妻の性感がどんどん高まっていっているようです。

「あっ、ダメっ!・・・あっ、あっ、あぁっ」

Aさんはクンニがお上手なのでしょうか、だんだん妻の顔が仰け反り、喘ぎが激しくなっていきます。

妻のあそこは、否応なく押し寄せる快感の波に揉まれて、もう他人に喘ぎを聞かれてもかまわないと思うほどに高じてきたのでしょうか。

この上、男の茎まで挿入されたらどうなるのでしょうか。

そのうち妻はAさんの舌の動きから逃れるように、腰をずらせました。

妻が快楽の深みに達して、妻としての理性が懸命に高まりを抑えようとしていることがわかります。

最愛の妻が、もうすぐその必死の努力も虚しく、見ず知らずの男によってイカされてしまう姿を想像して、私のペニスは大きく怒張していました。

いよいよ挿入かと思いましたが、妻を快楽へ導く愛撫は更に続けられ、妻が腰をずらせたり、浮かせたり・・・身悶えする動きが頻繁になってきました。

背徳の行為と知りつつも快感に身を委ねる姿を夫に見られているせいか、妻は声を押し殺しながら、泣きじゃくるような表情になっています。

しばらくするとAさんが体勢を変えました。

右手で亀頭部をもちあげ、妻の秘部へ宛がう寸前、Aさんが小声で何か妻に呟いたようです。

その瞬間、妻が潤んだような切ない眼差しを私の方へ向けました。

それはあたかも、(あなたっ、ごめんなさい・・・・今から、他の人のおちんちんが入るのよ・・・わたしの中に、入ってもいいのね・・)と、訴えているように見えました。

(ごめんよ・・・自分勝手なことを、おまえにさせて・・・奥まで入れてもらって・・・いっぱいイッていいんだよ・・)

Aさんが腰を落とすと、秘口に宛がわれていた肉棒に力が加わり、太い肉塊が秘口に滑り込んでいったのがはっきり見えました。

「あぁっ!・・・・あっぁぁっ!」

不意に妻が叫びを上げました。

とうとう妻の中に他人棒が送り込まれ、妻が貫かれた瞬間です。

Aさんは、妻の上に覆いかぶさり、優しさの限りをつくしています。

挿入してから暫く動きを止めていたAさんは、やがて妻のお尻を両手で抱え込み、細かく刻むビートで律動を始めました。

「あっ!!あああっ~、ゆっくり・・・んっ!あああ~っ」

妻は覆いかぶさるAさんの顔を見ようとせず、顔を背けるように私の方を見つめます。

その表情を、ぼ~っとして霞むような瞳孔でとらえながら、震える胸のうちを妻に届けます。

(Aさんのが入ったよ。気持ちいいんだろ?いっぱい気持ちよくなっていいんだよ・・)

(ごめんなさい、感じてもいいの?・・・ああぁ~だんだん気持ちよくなってくるの・・)

妻の目線が、私に訴えています。

Aさんのペニスは、妻の性器に快感の波を送り続けます。

「ああぁー締まる!奥さんも、我慢しないで声出していいんですよ。」

彼の囁きに、今まで堪えてきた精神的な縛りが解けたのか、妻が喘ぎ声をあげ始めました。

「はぁぁっ!!んっ!!・・・・入いってるうっ・」

「どうしよう?・・・気持ちよくなっていくの」

妻の体は、絶頂へ向かって徐々に高まっていっているようです。

Aさんは、側で見ている私に配慮したのか、仰向けになって妻の体を上に乗せ、跨らせました。

このような体位になると、二人の結合部がよく見えるようになります。

妻は私に背を向けながら、両膝の支えにより亀頭との間に距離を保ち、その侵入を防ぐようにしています。

(あぁ~・・・理香、腰を沈めるだけでいいのに・・・おまえは、それほどオレのことを・・)

そのうちAさんは、ためらいがちに跨っている妻の腰に手を添え、潤んだ秘部を男の下腹部に向けて引き寄せました。

静かに、張り詰めた大きなものが、女陰の中に呑み込まれていきます。

Aさんは、妻の淫らな部分を自分の股間に密着させ、欲棒を根元まで沈めるとその一動をゆっくりした大きなストローブにして、ズブッ、ズブッと妻の中へ突き入れました。

「あぁぁっ!・・・・いやぁぁっ!奥まで入ってくるぅっ・・・・!」

妻が私に見られるのを厭うように、顔をAさんの方に俯かせ、ピストンの嵐に身を任せています。

結合部が丸見えで、妻の口からは、堪えようとしても堪えきれない哀調の喘ぎだけが漏れてくるようになりました。

「奥さんのもの、締りがよすぎてそろそろ限界です。イキますよ。」

Aさんが、再び交わりの態を正常位に変えました。

そして、ありったけの力を肉棒に込めて、妻の秘口を激しいビートで刺突し始めました。

こんなに速くて激しい刺突は、妻が考える余裕を奪ってしまうはずです。

妻の割れ目が肉棒をしっかりくわえ込み、Aさんの肉棒が秘所から出し入れされる度に、薄い肉襞がペニスに纏わりつきいっしょに上下動します。

その時・・・

妻が・・・Aさんを押し上げるように、体を弓なりにして反らせたのです。

私は、妻との営みの中で、妻が絶頂に至るときのポーズを知っています。

それはまさしく、私との交わりの中で見せる狂おしい姿態と同じものであって、妻が快感の極みに到達したことを証明しているのです。

(うっあぁぁ~!理香・・・おまえのその姿こそ、オレが待ち焦がれていた姿なんだ・・)

「奥さん、もう駄目だ!イクよっ、ああぁぁぁぁっ!出る~うっ!!」

妻が握っている私の手を強く握り返してきます。

そして、腰を思いっきり浮き上がらせることにより、欲情の精の放出を待ち構えます。

「ああぁぁっっ・・・・あなたっ、出されるところ、見てえ~っ!」

「あぁ~っ!・・・・あっあぁぁっ」

秘所に突っ込まれていた肉棒が収縮を繰り返す間、妻の震える唇から随喜の喘ぎが洩れ、それは徐々に放心の吐息に変わっていきました。

Aさんの肉棒が一度カリ首のところで止まって、その後ズルっと抜け落ちました。

ゴム先が大きく膨らみ、妻の割れ目にはぽっかり小さい空洞が顔を見せています。

ずっと待ち望んできた光景です。

最愛の妻が、私の愛してきた象徴が・・・

他人棒を受け入れ、陵辱、蹂躙のはずなのに悦びを感じ、他人の射精まで求めた痕跡がそこにあったのです。

一度プレーを終えた後はシャワーを浴びることになっています。

「疲れただろ?シャワー浴びてきたら・・・もう一人お相手の方が待ってるよ。」

どの会場にも、男性が疲れた時変わってあげられる持続力のある方、女性が気をやって失神状態になったとき介抱できるような世話役、常連の方がいらっしゃると聞いています。

私は、妻が体を洗っている間に、一際、巨大な持ち物をお持ちの方に声をかけました。

年齢は私と同じ40歳代に見えます。

「凄いですね。常連さんですか?」

「まあ、そんなものです。男性が疲れてしまって、女性が待ち遠しいような時、私の出番になるんです。」

私は、その男性に妻のお相手になっていただくことを決心しました。

Bさんと呼ぶことにします。

「間もなく、妻が戻ってきますが、一度お相手していただけませんか?」

「私のこんなのでよかったら、喜んでお相手させていただきます。」

私の心は、興奮のあまり動悸が激しくなり、胸が震えてきました。

(こんな逸物を受け入れたら、妻はどうなってしまうのだろうか・・)

彼のペニスは、半勃ちでしたが、勃起時には20cmはありそうな長さなのです。

そして、驚かされたのはその陰茎の太さでした。

カリ首が張って、太さはコーラ瓶ほどあるでしょうか。

傍で目にすると、大きくエラの張った亀頭、使い込んでいる様子がわかる赤銅色の巨茎に私は呆然としました。

こんなのを出し入れされたら、一体妻はどうなってしまうのでしょうか。

「もう止めて!」と泣き叫ぶのでしょうか、

それとも、「どうなってもいいから続けて・」と快感に我を忘れるのでしょうか?

心臓がどきどきしてきます。

妻が戻ってくるまで、Bさんとしばらく話をしていました。

「Bさんのご立派なもの、うちの妻に合いますかね?」

「多分、大丈夫だと思います。こちらの方から声をかけてし始めた女性の中には痛がって途中で止めてしまうケースもありましたが、向こうの方から求めてきた場合は大概大丈夫ですね。ましてや奥さんの場合、ご主人が傍におられるのですから心配ありませんよ。」

そうこうしている間にシャワーを浴びた妻が戻って来ました。

初めての経験への不安も、先ほどのプレーを通して払拭されたのでしょうか、夫以外の男性との性体験が、彼女の心の我精神的な縛りを開放したのでしょうか、妻の顔が幾分紅潮して上気している様子がわかります。

「こちらの方が、おまえの二回戦のお相手をしてくださるBさんだよ。」

「ご主人から伺ったお話以上に素敵な奥様ですね。ご主人のお許しを得てお相手させていただきます。よろしくお願いします。」

「わたしの方こそ・・・わたし、初めてなのです。主人が余りにも言うものですから・・・今回、始めて参加させていただいたのです。」

「理香、Bさんのを見てごらん!」

妻は私に促され、Bさんの股間に目をやりました。途端に妻は驚愕の表情を浮かべました。

明らかに、興味があるというより巨根を恐れ、挿入を恐れている感じです。

「申し訳ないのですが、こんなご立派なの、私には無理だと思います。あなた、どなたか他の女性に代わってくださるようお店の方にお願いして!」

「Bさんがおっしゃるには、経験上大丈夫だということだよ。すべてBさんにお任せして、おっしゃる通りにしていてごらん。Bさんにしがみついておれば、大丈夫だよ。」

妻は私の言葉を聞いてようやく決心し、流れに身を任せる気になったようです。

Bさんの前戯が始まりました。流石にBさんは女性を扱い慣れていると言うか、女体の壷を心得ていると言うか、私には堂にいったもののように思えました。

妻の口からは、先程にも増して大きな喘ぎ声が漏れてきます。

Aさんの時と同じように、Bさんの唇が妻の股間を這ったとき、妻は自ら腰を上げ、お尻を持ち上げ、秘部を私の方へ突き出すような姿勢になりました。

「ああぁぁぁ~っ!また、変になる~う、私もうだめえ~っ」

「素敵だよ。気持ちいいんだね。大丈夫っ!そんなにイイのだから、Bさんの太いのだって入るよ。」

「ああ~ぁぁ~っ!頭がおかしくなる・・・だめえぇ」

「Bさん、妻がそう言ってます。そろそろ挿れてやっていただけませんか?」

「それじゃあ、お言葉通り、始めさていただきます!」

Bさんの巨大な一物が妻の秘口に宛がわれました。

既に、妻の秘部は十分すぎるほどに潤っているように見えますが、果たしてこの巨根が妻の中に収まりきれるのか心配になり、私は握っている妻の手を更に強く握り返しました。

妻の小陰唇は、Bさんの巨大な亀頭を前に、びくびく蠢いています。

想像もできないほどの巨根の挿入を前に、心の中が未知の体験への恐れと全身を包むかもしれない快感への不安に震えているに違いないのです。

「それじゃっ、イキます・・・・!」

Bさんが私に目で合図をして、妻の上半身に被さっていた腰を沈め、宛がっていた一物に力を加えました。

「いやあぁぁぁ~っ!入ってくる~う!」

Bさんの太いカリ首が、膣内の肉襞を押し分け、「ズブっ!」と沈み込み始めました。

だんだんと見えている長茎が短くなり、先端のカリ首は確実に膣内へと侵入していきます。

妻の意思とは関わりなく、否応なしにBさんの巨根は妻の秘部へめり込んでいくのです。

長大なペニスが三分の一ほど収まったところで、Bさんは一端侵入を止め、妻を優しく抱きすくめました。

「奥さん、入りましたよ。言った通り、大丈夫だったでしょ?これから先は、体の力を抜いてくださいね。しばらく奥さんの体が馴染むまでこのままでいますね。」

「ああ~っ、あなたごめんなさい・・・・入っちゃったの~」

妻の秘部は、間隙もないほど目いっぱいに開かれ、巨茎を飲み込んでいます。

そして、Bさんが少しずつそれを出し入れし始めると、妻の膣はその淫液で滑りを滑らかにしていきます。

「奥さん、そろそろ始めますよ。」

Bさんが、一度妻の腰を手繰り寄せてから、妻の枕元に両手をつき、ピストン運動を始めました。

巨根の三分の二ほどが妻の中に収まり、結合部がメリメリ音を立てそうですが、驚くことに妻の秘部は・・・

巨根を迎え入れる時は薄い肉襞を中に納め、巨根が秘口から出る時は粘着力をもって巨茎に絡ませるのです。

もう、妻のお腹の奥深くまで、巨茎が送り込まれているのは間違いありません。

「ああ~あぁぁぁぁ~っ・・・奥の方が痺れてくる~っ!」

ここまでくると、自分の意思とはかけ離れ、男の刺突をすべて受け入れ・・・・

男の本能が為すがままに体を開くこと以外になす術がないことを、女の体は知っているのでしょう。

「ダメえ~っ!、いやあぁぁぁ~っ!」

不定期に襲ってくる鈍味のある疼痛に耐えられないのか・・・

それとも、既にそれを悦びとして感じてしまっているのか・・・

妻は首を左右に振りながら髪を振り乱しています。

「ああぁぁ~っ、凄いっ・・・・凄すぎる~っ・・・お願い、あんまり激しくしないで」

妻ははぁはぁと荒い息づかいをしていましたがだんだん声も出ないようになってきたようです。

(・・・今、おまえは、鈍い痺痛が快感に変わっていくことに驚き、戸惑っているんだろ・・・・?)

(それでいいんだ・・・巨根がもたらす快感を全身で受け止めてくれればいいんだ・・)

Bさんは、しばらく律動と旋回運動をやめ、体の向きを変えました。

仰向けになり、その上に妻の背中を落とし、後ろから抱きかかえました。

このような体位になると、互いの性器の挿入部がはっきり見えます。

私との交わりで時々見える小陰唇は、余りの太さの巨茎に隠され、見えなくなっています。

妻の体の白からピンクに続く秘部に、ただ艶かしく濡れたペニスだけが突き刺ささっています。

間もなくBさんの数回目の攻撃が始まり、妻が叫び始めました。

その叫びは、自らの体が感じる悦びの奔走りであることは、もう間違いありません。

自分の予想をはるかに超えた悦びが生じてくることへの戸惑い・・・

それを、懸命に抑えようとする妻としての理性・・・

そして、悶える姿を夫の目に晒すことに対する羞恥心・・・

妻が、そんな自我を忘れて、ただひたすらに悦びを求める女になってきたことに、ますます欲情してしまいます。

「ああぁぁ~っ、あああぁっ!・・・さっきより凄くなってくるう~・」

「奥の方が・・・もう限界っ」

妻の何回目かの頂点はすぐやってきました。

妻は「あっうわあぁぁぁっっ!!」と叫ぶと手足をぶるぶると震わせ、硬直したようになりました。

それでも、Bさんは容赦なくピストンの嵐を送り続けます。

少しの間動きを止めてもまた直ぐに、波状の刺突を繰り返します。

もう、Aさんの往復の動きは、俗に言う三浅一深運動ではなく、亀頭を膣口まで一端引き戻し、それを更に膣奥深く打ち込むといった一深二深運動になっています。

巨根は一気に長い距離を走り、妻の膣壁を擦り続け、子宮底に当たります。

巨根を収めている秘弁からは、淫液を通り越して大量の白色液が垂れています。

妻の目には、喜悦からとも後悔からともつかない涙が溢れ、時折その潤んだ眼差しが私の方へ向けられます。

「ああぁぁ~・・・・もうどうなってもいいの~」

妻は連続してイっているのでしょうか。

Bさんは、私の欲することをを心得ていてくださり、カリの張った亀頭を、膣口から見えるところまで一旦引き出します。

そしてカリ首に勢いをつけ、20cmの距離を子宮底まで一気に走らせます。

「にゅるっ!ズブっ!」「にゅるっ!ズブっ!」の繰り返しです。

淫液を纏った赤銅根の全長が現れたかと思うとすぐに、膨張した亀頭を先に猛烈な勢いで花弁の中に消えていきます。

もう、妻の秘部は、灼熱棒が生み出す凄まじい快感に痺れ、その猛進に抗らう術がないのでしょう・・・・

巨根を迎え入れるかのように、最大限に口を開けています。

そして、巨根が突入する度に、内部の媚肉は焼け付くような・・・・沸きあがる快感を吸い取ろうとしているのでしょう。

「いやあぁぁっ・・・やめてっ!またイク~うっ」

「あなた、もうだめえ~っ・・・・あっあぁぁぁっ」

妻は火がついたような究極の悲鳴を上げ続けます。

妻はまだまだイクのでしょうか。

だんだん悲鳴とは裏腹に、体の動きが心もち鈍くなってきたような気がします。

もう何回もイき続け、妻の体が本当に制止を求めているのか、更なる高みを求めているのか、乱れすぎて・・・

あまりの凄さに私の頭もパニックになって、よく分かりません。

Bさんのペニスがゆっくり運動していたときには絡み付いていた妻の花弁は、巨根の突入を助けるように、自ら口を開けているようです。

長大なものが、ポッカリ開いた妻の秘部に間断なく打ちこまれていきます。

ますますBさんは、膣口から最深部までのペニスが走る距離を長くし、一深、二深、三深と突き入れるスピードを速めていきました。そのときです。

「うわあぁ~っ・・・・ああぁぁぁぁっ」

妻の口からこの日一番の絶叫があがり、ブリッジするように身体を弓なりに反らし、Bさんを上に乗せたまま、ペニスが打ち込まれている秘部を最大限に突き出しました。

そのまま妻の身体はしばらく強張ったようになっていましたが、やがて力無くべッドに崩れていきました。

さすがに、3人目は無理だと思ったので、妻のお相手をしていただいたBさんに御礼を述べ、帰ることにしました。

横になっている妻を抱いているうちに、妻の意識が回復してきました。

歩き方も定まらない妻を支えるようにホテルを出ましたが、

さすがにその日の帰宅は無理だと思ったので、市内の別ホテルに泊りました。

「凄かったよ、理香・・・他の人のもので感じた?」とからかうと、「いやぁぁ!意地悪うっ!」と胸に顔を埋めてきます。

「あなた、あんなになった私の手を握っていてくれてありがとう・・・嫉妬しなかった?」

妻が私の唇を求めてきます。

「あんなになった理香を初めて見たよ。もの凄くヨカったんだね。」

「うん・・・ごめんね。あなたの前で何回もイっちゃって。」

「Bさんのは、大きかったろう。アレが入ったとき、どんな感じだった?」

「うん・・・・始めのうちは、あそこが裂けてしまうのでは・・・と思ったわ。」

「あそこ、大丈夫だった?」

「ちょっと痛かったかな?でも、Bさんが『すべて私に任せてっ』って言って下さったし、それに、あなたが優しい目で見ていてくれたから」

「そう?Bさんの大きなものが出入りすると、どんな感じになるの?」

「女って・・・一度気持ちよくなると、体の方が勝手にその前よりもっと強いものを求めたがるの・・・『ああ~っ』てなると、次には『あああぁぁぁっ!』って感じになってみたいと思うの」

「ふ~ん、そんなふうになるのか。理香も元々は好きだったんだね。これまでごめんね」

「うふっ、そんなこと言って・・・だって、女なら誰でもだんだん気持ちよくなってくると、この気持ちよさがもっと凄くなって欲しいと思うようになるわ。」

「しまいには、もうどうなってもいいから、もっと激しくしてほしいと思うようになるの。もう私のが壊れてもいいと本当に思ったもん。」

「わかったっ!それで、あんなスゴイ言葉、言ったんだ。『メチャメチャにして!』って言ったぞ。」

「そうよ。わたし・・・このまま続けるともっとスゴイものがくるかもしれないと本当に思ったわ。」

気だるさが残る妻とこのようなとりとめもない会話を楽しみながら、癒し気分を味わった一夜でした。

私のことを思い、意を決めて他人棒を迎え入れてくれた妻がとても愛しく思え、感謝しています。

民宿での一夜
私は45歳、妻の理香は43歳の熟年夫婦です。

前回はじめて、妻を他人に抱いてもらう経験をして、妻の股間に揺れる他人の勃起を目にしたときは、胸が張り裂けそうな想いでした。

男が動きを止めると・・・その先端から、妻の膣奥深く吐き出される濃厚な精液・・・

それまで、妄想の中でだけしか目にすることがなかった光景を実際に見た時の衝撃と興奮は、余りに凄まじかったのです。

妻と他人との性交を見たい・・・

妻の体に放たれる見知らぬ男の精液が見たい・・・

「妻を貫いた他人棒」の第2弾をお届けします。

あれから、妻の理香との毎日は、とても細やかなものになり、二人で過ごすひとときがとても充実してきたように思えます。

夜の営みも、若い時ほどではありませんが、前よりは頻繁になり、濃密度を増してきました。

もちろん、精力回復という訳ではありませんが、思いの方向が相手の方に向き、

パートナーの喜びが自分の喜びと思えるようになってきたのです。

複数の人と交わることは、それ以来しばらく遠ざかりました。

あんなに凄いことを体験したのだから、あれ以上のものは無いだろうって、お互い満足感でいっぱいだったのです。

でも、あの時からしばらく経って、再びめくるめく喜びを私にもたらしてくれる機会が、ある日突然に訪れました。

今回は、そのときのことをお話します。

それは、桜の花が咲き誇る頃、二人でとある観光地へ旅行に行ったときのことです。

この頃になると、私たちは都合をつけて二人で旅行に出かけることを慣例にしています。

今回は、どこか田舎の鄙びた所でのんびりしたいと思って、民宿を選びました。2泊3日の予定です。

1日目は、市内を散策して当地の名所や由緒あるお寺を見て歩きました。

春の陽射しを浴びながら、妻と手を繋いで歩くのもまた格別なものです。

長い道のりを歩いたので、民宿へたどり着いたときはとても疲れており、旅館の人の勧めで先ずお風呂に入ることにしました。

脱衣場がとても狭い上、湯場も男女の別がなく、二人で入るのが精一杯です。

妻と一緒に入り、旅の汗を洗い流して、着衣し始めた時のことでした。

突然、二人の男性客がドアを開けて入ってきて・・・・

「アッ!ごめんなさい。女性がいるとは知らなかったものですから」

二人は一瞬、妻の方へ目をやり、慌ててドアを閉めました。

「いいですよ。こんな小さなお風呂場ですから無理もありません。さあ、どうぞ。」

そそくさと、私たちは男性客に背を向けながら、着替えを済ませました。

私たちが、浴室のドアを閉めると、後ろから小声が聞こえてきました。

「いいなあ~っ、あの女。あんなのとヤリてぇなあ」

私は、その声を聞きながら妻に、

「おい、おい・・・・あんなこと言ってるぞ。お前もまんざら捨てたもんじゃないなあ。」

「うふっ、ちょっと嬉しいな。こんな昔のお姉さんでも、まだその目で見てもらえるんだ。」

さっぱりして一息入れているうちに夕食の時間になりました。

食事は飯台を二つ連ねて、同宿の方と都合6人が相向かいに座りました。食卓の上には、お家の方が作ってくださった心づくしの手料理が並んでいます。

席を共にすることになった相客さんは、私と同じ40代と見える方がお独り、後の3人の方は20代後半か30代前半のように見えました。

私が、一番年配に見られたのでしょうか、妻を傍にして上座を勧められ、おまけに、「旅のご縁で・・・・出会いを記念して」と乾杯の音頭までお願いされて、恐縮してしまいました。

「小野と申します。二人でささやかな旅行を、と思ってやって来た者です。」

「そうですか。私は山本という者です。こちらで、若い者と一緒に仕事をさせていただいているのです。」

お話によれば、4人とも地元の方で、遠出して安あがりの民宿に泊まりながら、当地で配管工事の仕事をなさっておられるようです。

山本さんは、その小さい建設会社の社長さんとのことでした。

山本さんは、「私がいると若い者は伸びのびできないので気の毒なんですが・・・仕事上仕方がなく寝起きを共にしています。まあ、せめて夕食ぐらいは楽しくなあ・・・・さあ飲めよ、健太。」と、私に語りかけながら、隣に座る若者に酌をしてあげています。

話は、私たちが旅先で目にしたことから、春先の風物行事が行われる観光スポットのこと、そして、それぞれの県の名所のことにまで及び、大変盛り上がってきました。

妻は?と見ると、気を利かせて代わる代わる4人の方に手酌をしてあげています。

「悪いなあ。奥さんにこんなことしていただいて・」

山本さんの隣の幸治さんという若者が、妻と楽しそうに会話をしています。

「どうですか?せっかくお知り合いになれたのですから、ちょっと外に出て飲み直しませんか?」と、山本さんが私に声をかけてくださったのは、夕食が始まって2時間ほど過ぎた頃でした。

タクシーを2台呼んで、町中のカラオケスナックに入りましたが、どうもお客さんは私たちだけのようです。

「今日は悪いけど、『演歌』だけにさせてもらうで。みんないいだろ?!なあっ、良平?」

良平さんという若者が、「もちろん、社長の奢りだから文句は言えないなあ?」と切り返します。

若い3人はノリまくりです。マイクを離すのを惜しむかのように、持ち歌でもない歌を無理して歌っているようです。

男同士の歌を聴くのにそろそろ飽いてきたのでしょうか、そのうち誰かが、妻とデュエットをしたいと言い出しました。

「旅先でこんな楽しい夜を過ごせるなんて、思ってもみなかったよ。理香、お相手させていただいたら?」と妻に声をかけます。

「下手なんですが、私でよろしければ」と、妻が応えます。

私はカウンターで、隣に座った山本さんと、職種は異なりますが、ひとしきり仕事のことについて話をしていました。

そのうち、ふと、健太さんと歌っている妻の姿が私の目に入ってきました。

「好きにな~ったの・・・・も~っと抱いて♪♪♪」

健太さんの手が優しく妻の肩にかかり、妻のうなじが、健太さんのフレーズを応援するかのように、彼の胸に傾いていきます。

「奥さん、お上手なんですね・・・・。あんな素敵な奥さんといつもご一緒でうらやましいですなあ。この年になると皆お留守になると思うのですが、奥様との夜の方はどのようにしていらっしゃるのですか?」

山本さんがグラスを傾けながら、私に尋ねます。

すっかり山本さんと打ち解けた私は、「この年になって、恥ずかしい限りですが」と夜の営みのこと、

そして、潜在的に持っている「寝取られ願望」のことを話しました。

「いやあ~、私もそんなこと、想像したことがない訳ではありませんが・・・・あんな素敵な奥さんが連れ沿いさんなのですから、その気持ちわかりますよ。」と、相槌をうってくれました。

その言葉を聞きながら、私の心の中に、封印していた悪魔の誘いが忍び寄ってきたのです。

(あの若い方たちと妻が、続けて交わったなら、どうなってしまうのだろうか?妻の心も弾んでいるようだし、旅先でのアバンチュールを、きっと受け入れてくれるに違いない。)

何曲目かのデュエットが続いている間、私は山本さんにお風呂場でのことを話し・・・・

「お若い方も、妻のこと満更でもないようですし、妻の方は私が説得しますので、明晩楽しいことをお願いできませんか。」と、言ってしまったのです。

「それは、嬉しい限りですが、明晩と言わずに今晩はどうですか?」

「いや、今晩は妻の方も疲れていると思いますし、それにお酒が入っていますので・・・私は、妻の素面のときの姿が見たいのです。」

と、せっかくのお誘いでしたが、思いを明日に延ばすことに同意していただきました。

そして、帰りのタクシーを待つ間、私は山本さんに、四人で代わる代わる妻を抱いてほしいこと、私は傍で見ているだけにさせてほしいこと、

そして、もし山本さんが望むのなら、彼だけ最後に中出ししても構わないことを伝えました。

「わかりました。定期的に健康診断を受けているので大丈夫です。万が一のことが起きましたら、私の責任ですので、ここにお電話を」と、山本さんは、名刺を渡して下さったのです。

翌日、観光地での昼食が終わった後、私はおもむろに、このことを妻に切り出します。

「たしか、今日はあっちの方、大丈夫な日だったよな。」

「何よ、昼間から 何てこと聞くの?そうだけど、早から今晩のこと、考えてるの?」

「いやあっ、あのね・・・・実は昨晩、山本さんとこんなことを約束してしまったんだ」と昨夜、突然鎌首をもたげてきた疼きのことを打ち明けました。

妻にとっては、まさしく「青天の霹靂」で、びっくりしたのは当然のことでしょう。

「え~っ?嘘でしょ・・・・?せっかくの旅行なのに、何てこと、考えるの?」

「きのう、おまえが若い男に撓れかかっている姿を見たら、いつもの癖がムラムラっと、湧いてきて・・・二人で旅して、おまえが悦ぶ姿を見るのも、いい記念になるかと思ってな。」

「そんな勝手なこと言って・・・・今晩・・・・?また二人がお相手なの?」

「いやっ、そうじゃないんだ。今度は、昨夜ご一緒させていただいた方、皆となんだ。」

「いやだぁ~っ、そんなに大勢の人とできっこないわ。この前、二人だけでももう限界だったもの。」

「その限界を越えたおまえの姿が見たいんだ」

「私、あの時初めてわかったわ。あなた以外の人のものでも気持ちよくなるんだって・・・そして、気持ちよくなってしまうと、『申し訳ない』という気持ちが薄れていくの」

「その姿を見ると、すごく興奮してしまうんだ。見知らぬ男に抱かれて、オレに済まないって思いながらイってしまうおまえの姿がみたいんだ。」

「そんな風に言うけど・・・・あなたの前で、知らない人に抱かれる女の気持ちってわからないでしょ?」

「この前、約束したじゃないか?おまえがどんなになってもオレの気持ちは変わらないって。おまえが悶える姿だけを見たいんだ。」

「ほんとにいいの?この前、あんな凄いことになったけど、もうどうなるかわからないよ。そうなってもいいの?」

「悪いんだけど、それが堪らないんだ。夕べ、楽しいひと時を過ごして、みんな顔見知りになれたのだし、こんな機会、滅多にないんだ」

後から想像する限りですが、妻は私が差し出した申し出を拒んで、この後、気拙い旅を続けなければならなくなることを恐れたのでしょうか、

それとも、前回体験した複数の人との交わりで、身を通り抜けていっためくるめく記憶が蘇ったのでしょうか、とにかく、結果的にこのことを受け入れてくれたのです。

(初めての禁断の体験を味わって、二度目ともなると・・・・妻の心の中で、何かが変わってしまったのだろうか?)

一夜明けて、いよいよ約束の夜がやってきました。

その日は夕食を早めに切り上げ、九時頃になってから、私たちの部屋にこっそり集まりました。

みんな、そろいの浴衣姿で、下には何も身につけていません。

この部屋は別棟なので、民宿のご家族の方に気遣いをする必要がなさそうです。

最初に、妻の傍に寄り添ってきたのは、健太さんでした。

あの時、お風呂場で「あんな女とヤリてぇなあ」と言っていた若者です。

健太さんの手が妻の腰に回り、二人は顔を交差させていきましたが、前回ピクッと反応した妻の体にそれが見えません。

他の男に抱かれる経験が2度目を迎えたからなのか、それとも、この後何人もの男性に抱かれることを思い、腹を据えているのか。

でも、健太さんの唇が妻の秘部を這い始めた時、ビクッと腰を浮き上がらせました。妻が感じたときの動きです。

そのうち健太さんは、手指の腹で淫裂を擦ったり、蕾を弄んだりし始めました。

見ていると、クリ全体を2つの指でギュッと挟むようにして捻るのです。その指腹の動きが数回続いたとき、妻の口から悲鳴があがりました。

「あっ!だめえぇっ・・・あぁぁっ・・・おかしくなる~っ」

女の一番敏感な部分を、そんな風にされると堪ったものじゃないのでしょう。妻の体は、一点から湧き上がってくる快感に身悶えします。

健太さんは、妻が予想以上の反応を見せたので、驚いたのか、

「奥さん、そんなに早く逝っていただいては困ります。今からが楽しみなんです。」と、膨れあがったものを、秘部に宛がいました。

前回、初めて他人のものを受け入れる刹那、妻は縋りつくような切ない眼差しを私に送り・・・・

夫への不貞を詫び、未知の体験への不安を訴えるような目線を送ってきましたが、今回もそれと同じような表情をしています。

それもつかの間、健太さんが腰を沈めると、欲棒が「にゅるっ!」とした感じで、妻の“ひだ”に埋れていきました。

「あっ・・・ああぁっ・・・」

そのうち、健太さんは妻の上に覆いかぶさり、優しく律動を加え始めました。

それに伴って、妻の両足も心持ち横に大きく広がっていきます。

妻の両足は、更なる快感を求めるように大きく角度を広げ、秘部から伸びる靭帯の筋がピーンと張り詰めていきます。

私は、妻の傍に膝を進め、手を握りながら囁きかけます。

「健太さんのが、入ってるんだ。もっと、もっと、ヨクなるよ。」

「ああぁっ・・・あなた、ごめんなさい。気持ちよくなってしまう~・・・」

健太さんの茎が、女陰から抜き出される度に、淫液を纏りつかせた勃起が淫らな光沢を放ちます。

妻の体は、絶頂へ向かって、一直線に昇りつめていっているようです。

そのうち健太さんは、「どうですご主人さん?奥様が感じている場所を、見てみませんか?」と言って、後背位で交わっていた妻の太腿を両手で持ち上げ、結合部がよく見えるように、

妻のお尻を抱っこしながら、こちらに歩いてきました。

結合部は凄まじいことになっています。

肉棒が大陰唇の中に屹立し、健太さんがそれを突き入れると、媚肉の膜が巻き込まれるように消え、

それを抜き出すと、艶めかしい肉襞の一部が再び現れてくるのです。

「あぁ~ん・・・気持ちよくなってしまう・・・・・・恥ずかしい~っ・・・・あなた、そんなに見ないでぇ~」

流石に、健太さんは若いので持続力があり、妻への快楽輸送は果てしなく続けられました。

たぶん、妻の体の中には、極彩色のオーロラの嵐が吹き荒れているのでしょう。

そのうち、健太さんが耐え切れず、

「あぁぁ~っ、そろそろだ!奥さん、イクよ~っ!」と叫んで、一際激しく腰を振りました。

膣壁から限りない悦びを享受していた男の精が、妻の中に放出されたようです。

妻は握っている私の手を、「ぎゅう~っ」と、強く握り返してきます。

「ああぁぁっ、あなたっ、中で出ている~ぅ・・・!」

健太さんの勃起が、妻の秘部からおもむろに抜かれると・・・・

大きく膨らんだゴムの先が現れ、それが消えると微かな秘孔が顔を覗かせます。

「健太さんのが、入っていたところを見てごらん」

妻は愉悦の余韻を漂わせながら、ポッカリと穿たれた自分の秘所に目を向けますが、

まるで、それが自分の持ちものじゃないような表情をしています。

間髪をいれず、幸治さんが「やっと、オレの出番が来た!」と言って、妻の開かれたままの膣洞に、今までのものとは異なった勃起を宛がいます。

妻の秘部は、挿入を助けるかのように先ほどにも増して目いっぱいに開かれ、滾ったものを呑み込んでいきます。

幸治さんの持ち物はそれほどには見えませんが、健太さんの行為中待ちきれなかったせいでしょうか、亀頭が大きく怒張していて、それが猛烈な勢いで女陰の中に没入していきます。

「はあぁぁ~っ・・・・何だか、違う・」

男根の形状や感触が異なることよりも、先程とは別人の男のものを受け入れたことに、妻は欲情しているのでしょうか、

更なる快感を求めて、淫らな言葉を口走ります。

「あぁぁ~っ、だんだん感じてくるぅ・・・・・・また、何か変なこと叫びそうっ・・・!」

その姿を眺めていると、顔だけはその行為を拒むように左右に振っていますが、両手は幸治さんの背中を強く抱きしめて離しません。

「ああぁぁ~っ、凄いっ・・・よくなってくる~うっ・・・」

妻の体は、体の奥底から湧きあがる快感を堪えられなくなってきたのでしょうか、喘ぎ声の間に、はぁはぁと荒い息を吐いていましたが、だんだん目が虚ろになり、声も出ないようになってきました。

異茎が突き刺す連続弾によって湧き上がる快感は、急激な上がり勾配で上昇し、妻は何回もイっているようです。

激しく交わっていた幸治さんですが、案外早く終末を迎えるようです。

「あぁぁ~っ、イクっ、駄目だっ!奥さん、出すよう~っ・」

「イってっ、もう、イってぇ~っ・・・・・・!!」

幸治さんの双球が茎の根元にせりあがり、精を送る茎の裏筋が太くなっていくのがわかりました。

幸治さんは、妻の膣奥深く滾る男の精を奔走らせたのです。

射精を終えたものがそろそろと、女の器から抜き出されると・・・・

秘口は、淫らな滴に濡れて、それまでの貫きの跡を示すように小さな痕跡を残しています。

その穿孔を見ていると、女の体が、その秘口から膣奥に続く部分で、二人の肉棒により数限りない刺突を受けていたことがわかります。

「奥さん、オレのは一味違いますよ。楽しみにしていてくださいね。」

良平さんが、妻の前に、自慢のものを突き出しました。

妻は驚いた表情を浮かべましたが、その時、一瞬、口元が「クスっ」と笑ったように見えました。

きっと、前回の体験のことを思い出したに違いありません。

(この前は、余りのものに怯えていたはずなのに・・・・例え、一度とは言え、経験をして同じ場面を迎えると、女の意識はこうも変わってしまうのか・・・)

それは、見るからに怪物でした。

赤紫に光る亀頭は、小さい玉ネギほどの大きさがあるでしょうか、長大な逸物は、根元から上に反り返っています。

健太さんと幸治さんの肉棒で連続する快感を味わった上、このような怪物を送り込まれたら、女の器は一体どのようになってしまうのでしょうか?

すぐに、良平さんの刺突が始まりました。良平さんの体位は、何と言うのかわかりませんが、変わった体位です。

半腰の立ち膝で、男根を前に突き出し、対面にいる妻のお尻の下を抱きかかえ、こちらへ引き寄せるようにして、勃起を滑り込ませます。

結合部が見えなくなった私は、山本さん共々、二人の交わりがよく見える位置に場所を移します。

良平さんの荒々しい勃起が、引き寄せられてくる女陰に向かって狙いを定めました。

「お願いっ、そっとね・・・・痛くないようにしてね。」

「大丈夫ですよ、奥さん、最初のうちだけ我慢してください。そのうち、すぐヨクなりますから」

良平さんは赤玉ネギで、妻の秘口を数回弄んでいましたが、やがて「ズブッ!」とそれを花弁の中に沈ませました。

「きゃぁぁ~っ、痛っ!そこで止めてぇ・・・!あぁ~っ、奥まで入ってくるぅ~っ・・・」

「奥さん、壊してあげます。止めませんよ。ご主人からお許しをいただいているのですから。」

妻の喘ぎは、良平さんの腰が数回動いただけですぐにやってきました。

妻は「ああぁぁっ!」と叫びながら、両方のこぶしを乳首あたりに固めたまま、ぶるぶると小刻みに震えさせます。

それでもお構いなく、良平さんは赤銅塊の突入を続けます。

「あうぅ~・・・!中がいっぱい、もう駄目~えっ・・・・・・それ以上、入れないでぇ・・・・・・!」

妻はこぶしを堅く握り一層激しく体を震わせ、腰を浮き上げようとする動きを頻繁に繰り返すようになってきました。

連続してイっていることは、もう疑いありません。

そのうち良平さんは、横寝の後背位に体位を変え、妻の片足を右手で大きく持ち上げて、交接部を私に見せるようにしてくれました。

これまで大切にしてきたものが、熟したザクロの実のように妖しく口を開き、淫液が溢れるように流れ出ています。

良平さんの怪物が、その媚肉の中に分け入っていく様子がはっきり見えます。

カリ首が引き抜かれるとき、玉ネギが壷口に引っかかり僅かな抵抗を示しますが、良平さんはその抵抗を無視して突き入れます。

「あっ、ああぁぁぁっ・・・・・・!また、イク~う!・・・あなた、助けて~ぇ・・・・・・あっあぁぁっ・・・」

良平さんは、淫裂から膣奥の最深部まで、一気に怒張したものを走らせます。

玉ネギは、狭い膣道をすり抜けながら、膣壁を摩擦し、極悦の快感を妻に与えているに相違ありません。

上げた片足のつま先が硬直したように反り、胸の両脇の腕が極端に縮こまります。

「いやぁぁっ!!来る度にイクう~っ・・・もう、中が壊れちゃう~っ・・・・!」

もう何回もイき続け、妻は灼熱の快感によがり続けます。妻の手がそれまで握っていた私の手を離し、私のものを弄り探します。

それを探り当てた途端、凄い力で私の勃起を握り締めてきました。

その力の凄さで、妻がどれほどの快感を味わっているのかがわかります。

ついに、良平さんが叫びました。

数限りない摩擦による刺激をこらえてきた肉棒も、それを鈍い快感として蓄えておくのが、限界になってきたのでしょう。

「そんなに壊してほしいなら壊してあげますよ、奥さん!そらっ、そらっ、そら~っ!」

「ああ~ぁぁぁっ!だめぇ~・・・・・・!本当に、壊れちゃう」

「オレのも、もうちょっとなんだ!イクぞっ、奥さん、それっ、それっ!」

「きゃあ~ぁっ・・・!お願い、もう駄目えぇ~・・・」

凄いことになりました。

妻の膣内は、肉棒のパーム弾に焼かれているような感じなのでしょうか。

喉奥から悲鳴が走り、横寝で持ち上げられている片足の先を強張らせ、つま先が深い角度で折れ曲がっていきます。

妻は赤銅根の刺突に身を任せたまま、「うっ!うっ、コクッ!」と、緩やかに体を痙攣させています。

良平さんの凶悪な攻撃により、妻の体は失神状態になったようです。焦点の定まらない目を、空間に彷徨わせています。

そのうち、山本さんが私の傍に寄って来ました。

「奥さん、このようなことになっているのですが、続けてよろしいのですか?」

「私が、仕出かしたことですので、最後までお願いします。」

「社長!大丈夫ですよ。奥さん、オレの攻めでマグロ状態ですから。もう、『イキッ放し!』で何をしても感じるはずですよ。」

妻の体から離れた良平さんが、山本さんに囁きかけます。

山本さんは、申し訳なさそうでしたが、これも勢いです。

ぐったりしている妻に怒張したものを宛がうと、ピストン運動を始めました。

「うっ、うう~ん!」

妻が正気に戻ってきたと思うのもつかの間、「きゃあぁぁ~っ!!」と、金切り声を上げました。

すると、またすぐに、「うっ!ゴクッ!うっ!ゴクッ!・」と顎を後ろに反らし、秘部を高くつきあげます。

妻の体は、良平さんの言葉通りになって、もう何が何だかわからないようです。

失神状態の体でも、女の器は、肉棒によって届けられる快感をしっかりと掴み、その快感が正気を蘇らせ、また凄まじい狂悦の喜びで気が遠のいていくことの繰り返しです。

このような「正気の喪失から快楽の沸騰」への往復が数回続いたとき、妻の体は自分の意思を失ったかのように、すべて、欲棒がなすがままの状態になりました。

妻の女性器は、もう滑らかに伸縮する意思をもっていません。

最後に、山本さんが中で精の飛沫を奔走らせたとき、妻は淫らな言葉を叫びませんでした。

山本さんが肉棒を抜いたとき、口を開けたままの膣洞から「トロトロ」と艶めかしい精が零れ落ちてきました。

妻を貫き、限りない苦悶の悦びを与えていた種液です。

この種液が、妻に気が遠くなるような快感を与えていたことを思うと、私の心臓の鼓動が激しくなり、

胸が押しつぶされるような気持ちになりました。

こうして、旅がご縁のめくるめく一夜が過ぎて・・・・あの後、若い方達が再度妻の体を求めてこられましたが、丁重にお断りしました。

妻は昨夜の行為で疲れ果てたのか、起きられません。

翌朝、山本さんと朝食を共にしながら、幾分気恥ずかしい思いで、妻と私に頂いたお情けのお礼を述べました。

若い方々も、奇縁で結ばれた一夜を殊の外喜んでくれました。

山本さん一行とお別れした後、宿の方に「済みませんが、妻が体調を崩したようなので午前中しばらく休ませていただけませんか。」とお願いして、しばらく部屋で休ませていただきました。

お昼頃になって、ようやく妻の顔に精気が戻ってきましたが、マイカーの中でも言葉少なく、会話をするのも難儀な様子でした。

以下は、我が家に帰宅してからの寝室での会話です。

「長旅で疲れただろ?大丈夫~?昨夜は、凄かったもんな」

「何とか戻ってきたわ。でも、あんな体験はもうこれで十分よ。体がもたないし、それにあなたがいいと言っても、終わった後はいつも後ろめたい気持ちになるの。」

「その割には凄かったね。最後なんか、ちょっとしただけでイッてたみたいだったよ。」

「う~んっ、意地悪~う!でもその通りよ、正直言って、最後の方はその度にイッてしまったわ。」

「良平さんの、凄かったけど、あんなのでされるとどんな感じなの?」

「この前のBさんの時と同じみたい・・・・これ以上入ってきてほしくなくて・・・・あそこを狭めるようにするの。」

「そうすると、どうなるの?」

「それでも、そこをこじ開けるように入ってくるの・・・その中で動かれると、もう堪えようがないもの。体が勝手に感じちゃって・・・・もう、どうにでもしてって思ったわ。」

「良平さんと違って、健太さんのときはゆっくりしてたと思うけど、どちらがよかったの?」

「そんなこと、わからない・・・・ゆっくりしている時は、お互いのものが体の中で溶け合っているって感じかなぁ。何だか、男の人のものが、自分の体の一部のように思えるの。」

「じゃあっ、元気になったみたいだから、今夜はサービスで、オレが火の玉を作ってあげようか?」

「うふっ、あなたも、昨夜興奮しすぎたもんね。いいわよ、いっぱいしても」

「ホント言うと、心が一番ドキドキするのは、あそこに男の人のが入ってくるでしょ?その時、あなたの興奮している姿を見る時よ。その次は、気持ちよくなっていく私の手を、あなたが傍で握り返してくれる時なの」

その夜、妻は私の手枕で深い眠りについていきました。

軽い寝息を立てている妻が見ている夢は、昨夜の他人棒なのでしょうか。

妻を貫いたジェフ
「妻を貫いた他人棒」のその後をお届けします。

今回は、私たちの海外旅行での体験をお話させていただきます。

さしたる出来事もなく、いたって平凡な毎日が緩やかに流れていきます。

理香は、積極的に家事をこなし、私も掃除やゴミ出しをしたり時には習い覚えの手料理にチャレンジしてみたり・・・

そうなると、心の中で、「また、機会が訪れたら」という私の「寝取らせ癖」が鎌首をもたげてきます。

今度は、「外国の人と交わっている理香を見てみたい。」という欲望が沸々と湧いてくるのです。

果たして妻はこのことを受け入れてくれるでしょうか。

先ず思い浮かべるのは、まだ随分と先の話ですが、この夏に予定している海外旅行です。

私たち夫婦は、数年に一度、一週間ほどの休暇を利用して海外旅行に出かけることにしています。

今回の旅先は、アメリカ西海岸のサンフランシスコとロサンゼルスです。

何とか、この機会を利用して・・・と考えました。

Webサイトを見ても、なかなか外国の人の個人プロフィールは掲載されていません。

それで、「上手に事が運んだらラッキー、うまくいかなくてもまたこの次・」というような軽い気持ちで、計画を立てました。

何より優先させなければならないのは、妻の同意です。

「あのさあ、理香さえよかったら、また凄いこと、体験してみない?」

「また、始まったぁ。変なことばかり考えるのね。もうこれまでで十分よ。」

「おまえさえうんと言ってくれれば、今度の旅行が最高のものになるんだけどな。」

「そんな風に言われると、つらいわ。それで、その凄いことって、どんなこと?」

「うう~ん・・・・言い難いんだけど・・・あのね。今度は、外国の人とセックスしている理香を見てみたいんだ。」

「多分、そう言うだろうと思ったわ。でも、外国の人のソレってとても大きいのでしょ?そんな凄いの、私には無理よ。」

「この前も、無理して大きいものを受け入れたじゃないか?」

「それは、あなたが言い張って聞かないからそうしたのよ。でも、あなたが強引に誘ったのだから・・・・って自分の心で言い訳しても、

あなたの奥さんなんだもん。その後も、ずっと後ろめたい気持ちが燻ぶっているわ。」

「でもさぁ~、せっかく他の人が味わえないことを経験したのだし、この機会を逃すと外国の人とするチャンスは二度と巡ってこないと思うんだ。

勇気出してみない?」

「本当のことを言うと、ちょっとは興味があるわ。体があのときのことを覚えていて、時々思い出すと変な気持ちになるの。

あなたがそうさせたのよ。でも、今回は海外だし、知らない人とするのは怖いわ。」

即答はもらえませんでしたが、妻の言葉の端々に脈がありそうな匂いを感じました。

旅行まではまだ十分に日があります。後一押し、ゆるゆると説得しようと思いました。

ここで少しばかり、今回の海外旅行についてお話します。

旅程は、サンフランシスコからロサンゼルスへのフライトです。

サンフランシスコでの滞在のうち一日は、以前私が留学していたアーバインという大学がある郊外に宿泊することを、妻に認めてもらっています。

そこに住んでいる友人と再会するためです。そして、ロサンゼルスは、以前私がホームステイをした思い出の街です。

かって、私がアーバイン校に留学していた頃の話ですが、授業が終わって宿泊棟に隣接するジャクジで疲れを癒していると、

突然黒人さん達がドヤドヤと入り込んできました。

誰もが前を隠そうとせず、私はそそり立つ巨根に圧倒されてしまいました。

浴槽に身を浸しながら彼らと話しているうち、彼らは自分たちがアメフトの49ersの予備軍であること、

毎日キャンパスにあるグランドで練習していることを語ってくれました。

何回もジャクジで顔を合わせているうちに、自然に彼らと仲良くなりました。

とりわけ学校の近郊に住んでいるサミーには、レポートの作成に手を貸してもらったことはもちろんですが、

彼の家にたむろしてカードゲームをしたり、連れ立って街中へ出かけたり、こよない遊び仲間になりました。

彼が執拗に、JApAneSe Girl について尋ねてきたことを覚えています。

今も彼とはXマスカードのやりとりをしているので、妻を抱いてもらうチャンスは十分にあります。

もう一つの選択肢は、ロサンゼルスでのホームステイ先の息子です。

名前をジェフといって、年は私より一つ上です。ホームステイの期間は半年でしたが、

すっかり仲良くなった私たちは、街中へ出かけるときはいつも一緒でした。

ある時ジェフが、「いい所へ連れて行ってやろう。」と言ったので、どこかと思ったら、

店の屋根看板に、「LiVing WomAn」と書かれていました。

ステージは、立方体のせり上がり舞台のようなもので、ちょうど目の高さにダンサーの腰がくるように造られています。

そのガラス張りステージの中で、ぴちぴちギャル達がオ○ン○を拡げていました。

立ち見で覗き込みながら興奮を抑えられず、二人とも客席ボックスとステージを隔てる暗闇に向かって、思いっきり放出したのを覚えています。

ジェフとはこんな間柄です。

数年前の妻を伴った海外旅行で、ジェフと再会したことがあるので、妻とは面識があります。

妻が彼らと交わる禁断の妄想を思い描きながら、私は営みが終わったある夜、妻に了承を求めます。

「あのさぁ、この前の続きだけど、せっかく二人の新たな楽しみを見つけたんだから、一通り経験してみようさ。

黙って通り過ぎたら、後から墓場で後悔するよ。」

「うふっ、墓場だって。そうよ~っ、このことは、あなたが私の分まで背負って、そこまで持っていってくれるんだもんねぇ~」

「おい、おいっ、真面目な話なんだ。心配しなくていいって。お相手さんは、オレが責任を持って素敵な方を選んであげるから。」

「う~ん、ちょっと違うの。私、このまま続けたら、何だかずるずるいきそうで、自分が怖くなるの。

あなた、私が今までとは違う私になっても、ずっと愛してくれる?」

「そうしたいから、おまえが嫌がることも承知の上でお願いしているんだ。

これからもオレ、ずっと理香と一緒にいたいから、危ないことは絶対させないよ。」

「そんな風に言われると困ってしまうわ。あなたって言い出したら聞かないんだから・・・・

わかったわ。前に、『ちょっと、興味が・・・』って言ったこともあるし・・・でも、本当に危ないことや通りすがりの人は嫌よ。」

「わかった。約束するよ。」

「それから、もうひとつ約束してね。旅行に行ったら、夜はあなたの言うことを聞いてあげるから、お昼の間は私の言うこと、何でも聞いてね。」

「んふふっ、ちょっとしっかりし過ぎているんじゃない?わかったよ。何でも言うこと聞いてあげる。

それで、外国の人のことだけど、白人さんと黒人さんとどっちがいい?心当たりの人がいるんだ。」

「えぇ~っ?そんな・・・『心当たり』って、どんな人なの?」

そこで私は、アーバインのサミー、ロサンゼルスのジェフと過ごした日々のことを話しました。

「ふーん、そうだったの?わたし、ジェフさんのことはもう五~六年前かなあ?あなたといっしょにアメリカに行った時お会いしたことがあるけど、

サミーさんのことは知らなかったわ。」

「私、正直に言うと、ジェフさんの方がいいわ。あなたと親しそうだし・・・・それに、昔 一緒にHビデオ見たことあるでしょ?

あの時、黒人さんのを見たわ。あんなの、凄すぎるもん。私、怖いわ。」

「オレはどちらかと言うと、そのビデオのような黒人さんに犯されている理香を見てみたいけどな~。」

「それはだめぇ~。さっきもあなたは、『危ないことは絶対させないよ』って言ったじゃない?あんな凄いのでされたら、旅行中歩けなくなるわ。

それにさっきも言ったように、知らないことをいっぱい覚えて、私の心が崩れていくのが怖いの。」

そんな顛末で、ようやく妻の了解が得られました。

ジェフとは、結婚前にも再度ホームステイをさせてもらったことがあり、今も親交が続いています。

この後の準備は、結構忙しかったです。

旅行代理店との折衝の他に持ち物やお土産の準備、そして国際電話やE-メールでジェフとの連絡を密にしなければならなかったからです。

ジェフには、ホームステイで妻共々お世話になりたいこと、妻と Hot nigHt を過ごしてほしいことを頼みました。

「No proBlem.THAt‘S So muCH fun.」

という言葉に、三ケ月先のことを想像してしまいます。

こうして、私たちの海外旅行がスタートしました。

カリフォルニアの観光旅行では、坂道から下りる名物電車や広々とした田園風景が印象的でした。

バスの車窓から外を眺めると、空はどこまでも青く、あふれる夏の日差しが野菜畑に降り注いでいます。

「サンキストの由来は、太陽が大地に口づけしている状態 SunkiSSeD からきている」と、ツアーコンダクターが言った言葉がなるほどと思えました。

そうこうしているうちに、旅程は、SFからLAに移ります。

ロサンゼルス空港では、ジェフ夫妻が私たちを出迎えていてくれました。

ジェフとは久しぶりで、しばらく見ぬうちにどっしりした貫禄みたいなものが漂っています。

若い頃共に過ごした悪友というのは格別なもので、しばらく話しているうちにすぐ昔の気さくな間柄に戻れます。

妻たちが夕食の準備をしている間、こっそりとジェフが、「実行は今晩ではなく、明日の午後に行う」ことを知らせてくれました。

明日の午後は、奥さんのジェニファが家にいないからだそうです。

彼女の不在がたまたまなのか、意図的にそう仕組んだのか、詳しいところはわかりませんが、きっとジェフが手はずを整えたのでしょう。

その日の夕方は、テーブルを囲んで、ジェニファさん心尽くしの手料理を堪能しました。

互いの近況や当時の話をしながら、話題はアメリカが近年になく酷暑が続いていることやなでしこジャパンの快挙にまで及び、

友人夫妻との楽しい夜が過ぎていきました。

外を見ると、真夏の太陽がじりじりと庭の芝生を焦がし、何となく気だるさを覚える午後です。

今から、他人様に言うのも憚られる「昼下がりの情事」が行われることを思うと、ホットな気分になります。

「さあ、ジェフが待っているよ。理香とするのを楽しみにしていたんだって。」

私は、妻をベッドに送り出します。ジェフは、理香の下着を優しく外していきます。

耳元で囁く甘い言葉に、妻の表情がうっとりとしてきました。

二人は随分と長い間、デイ―プキスを交わしていましたが、そのうちジェフの手が妻の淫らな部分に伸びていきました。

妻の湿地は十分な潤いをもって、やがてやってくる喜悦の前の戯れを素直に受けています。

ジェフの指が花芯にふれる度に、「あっ、あっ!」という短い喘ぎ声とともに、下半身を反応させる姿が、私に堪らない興奮を運んできます。

これから先に起こるはずの女性器蹂躙のことを思うと、自然に私の胸がときめいてきます。

ジェフの愛撫に身を焦がしていた妻でしたが、やがて堪えきれずに挿入を求める言葉を口走り始めました。

「あなたあぁ~っ、ごめんなさい・・・入れてほしくなってきたの~。あなたから頼んでみてえ~っ!」

「SHAVeD puSSy!Sweet lipS AnD Hot titS!So pink!WoulD you wAnt me?」

憧れの日本人女性の秘部をじっくり観察していたジェフでしたが、それとなく妻の性感の高まりを察知して、挿入の姿勢に移りました。

そして、上体をほんのりと紅潮させている妻の股間に割って入り、剥き出しのものを秘孔に近づけていきました。

亀頭は、白桃の皮を剥いたような色合いで、その下の陰茎は緩やかに反って、次に起こるシーンを淫らに連想させます。

妻に快楽を与えてくれるジェフのものが、入口を探すように、小さい楕円の中を泳いでいるのがわかります。

右手に握られている肉棒が、こぶしの先から蜜口まで、まだ数センチ余しているのが、妙に私の心を掻き立てます。

やがて、そのカリ首が「ズブっ!」と妻の中に侵入していきました。

「あっ!あぁ~っ・・・・・・何、コレ~っ?痛、イタ~いっ!そこっ、そこまでで、やめてえぇ~っ!」

張り詰めたものを膣口に収めたジェフは、そろそろと前進と後退を繰り返しながら、その半分ほどを性管に送り込みました。

女性の幽玄の間は、同じ巨根でもそれぞれ形状や質感が異なることを感じ取っているはずです。

一体、妻のそれはどのような感覚を覚えているのでしょうか、男なら誰でも尋ねてみたいような衝動に駆られます。

・・・ジェフは、その半分の長さで優しく妻を貫いていきます。女性の扱いに慣れているのでしょうか、無理はしません。

「理香、大丈夫だよ。もう、入っちゃたからね。」

「ふ~ぅっ、何とか大丈夫だったみたい・・・ゆっくりなのでわかんないけど、何だか痛いような 痺れるような感じ」

ジェフは、出し入れする巨根の根元からその先半分くらいを余したままで、妻に加える律動を滑らかにしていきます。

他人棒に反応する妻の肢体よりも、ジェフの肉棒とそれに繋がる妻の女性器が、一体化したような同じ肌の色合いなのに、妙に嫉妬します。

私の眼に捉えられたスポットでは、二つの異なる性器が、まるで一つの機械のように愛のメカニズムで動いています。

一方が侵せば、他方が迎え入れるように包み込むその様は、互いの性感を知り尽くした男女の交わりのようです。

「あぁっ、いやだあぁ~っ!だんだん、ヨクなってくる~っ・・・もっとしてほしくなってくる~っ!」

「理香っ、全部、根元まで挿れてみるかい?」

「あぁ~ッ!どうしよう?怖いわ。でも、いいわっ、挿れてっ!全部入れてみてえ~!」

私は、ジェフに、フルサイズでのファックを頼みました。

巨根のまだ挿入されていない部分までも、竿を伝わる雫で滑らかに光っています。

残りの長さが、「ズブ、ズブッ!」と妻の体内へ消えていきました。

まだ2~3cmは余していますが、この巨根の先は狭い膣道を摺り抜け、子宮口を押しつけているはずです。

今まで眼前にあったものが飲み込まれてしまうと、念願だったことが実現した満足感というよりは、息が詰まるような胸苦しさを覚えます。

同時に、私の心に潜む加虐性が、この肉棒により妻が今まで味わったことがない快感に悶え狂うことを期待してしまいます。

「理、理香あぁっ!全部、入っちゃったよ~っ!」

「そうなの~うっ!ごめんなさ~いっ!全部入れてみたかったの~っ!」

「すっ、凄いっ、いっぱい、いっぱいよ~う!」

ジェフは、三浅一深のリズムで、巨塊の三分の二ほどをゆっくりと抜き、そして球塊を膣奥深くまで埋め込みます。

怒張した円錐は、抵抗する肉襞を掻き分けながら10数センチの距離を痕跡に沿って走り、膣内の柔突起を程よく刺激するのでしょう。

貫かれる度に生まれる新たな快感が積もって、妻の体は嬉々としているに違いありません。

そのうち、ジェフは、モデラートからプレストへ、愛の旋律を速めていきました。

その刹那、妻の喘ぎ声が、一段と大きくなります。

「あ~ぁっ!あっ、あっ、あぁ~っ」の、繰り返しです。

「Are you going to Cum ?RelAx your muSCleS AnD releASe tenSion.AnD tHe orgASm SneAkS up on you!」

「いっ、イイ~ッ!気持ちいい~ッ!イッちゃう~」

妻の身悶える姿を目の当たりにして、私のペニスがじわぁ~と熟れてきました。

辛抱できなくなった私は、ペニスの包皮を最大限に引き絞り、極度に張り詰めたものを妻の枕元に差し出します。

妻は体を波打たせながら、湧き上がる快感を抑えきれないのか、片手でそれを握り締めてきます。

その間もジェフの股間への刺突は間断なく続き、妻は腰をくねくねさせたり、内腿の筋を強張らせたりします。

その時、妻のもう一方の手がフェフのお尻に回ったのが見えました。

興奮した私は、妻が握っているペニスを引き離すようにして、正常位の結合部がはっきり見える後ろ側に回りました。

そして、嫉妬を込めてジェフに頼みます。

「PleASe rAiSe Her legS up on your SHoulDer AnD tHruSt Her Hot pArt Deeply!」

妻の足がジェフの肩に掛けられたため、結合部がぐっと持ち上がり、情を分け合っている二人の接点がアップされました。

私のフェチ願望が、最高点に達します。

一旦抜き出された肉棒が、愛する女の象徴へ勢いをもって突き込まれる姿を見ると、何とも形容できない甘苦しい胸のふるえを覚えます。

蜜口の粘着質の薄襞が、肉棒の抜き差しに呼応して、抜かれるのを惜しむかのように2cmほど纏わりつきます。

果てしなく続く長棒の送迎により妻が歓を極めれば極めるほど、私の心は切なく締めつけられるのです。

ジェフが、妻に呼びかけます。

「SAy tHiS AS tHe orgASm rAkeS tHrougH your BoDy AnD your puSSy exploDeS witH A ruSH of Cum!」

「理香あぁ~、ジェフが、『気持ち良過ぎて、理香のオ○ン○が、爆発しそうだと、叫べ』って言ってるよ。

思いっきり、弾ければいいんだよ!」

「そうよっ、その通りなの~っ!湧きあがってくる~っ、もうダメえぇ~!!」

普段は、こんなことを叫ぶ妻ではありません。

私は、幾分の不安を抑えつつ、ジェフに更なる加速を促します。

「SHe iS SHAking So muCH from tHe orgASm.WoulD you pleASe go fASt、 FASTER!」

「WoulD SHe ?Like tHiS?」

ジェフの臀部の筋肉が一層引き締まり、腰が上下に激しく揺れます。

現れては消え、抜き出されては埋没していくペニスの魔力には逆らえず、妻の膣はその大半を飲み込まされているのです。

そして今や、ピストンの嵐に蹂躙されている秘部は、自力で収縮する柔らかさを失い、なすがままの状態になっているはずです。

「ズブッ!」と埋め込まれたその瞬間、ペニスの容積は女体の一部となって同化してしまうのです。

摩擦を分け合っている交接部を見ながら、送り込まれている肉棒が白い下腹部のどこまで届いているのか、

目線で奥行きを測ってしまいます。

ジェフは、妻の両足を更に屈曲させ、ペニスの大半を使って、ちょうど拍手をするときのような速さで妻を貫き始めました。

「きゃああぁ~!凄い~っ、スゴすぎる~うっ・・・もうダメえぇぇ~っ!どうにでもしてえぇ~っ、好きなようにしてえぇ~っ」

逞しい雄の生殖器が、恍惚の余り我を忘れた雌の生殖器へ、容赦なく打ち込まれます。

他人棒に蹂躙され、快楽の淵に堕ちていく妻のクライマックスです。

妻は片手でジェフの背中を抱きながら、もう一方の手でシーツを掻き毟ります。

乱れる肢体の中心にある女陰は完全に溶解して、頭が真っ白になるような喜悦に震えているに違いありません。

両足を肩に掛けられ、動きを制限されているはずですが、それでも繋がっている部分を懸命にアップさせようとします。

燃え滾る女の体には、もう「妻」という肩書きはありません。

射精を前に、ありったけの力で貫いてほしいという雌の本能をはたらかせるだけなのでしょうか。

膣口を引き締め、送り込まれるペニスを絞めようとするのは、感じている時の女性なら茶飯事のことなのでしょう。

このような狂おしい姿態を見せる妻を、たまらなく愛しく思えます。

私は、乱れ続け徐々に体力を失っていく妻が可愛そうになり、そろそろジェフが妻を解放してくれることを祈ります。

そのうち、ジェフが叫びました。

「Your VAginA tigHtens my peniS.You Are mAking me Cum.I‘m on tHe Brink of An exploSion!」

いよいよその瞬間が近いようです。

妻が、押さえつけられているお尻を浮かせ、ジェフの腰との距離を一寸でも縮めようとしていることからわかります。

ジェフは思いっきり腰を落とすと、最後の一撃を妻の最深部へ送り込み、「ドク、ドク」と妻の子宮に精液を注ぎ込んだようです。

ジェフのお尻の筋肉がピクピクしています。

その瞬間、妻の膣は、脈動により送り出される大量の精液を吸い取ろうとしているに違いありません。

妻の体は、仰け反ったまま硬直状態になり、その後崩れ落ちるようにグッタリと沈んでいきました。

淫液塗れの結合部から、ジェフがペニスをずるずると抜き去ると、「ハァァ~ッ」という妻の声が漏れます。

ゴムの膨らみを見送った妻の膣口は小さな穴を穿ち、思わず奥を覗いてみたくなります。

妻の女性器も、交合の初めのうちは滑らかに蠢いていたはずです。

それが、数限りない肉棒の刺突を受けいれているうち、柔軟に収縮させる機能を失ったのでしょうか?

放り捨てられたように開いている秘孔を見ていると、度重なる快感を味わった性器が支払った代償は、

収縮という生理機能を、しばしの間喪失することだったように思えます。

営みが終わると目の前に見えるのは、何回もイッて妖しい美しさを放っている女の顔だけです。

禁断の行為により、魔性の快楽を味わった女体は、ひどく消耗したのでしょう。

終末の気が遠くなりそうな快感にボ~ッとしていた妻でしたが、快楽の余韻を引きずりながら、私に武者ぶりついてきました。

舌を絡ませながら、両手を首に巻きつけます。

「あなたあぁ~ごめんなさ~いっ!気持ちよかったの~う!ここよ~っ!ここを、あなたので気持ちよくしてえぇ~っ!」

私の手を取り、火照ったままの性器に導きいれようとします。

私が、妻の秘部が蹂躙されていくことに筆舌つき難い興奮を覚えたのと同じように、

妻も他人の前に恥態を曝け出し淫語を発した背徳を償いたい気持ちがあるのでしょう。

「すごくよかったんだね。気持ちよかったココに、続きをしてあげるからね。」

「してっ、してぇ~っ!いっぱいしてえぇ~っ!」

「そうよっ、そこに入れてえぇ~っ!」

ジェフのペニスで狂おった私たちは、そのまま床に崩れ落ち、前戯を省き、交わり続けました。

極度に興奮に怒張している私の肉棒を、妻が思いっきり締め付けます。

今回もそうですが、寝取らせプレーの直後の交わりは異常性が作用して並のものではありません。

私が突く度に妻の体は、「あっ!あ~っ!あ・・・っ」と応えてくれて、それはそれは嬉しいものです。

「理香っ、誰のでも感じるんだろう?オレのは、どうだ~?」

「イイッ!いいわあぁ~っ、何だか雲の上を歩いているみたい・・・体ふわぁ~として・・・・気持ちイイの~う!

あなただから、こんな風に感じるの~!」

妻の膣内は、心もち滑りがよくなったような気がします。

以前、どなたかが、

「巨根の持ち主と交わると、あそこがゆるゆるになるから」

と語っていたことを思い出しますが、そんなことはありません。

巨根から解放され格好のターゲットを見つけたからか、使い慣れた馴染みのものに愛着を覚えるからか、詳しいところはわかりませんが、

私のペニスに纏わりつく肉襞は、十分すぎるほどの快感を与えてくれます。

それは、荒廃から回復する強靭な復元力をもっているのです。

射精の直後こそだらしなく秘孔を空けていましたが、たかだか直径1~2センチほどの差異に変形して

使い物にならなくなってしまうほど、女性器は軟なものではないことを実感しました。

二人とも、興奮の坩堝の状態で始めたセックスですから、終わりはすぐにやってきました。

私は、溜まっていた思いを込めて妻の中に放出しました。

男の興奮は、すぐに冷めていきます。

妻の膣口から漏れ落ちた自分の滴は、そんなに興奮するものではありませんでしたので、書くことを控えます。

射精の直前、妻がひときわ強く膣の筋肉を締めたような気がしました。

体内に迎え入れ、めくるめく快感と甘い陶酔を与えてくれた男根を離したくなかったのでしょう。

営みの最中、女性器は、繋がっているものが私のものであれ他人のものであれ、喜びをもたらしてくれるものを、限りなく独占しようとするようです。

こうして、妻の何回目かの他人棒体験が終わりました。

今回の体験を終えて、私は改めてセックス時の女性心理の玄妙さ、そして女性器の奥深さを学びました。

その夜は外出して、ジェフ夫妻と楽しい食事を共にしながら、今度は二人そろって日本の片田舎まで来ていただくことを約束しました。

私の念願だった外国人との体験が終わって、また一つ経験を重ねた妻の、今後の変わりようが楽しみです。

主人との交換日記
「妻を貫いた他人棒」のその後をお届けします。

今般、別版で、私たちの海外旅行時の体験をご紹介させていただきました。

そのときの様子を、妻と私との交換日記のような形で、書かせました。

「あなた、精が出るわね。また、どこかに投稿するんでしょ?」

「まあな、おまえとのいい思い出をまとめておきたいと思ってな」

「そ~う?何もそんなことしないでも、わたし達の心の中に、素敵な思い出として残っているじゃない?」

「いやぁ~、それはそうだけど・・・何て言うのかな?理香と二人だけの秘密にしておくのもいいけど、誰かに読んでもらって証人になってもらいたいような気持ちもあるんだ。」

「まあ言えば、オレらのセックスを誰か周りの人に見てほしい、という気持ちにつながるんだけどさ。」

「まあ、いやらしい。でも、そんなこと思うと何だかゾクゾクするね。わたし達の姿がみんなに見られているなんて。読んでもいいかなあ。ちょっと見せてね。」

「まあ~嫌だ~、こんなこと、思っていたの?それにわたし、ここに書いてあるようなこと、言ってないわよ。」

「そ~う?嘘は書いてないつもりなんだけど。おまえ、確かに、『気持ちイイ、好きなようにしてぇ』って、言ってくれたじゃやないか。」

「うふっ、そうだったかなあ?あなたがいい人だから、安心しているわ。」

(この時、私の頭の中で、ある考えが閃きました。イタズラ心からですが、私が妻の姿を見て興奮していたその最中、妻はどんなことを思っていたのか知りたくなったのです。)

「どう?この前、オルガスターのことを書いてもらった時、オレはその場限りにしようと思っていたんだけど・・・おまえさえよかったら、最高の体験をした記念に、お互いの『交換日記』を書いてみない?」

「交換日記って?」

「うん、二人でした同じ体験を、オレと理香がそれぞれ書いてみて、後から交換して読むんだ!」

「そ~う?女って不思議なのよ~う。一度経験すると、二度目はちょっぴり自信が出てくるの・・・わたしって恐いでしょ~う?で・・・あなたはどんな風に書いているの?」

「まあ、適当に書いているんだけど、読んでいただく方に話しかける調子で・・・そして、時々自分に語りかけるように、って感じかな?」

「あなたらしいわ。ちょっと強引だけど、それでいて細かいところまで気を配るもんね。でも、あなたが知らないわたしのこと、まだまだいっぱいあるわよ。ど~う?聞いてみたい~?」

「無理しなくていいよ。でも、おまえ、なかなか視点がユニークだしさ、結構イケるかもしれないよ。」

「この前もほめてもらったし、ちょっとやってみようかな。でもあなた、書いたわたしの文章を読んで、もう一人のいやらしいわたしを見つけても、怒らない?」

「そんな風に見える?オレはそれがたまらないんだってこと、そろそろわかる頃だろ?」

「わかってきたわよ~。それじゃたまらないこと、いっぱい書いてあげるから、この前みたいに傍でうるさくしないでいてね?」

こんな訳で、すべて書き手に任せ、以下のような妻の日記ができあがりました。

初めて、「外国の人と」という話を主人から聞いたのは、海外旅行の三ケ月ほど前のことでした。

「また凄いこと、体験してみない?」という主人の言葉に、わたしは戸惑いました。

何より心が痛むのは、「人さま、と言うより、主人に申し訳ない罪を重ねてしまう。」ということです。

いくら、「主人が強引に誘ったのだから・」って思おうとしても、そのことを受け入れて、体を開いてしまったのはわたしなのです。

どんなに自分の心で言い訳しても、主人の妻である限り、後ろめたい気持ちがずっと心の隅から離れないのです。

もっと的確に言うと、「この先、わたしどうなってしまうの?」と、自分の心が変わっていくのがすごく怖いのです。

それでいて、結果的に主人の誘いを受け入れてしまったわたし・・・。

主人から、「この前も、無理して大きいものを受け入れたじゃないか?」と言われると、どう答えていいのか、困ってしまいます。

理性では、「世間の誰もが経験していることではないわ。」と、否定するのですが、他の方と褥をともにすることを重ねると、女の体ってだめなのです。

主人の言葉に操られたのかもしれませんが、「外国の人と」と言われたとき、わたしの体を通り過ぎた男性とのことが、思い浮かんでくるのです。

わたしを絶頂にみちびいてくださった方の顔ではなく、そのときわたしを襲った快感が甦るのです。

わたしの心の中の良識が、(そんなの、突っぱねて、断ってしまえばいいんだわ。「嫌だ!」って言えば、主人なら無理はしないわ。)と、回答を示してくれますが、わたしの口から出てくる言葉は、

「・・・ちょっとは興味があるわ。」

「えぇ~っ?・・・どんな人なの?」

なのです。

さすがに、黒人さんとすることは思いとどまりましたが、海外旅行が近づいてくると、わたしの恥ずかしいところに入って来ようとする男性のものや、ホットな部分を反り返らせようとするわたしの姿が心に浮かんでくるのです。

すべては、「夫以外の方と交わるってどんな感じなんだろう?一度くらいは」と想像してしまったとから始まりました。

そして一旦、閨のことを経験してしまうと、そのときの出来事よりも体を突き抜けた快感の方を忘れられなくなるのです。

全身を噴きあげた喜びがわたしの体に刻まれ、性の履歴としてしっかり残ってしまうのです。

二度と後戻りはできない体になったことがわかりました。

サンフランシスコでの滞在は、とても楽しかったわ。

宿泊したホテルの近くから、ツアーガイドさんつきの観光バスが出て、いろんな名所を訪れることができました。

ヨセミテツアーで、樹齢数百年のセコイアの大きさを主人と手をつないで測ったとき、なだらかに降りる氷河をバックに記念写真を撮ったとき、何だか新婚の頃にタイムスリップしたみたい・・・

サンフランシスコでの楽しいひと時が終わって、わたし達の旅は次の目的地へ向かいます。

二人で過ごすひと時が楽しければ楽しいほど、だんだん近づいてくるその時のことがわたしの心に重くのしかかってきます。

なのに、ロサンゼルスまでの飛行機の中、まぶたの裏に、優しくわたしを包んでくれるジェフさん、

主人の前で仰け反って全身で喜びを表すわたしの姿を、ついつい想像してしまうのです。

(いやらしいっ!何てこと考えるの?)

隣で雑誌を読んでいる主人に、淫らなことを連想しているのを悟られないように、目を閉じます。

空港に出迎えてくださったジェフさんとは久しぶりです。

前よりちょっとお腹がでてきたかな。ニコッとした笑顔がとても魅力的です。

カジュアルな半そでから漂う清潔感も、以前と変わっていないわ。

ジェフさんは、主人と積もる話が山ほどあるはずなのに、何かとわたしに気を遣ってくれるのです。

わたしは英語の方、話すときはまあまあ何とかなるのですが、聞くときはあまりよくわかりません。

笑顔でごまかしながら、ジェフさんとコミュニケーションを図ろうとするわたしです。

その日の夕方近く、奥様のジェニファさんと一緒に、夕食の準備をしました。

メインは、牛肉のグリル焼き、それからオマーレ海老とムール貝のチリソース煮。

調理と味付けはもっぱらジェニファさん任せで、わたしは頼まれた通りお肉や野菜を切ったり、火加減をするだけ。

でもそうして、二人でお料理をつくりながら話していると、ジェニファさんがとてもいい人だということがわかったわ。

いつも、ニコっと微笑みながらゆっくり話してくれるし、わたしを見つめる目が温かいの。

夕食の後片付けを手伝いながら思ったことですが、どうもその夜は、ジェフさんとのことがないように思えました。

奥様のジェニファさんの様子からそのことがわかります。

女の直感で、ジェニファさんは、わたしとだんな様がいけないことをするのを知らないみたいです。

わたしの心は、こんなに良くしていただいている奥様を裏切ろうとしていることに苛まれます。

夕食が済んで、庭先に面したアウトドアルーム。四方をスクリーンに囲まれ、キャンドルのゆらめきを見ていると何だかお伽の国にいるみたい。

外は、遠くにネオンがきらめく静寂の世界。4人でテーブルを囲んで、互いの近況や旅の話・・・特産ワインがおいしかったわ。

こうして、ホームステイ一日目の楽しい夜が、あっという間に過ぎていきました。

二日目の午前中は、ジェフさんに案内され、主人といっしょにビバリーセンターでのショッピング。

お店通りを、二人の男性と手をつないで歩くなんて、子ども達と歩いたとき以来・・・

「昼間は、何でもわたしの言うことを聞いてあげる」という約束のせいで、主人にはちょっと無理をさせたかな?

暑い日差しの中を歩いたので、体がじっとりと汗ばんでいます。シャワーを浴びて、着替え・・・

用意してきたサックスブルーのショーツに、足を通します。

こっそり買っておいた「リビドーロゼ」の香水を、うなじと腿の内側につけます。

さっぱりした素肌に、ドールのサラサラ感が心地いいわ。

そして、鏡を見ながら髪や顔を念入りにメークするの。

二階にいるジェフさんとのことを思うと、ラブちゃんがじわ~っとしてきて・・・

潤いを確かめるようにピクピク動かしてみます。

(何ていやらしい子なの?後でひどいお仕置きをしてあげるから・・)

こうして、その時が訪れてくるのを静かに待っていると、初めて主人から密か事を勧められた時のことを思い出します。

(どうせそんなのは、閨での興奮を誘うための、絵空事・・)

なんて考えていたことが、今また始まろうとしています。

鏡の中のわたしは、細まった目に憂いが宿って、とても虚ろな感じ。

(あの時から わたし、随分と変わっってしまったわ・・)

こんなに日が高いうちから、主人の傍で、外国の男性のものを受け入れようとするわたしです。

「さあ、ジェフが待っているよ」

主人の言葉にドキドキしながらも決心して、わたしはベッドに入ります。

ジェフさんは、横たわったわたしの耳元に甘いささやきをくれながら、ベビードールの肩ひもをずらしていくの。

舌をからませ うっとりしていると、ブラが外され、大きな手がお腹をすべってきたわ。

その手がわたしの湿ったところに伸びてきたとき、わたしは緊張の余り身を固くしてしまいました。

ドキドキして、何だか初体験のときみたい・・・

ジェフさんは、そのわたしの気持ちを和らげるように、ホットスポットを優しくこすってくれます。

十分過ぎるほどに潤ったラブちゃんで、ジェフさんのピーちゃんが遊んでいるの。

気持ちがいいことはもちろんですが、それよりもその凄いものが実際に入ってくるときのことを想像してしまいます。

心の底で、「このピンク色の大きなものが入ってくると」と思ってしまうのです。

ピーちゃんが、わたしのラブちゃんを擦るたびに気持ちよくなって、

(あっ、あっ!だめえぇ~っ!)

(あぁぁ~そこ、いいぃぃ・・・そのまま続けてぇ・・)

という気持ちになります。

でも初めのうちは、そんな言葉は主人に聞かせたくないという意識がまだ残っています。

「あっ、あっ!」という短い喘ぎ声しか出せません。

きっと主人は、わたしのこの声を聞いて、これから玉虫色に変わっていくわたしの姿を想像するのだわ。

わたしはそれまで、主人以外の男性と褥をひとつにしたことはありませんでした。

でも2~3度、主人以外の男性と交わりを重ねているうち、男性のもちものがどんな形をしているのか、そしてその持ち主がわたしにどんなことをしてくださるのか、ちょっぴり興味をもつようになりました。

ジェフさんのそれは、想像以上に大きいものでした。ジェフさんに導かれた手でペニスに触りながら、果たしてわたしは、この大きさを受け入れられるのか不安になりました。

でも、握った部分は柔らかかったので

(初めのうちさえ我慢すれば何とかなりそう・・・)

と、自分に言い聞かせます。

もう、わたしの体は弄ばされて、焦らされて、我慢できなくなっています。

(早く、始めてほしいの!このままじゃ、だめえ~っ・・・)

という気持ちになるのです。ついに我慢できずに、入れてほしい言葉を叫んでしまいました。

どのような言葉で叫んだのかは覚えていませんが、主人にお願いしたことだけは覚えています。

そのうち突然、大きなものが膣口をこじ開けて入ってくる感覚が、体を突き抜けました。

(あっ!あぁ~っ・・・痛、いたぁ~いっ!コレって何~っ?きつ~いっ!!)

一瞬、そう思いました。

でも、その後はそんなに強烈な痛みがないことを思うと、わたしのラブちゃんは、あんなに大きなものを収めてしまったことを実感します。

何て、いやらしいものをわたしはもっているのでしょう。

ジェフさんがゆっくりと腰を上下させ始めました。

その度に、わたしのラブちゃんが、ジェフさんの刺激を貪欲に吸い取ろうとします。

最初のうちは、あそこがじ~んと麻痺したような感覚でしたが、徐々にむず痒いような感じが、いい感じに変わっていくのです。

わたしのぬるぬるしたラブちゃんに、ジェフさんのペニスが入っては消え、消えてはまた埋め込まれていきます。

すると、わたしのラブちゃんの浅いところからいい気持ちが湧いてきて、お腹の中まですごくいい気持ちになってくるのです。

お腹の中にたまっているいい気持ちが、導火線を伝わって、だんだん噴き出るような感じになって体中に広がっていくの。

(ああ~っ、そうよ~っ!来てっ、来てっ、もっときて~っ!)

って、感じになります。もうわたしの心は、快感の流れに任せて、体で感じることをそのまま表すことをためらいません。

「すべてを見せるのははしたないわ。」なんていう意識は、どこかに消え去ったわ。

そして、傍にいる主人に向けて、(あぁ~っ、ごめんなさい。わたしイッてしまうわ!イッてるわたしを見てえぇ・・)と叫びたくなります。

「んくぅぅぅぅ・・・・あぁっ、いやだあぁぁ~っ!だんだん、よくなってくるう~っ・・・!」

「理香っ、全部、挿れてみるかい?」

と、主人がわたしに尋ねてきたときも、未知のものを受け入れる不安よりも、沸々と体の芯から湧いてくる快感が更に高まることの方を願ってしまうのです。

突然、お腹の奥まで何か大きなものが入ってきた感覚が走ったの。

その瞬間、体が「ゾクゾクッ!」として、全身に電流みたいなものが流れました

(あっ!あっ!あぁっ!奥まで入ってきたあぁ~!)

あそこがいっぱいいっぱいで、張力の限界まで膨らんでいる感じです。

それでもわたしのラブちゃんは、ジェフさんがしばらく動きを止めている間も、

侵入してきたものを離さないように、しっかりと絞めつけようとするの。

「すっ、凄いっ!すごいのう~っ!いっぱい、いっぱいよ~ぅ!」

(ああ~~っ、どうしよう?何かもっと凄いことが起こりそう・・)

そうしているうちに、ジェフさんのわたしにくださる愛のプッシュが、だんだんと速くなっていくの。

「ズブッ!」と送り込まれるのが2~3度続くと、膣の中に「ぽっ!」と火がつきます。

入っていたものが去っていくと、つかの間の休みをもらえます。

でも、またすぐに深いストロークを送り込まれると、前にも増した快感が体中を駆け巡るのです。

「あ~ぁっ!あっ、あっ、あぁ~、あぁ~っ!!」

主人がわたしの傍に寄ってきて、熱いものを握らせてくれました。

体から噴きあげる快感と、主人への思いが入り混じって、とても甘苦しい気持ちになったわ。

初めのうちは、「顔をゆがめてじっと我慢していた方が、主人は喜ぶのかなあ・・・・?」とか、「・・・・もっと、仰け反った方が興奮するのかも・・・?」とか、

わたしの極まった姿をどのようにして主人に見てもらおうか、考えることができたのに・・・

わたしに送られるジェフさんのラッシュは、わたしが頭の中で考える余裕を奪ってしまうの。

わたしの体が、頭の回転よりも、渦のように広がっていく快感の方を優先させてしまうのです。

(あぁ~っ、いっ、イイ~ッ!気持ちいい~っ!ジェフさんのがいいの~!・・・これがいいの~ぅ・・)

いくら交換日記と言っても、この言葉を書くには随分と勇気がいります。

夫婦間の禁句であるということもわかっています。

でも、これを読んで、主人が喜んでくれるなら・・・

主人がわたしに言ってくれた言葉を信じて、感じたままに書きます。

そのうち、主人がジェフさんに何か言ったようです。

(きっとまた、ビートが激しくなるんだわ)

体がゾクッとしました。

急にわたしの両足がジェフさんの肩にかかり、随分と窮屈な姿勢になりました。

その時です。

「ズブ、ズブっ!」という侵入感とともに、お腹の奥底が更に圧迫されたことがわかりました。

そして、しばらく往復が続いたら、頭の中がじ~んと痺れたような真空になったような感じになって、「きゃあ~ぁ・・・・!」と叫んじゃいました。

こんなに長い距離を滑られると、どこからその気持ちよさが湧いてくるのかわからなくなってしまいます。

叫ぼうとしなくても思わず叫んじゃうの。膣が短いリズムでギュ、ギュッと痙攣するような感じじゃなくて、膣全体がギューッと絞まるような感じなの。

そうしていると、疼きが混じっためくるめく快感が襲ってきて、つま先をピーンと伸ばしちゃうの。

するともう、疲れてきて絞めることができなくなって・・・自然に緩んでしまうの。

「緩むような感じ・」というのは、あまりにも凄すぎてこらえられないっていうか、どうしようもないっていうか、体を開ききった感じなのです。

(自分ではどうすることもできないので、思うようにしてえぇ~!・・)

って感じになるの。

こんなに大きなものを出し入れされている感覚は、その時その時の感覚ではなくて、体の奥底から湧いてくる深い満ち足りた感覚なんです。

ペニスが入っている圧迫感が満足感に変わり、膣を縮め続けているうちに体がジ~ンと痺れてきて幸せな感じになるのです。

そして、その幸せ感が、じわじわと体全体に広がって、染みてくるの・・・

わたしは、正直に言うと、その都度昇りつめたい方なのです。

「そんなに毎回、達しないわ」という女性もいらっしゃるかもしれませんが、わたしはする度に何回もいきたいタイプなの。

主人は、セックスをする度に、わたしを最高点にまで連れて行ってくれます。

でも、こうしてジェフさんとつながっていると、主人のことを忘れた訳ではありませんが、わたしを頂上にまで連れて行ってくれるジェフさんのものを大切にしたくなるのです。

女って、セックスしていると、自分の体を満たしてくれているものがすごく愛しくなるの。

(このままずっと、入れていてほしいの。ジェフさんとくっついていたいの・・)

(あなた、ごめんなさい。また、ひどいことを書いてしまったわ。

「このままずっと」

なんて・・・

でも、わたしの体は、実際そうなっていったの・・)

「WoulD SHe ?Like tHiS?」

と、ジェフさんが言った言葉の意味は、はっきりとわかりました。

言葉が短かったし、ジェフさんがわたしに送ってくれるピッチが、一層激しくなったからです。

もう頭の中が真っ白なの。今度は、凄すぎて・・・

先ほど言った「満足感」なんて感じじゃないわ。

もうわたしのあそこは、絞めつけることができなくて・・・体を預けきっちゃうの。

わたしに喜びを与えてくれるものを引きとめようとする努力が、暴風でかき消されると、

(もう、だめえぇ~どうなってもいいわぁ、好きなように使ってえぇ~!)

って、自暴自棄の感じになります。

その間も、疲れたラブちゃんをいたぶるように、凄いものが吹き荒れているの。

筒抜けで開けっ広げのラブちゃんが、めちゃめちゃにされている感じなの。

体がビクビクッとして、腰がブルブル震えちゃう・・・

「きゃああぁ~!だめーッ、イクぅぅぅぅ!またイっちゃうー・・・!」

何もしていないのに、湧きあがってくるものが勝手に噴走ってしまうのです。

わたし、ジェフさんのを離したくなくて・・・

首に力を入れ、お股を広げながら思いっきり浮かせ、ジェフさんのものがすべて入るようにするの。

お仕置きされてしょんぼりしているラブちゃんを励まして、思いっきり膣口に力を入れたわ。

(来てっ、来てっ!あっ、奥の方で止まったわ・・・ジェフさん、イッてる!そうよ、わたしの中にいっぱい噴き出して!)

体の深いところで、ジェフさんが射精しているのがわかります。

「ああ~っ!イッ!イイ~ッ!いいわぁ」

抑えつけられている腰を浮かせて、わたし、ジェフさんに力いっぱいしがみついたわ。

まだ、繋がっているところを離したくないの。

(体が思いっきり開ききっているわ。もうあそこに力が入らないの・・)

もうぐったりしちゃって、放心状態です。

何だか、空中を彷徨っている感じ・・・

余りの気持ちよさで、しばらく気を失っていたわたしですが、少しずつもどってきました。

すると、傍にいる主人へのあふれる思いが募ってきます。

主人のことは何でもわかっているつもりです。わたしが、絶頂を迎えて幸福感に酔ったことを、主人は気づいているでしょう。

そして、ジェフさんのものを離したくなかったことも、見抜いているに違いありません。

(こんなになったわたしを、許してぇ~っ!)

心の内で謝っているわたしを、主人は優しく導いてくれました。

主人との交わりの様子は、主人が「書かなくてもいい。」と言ったので書きませんが、後から交換して見せてもらった内容は、わたしの心の裏表のようで、とても嬉しいものでした。

終わりになりますが、書き上げてみて思ったことは、「ついにやっちゃった!」っていう感じです。

主人には内緒にしておこうと思ったことも、すべてさらけ出してしまったわ。

何より、セックスのときの心の動きが見知らぬ方に読まれることを思うと、秘め事の一部始終を見られているようでとても恥ずかしくなります。

これで何回目かの禁断の体験・・・

これから先、どうなるかはわかりませんが、主人次第です。

わたしの方から好んで不倫をしたり、乱れたことをすることは、これからもないと思います。

でもこうして、主人以外の男性との経験を重ねると、わたしの体に「他人様」の烙印が押されていくのは事実なのです。

何だか、買い物のときのポイントカードみたい・・・

そして、そのようなことを了承してしまうわたしに嫌悪感を覚えながらも、また主人から誘いがあったら多分それを受け入れてしまいそうな、今のわたしなのです。

妻が貫かれるその刹那
私は46歳、妻の理香は44歳の熟年夫婦です。

愛する妻の体を他人棒が貫く・・・私たちのその後の体験をお話させていただきます。

今、私は某ホテルの一室で、大きく広げられた妻の股間に男の腰が割って入っている姿を見ています。

いろいろな経緯を辿り、妻が見ず知らずの男にまさに貫かれようとしている瞬間を迎えているのです。

男の屹立した茎が、妻の花芯に向かって突き落とされれば、張り詰めた膨らみは妻の滑りの中に埋まってしまいます。

その刹那、縋りつくような妻の潤んだ目が、男の肩越しに私に向けられました。

まるで何かを訴え、求めているような切なさと淫らさが交じり合った纏わりつくような眼差しです。

これまで、私たちは、越えてはいけない禁断の領域での体験を数回もちました。

その都度、決まって妻は「他人棒」を受け入れる寸前になると、焦がれるような潤んだ眼差しを私に向けるのです。

私は、妻から送られてくるこの視線を受けると、胸が締め付けられるような興奮を覚え、戸惑いながら、何とも形容できない胸のうちを、妻の目を見つめ返すことによって届けます。

妻がこんな目で私を見つめる度に、妻が初めて「他人棒」を受け入れたときのことを思い出すのです。

それまで妻に対してこれといった不満があるわけでなく、夫婦生活も順調で、二人で過ごす時間に幸せを感じる毎日でした。

でもある時、突然 私の心の隙間に、妻に対する酷い妄想が芽生えたのです。

きっかけは、某Webサイトの乱交体験や寝取られ体験告白にログインしてからでした。

「最愛のあなたのパートナーが、あなたの手を握りながら今他人棒に貫かれようとしています」

この言葉が、すべて・・・私を変えてしまったのです。

この言葉を目にした時、心臓の鼓動が激しくなり、体中の血液が下半身に集まるような高まりを覚え、例えようがない性的興奮を感じてしまったのです。

頭の中を、妻が見ず知らずの他人と交わっている淫らな妄想が駆け巡ります。

「見知らぬ誰かに妻を愛してほしい」

「その荒々しく勃起した肉茎で妻を貫き、気が遠くなる程の悦びを彼女に与えてあげてほしい」

「露わな秘部の奥深く、勃起した男根から、白い欲望の精を奔走らせてほしい」

妻を心の底から愛しているのに、こんな密かな思いを抱いているのは私だけなのでしょうか。

皆さんは、夫の視線を受けながら他人に抱かれ、悶え、思わず喜びの声をあげてしまう奥様の姿を見てみたいとは思いませんか。

あられもなく両足を広げ、その秘口に見知らぬ男の肉茎が添えられた時、妻は何を思うのでしょう。

そして、妻がすべてのことを受け入れ、「他人棒」による律動が、否応なく体の奥深くで始まってしまったら、妻は湧き出る喜悦をどのように表すのでしょう。

こんな妖しい妄想が次から次へと、走馬灯のように脳裏を走るのです。

決して、妻との夜の営みが上手くいっていなかった訳でもありませんし、平常の家庭生活に不満を抱いていた訳でもありません。

至極、円満で良好な夫婦関係だったはずなのに、ちょっとしたはずみでこのような想いが湧き上がってくるのです。

「世の男性の誰もが経験していることではない。おまえは、獣道に陥ることを望むのか?」

私の心の中の良識が、禁断の妄想に歯止めをかけようとします。

しかし、「見ず知らずの他人と交わる妻の姿」を理性で打ち消そうとしても、絶えず付き纏う欲情は消し去ることが出来なかったのです。

台所で忙しそうに立ち働いている妻のエプロン姿を見ても、後ろから妻の乳房を抱きしめる男の姿を想像してしまうのです。

それほど、「寝取られ」との出会いは、私にとって強烈なインパクトがあり、催淫剤のようなものでした。

私が足を踏み入れたことがない魔性の体験を、数少ないながらもある人達は経験しているという羨望めいた気持ちが災いしたのかもしれません。

とにかく、このような動機で、私は「寝取らせ」の扉を開いてしまったのです。

今この瞬間も、愛する妻から、縋りつくような潤んだ眼差しが、私に向けられています。

妻からのこの切なく愛おしいような目線を感じる時、私は欲情してたまらなくなってしまうのです。

それは、決して短絡的な意思表示ではなくて、色々な情念を交錯させた謎の眼差しであって、その視線の中に妻の思いのすべてが込められているように感じるからです。

妻が見ず知らずの男のものを受け入れる寸前に送る目線は、その時々によって変わるように思います。

そのことが終わった後の虚しさが襲ってくると、高まりが収まったその弱々しく消えそうな・・・

そして、暗く沈んだ・・・

また、潤んだようにも火照ったようにも見える眼差しがもつ意味を考えてしまいます。

「あなた、普通の夫婦間では禁じられていることを、わたし、今から始めてしまうのよ。あなたは、こんなわたしを許してくれる・・・・?」

妻の脳裏には、夫婦として睦み合う幸せを、自ら壊してしまうことへの後悔が、霞めているのでしょうか。

夫から勧められたとは言え、背徳を犯してしまう罪深さを詫びる贖罪の眼差しなのかもしれません。

「あなた、もうすぐ入っちゃう。いいの?これからわたし、あなたから離れて遠いところへ行っちゃうのよ」

一端、そのことが始まってしまったら、自分の意思では止めようがないことを承知しておいて欲しいという夫の覚悟を促す眼差しなのでしょうか。

それとも、やがて身の内を駆け巡るであろう悦びを前にして、恥じらいを捨て去る決意の表れなのでしょうか。

「見て、みてっ、もっと見て!あなたが愛しているわたしが変わっていくのをもっと見てっ!」

流れのままに、猛り立った男の勢いに連れ去られる様を、夫の目でしっかり見届けて欲しいと願っているのでしょうか。

あるいは、夫の身勝手な欲望のために堕ちていく自分の姿を晒すことにより、配偶者の自省を求めているのかもしれません。

このような眼差しを送られると、妻が他人に寝取られる掻き毟られるような嫉妬心と、夫への愛があればこそ酷いことも受け入れる妻への愛おしさが混じり合い、言いようのない甘苦しい興奮を覚えるのです。

愛する妻を他人に寝取ってもらう体験が数回に及んだ時、私はあることに気付きました。

それは、妻が「他人棒」による交わりを重ねた分だけ、妻の中の何かが変わってしまうということです。

夫婦で共有する時間はとても長いものですが、一時たりとも他人と肌を重ね、情けを分かち合うと、パートナーが抱いている思い、考え方、ひいては人格、人間性のようなものに感化されるのは当然のことだと思えるようになってきました。

そして、二人の愛情を揺るがぬものにし、信頼の絆を深めるには、変わった分だけ修復しようとする夫の努力が必要だってこともわかってきました。

「理香・・・おまえのどんな姿でも受け入れるから」

「おまえが妻という縛りから解放され、女として喜ぶ姿だけ見たいんだ」

「おまえを愛おしく思う気持ちに、偽りはないんだ」

こんな思いを私の目線や頷きに込めて、男を受け入れる直前の妻に届けます。

話を最初に戻し、ここに至るまでの経緯を説明します。

妻を他人に抱いてもらう体験は、これまで数回経験してきたのですが、閃めくような興奮のひと時が過ぎ去り、通常の平凡な毎日に戻ってしまうと、また新しい寝取らせ願望が湧いてくるのです。

妻を他人に抱いてもらう方法の一つは、インターネットで私と同じような感情を奥様に抱く男性が他にいないか調べることです。

パソコンで、「寝取られ」や「夫婦交換」を検索してみると、読者の興奮を誘う様々なページがあります。

もう一つは、馴染みや旧知がご縁での出会い、または旅や遠出での偶然の出会いの機会を待つしかありません。

私の場合、特定の男性とメール交換、お互いの身上確認、綿密な打ち合わせというコースは苦手なので、後者の方を選ぶようにしています。

そして、ある日突然、中学時代の級友との同窓会があり、三十年ぶりにある女性と再会したことから、妻を抱いてもらう機会が訪れたのです。

「私、今 繁華街でスナックを開いているの。今度、暇があったら飲みに来てね。」

しばらくして、同窓会に出席していた仲良し三人で、そのお店を訪れました。

なかなか洒落た雰囲気のお店でしたが、ボックス席がないのでお客さんはすべて10人が限度のカウンターに座らなければなりません。

私たち三人の横には、常連客に見える三人の男性が座ることになりました。

ママをしている同級生は、久美子ちゃんといいます。

ひとしきり、当日参加した同窓生のことや昔過ごした古里の話で盛り上がっていた時、突然、久美子ちゃんが・・・話の弾みからなのでしょうか・・・

「まさおさんて、中学時代からずっと優しいのね。一度、抱かれてみたいな。」って、言い出しました。

二人の同級生は、私たちを歓待しながらも常連さんに仕立てようとするママのいつもの手管と思ったのでしょうか、ニヤニヤしながら、「男冥利に尽きるね。おい、まさお!いい返事をしろよ。」と囃し立てます。

「そりゃー、嬉しいお誘いだけど・・・・一緒になったら、もう同窓会にも出れないし・・・このお店にも来れなくなるよ。」

「相変わらず、固いのね」

「下の方も、固いのかな?」

傍にいる同級生が茶化します。

そんな中、私たちの話を聞いていた一人の男性が、「いやぁ~、もったいない話ですね。私が代わりに、据え膳をいただいてさしあげましょうか。」と、私たちの話に加わってきました。

年齢は、多分私たちと同年輩、白のYシャツを着た、背の高い清潔な感じの人でした。

それまで、グラスを傾けながら心地よいお酒を楽しんでいるのか、遠慮がちに、私たちの話に耳を傾けていました。

「まあ~南さん、言ってくれますね。寝取りがお得意な方には、寝取ってもらわなくて結構よ。」

ママが微笑み返します。

(南という苗字なのか。余り出過ぎずに、感じのいい奴だな。)

「お近づきの印に」

隣に座る南さんと杯を合わせた私は、しばしの間他愛もない雑談を交わしました。

「今、ママさんが、『寝取りがお得意な方とは・・・』と言われたのですが、その道に覚えがおありなのですか。」

「こいつは、これで結構男前だしさ、人妻にモテるんだよ。」

「オレの女房が、こいつと夫婦交換をしたいと言い出すんじゃないかとビクビクしているんだ。」

南さんの隣に座っている男性から出た「夫婦交換」という言葉を聞くと、抑えていた心の蓋が外れ、私は魅入られるように究極の欲望を実現するための階段を上り始めたのです。

「初対面の方にこんな話をするのは非常識だと心得ていますが、これもご縁と言うことでお許しください」

その時、南さんはごく自然に、人妻を抱くような関係に至るプロセスやお相手の女性に対する気遣いなどについて語ってくれました。

私の方も、南さんの誠実そうな人柄に釣られたように、潜在的に抱いている「寝取られ願望」のことを告白しました。

家に帰ってもしばらくの間、

足を大きく広げ、勃起した亀頭を深いところで受け入れようと、男の腰に手を添える妻・・・

男の下腹部からそそり立った肉棒の上に跨り、ゆっくりと腰を沈める妻・・・

こんな淫らな妻の姿が脳裏から離れません。

(経験豊富で、妻の好みのタイプのようだし、南さんに妻を抱いてもらえたら・・)

私は、数日前に出逢ったばかりの南さんを、妻の相手として選ぶことを意識し始めたのです。

その後、ママのお店に何回か通い、南さんの職業が会社員であること、ほぼ毎週金曜日にお店にやってくることを確かめました。

そして、私は偶然の再会を装いながら、自分の秘めた思いを叶えてもらう機会を待ちました。

「寝取らせって、人目を憚るほど恥ずかしいことじゃないと思いますよ。」

「そういう奥様の愛し方もあるんだってことを、私の方こそ教えていただきました。」

あくまで謙虚で温かみがある南さんの人柄を信頼して、私は覚悟の程を打ち明けます。

「私の見ている前で、妻を愛して頂けますか。」

「この前の夜、貴方の言葉と態度で、何となく貴方の胸のうちが判りました。二度目にお会いした時、多分そんな話になるのでは・・・と想像していました。」

「ただ、一つ条件があります。当たり前のことですが、このことを実行するには、御主人のみならず奥様のご理解と同意が必要です。」

「私もそのことは、重々承知しています。妻の同意を得られぬまま無理して、妻を悲しませようとは思いません。」

こうして、妻が、体の奥底から湧き上がる悦びに身を震わせる場面を迎えることになったのです。

妻と南さんの対面は、二部屋予約してあるホテルの一室でした。

「南です。ご主人とはふとしたご縁で・・・奥さまにもこれからお世話になります。」

「はじめまして。小野の家内です。理香と申します。」

妻も南さんに向かって恥らいがちに小さく会釈しました。

妻と南さんは今日が初めての出会いです。

それまで、妻に、「一度会っておくか?」と薦めたこともあったのですが、「どっちみち、相手が誰とか関係なく抱かれるしかない訳だから、見ず知らずの間柄でいた方が気が楽」という妻の言葉で、今日に至ったのです。

妻が口にした「家内」という言葉が、私の心に楔のように入り込んできます。

今まで営々と二人で積み上げてきた夫婦の関係が、これからの行為によって、ヒビがはいるかもしれない・・・

そして、もしそうなったら、その責任は私にあり、妻との仲を修復する懸命の努力をしなければならない・・・

南さんは、シャワー室に入る前に、妻の方に向き直り、

「ご主人を愛していらっしゃるのですね。今日はご主人のご期待通り、精一杯奥様のお相手をさせていただくつもりです。」

「でも、私も男ですから、奥様を悦ばせる努力は、全力でしますよ。」

妻にというより傍らにいる私の覚悟を促すように言い添えました。

私には、南さんが素になってサラッと言った言葉が、妻との距離を幾分でも縮めようとする努力のように思えました。

私は念願がもうすぐ叶う悦びと、その陰の部分に潜む言い知れぬ不安に駆り立てられ、ただじっと妻の姿を眺めるだけでした。

(今、この一時が終わったら、私だけのものではなくなってしまう理香。)

(火照った媚肉の奥深く、白い欲望の精が奔走るのを喘ぎながら求める妻。)

「さあ、南さんの傍に行って」

私の声に促され、ベッドに歩む妻の魅力的なお尻と脚のライン。

南さんは妻と一緒にベッドの中央に座り、優しさの限りをつくして、妻の緊張を解きほぐそうとしています。

まるで何年も連れ添っている夫婦のような自然体で、ブラを外していきます。

そして、南さんは、一方の手で妻のうなじを抱きしめながら、もう片方の手をスカートの中に滑り込ませました。

閉ざされた両腿の間隙を掻い潜った指先は、妻の敏感な部分を愛おしそうに愛撫しているに違いありません。

スカートの中で、南さんが指を這わせる妻の潤んだ秘部は、これまでは私の指によってなぞられてきたものなのです。

「あぁっ、あっ!だめえぇ~っ!」

妻の短く切ない喘ぎ声が、私の興奮を一層掻き立たせます。

これまで数え切れないほど私の勃起を受け入れてくれた妻の温かい粘膜が、見知らぬ男の指先によって犯されていきます。

南さんの指先は、これまで私が妻に与えたことがない微妙な変化で、妻の秘部を擽っているはずです。

そして私は、これまで幾夜となく愛おしんできた潤みが弄ばれる光景を、息を殺しながら見つめている他はないのです。

南さんが妻を横たえ、スカート、そしてショーツを外していきます。

妻の白くふっくらと膨らんだ恥丘の下には、縦に走る淫裂が連なっています。

後方から眺めると全体像は見みえませんが、妻の秘部の谷間に、南さんの顔が埋もれていきました。

私は恥ずかしいことですが、二人の合歓の様子が少しでもよく見えるように、場所を移動します。

南さんがその舌先で、先端を薄紅色に光らせた肉芽を愛撫すると、妻の体は大きく仰け反り、哀願するような悶えの声を漏らしました。

「あぁぁ・・・そっ、そこは」

南さんが舌で弄ぶ肉芽は、結婚以来私だけが独占してきたものですが、それが今、私の目の前で他人に委ねられているのです。

そして、妻の体はその吸引によって生じる悦びのため、その行為を継続することを願っているはずです。

ついに、南さんがブリーフを脱ぎ捨て、赤銅色の光沢を放つペニスを取り出しました。

その先は、臍に届かんばかりに反り返っています。

南さんは、自分の茎の根元を握ったまま、妻の手をその中央部に導きました。

そして、妻の耳元に息を吹きかけるように、ある言葉を囁いたのです。

「奥さん、我慢できないのでしょう。素直に言った方が、ご主人が喜びますよ。」

この言葉の後に、妻が口にした言葉は、「南さんの好きなようになさってください。忘れられないようにして下さい」でした。

「理香・・・これは現実なのか?それはおまえの本心なのか?前々から他の男にそうされることを望んでいたのか。」

「女の体は、夫である私を愛していても、加えられる律動が他人棒によるものであっても・・・

喜悦の世界に導いてくれるものを求めたがるのか」

南さんが根元を支える肉茎は、彼がその包皮を根元に引き絞ることによって一層大きく怒張していきます。

そして、茎を握る妻の手は南さんの手に重なるところまで滑り、二つの手で絞られた包皮は、赤漆色の滑し皮に変わっていきます。

「奥さん、そろそろいいですか。ご主人の前で申し訳ないのですが、ゴムをつけていただけませんか?」

妻は左手で男根の根元を絞り、右手で薄膜の中心を亀頭に宛がい、そして彼の顔を見ながら膜を根元まで下ろしました。

そして、窄めた唇を陰茎に近づけ、自分の唾液を垂らしてその周りを湿らせたのです。

鈍い光沢を放つ肉棒を右手で震わせながら、南さんは妻の股間に割って入りました。

肉棒の下には、妖しく蠢く潤いの泉が広がっています。

もうすぐあの極限状態にまで張り詰めた欲棒が、大きく広げられた両足の中心に挿入されてしまう・・・

私たち夫婦が夜の営みの中で、繰り返してきた行為と全く同じものが今から始まるのです。

その刹那、縋りつくような妻の潤んだ目が、私に向けられます。

それは、他人棒による貫きを受ける寸前に、妻が私に決まって送る理性と官能の狭間でもがく生々しい眼差しでした。

妻から送られる目線は、私の心の中に嫉妬の炎を燃やし、私の心を歪んだ方向に駆り立てます。

妻への情愛、謝罪の気持ちは、自分の肉茎を激しい手指の往復で嗜虐することで償います。

夫からの無言の視線により女の瞼が閉ざされ、他人と交わることへの躊躇いが消えたのを肌で感じ取ったのでしょうか、

南さんは、妻の枕元に手をついて上体を支えると、そのままゆっくりと張り詰めたものを妻の両脚の間に沈み込ませたのです。

そして、緩やかで微かな往復の動きを数回繰り返した後、硬直した茎を妻の下腹部めがけ、一気に押し当てました。

理香のそこが濡れた音を立てて、男根を根元まで受け入れたのがわかりました。

それは私の目の前で、愛する妻が他人によって貫かれた瞬間でした。

南さんは、妻の体の更に奥深いところを求め、緩やかな動きを繰り返しながら、茎の先を遠くまで滑らせます。

段々と、妻は上体を弓なりに反らし、震えるような喘ぎ声を漏らし始めました。両手を伸ばして南さんの肩を抱きしめ、一つに結ばれた相手を確かめるように見上げたのです。

震える唇で喘ぎながら、妻は足を限界まで広げ、腰を更に突き出しました。

津波のように繰り返し押し寄せる快感は、圧倒的な力で妻の理性や羞恥心を、押し流してしまったのでしょう。

「あぁぁ~っ、来てっ、もっときて~」

夢でも妄想でもなく、夫の眼の前で二人が深く完全に結合しているのです。

(ああぁ~、理香!今おまえの体の奥底で、痺れるような快感が走っているのか・・)

そのうち、上体を支える南さんの腕が強張り、妻に加える律動を更に激しくアップビートさせていきました。

それは、長年睦み合ってきた夫婦の絆を断ち切る破戒の律動でした。

「ああっ!いいっ!そこいいっ!」

私には酷いことですが、南さんは妻の望みを叶えようと、一層激しく腰を打ち込みます。

すると、結合の深さが増し、猛り立った肉杭は、妻の腹腔を強烈に貫いていきます。

妻の細い腕がしがみつくように南さんの腰を抱きしめ、くびれ部位を反り返らせます。

「ああぁ~、湧いてくるの~う・・・あぁ、あぁ、ああぁぁ~っ!」

私は、思わず息を呑みました。

男の茎が埋没する度に、淫らに蠢く陰唇から、新たな透明液が糸を引いてあふれ出てきます。

理香、今おまえの体をとろけそうな快感が駆け巡っているんだ・・・・

今ビートされている快感よりも、次に押し寄せる快感が、更なる絶頂にまで導いてくれることを願っているんだろう。

次の絶頂を迎えるためだけに、腰を振ればいいんだよ。

もっと淫らな言葉で叫んでも構わないんだ。

淫液を纏わりつけた男の茎が、妻の秘部から抜き出され、赤漆色に染まった亀頭が顕わになりました。二人が、交わりの体位を変えるようです。

南さんがベッドの上に仰向けになり、右手を茎の根元に充てて引き縛り、亀頭の体積を増大させます。

次に、妻が行う行為は誰でもわかります。妻自身が、天井に向かって屹立した茎の上に跨り、自らの手で女陰の中に導き入れることです。

理香は、股間からそそり立つ巨大な肉柱の上に跨りました。

妻が腰を落とすのを遮るように、南さんが妻の顔を見ながら、何事か囁いたようです。

妻は俯いて南さんの顔をじっと見つめていましたが、うなじを一度反らせ、やがて意を決したように私の方を振り返りました。

南さんに言われたのでしょう。両手をお尻に宛がい、手のひらで縦に走る淫裂を押し広げました。

「あなたお願い・・・見て・・・わたしを見て」

理香は両手で大陰唇を開き切らせたまま、ゆっくりとそそり立つ肉棒に向かって腰を沈めたのです。

見ている間に、膨張した亀頭が秘部の口を押し開き、続いて血管を浮き彫りにした茎が妻の中へと入っていきました。

その行為の全てが、南さんに強いられたとは言え、妻自らが納得して行ったことなのです。

大きな容積のすべてが妻の中に収まった時、妻の口から悦びの喘ぎが漏れました。

悦びの喘ぎに隠れた心奥に、夫に対する背徳を犯す自責の思いがあるとすれば、それを少しでも和らげ、薄めることが出来るのは、

私自身の肉棒を彼女が味わっている悦びと同じような状態にして・・・自慰に耽る姿を妻に見てもらうことだけなのかも知れません。

妻は仰向けになった南さんの下腹部に淫らな部分を密着させ、強張りの全てを、その生温かい肉襞で包み込みました。

そして、まるでその茎を慈しむかのように、体をゆっくりと上下に動かし始めたのです。

「ああっ、奥さん!そんな風にすると」

南さんは、両方の手で妻の乳房を掴み、妻が刻むリズムから逃れるように自分の体を動かします。

理香が捧げる愛の動きに身を溶かしながらも、張り詰めた肉茎をなぞる膣襞の摩擦に耐えている様子がわかります。

妻の動きは徐々に大きく緩やかものになっていきました。

もう膣の肉襞は、男の茎を呑み込むのに十分な潤いをもって、長い距離の上下運動を容易にしています。

(理香あぁ~・・・そんなに大きく腰を振るほど、肉棒のすべてを取り入れたいのか・・・)

やがて妻はぐったりと両手を後ろにつき、男の茎を無理な方向に引き摺りながら、上体を背中の方へと反らしました。

妻から贈られる摩擦をその極限にまで鈍らせていた南さんの亀頭も、そろそろ限界に近づいてきているのかもしれません。

南さんは再び正常位に戻ると、妻の両腿を肩に乗せました。

南さんの臀部の筋肉が一層固く引き締まり、腰が激しく上下します。

妻の両足を極度に屈曲させた南さんは、茎の全長を使って、振幅の大きい動きで妻の秘部を陵辱し続けます。

妻の膣壁から淫液を分かち与えられた勃起は、張り裂ける程に増大し、恍惚の余り忘我の境に陥った女の象徴へ、間断なく打ち込まれていきます。

「んくぅぅぅ・・・逝くぅぅぅ!!」

果てしなく続く肉棒の蹂躙は、妻の頭を真っ白にさせる灼熱の閃光弾となり、女体を快楽の淵に堕としていくのでしょう。

妻は片手を南さんの肩に添えながら、もう一方の手でシーツを掻き毟り、身悶えしています。

南さんも、妻が仰臥していることを忘れるほど悶え、歓を極めつつあることがわかるのでしょう。

腰の動きをさらにアップビートし、女体への刺突を更に激しいものにしていきます。

悶える肢体の中心にある女陰は完全に溶解して、妻の体は頭が眩むほどの喜悦に震えているに違いありません。

「ああっ、あなた・・・わたしイってしまう・・・・!」

「きゃああぁ~!もうダメえぇぇ・・・好きなようにしてえぇ~っ」

それまで、私との営みでは決して口にすることが無かった卑猥な言葉が、妻の口からすらすらと出てきました。

妻は南さんが男の全精力を込めて女をイカせようとしていることを感じとっているのか、もうスラストの嵐を制止しようとはしません。

狂ったように刺突を続ける雄の本能は止めようがないことを、女の本能がわかるのでしょう。

「ああぁぁっ・・・逝って・・・南さん、いって・・・わたしもイクの」

(ああ・・・・もうすぐだ・・)

(これこそが、私が待ち焦がれていた瞬間なんだ・・)

(もう僅かな時の後に、妻はあの肉茎の射精を味わうんだ・・)

南さんは、妻の両腿を乳房に押し付けるように抱きかかえると、張り裂けそうになった強わ張りを下腹部に向けて、ひと際強く突き入れる動きを数回繰り返しました。

「ああっ!そこに出してぇっ!」

妻の喉の奥から悲鳴があがり、持ち上げられている両足のつま先を強張らせました。

南さんは、思いっきり腰を沈めると、最後の一撃を妻の最深部へ送り込み、それまで貯めていたものを思いっきり妻の子宮に注ぎ込んだようです。

ベッドの上で放心したように崩れ落ちている理香。

赤銅根を受け入れたまま秘部をピクピクさせ、緩やかに体を痙攣させています。

目的を終えた男根が引き抜かれると、ほんの今まで他人によって愛されていた秘部が、両方の陰唇の中にぽっかりと口を広げています。

(ああぁ~理香、おまえはこの口で、私のために、他人棒を受け入れてくれたのか。)

割れ目に穿たれた小さな秘孔とその内部の鮮やかな彩りは、他人が妻を愛した証ですが、同時に私を愛してくれている証に見えたのです。

耐え難い恥辱のとき
愛する妻の体を他人棒が貫く・・・背徳の行為と知りつつも、体を噴き上げる悦びに、よがりの声を洩らす妻・・・あなたは、そんな妻の姿を密かに思い描くことはありませんか。

決して他人には、そして妻にも打ち明けられない禁断の妄想に思い悩む私、「妻を貫いた他人棒」のそれからをお届けします。

【悶悩のとき】

何回目かの密かな体験が終わった後も、妻は毎日の生活の中で、主婦として甲斐々しく、家事を切り盛りしてくれます。

レシピ片手に新しい手料理を工夫したり、積まれた洗濯物にアイロンをかけたり・・・

まるで、単調で平凡な時の流れの中にこそ、小さな幸せが宿っていると信じているように・・・

そんな妻の姿を眼にすると、彼女が私にとって良き主婦であり、貞淑な妻であることを改めて実感し、連れ添っていることに深い満足と喜びを覚えます。

これから先もずっと、人生を共にする伴侶であってほしい・・・・その気持ちに変わりはありません。

でも、妻が家庭生活において良妻ぶりを発揮すればする程、その姿が返って、私の心の中にあらぬ妄想を生じさせるのです。

妻に、他の男とセックスしてもらい、性の悦びに震える様を傍でみていたいという、妄想が湧き上がってくるのです。

そして、この黒い欲望は、いつも定期的に襲ってくるものではないのです。

ある時、突然、湧いてくるものですから、その分始末が悪く扱いかねるのです。

もちろん私も、理性と良識で・・・・

不定期に襲ってくるこの願望に心が支配されそうになる時、自分の姿を客観的に見つめ直して、憑かれたものを取り払おうと懸命に努力をする時があります。

(私のこの歪んだ性癖に、いつ終止符を打つのか?何を、どう変えれば、この妄想が鎮まるのか?)

もしかして、妻が恥じらいを忘れ、誰とでも寝たがる淫蕩な女に姿を変えてしまったとするならば、私の妄想は確実に消えてしまうでしょう。

また逆に、妻が私の姿の中に、彼女に対する思いやりや愛情、信頼が薄くなっていくのを感じたら、彼女はこのことを拒むか、あるいは私の元を去っていくでしょう。

現在に至るまで、妻を他の男に抱いてもらう体験は数回に及んでいますが、同じような体験を、後何回重ねたらこの醜悪な性癖が消え去るのか、また仮に、時が過ぎてこのような妄想が影を潜めたとして、妻はそれまでと同じように、私のために献身的に尽くしてくれるのだろうか、慎ましさと恥じらいを内に包んだ姿のままで、いてくれるのだろうか・・・?

そして困ったことに、私は、この願いが虫のいい独りよがりなものであることも、自分でわかっているのです。

妻が羞恥を忘れ、悦びに喘ぐ姿を求めて、このようなことを繰り返しているのですから、何回も練習を重ねれば、慎ましさや恥じらいが消えていくのは当然のことなのです。

どっちみち、このまま進んでいけば、何か怖いことが起きそうという不安が、絶えずついてまわるのです。

そして、禁断の体験を重ねるにつれ、破廉恥極まりないこの行為を、私から求められたときの妻の態度も、心持ち変わってきているように思うのです。

もちろん、初めからすんなり受け入れられることは先ず無いのですが、次第にその拒絶の仕方が緩やかなものになってきて・・・・その拒絶の様相もその時々によって、複雑になってきているように思えるのです。

これまでの経験からすると、そのことが私の意図的なものであっても、またはたまたま偶発的に起きたことであっても、旅行や遠出をする時は、妻が比較的容易にそのことを受け入れてくれるように思います。

妻の許しを、その都度乞わなければならない夫の側からすれば、「一度、通った道なのに・」と・・・・極めて身勝手な考え方ですが、女心を不思議に思うことがあります。

ひょっとして、甲斐々しく働く妻には申し訳ないことですが・・・・

夫の欲望を何の抵抗も無く受け入れてしまえば、自分に対する夫の愛情が徐々に薄れていくことを意識した打算が働き、その拒絶の程度を意図的に加減しているのではないか?という疑念さえ抱いてしまいます。

しかし、そんな妻ではないことは、他ならぬ私がよく知っています。

このような体験を積んで段々と分かってきたことは、妻が自らの心に言い聞かせ、得心できる何か、そして妻の自己犠牲に捧げる夫の慈しみがないと、身勝手な欲望は妻に受け入れてもらえないということです。

もしかして、「寝取らせ」とは・・・妻が手にする“振り子の錘”が、夫への貞淑・・・妻としての節操の方へ揺れるのか、それとも他人棒による官能の世界の方へ揺れるのか、それを見て楽しむ危険なゲームなのかもしれません。

夫の方へ揺らげば、安らぎや癒し、信頼といった深い愛情を覚えますし、他人の方へ揺らげば、疑念や猜疑、蔑視、嫉妬といった暗い劣情を覚えます。

このように、自分なりに結論を導き出し、分別をつけたつもりでも、その心のバリケードを乗り越えて、暗い欲情が鎌首をもたげてくるので尚更困ります。

【告白のとき】

私のものとは違う、素性も判らぬ男のもので悦びを与えられ、よがりの声を洩らす妻・・・

心の中がそんな妄想に支配されると、絶えず頭のどこかにそのことが付き纏い、何をしても身が入りません。

正直に妻に打ち明けようか、我慢して掻き消そうか、ぐじぐじとした思いが身勝手な苛立ちへと変わり、そして、日々の生活における刺々しさへと形を変えていきました。

「あなた、この頃、どことなくおかしいよ」

悶悩の淵から私を救い上げてくれる窓口は、私の告白を待たず、妻の口から差し出されました。

日々の会話の途中で、時々何かを思い詰めるかのように無口になったり、妻にとっては些細に思えることに角を立てたりする私を、妻は訝しく思いその訳を尋ねてきたのです。

胸の奥深くに秘めた、吐き口の無い黒い欲望に苛まれていた私には、この時が訪れてきたことが潮時のように思えました。

(本当のことを言ってしまおう。そうすれば、妻が拒むか受け入れるかは別にして、この悶々とした思いから解放されんだ・・・)

(「見当違いだ!」って言ってしまえ。それは、おまえが努力して揉み消さなければならない歪んだ性癖なんだ。あんなに尽くしてくれている妻を巻き込むことはないんだ・・・)

私の心の中で、正邪の思いが葛藤しますが、どう考えても黒い欲望の方に正当性があるとは思えません。

妻を寝取ってもらうことによって私が得るものは、醜く歪んだ嫉妬の炎を燃やし、苦悶の悦びに悶える妻を視姦するだけの、自分本位の愉しみでしかないからです。

「ここ数日、何を尋ねてもどことなく上の空だし・・・曖昧な返事しか返ってこないから、変だと思ってたんだ」

その言葉に続いて、突然、私の耳に切り込むように入ってきた次の言葉は、私の心に大きな衝撃と動揺を与えました。

「わかった・・・・また、私に、あなたの見ている前で、誰か他の男の人とセックスして欲しいんでしょ・・・・?」

うろたえた私は、密かな願望の全容を悟られないように努めて平静を装い、今まで考えてきた妻への告白の言葉のうち、夫として最も誠実味がある言葉、最も自分の思いを的確に表せる言葉を探しました。

でも、そんな便利で都合がいい言葉は、とっさには見つかるはずがありません。

「この前から、そんなに経っていないんだ。なのにさあ・」

妻の口から出て当然の言葉が、私の口から出てきました。

それなのにまた・・・堪え切れない疼きが湧いてきたことを正直に告げ、私の願いを妻が拒んでもそれを受け入れること、返答が今すぐでなくてもいいことを伝えました。

妻はしばらくの間、眼を伏せて考え込むようにしていましたが、そのうち私の方にきちっと向き直り、しっかり私の眼を見つめながら言い出したのです。

「こういうことは、時間をかけて話し合えば結論が出るということではないと思うの。」

「わたし、あなたと一緒に過ごせることをとても幸せに思っているわ。あなたが私に隠し事をしたり、私の眼を避けるように振舞ったりするのは嫌なの。何だか、あなたがわたしから遠ざかっていくようで・」

「わたしがあなたに求めた約束の裏には、わたしもあなたが望んでいることに精一杯応えようという、わたし自身に言い聞かせる決意があったわ。

それでないと、あんなこと始めない・」

妻が言った終わりの方の言葉は、夫から差し出された禁忌の行為について、妻自身もためらい、悩み苦しんだことを表しています。

その重い決断や覚悟のことを深く考えないで、自分の独善的で気まぐれな欲望のままに、妻に更なる陵辱を強いるなんて・・・

「ごめんよ、これまで随分とおまえを苦しめて」

「情けないことに、オレのこの欲望は、いつ鎮まるか自分でもわからないんだ。」

「そんなに自分を責めなくてもいいわ。わたしだって、もう、あなたと同犯だもの・・・あなたの願いを受け入れて、始めてしまったのはわたしなんだから・・・あなたの前で恥ずかしいこともいっぱいしたわ。あなたが私の姿を見て喜んでくれることだけが救いだったの・」

これまで何回か閨でのことが終わってから、それとなく妻に尋ねてみようと思ったことの答えが、妻の口から自然に出てきたことにホッとします。

夫を傍にして他人と交わった妻の心もちを、いくら秘め事が終わった後とは言え、あからさまな言葉で尋ねることは、夫として余りに恥ずかしいことに思えこれまで控えてきたのです。

「あなた、覚えてる?初めのうちは、私の傍で手を握っていてくれたわね。じっと握り返してくれる時が一番嬉しかった・・・・あなたが興奮しているんだと思うと、わたしもいっぱい感じてしまったわ。」

「そうさせたのは、オレなんだ。でも、そのことが終わってみると、虚しさが襲ってきて、おまえに済まない気持ちでいっぱいになるんだ。何だか、言ってしまったら心が軽くなったよ。拒んでもいいんだ。・」

「う~ん、せっかちね。終わりまで話を聞いて。」

「他の人とのセックスで満たされる喜びは、そのときは舞い上がっていてわかんないんだけど、徐々に小さく萎んできて、ちっぽけなものになっていくの。だって、これまで二人で歩んできて・・・・そしてこれからも一緒に過ごす時の長さで計れば、そう思うようになるのは当然だと思うわ。わたし、時々想像するの。あなたが衰えてきた時、わたしが手を取ってお風呂に入れてあげるんだって・・・・わたしがそうなった時、あなたも、そうしてくれる・・・・?」

(よかった・・・・おしゃべりになってきて・・・妻は心を裸にして、思いの丈を私に伝えているのだ。そして、耐え難いことでも最終的に受け入れようと、懸命に自分の心を理論づけ、順序立て、変わらぬ愛を私に求めているんだ。何て、可愛いんだ・・・)

妻の話が熱っぽくなっていくに従い、段々と私の心の靄も払拭されていくような気がしました。

そして、わだかまりなく、前々から一度聞きたいと思っていたことを尋ねました。

「そのことで聞きたいんだけど、いつもオレに済まないと思いながら他の人に抱かれていたの ?」

「申し訳ない気持ちは、その度にあるわ。でも、徐々にそれが薄れて消えていくのも本当よ。

あなたがそんなわたしを愛してくれているって思うから・・・・うまく言えないけど、あなたを信じているからこそ、相手の人と喜び合えるの。」

私の問いに対して、妻が、間髪を入れずすぐに答えてくれたことは、妻の揺ぎ無い・・・ほとんど信念にも近い胸の内を表しています。

私が理性と妄想の葛藤でもがいていた時、妻も同様に夫に対する情愛と背徳の狭間で苦しんでいたことがわかり、たまらなく妻が愛おしく思えました。

「こんなこと、二人でじっくり話すなんて機会、これまで無かったから・、わたしも一つ、あなたに聞きたいことがあるの。男の人の性欲ってよくわかんないんだけど、もし、あなたの望みがそれで満足できるんだったら・・・・わたし、あなたの前で自分を慰めてもいいよ、それじゃだめ?」

「・・・ごめんよ、おまえに、そんなこと言わせて。でも、多分・・・・それじゃ終わらずに、またその先を求めてしまうと思うんだ。」

「そっかぁ~、やっぱり駄目なんだ・・・でもね、あなたが何かを探るように、こそこそする姿を見るのは嫌なの。だからこれからは、はっきり言って、わたしに、セックスしてほしいって」

「ありがとう。オレのこと、そこまで思ってくれて・・・益々、言い辛くなったんだけど、相手の人は、オレに任せていいの・・・?」

「うん、何だか、どなたかお目当ての人がいるって感じね。わたし、あなたを信じているもの・・・あなたの選ぶ人に間違いはないわ。

でも、知らない人、素敵な人にしてね。」

「どうして・・・?この前までは、『通りすがりの人は嫌よ』って、言ってたじゃない・・・?」

「だって、だんだんわかってきたの。知っている人とするのは、その方への気遣いなんかが足かせになって・・・

あなたが求めているような姿にはなれないと思うの」

妻はこのようなことを始める前に二人で交わした約束を、私が今後もずっと守っていくことを条件に、再び夫の前で体を開き、他人に抱かれることを受け入れてくれたのです。

【放浪のとき】

妻の同意を得て、幾分胸の焦燥が治まった私は、新たな難題に取り組まなければなりませんでした。

広くWeBサイトを使って相手を募ることは、したくありません。

それでいて、私たちと余り親密でない方、そして印象、容姿、知性など、私が願う条件を有している方を探すのは容易ではありません。

しばらく考え倦んでいた私は、ある日の夕方、携帯の「電話帳」のボタンを押しました。

この前、妻のお相手になっていただいた南さんが、「いつでも相談に・」と言っていたことを思い出したからです。

一度きちんとお礼を・・・・と思っていましたが、自宅に伺うのも彼の奥様に顔を出されたら困ってしまいます。

そんな訳で、その後南さんには、電話でお礼の言葉を述べるに止めておいたのです。

車で1時間半・・・・そんなに度々行く訳にはいかないので、その後しばらく遠ざかっていたママの店に着きました。

いつもの指定席にグラスを手にして、私を待っている南さんの姿がありました。「よ~うっ!」と、手をあげる南さんの姿に、随分と距離が縮まった感じを覚えます。

南さんは、冗談っぽく・・・

「小野さん、この前はご丁寧にお電話有難うございました。このまま、奥様と続けさせてもらえませんか?」と、話を切り出しました。

「そんなこと、しそうに見えない人だからお願いしたのですが・・・・曇っていたのかな?」

「まあっ、そんなに片意地張らないで・・・・洒落たお店で、訳ありの友達を見つけたと思っているんですから・・・・壊したくありませんよ。」

それから私たちは、生々しい体験のことは傍に置いて、その後の妻の様子を皮切りに、日常茶飯事の他愛もないことを話し始めました。

そのうち南さんは、話の途中にふっと陰をさす私の異常を敏感に感じ取ったのでしょうか、「小野さん、何か聞いてもらいたいことがおありなのでしょ?私を指名してくださったと思っていますので、お力になりますよ。」と、救いの手を差し伸べてくれたのです。

私は、例えひと時とは言え、妻の体を通り過ぎた男と話しているんだと思うと、妙な親近感を覚え、恥ずかしいことに、私の脳裏に再び悪魔の誘いが忍び寄っていること、求める新たな相手が見つからないことを白状しました。

「多分、そんなことだろうと思っていました。私も家内とご禁制の『夫婦交換』を楽しんでいる口なんですが・・・・時々、その思いが強くなってきて、始末に困ることがあるんですよ。」

「私が、お望みの方を紹介してあげましょうか・・・・?」

「えっ、・・・」

「貴方の奥さんを抱いてもらう方ですよ。きっとあなたも、あなたの奥様も、気にいるんではと思うのですが・・・・ほらっ、こいつです。私たちの夫婦交換のお相手さんです。」

南さんの携帯の画面には、彼と肩を並べてクラブを杖にしている男の写真が写っていました。

「ゴルフコンペの時の写真でしてね。小野さんさえよろしければ、この前のお礼と言っては申し訳ないのですが、こいつとの仲介の労をとってさしあげますよ。」

「んぅ・・・」

「いやっ、こんなことは余り深く考え込まずに、直感的に判断するべきだと思うんです。・・・・第一印象がダメならそれまでで、もしお気に入ったんでしたら、後は、お二人で話し合えば済むことです。最初の出会いの場所と時間だけは、私が取り持ってもいいですよ。」

その後、南さんは、趣味のゴルフが縁でのその男との馴れ初め、その男が私たちと同じくマニアックな世界を求めていること、何回か夫婦交換をしたことなどを話してくれました。

私は、南さんの言葉を上の空で聴きながら、彼の携帯の画面の男を食い入るように見つめていました。南さんから、聞いてわかったことは・・・

寺村修司  44歳  既婚  皮革製造会社勤務 T市在住

(ゴルフをするのか。スポーツマンタイプだな?この笑顔は、妻好みかもしれない・・・)

相手が、身近な存在でないこと・・・・そしてある程度、妻が魅力を感じる男、それが私の思い描く他人の最低条件なのかもしれません。

「何だか、気に入られたようですね。小野さん、詳しいことは、そのうちまた連絡しますよ。それから、この前の奥様の写真、しばらく私にお貸し願えませんか?携帯でトバすのは、拙いでしょ?また、この店でお返しします。」

こうして、私の黒い欲望は、南さんとの関わりによって現実性を帯びて、執行の階段を駆け上がっていったのです。

それから、しばらく日が経って・・・

慌しく客が出入りする店の片隅に、その男はひっそり私を待っていました。

胸ポケットから覗く青のハンカチが、寺村であることを示しています。

涼しい目元に鼻筋が通り、紺のブレザーに包まれた白シャツの襟が清潔感を醸し出しています。

南さんに見せてもらった画面で見るよりは、随分と体が引き締まり、いかにもスポーツマンという感じです。

(この男に、妻を抱いてもらうのか・・・・?)

これから、この男を寺村と呼ぶことにします。

お互い、一通りの初対面のあいさつを交わした後、寺村が切り出しました。

「南さんから見せてもらいましたが、私にはもったいない素敵な奥様ですね。たまたまとは言え、このような機会を差し出して下さった貴方に感謝します。はっきり確かめたいのですが、本当に私でいいのですね・・・・?」

「お願いします。妻を抱いてほしいのです。」

私は、南さんに打ち明けた時と同じように、心に取り憑いたおぞましい欲望、南さんを介してここに至るまでの経緯を簡単に説明しました。

「それで、小野さん、どのように奥様に打ち明けるか、これからゆっくりと考えられるんでしょ?その間に、小野さんも、自分に納得がいくよう気持ちを整理することができますね。」

「お気を遣っていただいて有難いのですが、実は・・・・もう妻の同意は、済ませているのです。」

「えっ、と言いますと・・・・?」

「普通の場合、妻の同意よりも相手の方を探す方が先なのでしょうが」

私は、相手を探し、そして妻の同意を得るまで、悶々とした日々を過ごすことに耐えられなかったこと、もし、相手を決めた後で妻がその誘いを拒んだ場合、ご迷惑をおかけするようになること、そして、私が選んだ相手が誰でもよかった訳ではないことを、正直に話しました。

「そうですか。奥様を深く愛していらっしゃるのですね。」

それなのに私は、愛する妻の体を他人に抱かせようとしているのです。

今、寺村と話し合っていることにより、身勝手な欲望が具体的に一歩ずつ実現されていくことに、自分への嫌悪を感じてしまいます。

「小野さんのお気持ちは分かりました。それじゃ、具体的なことを決めたいと思うのですが・・・・大概こんな場合、細かいことを事前に確認することは、貴方もご存知なのでしょう?」

「例えば、避妊のこと・・・それから奥様が、私の行うことを嫌がった場合のことなど・・・そのまま続けてもよろしいのですか?」

「・・・ゴムでお願いします。それから、妻が嫌がった場合のことは、寺村さん、その時の貴方の眼で判断なさって・・・申し訳ないのですが、妻が心底から嫌がっていることは止めていただきたいのです。」

「分かりました。それ以上のことは、実際に奥様を抱かせていただく時に確認すればいいことですから・・・

「それから、小野さん、貴方が私たちの行為を眺める場所は、どうされますか?できれば、奥様と私の枕元に立つことは、ご遠慮願いたいのですが」

「・・・・・・寺村さんのおっしゃる通りにします」

「それから、こんなこと言わずもがなのことですが、奥様とのベッドの上では、私が奥様のパートナーになるということをお忘れないようにお願いします。」

妻を他の男に寝取ってもらう夫としては、妄想の実現のために、閨での主導権の大半を男に預ける他なかったのです。

【黄昏のとき】

それから、しばらくたったある日、辺りが黄昏ずんできた頃、私たちの車は目的地へと向かいます。

途中、喫茶店で寺村と落ち合ってから、ホテルに入ることになっています。

これからそんなに長くない時間の後に起きることを想像すると、私の心が硬くなっていきます。

妻も同じような心の高まりを鎮めるためでしょうか、二人だけのドライブを楽しんでいる風を装いながら、あれこれ取りとめもないことを話しかけます。

「ねっ、ねえっ、今朝の新聞、読んだ?『掲示板』に出ていた子猫、かわいかったわ。もらっちゃおうか・・・・?」

「・・・あなた、知ってる?あのお店、パスタがおいしいのよ。今度、一緒に行ってみる・・・・?」

私たちは、生々しい話題を避けるかのように、努めてそれとは正反対の方向に話をもっていきます。

この後も、小学生が遠足を楽しむような二人の会話が続きましたが、やがて、二人ともそれによって平静が戻るわけではないことに気づくのです。

次第に、目的地のホテルが近づくにつれ、二人とも無口になっていきました。

私たちが、喫茶店のドアを開けると、にっこりと微笑んで私たちを迎える寺村の姿がありました。

妻と寺村は、お互いを紹介し合った後、何の障りもない普通の会話を始めていきました。

「素敵なバッグをお持ちですね。フルラがお気に入りなのですか。」

「カラーとデザインが、素敵でしたので」

「奥様みたいな綺麗な方には、エルメスの方がお似合いだと思いますよ。」

「でも、高すぎて」

寺村が、そのことが始まる前に、妻との距離を一歩でも縮めたいと願って、妻の関心を引くような話題を持ち出すのは当然のことなのでしょう。

「バッグの皮革にも、ワニ革から馬や豚革など色々ありましてね、アメリカ産のバッファロー革が手頃なんですよ。」

「まあ~っ、どうして、そんなことご存知なのですか。」

「いやっ、私の仕事が皮革製造関係でしてね。そこで、皮の染色から彫り、加工まで何でもやっているのです。また今度、お暇な時に一度立ち寄ってみられませんか。見学の後、実際にバッグづくりの工程を体験してみることもできるのですよ。」

「え~っ、本当ですか。自分でバッグを作れるなんて・・・・それで、寺村さんも、奥様のためにバッグを作って差し上げたのですか?」

仮に、私が寺村の立場だったとして・・・

限られた時間の中で、彼女の心の硬さを和らげ関心を自分の方へ向かせるためには、(話題をレデーズバッグにするかどうかは別にして)同じようなアプローチをするでしょう。

でも、妻が寺村の会話に魅入られたように関心を傾けていく姿を見ると、この前、妻の切なる胸の内を聞かされ、その思いを真実のものとして受け止めたはずなのに・・・

(あのバッグは、オレが選んで、おまえに薦めた物ではなかったのか。)

(妙に、寺村と呼吸を合わせている妻の会話には、やがて始まることへのときめきが混じっているのだろうか・・)

心が乱され、新たな猜疑と嫉妬の念が湧いてきます。

やがて、私たちは喫茶店を後にし、愛する妻が他人と交わり、男の全てを受け入れる場所に到着します。

ホテルのフロントでチェックを済ませ、三階にある部屋のドアを開けました。

(妻があの男から貫かれ、射精を浴びる場所・・・もうすぐ、あのベッドの上で、今まで思い描いていたことが、実際に起きるんだ・・)

浴室で、寺村が浴びるシャワーの音を聞きながら、妻が、私の傍に寄ってきて、「あなた、いいのね。後悔しないよね。約束を守るってこと・・・・忘れないで」と、確かめるように言いました。

その言葉の奥底には、・・・夫の願う通り見知らぬ男に体を預ける代わりに、その後どんなことが起こっても終生添い遂げることの確約、今まで以上に自分を慈しんでほしいという私への求愛、そして、妻への背信は決して許さないという決意が籠っていることがわかります。

それと同時に、私は、妻のこの言葉が、他の男との交わりを始める前の最後の言葉であること、そして、悦びを求める女になり切るために、私を遠ざけようとして言った言葉であることも分かりました。

夫の変わらぬ愛を祈りながら、自分の心を戒めて、私から離れていこうとする妻がとても愛おしく思え、抱きすくめて唇を求めようとします。

すると妻は両手のひらで私を押し返すようにして、諭すように言ったのです。

「だめぇ!お願い、あなたらしくして」

それは、私の情けない未練を慈しみながら・・・・私の心を整えさせ、覚悟を促そうとする、妻の優しい拒絶だったのです。

二人が交わるベッドの傍にコンドームを置きながら、

(もうすぐ、理香の膣奥深く、他人の精の飛沫がこの中に・・)

焼けるような想いがもうすぐ叶う興奮と、その裏に宿る言いようのない不安に襲われながら、寺村が戻ってくるのを待つ他ありませんでした。

【交わりのとき】

寺村が、妻を両手で持ち上げ、抱きかかえるようにベッドに運びます。

妻はうっとりとした表情で、彼の首に手を回し、舌を絡み合わせます。

寺村の大きい手がブラの谷間から伸びて、双方の乳房を優しく愛撫し始めた時、次第に妻の中から私の存在が消えていくのを感じ、私は焦点が定まらない目を宙にとばしていました。

二人は、そのまま崩れ落ちるかのようにベッドに横たわりました。

そして、寺村の手が、器用にブラのホックを外し、ショーツの中へ滑り込んでいきました。

妻の片手が、手指の侵入を拒むかのように寺村の手首を押さえますが、寺村の指腹が、多分数回・・・・妻の潤みをなぞった時、

妻はそれまで対称形で閉じていた両腿を、何回か交差させていきました。

そのうち寺村は、妻のショーツを剥いで、妻の秘部に顔を沈めていきました。

妻の秘部を這う寺村の舌先は見えなくても、両脚が狂おしげに動いている様子を見れば、淫裂が徐々に開き、秘部が潤みを帯びてきていることがわかります。

小さく洩れる喘ぎとともに、妻の肩から次第に力が抜けていくのが、遠目からも判りました。

固く閉ざされていた両脚も段々と角度を広げ、次第に力みを失っていきます。

(不幸せなことに、これまで良妻として尽くしてきたが故に、別次元の甘美な世界があることも知らなかったんだ・・)

(あられもない姿を晒す羞恥、官能を表すことへのためらい、夫への背徳・・・今まで覆い隠してきたもののすべてを脱ぎ捨てればいいんだよ。)

「あぁぁ・・・・そんな風にすると・・・」

大きくM字に広げられた両脚の中心を、小刻みになぞる指先・・・・

その動きが、淫裂の合わせ目から顔を出す肉芽を、ほんのりした肌の色合いとは不釣合いな鮮紅色に染めていきます。

「奥さん、これから始まること、わかっていますよね。どうしましょうか」

「寺村さんの、好きなようになさって・・・すべて、忘れさせて」

妻が口にした言葉が、私に燃えるような嫉妬、そして胸が締め付けられるような劣情を運んできます。

私は、ベッドの後方から、こぶしを固く握り締めたまま、私の元から遠ざかっていく妻を眺める他ありませんでした。

「奥さん、私のも疼いてきました。あなたの口で、もっと気持ちよくしてくれませんか?」

(まさか・・・でも、もしかして・・・妻がその強張りを口に含み、その唇で男の茎を愛おしそうに包んだら・・)

寺村のこの言葉に、妻は一瞬青ざめたように彼の顔を見つめ、そして髪を振り乱しながら、顔を激しく左右に振りました。

目を固く閉じ、震えるように首を振る妻の姿は、私が密かに抱いていた不安をかき消してくれるような安堵をもたらしました。

妻はこれまでの私との閨の営みでも、決してその強張りを口にすることは、無かったのです。

私が求めても「お願い、それだけは・・・!」と受け入れてくれないのです。

私も、このこと以外は十分すぎるほどに睦み合ってくれる妻の性に喜びを覚えていましたし、「人それぞれ、セックスにも主義や主張があってもいいのでは」と、余り深く追求せずに、今日にまで至ったのです。

(生まれ育った家庭での躾が、彼女をそうさせたのか・・・・?)

(彼女の性意識の中で、そのことだけが忌まわしい行為として除かれ、体が生理的に受け付けないのか・・・・?)

(あるいは、想像してはいけないことですが・・・私との結婚以前に、誰か他の男と誓ったのか・・・・?)

心の中に、このような疑念や猜疑が生まれることもありましたが、妻の私に対する情愛や献身は、私の心の中で、それが表に出ないよう蓋をしてくれるに十分だったのです。

「わかりました、奥さん、無理しなくていいですよ。でも、次のお願いだけは聞き入れて下さいね。」

妻はその言葉に対してコクンと小さく頷きました。

寺村は、その膨れあがった茎を、妻の口で愛撫してもらうことをきっぱり諦めたのです。

そのうち妻は寺村の言葉に促されて、これから自分を貫くものを確かめるようにゴムの中心を亀頭に宛がい、その薄膜を強張りの根元まで優しく引き下ろしていきました。

(あぁ~あの反り返ったものが・・・・おまえの手で大きくしたものが、もうすぐ入ってしまうんだ・・・)

やがて寺村は、妻の両足を大きく開き、その引き締まった下半身を妻の股間に割って入らせました。

そして、掴んだ茎を揺らしながら、その筒先で秘口を弄びます。

膣口を探しているというよりは、わざと時間をかけながら淫孔から溢れる愛液を自分のものに絡み付けるように・・・

そして、その間、寺村がじっと妻の顔を覗きこむように見つめているのは、・・・妻の表情の中に、悦びを求める疼きがあるかどうか、確かめているのか。

意地悪く、夫への背徳とは裏腹に生じる妻の高ぶりを弄んでいるのか。

あるいは、妻を貫くまでの時間をわざと長くして、傍にいる私を焦らしているのか・・・

寺村の視線を外すように、妻がその刹那、私の顔を見つめます。

これまで、この場面、その姿は何回か見てきましたが、その都度、憂いを秘めた・・・・縋りつくような・・・暗く沈んだ哀願の眼差しを受けると、胸が押し潰されるような息苦しさを覚え、夫として、精一杯の誠実さで応えます。

(理香・・・それでいいんだよ・・)

(ただ、おまえの女として歓ぶ姿・・・・それだけが見たいんだ・・)

そのうち寺村は、妻の股間を更に大きく広げ、結合を前に空けておいた空間を狭めるように腰を落とすと、その先を妻の下半身に緩やかに沈めていきました。

「あっ、ああぁぁぁ」

妻のそこが、滑りをもって男根を受け入れ、二人が深く結合したことがわかりました。

そして、寺村は、茎の滑りを緩やかにして、妻の性感を徐々に高ぶらせるための律動を始めていきました。

斜め下に垂れた男根が上下運動を繰返す度に、目いっぱいに埋まった秘口から、潤み溢れる音が聞こえます。

二人の露わな行為に合わせてベッドが軋み、妻の息遣いも喘ぎに変わってきます。

きっと妻は抑えようとしても体の奥底から止めどなく湧いてくる快感が、徐々に体に染みてくることに、戸惑いを覚えているのでしょう。

(理香、その快感は、私と違う男が与える歓びであっても・・・・おまえがどう抗おうとしても・・・・そのことが始まってしまったら否応なしに湧いてくるものなんだ・・・・我慢なんかしなくていいんだ。)

寺村は、一定のリズムを保ちながら、徐々に激しくビートを刻んでいきます。

男の本能として、突く場所と深さを一定にし、同じ場所を繰り返し刺突し続けることが、女の体に火をつけるということを心得ているのでしょう。

そして、その律動が妻の下腹部で往復されると、妻が悦びの喘ぎを漏らすようになるまで、そんなに時間はかかりませんでした。

「ああぁ~・・・・だめえぇ」

見ず知らずの他人と交わるという禁断の世界に入るまでは、私が愛おしんだ妻はこんな淫らに反応する女ではなかったのです。

(夫婦として契りを交わして以来ずっと、このような淫らさが妻の体の中に潜んでいたのだろうか?妻が、このような淫らな喘ぎを洩らすのは、女の性がそうさせるのか?それとも、ごく自然で普通だと思っていた夫婦生活も、私の一人合点で、妻の心底では満たされないものであったのか?)

【恥辱のとき】

絶頂に向かって駆け上がっていく妻の高ぶりを突き放すかのように、寺村は妻の秘口から欲棒を抜き出しました。

そして、妻の背後に回り妻の両腿の下に手を回し、その腕で妻のお尻を持ち上げるように抱きかかえながら、ゆっくりと私の方まで歩いてきたのです。

寺村が、この行為を選んだ理由・・・・

それは、妻の心を縛る理性と倫理の鎖を完全に断ち切り、愛する女が堕ちていく始終を夫の眼前に晒すことが、私の願望を満足させる最上の方法であると思ったに違いありません。

あらぬ姿勢で抱き上げられ、寺村が次に指示することが、妻にもわかるのでしょう。

妻は私のところに来る手前で、イヤイヤをするように首を振り、何度かそれを拒みました。

「奥さん、この部屋の中では、私が主導権をもたせていただくことを、ご主人は承知されているのですよ。」

「さあ、ご主人が愛しているあなたの一番恥ずかしいところを、ご主人の眼の前で見せてあげてください。あなたの手で大きく開いて」

その言葉を聞いて、妻のうなじがぐったりと沈み、顔があらぬ方に背けられました。

妻は放心したように虚ろな眼を私に向けながら、羞恥の極みの中で、屈曲させられた両脚をゆっくりと開き・・・・

両手を、柔らかに膨らんだ草丘の上に這わせ、淫裂の中央にまで届かせました。

そして、三つ指を淫裂に添えながら、その陰唇の門をゆっくりと開いていったのです。

白い照明を斜めに浴びて、薄紅の艶を帯び、淫らな雫に濡れた秘部が浮かび上がりました。

大きな陰唇が楕円に伸びて、その中心は今まで男の欲棒に貫かれていたことを証明するかのように、淫靡な襞に囲まれて、微かな媚孔を形づくっています。

そして、その女の器が、羞恥に耐え切れないように蠢くと、それはまた新たな潤みを滲ませるのです。

それは、妻にとって耐え難い恥辱のときでした。

見ず知らずの男に、脚を開かれ、その象徴を受け入れるだけでも耐え難いのに・・・

その忌まわしい行為を行った自らの手で、交わった痕跡も生々しい膣口を、夫の眼に晒すなんて・・・

今まで、想像すらしなかったことに違いありません。

「さあ、先ほどの約束を果たしてもらう時です。あなたの手で、私のものを挿れて・・・それが入っていくところを、ご主人に見てもらうように頼んでください。」

寺村は、先ほどの妻の頷きを履行してもらうべく、割れ目の中に寺村の肉茎が呑み込まれていく様子を、私に見て欲しいと妻自身の口で哀願することを彼女に強いたのです。

妻のお尻の下から屹立している寺村の勃起が妻の股間に向けて、挿入を待ち焦がれるかのように妖しく震えています。

(理香、何もそこまでする必要はないんだ!おまえが嫌がりさえすれば、それ以上のことを強いらないっていうのもルールなんだ。)

妻は両方のひじを狭め、こぶしを震わせながら、寺村の情けにすがり付くように撤回を求めていました。

「奥さん、よく考えてください。ご主人がこれまで大切にしてきたものを、あなたの手で汚すことがご主人への愛なんです。」

切なる願いが聞き届けられないことがわかると、やがて妻は・・・

その肉茎の膨らみを、M字に開かれた自分の膣口に押しつけました。

そして、瞬間的に私の顔を見つめ、始めは消え入りそうな小声で・・・終わりの方はほとんど叫ぶように言ったのです。

「・・・あなた、許して・・・入っちゃうの・・・見てっ、わたしの中に入っていくところを、見てえぇ・・・!」

そして妻は右手で掴んだ肉茎の先が埋まる位置をそれとなく探り当て、眼を瞑り顔を私に背けながら、自らの手で秘口に導き入れたのです。

勃起した怒張が、何度も貫かれて収縮の柔らかさを失ったかのような秘孔の中に、抵抗無く吸い込まれるように埋もれていきました。

もし、これまで妻の中に、夫に操をたてる貞操が僅かでも残っていたとするならば、その行為は最後の一片まで捨て去るような淫蕩な行為でした。

そのうち寺村が、私の眼の前で・・・艶かしい淫穴にすっぽりと埋もれた欲棒を、ゆっくりと上下させ始めました。

一旦、埋もれた肉棒が次に露わになる時、その濡れの艶は更に濃くなり、緩やかな往復が続けられます。

眼前で、寺村のものが妻の秘部に分け入っていく様子を見ていると、それはその奥深くで温めてきた妻との睦みを麻痺させてしまう、毒針の貫きのように思えました。

「あっ、ああぁぁ~」

ああぁ~理香、おまえのその喘ぎ・・・・おまえが行ったことは、

決して自分から望んだ訳ではなく、寺村に強いられ、否応なしに従わざるを得なかったからではなかったのか・・・?

夫から理不尽な願望を告げられ、その切なる願いを叶えるためではなかったのか・・・?

愛する妻が、私の目の前で、他人棒の抜き刺しで感じてしまう様を眼のあたりにすると、それまで押さえてきた自制と寛容の箍が外れ、狂おしい嫉妬がどっと噴き出してきます。

やがて寺村は、妻を後方から抱きかかえたままの姿勢でベッドに戻り、妻を股間に跨らせ、その腰のくびれに両手を添えました。

そして、ぐったりとしてあらぬ姿を夫に晒している妻に命じたのです。

股間から屹立している茎に向かって腰を沈め、自らの意思で上下の往復を繰り返すことを!

寺村は、それまで妻の体に微かに残っていた理性の縛りが完全に解け、妻が悦びを求める一人の女に変わりきっているのか、確かめたかったのかもしれません。

夫を前に、これ以上の羞恥はないという姿勢で犯されたことにより、妻の覚悟も定まったのでしょうか。

今度は・・・股間をしっかり見下ろしながら、寺村の肉茎の先が埋もれる自分の位置を確かめ、静かに体重を乗せていきました。

そして妻はもう私に視線を向けようとはせず、羞恥と他見を忘れたかのような態で、自らのものを肉茎に没入させる動きを頻繁に繰り返し始めました。

まるで・・・腰を降ろしさえすれば湧いてくる快感が、数度その動きを繰り返すことによって、体を噴き上げる途方もない快感に変わっていくことに気づき、その悦びを貪るかのように・・・

女体の深奥から湧き出た悦びは、津波のような勢いで体を走り、それまで妻の心のどこかに微かに残っていたかもしれない背徳の灰汁を、完全に押し流してしまったのです。

(おまえのその姿・・・・女の本能のままに、絶頂に向かって、ひたすら腰を振る姿こそ、私が思い焦がれた姿だったんだ。)

「はあぁぁっ・・・・だめえぇ・・・・おかしくなるぅ」

妻は寺村の腰の両脇に、その手を逆手にして上体を支えると、背中を寺村の方へしならせるように崩れていきました。

そのような姿勢を私の位置から眺めると、妻の股間に刺さる男根のすべてが露わになり、これ以上はないという淫らな光景が眼に入ってきます。

【奔走りのとき】

そして寺村は、自分の欲情と妻の高ぶりを合わせるかのように、体位を正常位に戻して、激しく交り始めました。

寺村は妻の上に重なりながら、欲望のままに体の動きを早めます。

寺村に対する必死の訴えで心を消耗させたのでしょうか、あられもない姿を夫の眼に晒したことで欲情したのでしょうか・・・妻の両手は、覆い被さる寺村の背中を這い、より深く抱き締められながらの貫きを欲しがります。

多分、女の性が・・・深い悦びを得るためには、快感をもたらす相手が誰であれ、それを与えてくれる男と完全に一体になる必要があることを知っているのでしょう。

そして、寺村のビートで湧き出る今の快感よりも、次には更に深い快感が押し寄せてくることを期待して・・・

ひたすら、より深い悦びを迎えるためだけに、男を迎え入れます。

「んくうぅぅぅ・・・・はぁ、はぁっ、もう、だめえぇ」

寺村も、自分の刺突の深度と方向、貫きの激しさの変化によって、女の体が七色の悦びを表すことに、男として満足しているのでしょう。

後ろから見ていると、寺村のお尻が女陰との間に大きな空間をつくり、波打ちながら突き込まれていきます。

荒々しい男の勃起の先は、妻の下腹部の奥深くまで行き届き、貫きの深さが格段に増しているのがわかります。

妻の体が絶頂の極みに到達するのも間もなく・・・・と、感じた寺村は、更に凶悪さを増した肉茎で、妻の腹腔を強烈に貫いていきました。

やや斜め上に開放されている膣洞の中で、寺村の限界にまで強張った肉茎が数限りなく出し入れされると、女の体は自分の意思とは乖離して、めくるめくような悦びを湧き上がらせます。

「ああっ!いいっ!・・・いっちゃう」

私の眼前で身悶えする妻・・・その悦びの深さを推し量れるのは、

歓喜の極みで、官能のままに漏れる艶かしい息遣いと淫らな言葉、そして様々な姿に変わる五体の変化を眺めることだけです。

(あぁ~理香、・・・・体を突き抜けるその悦びを与えてくれるものだけを、愛おしめばいいんだ。男の印に、名前なんて刻まれていないんだ。測り知れない女の悦びに身を任せればいいんだ・・)

寺村は、妻の悦びが沸点めざして駆け上がっていることを察したのでしょうか、重なっている妻との間に長距離の刺突に必要な空間をつくると、欲情をその肉茎に込めて、妻の下腹部を更に激しくビートし始めました。

もう、荒れ狂うスラストの嵐は、妻が頂点に向かって緩やかに上昇していくことを許してくれないようです。

「あっ、ああぁ~っ、いっ、イクッ・・・・!もう好きなようにしてえぇ・」

女の体は、上リつめてしまうと、もう全てがどうでもよくなってくるのでしょうか、妻は全身の力を抜くようにして、寺村の刺突を為すがまま受け入れます。

そして、股間の筋を最大限に強張らせ、茎を受け入れている部分を突き出しながら、背中を弓なりに反らせたのです。

足指の先が、内に向かってピーンと張り詰めていきます。

それでも寺村は、容赦なく貫きを続けます。

妻の体は、「いやぁ!イっているのに」と、寺村にスラストの制止を求めたいはずですが、間断なく続く肉棒の刺突がそれを許してくれません。

「うぅ~っ・・・・奥さん、私もそろそろです・・・・!」

「いってっ、・・・イッてえぇ・・・・!ああぁっ!そこに出してぇっ!」

妻が、細い腕で寺村の背を思い切り抱きしめ、そして貫きを受けているお尻を浮かせるようにして寺村の腰との距離を縮め、射精を欲しがります。

女の性は、無意識のうちに、理解しているのでしょうか。

セックスの真髄が、自我を忘れ快楽の虜になること、悦びの極みを追求することであることを・・・

(ああっ、もうすぐだ・・)

(いよいよ妻が、寺村の勃起を収めたその膣奥で、噴き出す精の放射を浴びるんだ・・)

寺村が、思いっきり腰を落としました。

最後の一突を妻の膣奥深く送り込み、その火照った媚肉の奥に、たぎる欲棒の精を注ぎ込んだようです。

(ああ~っ、今 この瞬間、妻はその熱い奔走りを体の最深部で受け止め、喜悦の終篤を惜しむかのように、男の精を吸い取ろうとしているんだ!)

ぐったりと、崩れ落ちるようにベッドに沈む妻の体・・・

愛液塗れの結合部から、寺村が酷使した肉茎を抜き去ると、妻の息遣いが放心の吐息に変わっていきます。

ゴムの膨らみを見送った妻の膣口は、小さな穴を穿っています。

(私がおまえにしてやれたこと・・・それは、寺村がおまえの体に精を送り込んで妊娠させること・・・男として最高の快楽を伴う最終行為を、私が用意した薄膜で防ぎ止めることだけだったんだ・・・)

愛液に塗れたその秘孔は、気が遠くなるような悦び、測り知れない恥辱を味わい、そして私の屈曲した欲望のすべてを受け入れてくれた、私への究極の愛の印に見えました。

新穂高温泉で
妻を心底より愛しているのに、それでいて、妻が他の男に抱かれることに、異常な興奮を覚える中年男です。

背徳の陰を引き摺りながらも、体を噴き上げる悦びをこらえ切れず、夫の傍でよがりの声を洩らしてしまう妻・・・

鬱陶しい鉛色の空から、ようやく冬の晴れ間が顔をのぞかせたある日、

私は、そんな妻の姿を思い浮かべながら、妻を伴って、1泊2日の温泉旅行に出かけます。

今回は温泉へ出かける前に妻と話し合い、紆余曲折の末、もし機会が訪れたらそのことを行うことを了承してもらっています。

幾分、期待薄ですが、ご縁があれば、見知らぬ男に妻を抱いてもらうことになるかもしれません。

初めに、現在の赤裸々な心境を告白します。

一言で言うと、このような他人様に言えないふしだらな行為を繰り返している自分が、怖くなってきたのです。

迷う心を・・・・揺れる思いを・・・・見つめなおして、今後のことを整えたいと思って綴ります。

私が、変わってしまったのは、Webサイトの乱交体験や寝取られ体験告白にログインしてからでした。

体験談を読みながら、その片隅に添えられている、うっとりとして官能の世界に身を浸している女性の姿を見ていると、胸の動悸が激しくなり、写真の中の女性の裸体を、妻のそれに置き換えてしまいます。

すると、下半身から、じわ~っとした甘ったるい疼きが湧いてきて、例えようのない興奮が体を駆け巡ります。

(見知らぬ男の極限にまで怒張した肉茎で、荒々しく妻を貫き、こらえようがない程の悦びを彼女に与えてあげてほしい・・)

(膨れあがった勃起から、露わな秘部の奥深く、白い欲望の精を噴き出して欲しい・・)

このような淫靡な妄想が、密かな願望となって、私の心を支配し始めたのです。

そのことを始めてから現在に至るまで、私たち夫婦が経験したことは「体験談」として投稿させていただきましたが、すべて、首尾よく事が運んだ訳ではありません。

これまで書くことを控えてきたのですが、男と妻との交わりを、夫が傍から眺めるという特異なセックスについて、振り返ってみると・・・

妻の了承も得て、男と打ち合わせをしている間に、お互いの思いが噛み合わず、破談に終わったこと・・・

とあるカラオケバーで意気投合した後、「奥さんを、一夜お願いできませんか。」と、あからさまに求められたのですが、妻が、その男性とどうしてもその気になれず、お断りしたこと・・・

今回のように、妻を抱いてもらう男性との偶然の出会いを期待しながら、旅行というより“放蕩の旅”に出かけたことなど・・・

腹立たしさを覚えたことや恥ずかしい思いをしたことが、幾つかありました。

でも、こんな如何わしい行為を続けている訳ですから、それに伴って、相応の心配事や悩み、危険が付きまとってきて当然なのです。

(もし、妻の心の中で、私と過ごす日常生活のことより、男とのセックスの方に、比重が傾いていったら・・・)

(夫への背徳と官能・・・・忌まわしいことを繰り返しているうちに、やがて妻がそのことに耐えられず、我慢の糸が切れて、ある日突然、離婚を迫られたら・・)

きっと妻も、単調で平凡な私との毎日の生活の中で、それなりの幸せや満足を感じているとは思いますが、同時に、「危ない橋を渡っている」ということも、実感しているはずです。

そして多分、「二人の約束」がそのうち崩れていくのではないかという不安も感じていると思います。

そんなことを思うと、不安がつのり、落ち着かない気持ちになってきます。

ある讃美歌の一節に、「心の悩みを包み隠さず述べれば・・・・罪、咎、憂いなどの心の重荷が取り去られる。」とありますが、連れ添う時に誓った貞節を、欲望のおもむくまま自ら破った者を、悩みの淵から救い上げてくれる主が現れるとは思えません。

また、「お互い、割り切って・・・つかの間の火遊びということで」と、短絡的に考えても、この不安は解消されません。

このような不安を取り除き、それでいて忌まわしいことを続けたいならば・・・自分自身が相応の努力をするしかないのです。

お互いを慈しみ、絶対的な信頼を寄せ合うこと、平生の家庭生活において、ゆとりと安らぎを覚える時間を共有すること

端的に言えば・・・

二人で過ごす時間を楽しいものにしたり、妻に優しい言葉をかけて労わったり、妻の負担を減らすべく家事を分担したりしなければなりません。

こうして、自分の心を見つめ直してみてわかったことは、このようなことを行う以上、心配事や不安が何かによって清められたり、

完全に払拭されるということはないということです。

幸い、このような不安を抱きながらもここまでは、おぞましい行為を行ったが故の不幸なこともなく、平穏無事な毎日が続いていますが、

これから先も幸せな毎日が続くという保証は、どこにもないのです。

そんなリスクが潜んでいることを十分に承知しながらも・・・私は悪魔の誘いを振り払うことができません。

とにかく、ここしばらくは、ちょうど初めて異性と交わってからの数ケ月と同じように、そのことばかりに夢中になってしまうのです。

この「寝取らせ願望」は、然るべき時期が来たら鎮まる一過性の「癖のもの」なのでしょうか、

それとも、「痩せは治っても、癖は治らない。」と言います。もしかして、私の精力が衰えるまで、この願望は私の心に巣食っているのでしょうか。

何が、私を、そのような方向に駆り立てるのか?

妻が、良妻ぶりを発揮すればするほど・・・別にそのことが疎ましい訳ではないのに、このようなことを求めたがるのだろうか、見知らぬ男に抱かれるその都度、妻が奏でる喘ぎの音色が微妙に異なっているのが、私をたまらなくさせるのだろうか、もしかして、この願望は、自分では気がつかない妻に対する歪んだ情愛、または信頼や絆の裏返しの感情なのだろうか、それとも、私の心の奥底に、妻を虐げることに悦びを覚える加虐性・・・・裏返せば、自分自身を甚振る被虐性が潜んでいるのだろうか?

そしてまた、妻と行きずりの男が、交わる場面を迎えてしまいます。

それは、妻と二人で新穂高温泉へ出かけた時のことでした。

夕食前に一風呂浴びようと思って、内風呂でゆったりしていると、一般のお客さんなのでしょうか、30歳半ばに見える男性が、私の傍で蹲踞の姿勢をとり、掛け湯をしながら股間を洗い始めました。

自分の傍に来た男性の逞しい姿を目にすると、同性であっても、ついつい男の股間の方に目が行ってしまいます。

タオルの隙間から垣間見える男の印を目にした私は、その並外れた大きさに唖然とし、眼が股間の一物に釘付けになってしまいました。

(萎えているはずなのに、私の勃起時を上回る大きさだ。長さはもちろんだが、その亀頭の膨らみも尋常なものじゃない。その時になったら、どんなに凄くなるのだろう。)

私の脳裏に、ほとんど飢えにも似た疼きが湧いてきて、彼がサウナ室に入るのを追いかけるように、後に続いていきました。

彼は、私より二段ほど高い所に座っているため、下から見上げると、手ぬぐいの下に垂れている彼のものが鮮明に見えます。

この麻痺したような、疼くような興奮は、一体 何なのでしょうか。

男が見惚れてしまうほどの立派なものに対する驚嘆?

私にはないものを持っている男への羨望?

もちろん、それらの気持ちもあると思いますが、心の底では・・・・

(適わぬことだが・・・・もし、妻の膣奥深く、彼の怒張しきったものが分け入って・・・・そして、その中でスラストを始めたら・・・・?)

こんなことを思ってしまうのです。

チラチラっと彼の股間に目をやっていると、私のものも次第に大きくなっていきますが、それでも彼の平常時のそれに適いません。

二人だけの限られた空間で、胸の動悸を悟られないようにしている自分がいましたが、こんな心に棲む妄想を、見知らぬ方に打ち明けることはできません。

内心、「妻の一夜のお相手を」と、密かに思ってはみるものの、突然そんなことを言い出すと男に蔑みの目で見られるようで、躊躇してしまいます。

火照った体を・・・・欲情したものを・・・・水風呂で鎮めながら、浴場を後にしました。

部屋に戻ってから、夕食・・・・湯上りの妻と合い向かいになって、手酌酒をしながら・・・「今日は、特別寒いみたいだね。こんな日には熱燗が一番だよ。さぁ~、ひとつ、イケよ。」と、妻に勧めます。ひとしきり、観光客が集まる町の魅力や旅先で目にしたことについて話を交わした後、妻が私に語りかけます。

「あなたに、注いでもらうなんて久しぶりね。何だか、嬉しそう・・・・私との旅が、そんなに楽しかったの?」

それとも、どなたか、お目当ての男性が見つかったのかな?」

「待ち合わせている訳じゃなくて、偶然のハプニングを期待して来たんだから、そんなにうまくいく訳ないさ。密かに期待していたんだけど、どうやらおまえを悦ばせてくれそうな男性には巡り会えそうもないみたいだ。露天風呂に浸かってから、スナックにでも行ってみるか?」

「それは、そうでしょ?あなたから、『成行きに任せて・・・・』なんて、言われたけれど、わたしは最初から無理だと思っていたわ。でも、こうしてあなたと二人でいると、外が静かなせいか、いろんなことを思い出すの。」

「いろいろあったけど、せっかくの温泉旅行だ。のんびりして、積もった垢を洗い落とせばいいさ。」

「そうね。でも、溜まった垢は洗い流せても、私の体に染み込んだものまでは洗い流せないわ。」

「それは、その・・・・・・オレが、敢えて、おまえに望んだことなんだから、すべて、オレのせいさ。」

「こんなこと、いつまで続けるつもりなの?」

「オレだって、誰彼の別なく、手当たり次第に漁っている訳ではないってことはわかるだろ?余り深いところまで、おまえを落としたくないし・・・・まあ、『癖のもの』だから、そのうち鎮まると思うよ。」

「あのね、これは私だけかも知れないのだけれど、何回も同じようなことを重ねてしまうと、あなたの求めを拒めなくなってしまうの・・・打ち明けられた時、どう答えてよいのか、わからなくなってしまうの。」

「理香が、変に気を遣わずに、自分の意思で決めればいいんだって。決して、無理強いをするつもりはないんだ。」

「あなたにそんな風に言われると、わたし、余計に困るの。確かに、私たちの間には「約束」があるんだけど・・・あなた以外の男性が、私の体を通り過ぎていく度に、『わたしは、何を拠り所にすればいいんだろう?』って、悩んじゃうの。」

「拠り所って・・・・?オレ達の約束が、『拠り所』だろ?」

「何て、言うのかなぁ。あなたの願いを自分で理解し、それを受け入れるために、自分を納得させる理由・・・自分の心に、言い訳できる理由なの。後ろめたいことを繰り返していると、段々とそれが曖昧になってきて・・・もう、無くなってしまったんじゃないかって思うの。」

「そうだよな。その度に無理言って、おまえが受け入れるように仕向けてきたんだから・・・・おまえの心が無傷ってことはあり得ないものな。でも、おまえが他の男に抱かれる度に、少しずつ変わっていっても仕方がないってことも、わかっているつもりなんだ」

「まぁ、しっかりしちゃって!全然、酔ってないみたいね。わたしにばかり、飲ませて・・・さっ、わたしにも注がせて!こんなことは、その時が来たら、その時のことにしましょ?」

ほどよく酔いが回って、妻の頬がほんのりと赤くなっています。

しばらく、くつろいでから私たちは、やや離れた所にある露天風呂に行くことにしました。

“大自然の中の露天風呂”って聞いた時、私の思いとかけ離れて、妻が、「ここ、混浴みたいだから、夜になって入ろうね。」と言っていたからです。

ここの露天風呂は小道を緩やかに下ったところの河原にあり、下を見下ろすと、雪化粧をした無数の大小の岩間を縫って渓流が走っています。

露天風呂に続く小道を歩いていると、木々の梢を伝い寒風が吹き降ろしてきて、思わず背中を竦めてしまいます。

おまけに照明が暗いので、薄闇が辺りを一層寒々とさせます。

脱衣小屋を抜けるとすぐ混浴の露天風呂が現れ、浴槽は自然の巨石を用いて上手に造られています。

先客さんが四~五人いましたが、私は別に気にも留めず、ゆったりと岩に寄りかかりながら温泉気分を満喫していました。

妻はバスタオルを胸に巻いて、私からちょっと離れたところで、他の女性客と一緒にくつろいでいます。

暗がりの中で目を凝らしていると、段々慣れてくるのでしょうか、そのうち私は先客さんの一人が、先ほどサウナで一緒になった男性であることに気づきました。

暗がりの中の解放感がそうさせるのでしょうか。

私は、話し声が妻のいる方まで届かないことを確かめ、私はその男性の傍に近寄ります。

「先ほど、サウナでご一緒しましたね。こんな寒さじゃ、せっかく温まった体が冷えてしまいせんか?」

「本当に、ひどい日になりましたね。この岩場にも風が吹き込んできて、これじゃ、なかなか風呂から出られませんよ。」

男性が、答えます。

「旅行で、やって来られたのですか?」

「いやっ、ちょうど出張がありまして・・・・一日だけズルして、ここで骨休みをしようと思ってやってきたのです。」

「そうですか。私は、妻と二人でやってきたのですが・・・冬木立の露天風呂なんて最高ですね。こんなすばらしい自然の中にいると、煩わしいものをすべて放り出したくなりますよ。ところで、おたく様は、どちらからみえられたのですか。」

「N市からなんですが、あなたは・・・・?」

「な~んだ、お近くの方ですか?私は、F市からなんですが、F市には、こんな川のせせらぎが聞こえる温泉なんてありませんよ。おまけに、混浴なんて・」

「ははは、そうですね。いいですよね、ここ。」

この後しばらく私たちは、両県でそれと知られる温泉について、お国自慢を交えながら紹介し合っていました。

しばらく、こんな話を交わしながら、私は考えます。

(感じがよくて、気さくな男だな。偶然も二度重なると、ご縁なのかもしれない。話題を、先ほど内湯で目にした男のものにもっていこうか、思い切って、妻と一夜の契りを結んでくれるよう頼んでみようか・・・)

この場を逃したら、今回の旅行において、密かに期待していたことが叶うことはないでしょう。

「これも、旅先のご縁かもしれない。」という思いが、私を大胆にさせます。

(旅の恥は、かき捨て・・・・失敗して元々なんだ。上手くいきそうになかったら、冗談だってことにして、笑い飛ばせばいいんだ・・・)

「こんなこと、ぶしつけで失礼なのですが・・・・実は先ほど、貴方の立派なものを目にしちゃって・・・同じ男性として、羨ましい限りです。その分では、そちらの方、凄いんでしょうね?」

男性は、話題の急変に驚いたのでしょうか、私の方に目をやり、笑いながら・・・・

「ああ、これですか。こうしてお風呂に浸かっていると、居合わせた人から同じようなことを言われたことがあるんですが・・・まあ、生まれつきの物ですから、大切にしていますよ。」

「そんなのでされたら、女性はたまらなくなってしまうでしょうね。」

「まあ、人それぞれじゃないですか。一概に、大きければいいというものでもないでしょう。」

(ここまでは、何の差しさわりもない普通の会話なんだ。さぁ、次の一言を男に告げるかどうか・・・・お互い「二度と会わない旅人」じゃないか。)

「突然、こんなこと言い出して・・・・年甲斐もないと蔑まれるかもしれませんが・・・もし、あなたさえよろしければ、そのあなたの立派なもので、妻を悦ばせてやっていただけませんか。」

「えっ、突然、そんなことおっしゃって・・・・それって、どういうことでしょうか?」

「短く言いますと、今夜、妻と一夜を共にしていただけたらと思って・・・お恥ずかしいんですが・・・私には、そんな『寝取らせ』癖がありまして、妻を他人に抱いてもらうことに喜びを覚えるのです。妻もそのことを了承していますし、私たちの旅の記念に、その凄いものをお借りする訳にはいきませんか?」

「驚きましたね。前にも一度、同じようなことを言われたことがあるのですが・・・私には、そのような旦那さんの心理がよくわかりません。」

「わからなくて当然だと思います。知ったかぶりする訳ではありませんが、そのようなことを好む男もいるってことです。思いがけず、見惚れてしまいそうなものをお持ちの方に巡り会えて、声をかけさせていただいたのですが、ご迷惑なら、ご縁がなかったということで、断っていただいて結構なんです。ご無理は申しません。」

「奥様って、あちらで話している女性ですか?」

「そうですが・」

「ここじゃ暗すぎて、奥様の顔もはっきりわかりませんので、あちらの方へ行きませんか。」

「いやっ、妻をこちらへ来させますよ。」

私は、妻に手招きをして、こちらの岩場の方へ呼び寄せました。

私は、妻が傍に寄ってくるのを待ち受けて、話しかけます。

「こちらの方は、先ほどサウナで一緒だった方なんだけど、またここでご一緒しっちゃって・・・N市からやってこられたそうで、先ほどから地元の温泉の話をしているんだ。」

「お互い、見知らぬ同士ですが、すっかり旦那さんと話し込んじゃって・・・・旦那さんとは、よく旅行されるんですか。」

「えぇ、二人とも旅行好きなものですから・・・仕事の合間に、都合をつけて出かけるのです。」

「そうですか。私はどちらかというと出不精で・・・・今日は出張にかこつけて、こちらまで足を伸ばして来たんです。」

「ここは、“混浴”ということで、女性の方にしてみると、ちょっと抵抗があるんじゃないですか?」

「昼間のうちならありますけど、こんな時間になると、そんなこと気にならなくなって・・・こうして、ゆったりと周りの景色を眺めていますと、本当にやってきて良かったと思いますわ。」

(いくら見知らぬ者同士と言っても、先ほど私が男にお願いしたことを、男の方から妻に言い出すことはできないだろう。私の方から、切り出さなければならない・・・)

「あのね、理香、こちらの方に打ち明けてしまったんだ・・・おまえが、この方のお眼鏡に適って・・・そして、おまえも受け入れてくれるなら、今夜のお相手を・・・と、思っているんだ。」

妻はしばらく黙っていましたが、そのうち男に向かって、

「・・・・・・そうですか。主人が、あちらの方で話し込んでいるのを見て、ひょっとしてそんな話をしているのではと、想像していました。」

「私の方も、先ほど旦那さんからお願いされたのですが、やっぱり実際に奥様の顔を見てから・・・・と思い、返事をためらっていたんです。」

「それで、妻のこと・・・・多少、盛りを過ぎていますが、お気に召していただけましたでしょうか?」

「とんでもありません。女盛りの、素敵な女性で・・・正直言いますと、旦那さんの話を聞いて、あちらに女性が数人いたでしょ?そのうちの一人がお相手だったら・・・と思っていたのです。その一人が、奥様でよかったですよ。私でよろしければ、喜んでお相手させていただきます。でも本当に、私のような行きずりの男でいいのですか?」

「主人が、もうお話したのかもしれませんが、私たち旅行に出かける前に、約束しているんです。もし、このようなことが起きたら、成行きに任せようって・・・きっと、お若い方のご期待には副えないと思いますが、主人の望み通りに、お願いできれば・」

こうして、一夜を共にすることに決まったとなると、事前に相手の男と例え二言三言でも話を交わし、互いの間を密なものにしておくことは大切なことなのでしょう。

私は、二人の距離を更に縮めようと思い、

「そうと決まったら、もう、他所よそしくする必要はないんだから・・・・理香もそのバスタオル、取っちゃったら・・・それから、そちらの方の傍に・・・何て、何てお呼びすればいいのかな?」

「平原と言います。」

「平原さんの傍に行って、お話しさせていただいたら?」

いろいろ話しているうちに、お互いの心も決まってくると思うんだけど・・・

妻は裸身を男の目に晒したまま男の傍まで歩いていって、近すぎず遠すぎずという微妙な位置に座りました。

「理香、もっと近寄って、平原さんのそれを握らせてもらったら」

「若い娘じゃなくて、つまらないかもしれませんが・・・お隣に、ご一緒させてくださいね。」

妻が男の傍に近寄ります。

男と女が、一夜の秘め事を約束し、近くで互いの裸体を晒し合っていると、傍に夫が居ても居なくても自然にそうなるのでしょうか、

平原さんが、私が望んだように、妻の手を取って手ぬぐいの下に導き寄せるのが見えました。

「・・・」

こんな場合、妻ならずとも、手の感触によりその大きさや質感がわかっても、それを見知らぬ男の前で、どう表現すればよいのか困ってしまうでしょう。

増してや男の傍には、私がいるのです。

妻は小声で何か言ったようですが、私にはよく聞こえません。

(平原さんは、この後、どうするのだろう?でも、ここで私がいらぬお節介をやけば、男も妻もやり辛いだろう。ここは黙って、口出しすることを控えよう。)

(今、岩風呂で、妻と見知らぬ男が全裸になって、互いの恥部が見える位置まで体を寄せ合っている・・・平原さんと肩寄せ合っている妻の手は、男の茎を握り、内心 その大きさに驚いているはずなんだ。男の茎は、サウナで目にした大きさより更に膨れ上がり、荒々しく勃起しているに違いない。そして、妻の表情から余裕がなくなって、固まったように眼を動かさないでいるのは・・・・?もしかして、湯けむりの下は見えないが・・・・恐らく、男の手は妻の性器にまで伸びているのかもしれない・・・)

そのうち平原さんは、妻の体をぐっと引き寄せ、唇を合わせていきました。

「ねぇ、ちょっと・・・・アレ見てっ!」

少し離れた所にいた他の女性客が騒ぎ始めました。

先程、声をかけてきた男が夫で、その妻と思しき女性が、どう見ても初対面としか思えない浴客と抱き合っているのですから・・・

その姿に、不倫の匂いを感じて当然なのでしょう。

外野の声に困惑した私は、どのようにしてこの場を切り上げようか迷いましたが、女性客にわからないように声をかけました。

「まぁ~、その続きは別室でということで・・・・平原さん、私もその部屋の中に加えてほしいのですが、よろしいですかね?」

ここまでくれば、今さら嫌とは言えないでしょう。

心から歓迎している訳はないと思いますが、平原さんは私の求めを聞き入れてくださり、私たちは露天風呂を後にしました。

湯上りでほんのり上気した白い体と、筋骨逞しいしなやかな体が合歓のときを迎えたのは、それから四十分ほど経ってからでした。

見知らぬ男に体を預ける妻にとっては、髪を整え、化粧をする時間が必要だったのです。

しばらくして、平原さんが私たちの部屋にやって来ました。

私は、せっかくの旅先での一夜が不愉快な結果に終わらないように、あるお願いをします。

「平原さん、たってのお願いがあるのですが・・・・妻はフェラが苦手なので、それだけ、お許し願えませんか?」

「はは、そうですか?誰でもセックスには、個人差がありますから・・・・そうとお聞きすれば、嫌なことはしませんよ。」

「それから、もう一つ・・・始める前に、貴男のものを間近で見させてもらえませんか。男は誰でも同じだと思いますが、私にも巨根願望がありまして・・・先程サウナでこっそり見せていただいたものを、大っぴらにしていただければ妻の心も定まると思うんですが」

「いいですよ。先程以来、旦那さんが私のものに固執されていることは何となくわかっていました。自慢するほどの物ではありませんが・」

平原さんはベッドに腰掛けて、浴衣の帯を解きながら、股間の一物を露わにしました。

包み隠していたものが取り払われ、羨望の対象のものが現れると、言いようのない興奮が襲ってきます。

目測でしかわかりませんが、裕に20cmは超えているでしょう。

既に勃起した男根は、幾筋もの血管が不整脈に走って、先端を大きく膨らませています。

そして、なめし皮のような光沢を帯びた茎には、太い裏筋が一本 縦に走り、終点で二つの滑らかな半球に分かれています。

(サウナで目にした時より、更に凄くなっている。間もなく、この途方もないものが妻の潤みの中に分け入って、媚肉の奥に収まるんだ・・・そして、その中を、この怒張したものが行き来したら・・・きっと、妻は今まで味わったことがない程の歓びに喘いでしまうんだ。)

「理香、お風呂で触ったときより、凄くなってるだろ?今夜は、その持ち主の方にすべてを任せるんだ。」

私の言葉が誘い水になったのか、妻は俯きがちに平原さんの傍に歩んでいきました。

「思いがけず旅先で、あなたのような綺麗な女性と一夜を過ごせるなんて・・・・世の中には、旦那さんのような奇特な方もいらっしゃるのですねぇ。」

平原さんと妻はベッドに腰かけたまま互いの上体を合わせ、求め合うように唇を重ねていきます。

ベッドに腰掛けた姿勢で、上体だけ捩じって抱擁していると、男の右手は自然と妻の秘部の辺りにきてしまいます。

その男の手指が、浴衣の合わせ目から中に滑り込みました。

左手で首を抱え込みながら、右手は・・・・潤んだ妻の淫裂をなぞっているのか、それとも、その中の蕾を弄っているのか、

あるいは、既に、その指尖を秘口の中に埋没させているのか、衣で隠された暗室は見えませんが、妻の口から今日初めての喘ぎが洩れてきます。

「あっ、あぁぁ・・・・・・ん」

やがて、平原さんは、妻を促し、ベッドの脇から交わりのための場所へと移ります。

平原さんが妻の腰に手を回し、浴衣の帯を解くと、身に纏っていたものが剥がれ、ショーツの白がとても淫らに見えます。

二人は、これから始める交わりを歓び多いものにすることを、誓い合うかのように、深く抱き合いました。

平原さんが妻の目を見つめているのは、先ほど妻自身が我が手で確かめたものによる貫きを、了承させるための眼差しなのかもしれません。

いつの間にか、下半身を愛撫していた指が淫孔に入っています。平原さんは、指の動きを続けながら、妻に囁きかけます。

「奥さん、どうも、私のものを頬張ることが駄目なようですから、私も貴女のものを口にしない方がいいでしょ?そのことは止めておきますから、私のものを手で弄ってもらえませんか?」

すると、その言葉に促されたかのように、妻の手が男の勃起に伸びていき・・・・

寸時も早い繋がりを待ち焦がれているような仕草で、男の印を慰め始めました。

このように男の印を愛おしむかのように愛撫している様子を見ていると、とても淫らであるはずの動作が、ごく自然なことのように思えてきます。

妻の手指の輪が男の勃起を包みますが、握ったところから幾本かの指先が覗いているところを見ると、完全には掌握しきれないようです。

その手指が、亀頭の下の窪みを擦り上げると、男の茎はさらに猛々しく強張り、先端の膨らみが大きくなっていきます。

(あぁ~、あんな風にすれば、男の茎はますます膨れ上がってしまうだろうに・・・・おまえの心は、幾度かの経験を重ねるうちに、その営みを何の抵抗もなく、ごく自然に行えるほど変わってしまったのか?)

そのうち妻は男に求められたのか、私が用意した薄膜の中心を亀頭に宛がい、丸めてあるものを茎の根元まで引き下ろしていきました。

そして、男の膝によって妻の両足が割られると、極端に膨らんだ茎が妻の下半身に添えられ、何とも言えない興奮が襲ってきます。

男の股間に揺れる茎が、妻の花芯に向かって突き入れられれば、欲情を滾らせた膨らみは否応なく妻の滑りの中に埋まってしまいます。

私以外の男から貫きを受けるその刹那、妻は決まって纏わりつくような哀願の眼差しを私に送ってきます。

この甘酸っぱい、胸苦しい疼きは何なのか?

憂いを秘めた、救いを求めるような眼差しを受けると、胸が押し潰されるような息苦しさを覚えます。

夫の醜悪な欲望の生贄として、犠牲を強いることへの贖罪の気持ち、それでいながら、男というより妻に対して嫉妬の炎を燃やす私・・・

そして、その気持ちよりも更に・・・・「瞬時の後に、妻はあの怒張しきったものによる貫きを受けるんだ。」という興奮の方が強いのです。

(もうすぐ、男のものを、あの中に受け入れてしまうんだ・・・否応なく・・・・とはわかっているが、これから先もその都度、狂おしげな眼差しを、私に送ってくれるのか?)

このような思いが頭を過った直後、平原さんは、結合を前に空けておいた空間を狭めると、丸太のように張り詰めた強張りを、淫裂の中央へ緩やかに沈めていきました。

「アッ、ああぁぁ・・・・・・ちょっと待ってぇ」

私のものよりも一回り大きい、妻にとっては予想をはるかに超えた巨根を受け入れたにもかかわらず、女性器は、左程の痛みを感じていない様に見えました。

「大丈夫です。もう入りましたから。徐々に馴染んでいくはずですから、ゆったりとして、体を私に預けてください。」

平原さんは、パートナーに安心感をもってもらえるように・・・・

しばらく小刻みな律動を加えながら、膣内から溢れてくる潤みの助けを借りて、巨大なものを奥にまで侵入させていきます。

一進一退の動きを繰り返しているうちに、平原さんの肉茎は、徐々に妻の膣奥深く滑っていって、やがてその三分の二くらいの長さのところで止まったようです。

傍目から見ても、あの大きなものの大半が、膣内に収まってしまっていることがわかります。

女性器に埋もれていた巨大な茎が、じわじわと淫肉を押し分けながら引き抜かれ・・・

そして再び、途方もないものが壺口に呑み込まれてしまう様子を目にすると、胸の鼓動が高まり、思わず妻に声をかけてしまいます。

「どうしたの?苦しいの?」

「ぅん・・・苦し・・・っ!大っきすぎて・・・」

今まで、妻の膣内に入ったことのない大きさのものが挿入されているのですから、当然なのでしょう。

ようやく奥まで入った強張りが、今度はまたゆっくりと引き抜かれ、そしてまた挿入・・・その都度、少しずつ快感が積もっていきます。

それでも平原さんは、女の器が飽和状態で、刺突がある一定のところで遮られることを意にも留めず、ごく普通のビートで貫きます。

「どうです?少しずつ、気持ちよくなってくるでしょ?まだまだ、時間がありますから、たっぷり楽しんでください。」

「あっ、ああぁぁ・・・・・・また、大きいのが入ってくるぅ~」

「まだ全部っていう訳じゃないですけど・・・・入っているところを、手で触ってみませんか?」

男の言葉通り、妻は人差し指と中指の間を広げて、男のものが自分の中に入っていることを確かめたようとしたようですが・・・・

指では扱い切れず、手のひらで握ることによって確かめます。

「あぁ・・・・・・入ってる・・・・いっぱいに入ってる~ぅ・・・」

「どうしましょう?もう少し先まで進みましょうか?このまま、続けましょうか?」

「ああぁ~・・・凄いのぉ・・・・・・こわいわ・・・・でも、もうちょっとだけ」

男の貫きが深くなるに従い、露わになっている茎の部分が段々と隠れていきます。

一体、女性器というものは、どれほどの伸縮性と柔らかさを持っているのでしょうか。

目測でしかわかりませんが、どう見ても妻の器は、巨根の膨大な容積を収めきっているとしか思えないのです。

物理的に考えれば、その先は腹腔にまで届いているはずですが・・・・多分、男の茎も奥深い所で遮られ、途中で圧縮されているに違いありません。

陰茎が、ラビアに囲まれた媚肉の中を往復し、ほとんど茎の根元が恥骨に行き当たり・・・・

それ以上入るのが不可能な状態になると、妻の口から喘ぎの声が漏れてきます。

「ああぁぁ・・・・・・奥にあたる~ぅ、いっぱい、いっぱいよ~ぅ」

「奥さん、気持ちいいんですか?」

交わりの中で、男の陰嚢と女の秘部がふれ合う音でしょうか、「ぴちゃ、ぴちゃ」という淫らな音が響いてきます。

こんな音を聞くとなお更、膣洞が、茎の全長を受け入れてしまったことを実感します。

そのうち妻は両足を平原さんの腰に回し、交接部の距離を縮めるように、自らも腰を振り始めました。

妻は体の奥底から湧きあがる歓びを抑えられなくなってきたのでしょうか、その動作を行うことにより、男との股間がぶつかり合うことを厭いません。

「ああぁ・・・・・・はぁぁ~あぁ・・・・・・ん」

(本当に、大丈夫なのだろうか?あんな乱暴に腰を振れば、奥の奥まで男の茎が突き込まれてしまうだろうに・・・)

(男のカリ首が、勢いを持って女の深奥へ突き込まれ、そして膣壁を擦ることによって、めくるめく快感が襲ってくることを・・・・妻は願っているんだ。男の私では、今、おまえの体を噴き上げる快感がわかるはずもないが・・・・そんなに気持ちよいものなのか・・・・?)

そのうち、平原さんは交わりを中断し、妻を起き上がらせました。どうも、妻に、騎馬位でのセックスを求めたようです。

妻は男と相向かいになり、仰臥している男の股間から屹立する肉茎に跨ると、自らのものを秘口に宛がいました。

(あぁ~何て表現すればよいのか・・・・私が見惚れた巨茎が⊥字になって、妻の腰のくびれにまで届かんばかりにそそり立っている。私のものとは遺伝子が違う、欲情の塊を・・・・妻自身が、愛おしそうに自らの中に収めてしまう姿こそ、私が待ち望んでいたものではなかったのか?)

妻がМ字の姿勢で屹立したものに腰を降ろすと、それは、徐々に妻の淫孔の中へじゅぶじゅぶと埋没していきました。

「あぁ・・・・・・また、入っちゃう・・・・あっ、ああぁ~」

淫孔が目いっぱいに開いて、男の茎を吸い寄せるように呑み込んでいきます。

後ろから見ていると、結合部からぬるぬるした淫液が、余りにもの容積がある肉茎に押し出されて溢れ出てくるのがわかります。

秘唇が押し広げられ、妻が緩やかに腰を沈めると・・・やがて、男の肉棒が、ほぼ根元まで埋まりました。

男の股間に跨って、上下の動きをし易いように、M字に開ききった妻の両脚がとても淫らに見えます。

先程の交わりの余熱を保ちながら、徐々に快感を蓄えてきた妻は我慢しきれなくなったのでしょうか、再び、自分から腰を振り出しました。

ゆっくりと腰を上下させると、ぬらぬら濡れ光る男の肉棒が、秘孔から現れたり消えたりします。

すると、欲情の膨らみが膣壁を擦り上げて、快感の火種に勢いをつけてくれます。

「あぁぁ・・・・・・うっ、うぅぅ・・・・あぁぁ・・・・・・気持ちいい・・・」

男の上に跨りながら、更なる快感を期待して数回腰を沈ませると、それは痺れるような快感に増幅され・・・・

更なる、圧倒的な快感が押し寄せることを期待して、腰を振り続けます。

そのうち、平原さんも妻の動きに呼応するかのように、下から激しくピストン運動をし始めました。

男の茎が、上方の淫孔に向かって突き上げられると、さすがに妻の方もその動きに合わせるように腰を沈めることはできません。

下からの刺突は、勃起の先端が膣奥にまで行き届いて、そこで遮られることによって、ようやく制止します。

このような貫きを連続して受けている訳ですから、女体の深みから、ぼぉ~と火がつくような快感が湧いてきても・・・・

ゆっくり官能を貪る余裕がなくなって、絶頂を迎えるときが格段に早くなってしまいます。

「あっ~ん、いっ、いぃ・・・くっ・・・うぅ・・・・・・あぁぁ・・・」

平原さんの勃起の裏側を走る筋が太くなって、ターゲットを抜き刺しするスラストが段々と速くなっていきました。

女陰に打ち込まれた茎は一旦抜き出され、露わになったカリ首は次の勢いをもって、淫唇に囲まれた媚肉に突き込まれていきます。

しばらくすると、

「あぁぁ・・・・・・だめぇ~イッて、しまう・・・・・・ああぁぁぁ」

絶頂がすぐそこまで来ていることを告げる、妻の歓喜の叫びがあがりました。

すると、平原さんは、下からの突き上げを中断して起き上がり、妻の腰のくびれに手を添えて、両手で妻の体を持ち上げるようにして横たえると・・・・

再び、正常位の姿勢に戻りました。

そして、妻の両脚を肩に掛けると、より深い貫きが可能な体位に変わります。

逞しい二の腕を腕立て伏せをするように畳に突っ張らせると、自然に女の両脚が屈められ、随分と窮屈な姿勢になってしまいます。

そして、平原さんは腹筋に力を入れて、その持ち物の長さと同じくらいの距離を空けて、勢いよく女陰に向かって刺突を始めました。

二人の交わりの接点が見えなくなった私は、場所を移動して、男の後ろ1Mくらいの位置に近寄ります。

幾筋もの血管を浮き彫りにし、裏筋の管を大きく膨らませた平原さんの勃起が、フィルムの早送りのように、間断なく女陰の中に、埋め込まれては現れ、現れてはまた消えていきます。

秘口の強靭な肉襞は柔軟に伸びて、男の茎を愛おしむかのように、すべての長さを呑み込もうとします。

「あぁっ・・・だめっ、あぁぁん、いぃぃ・・・・・・あなた、見てるんでしょ・・・・もう、構わない・・・・どうなってもいいの」

「そうかっ、出されるところを、旦那に見てほしいんだな!」

妻の頭を真っ白にさせるほどの抜き差しが、頂きに向かって激しさを増していくと、女体は快楽の淵に堕ちていきます。

妻は全身を激しく震わせながら平原さんの背中を抱きしめ、何回イッても構わないような、極限の状態になってきたようです。

平原さんが全精力を込めてスラストしていることから、このまま射精の瞬間を迎えることがわかるのでしょう、深く折り曲げられた体を男に預けて、喜悦を運んでくれる男の貫きを余すところなく受け入れます。

「ああぁぁっ・・・・・・逝ってぇ・・・・・・もう、イってぇ」

(ああ・・・・もうすぐだ・・・もう僅かな時の後、私が恋い焦がれた巨根の先から、私のものとは違った男の精が、妻の膣奥深く噴き出るんだ・・・)

「あぁ~出そうだ・・・・!出しますよ、出します」

「あぁぁ~ください・・・・早く出してぇ」

平原さんは思いっきり腰を落とすと、最後の一突を妻の最深部へ送り込み、ドク、ドクッと、胎内に男の精を注ぎ込んだようです。

(今、このエクスタシーの瞬間、妻の子宮は、男の精を最も受け入れ易い角度に口を広げて・・・喜悦の終焉を惜しむかのように、膣奥深く放たれた精の飛沫を吸い取ろうとしているんだ・・)

「ああぁぁあっ・・・」

出会ったばかりの他人の精の噴走りを、気が遠くなるほど擦り上げられた膣壁で受け止めながら、悦びの声を放つ妻・・・・・・

交わりを終えた後の妻の体が、ピクッ、ピクッと小さく反応しています。その後も、妻の手は、尚も快楽の余韻に浸るように、男の体を離しません。

失神しているのではないと思いますが、なおもピストンされているように錯覚を覚えているのでしょうか。

妻として耐えられないような酷い仕打ちを、夫の切なる願いとして受け入れて、私に求められるまま、見知らぬ男に体を預け切ってくれた妻の姿を見ていると、溢れんばかりの愛おしさがこみ上げてきます。

(おまえは、私の申し出を受け入れ、行きずりの男との交わりに悦びの声をあげてくれた・・・・その喘ぎそのものが、私が求める女の姿になりきろうとしてくれた・・・・私への愛なんだ。)

(しかしながら、愛とは・・・・それが燦々と煌めいている間は確かに強いものであるけれども、色あせやすく、これほど不確かなものもないんだ。本人は「二人の約束」と割り切って、家に帰ればまた普通の暮らしが待っていると思っているのかもしれないが、自分に絶頂をもたらしてくれる男に惹かれ、心を寄せてしまうのが女の性なんだ。やがていつか、その男が誰になるかはわからないが・・・・男との交わりの中で、私への背徳の陰がまったく見えないような時が訪れるのかもしれない・・・)

喫茶店のマスター
愛する妻を他人に・・・背徳の陰に引き摺られながらも、体を噴き上げる悦びをこらえ切れず、夫の傍でよがりの声を洩らしてしまう妻・・・

このような妻の姿を追い求めて、私はあてどない放蕩の旅を続けます。

「妻を貫いた他人棒」の長編をお届けします。

【人形教室】

妻を他人に抱いてもらう私たちの体験はまだ浅いのですが、数回目の体験の入り口は、私の方からではなく、妻の方から差し出されました。

愛する妻を、私以外の男に抱いてもらうという特異な体験を続けていると、このようなケースが出てきても当然なのでしょう。

いつか、そのような日が訪れてくると思っていました。

ここ一月ばかりの間、私には、気になることがありました。

二人きりの毎日で、いつもと変わらず忙しそうに台所を動き回っているエプロン姿を見るのは嬉しいのですが・・・・

何だか妻の姿の中に、はしゃぐようなところ、冗談を言いながらクスッと笑うようなところが見られなくなってきたのです。

妻は手料理の他に、パッチワークや手芸も好きなようで、勤めの息抜きのためなのでしょうか、人形づくり教室と料理教室に通っています。

ほぼ毎週土曜日になると、車を一時間半ばかり走らせて、少し離れたある町の人形教室に出かけるのです。

それで、そのことなのですが、人形教室に行く土曜日の朝になると、何だか憂鬱そうな顔をして出かけるようになりました。

そして、帰宅も、それまでよりは二時間ばかり早くなることが何度かありました。

別に、厚化粧をし、色濃い服を着飾って出て行く訳でもありませんし、早く帰ってくれることは、夫にとって嬉しいはずです。

でも、何だか変だなあと思っていました。

「何だか、オレに聞いてほしいことがあるんじゃない?土曜日になると、ちょっと変だよ。」

どきっとしたように驚いた妻が、私の顔を見つめました。

「そうかなあ?そんな風に見える?」

「見えるさ。お互い約束しただろう。何でも隠し事をしないって・・・何度もおまえに、かわいそうなことをさせたんだから・・・・たまにはオレが力になってあげるよ。」

話そうかどうか、しばらく思い迷っていた妻はおもむろに切り出しました。

「その、『かわいそうなこと』と、関係あるの。わたし、今、ある男性から言い寄られていて、それを断ってはいるんだけど・・・・だんだん気まずくなっていくの。」

「・・・どうして?別に、断るんだったら、気まずくなっても構わないんじゃない?」

「う~ん、違うの。私が通っている人形教室で仲良しの子が二人いて・・・教室に通っているのも、半分はそのお友達とのおしゃべりが楽しくて通っているようなものなの。」

「それで・・・・?」

「それでね、帰り際になるといつも三人そろって、近くの喫茶店でおしゃべりの続きをするんだけど・・・・私に言い寄ってきたのは、そこのマスターなの。三人で一緒に行く回数も段々減ってきて・・・・友達が私に言うの。『どうして、一緒に来ないの?』って。そんなちょっとしたことで、最近 友達との関係が気まずくなってきたの。」

「そうか・・・・おまえの友達が変だと思うのは、当然だろうな。それで、おまえはそのことを友達に言ったのか?」

「まさか・・・・そんなこと、言える訳ないじゃない・・・・?」

「その喫茶店は、何ていう名前なんだ?それから、おまえはそのマスターのことをどう思っているんだ?」

「新町の“金木犀”というお店なの。わたし、人形教室が終わって、その後4時からまた、料理教室に行かなければならないことは、あなたも知っているでしょ?その間、時々、一人で時間を過ごす時があるの。」

妻は友達がいい時間になると帰ってしまうこと、料理教室が始まる時間までしばらく待たなければならないこと、そんな時、マスターが妻の話し相手になってくれることを話してくれました。

思いがけず、マスターから告白されて、一応は断ったもののその後の態度を曖昧にしているうちに、お店に行き辛くなり、料理教室も欠席しているようです。

妻から思いがけない告白をされた私は、この顛末をどうつけたらいいか、思いあぐねてしまいます。

今、私が一番気になるのは、妻がその男のことをどう思っているのかということです。

妻の友達関係の方は、私の返答次第で修復されるでしょう。

「態度を曖昧にしている」という心情は、女の性が受け身である以上、仕方がないことなのかもしれませんが、妻の心が幾分その男に傾いていっていることを表しています。

(これは、今すぐ結論を出すようなことじゃないな。)

「悪いんだけど、時間をくれないか。そんなに長くじゃないんだ。あさっての夜に、オレの気持ちを伝えるから、待ってほしいんだ・」

その夜、褥の中で、乱れる心を整理します。

先ず、妻が私の問いかけに対して、その一瞬こそは驚愕の表情を示しましたが、素直に自分の心を打ち明けてくれたことをとても嬉しく思います。

こんなことは、やろうと思えば、私に黙って自分の意思で行えることです。

それを、はっきりと私に告げてくれた妻に、深い信頼を覚えます。

(妻の心をしっかり確かめた上で、妻がそのことを望んでいるのなら、その通りにしてあげよう。)

まだ、整理しなければならないことが残っています。

二つ目に、仮に妻が男に抱かれるとして・・・・妻を男が待ち受けている所へ送り出すのか、それともこれまでと同じように、私が見ている前でセックスしてもらうのか、果てまた、男は私の申し出を受け入れるのか・・・?

妻の貸し出し・・・・私は、これまでに経験したことがありません。

多分・・・・良人が傍にいないという点で、夫への背信の陰は随分と薄くなり、悦びの度合いは格段に増すのかもしれません。

でも、一旦この行為を始めてしまうと歯止めが利かず、同じような行為を繰り返すようになる危険性があります。

このことは、私が「寝取らせ」という禁断の世界に踏み込んでからこれまでに至った経過を思えば、確実なことのように思えます。

また、妻が感じる悦びには及びませんが、自分が妻の傍にいて、妻と同じように興奮してこそ満足できるのです。

多分・・・・妻から事後報告を受けても、ビデオで再生しても、交わりの臨場感や焼けるような嫉妬は感じないように思えます。

そして何より、このような経験を重ねるごとに少しずつ変わっていっている妻を、更に変わってしまう可能性が高い状況に放り出して・・・

それから、妻を私の元に繋ぎ止めておくために、彼女を愛おしむ深甚の努力を続けていく自信もありません。

(貸し出しは、止めよう。男にこのことを了承してもらって・・・・そのことがうまく運ばなかったら、妻に言い聞かせて諦めさせよう。)

三つ目に、男と妻との営みを夫が傍で見守りたいという常識では考えられないことを、どうしてその男に伝えるのか?

このような異常な願望を、まだ男への返答を生半可にしている妻に伝えさせるのは、余りにも酷すぎます。

(やっぱり、その男には、直接私が足を運んで伝えよう。そして、話がどう転ぶかわからないけれど・・・もし、男がそのことを受け入れるならば、男が願っている妻とのセックスを一夜限りにしてほしいことも頼もう。)

(一度、私の眼で、その男のことを確かめる必要があるな。明日、こっそりその店を訪れてみよう。)

“金木犀”その店は、繁華街に面する横通りにありました。

洒落た造りのドアを空けると、ベスト姿で温かく客を迎え入れているマスターの姿が目に留まりました。

がっしりした筋肉質の体形で、日焼け顔がにっこり微笑むと、白い歯がこぼれます。

(外見からしかわからないが、これだったら妻が心を傾けても無理はないな。)

お店の造りは木造で、その羽目板には、彼が登山をした時の写真が数多く並べられています。

(山男なんだ・・・・自然を愛する男は、女への愛も細やかなのかもしれない。)

(この時間帯は、お客が少なくて、割と暇そうだな。)

それだけ確かめてから、私は、努めて印象が残らないように、隅っこの席でコーヒーを飲み終え、静かに店から出ていきました。

(もしかして・・・・いや、多分・・・・再びこの男に会って、あからさまなことをお願いする場面が訪れてくるのだろう。)

日が明けて、妻が男に抱いている気持ちを確かめ、私の返答を妻に伝える時を迎えます。

でも、一つだけ、心配なことがあります。

もし妻が、「男と二人だけで過ごさせて・」と言った時、彼女を納得させるだけのものが用意されていません。

「今日は、オレがおしゃべりしなければならない番だな。そのマスターへの返事が、凄く曖昧になっているような気がするんだけど・・・その男性のこと、どう思っているの?」

「もちろん、初めて告げられた時はびっくりして断ったわ。でも、2~3回、同じように求められると、だんだん気の毒というか、申し訳ないような気がしてきて・」

「おい、おいっ、申し訳ないのは、オレに対してだろ?それで、そのマスターのこと、好きなのか?」

「とてもいい男性よ。話していると楽しくて、時間を持て余すようなことはなかったわ。『好きか、嫌いか?』って聞かれると、『好きよ』って、答えるわ。」

それから妻はそのマスターとの話の内容を語ってくれました。

辻本が、名峰として知られる山々を踏破した体験を話したり、逆に妻が、得意分野であるダイエット料理やハーブの栽培の仕方について教えてあげたり・・・・

互いの趣味に関する話が楽しいということでした。

「それで、その男とセックスしたいのか。」

「うう~ん、そうじゃない。私の方から求めて、辻本さんに抱かれたいとは思わない。これは本当よ。打ち明けられて、お断りして・・・・その後また求められてどうしたらいいか困っているから、思い切ってあなたに打ち明けたの。」

「その男は、辻本という名前なのか。オレも昨晩、ずっと考えたんだけど・・・・これまで随分おまえを苦しめてきたと思うんだ。おまえが、そのことを望んでいるなら、オレに応えてくれた時と同じように、おまえの望みを叶えてあげたいんだ。」

「ちょっと、待って。今、『わたしの望み』って言ったけど、正直言ってそこまではいってないの。ただ、わたし達夫婦でしょ?この前、あなたがわたしに頼んだとき、わたしが答えたわ。今度のことは、わたしがあなたに頼んでいる訳ではないけれど・・・・打ち明けられた方が、決めるべきだと思うの。」

「実は、昨日、そのお店に行ってみたんだ。マスターのこともしっかり見てきたよ。なかなか素敵な男性じゃない?おまえの心の中に、『好きよ』って思いが少しでもあるのなら、抱いてもらって、いいよ。」

「それからさぁ~、こんなこと、オレから仕向けたことで、言えた義理ではないんだけど・・・・おまえが他の男に抱かれて感じてしまう姿を見る度に、こんなことに嵌ってしまったら・・・・と、心配してしまうんだ。」

「あなたの思いが、よくわかんないんだけど・・・・わたしに、そうなってほしいんじゃないの?」

「確かに、おまえのそのような姿を求めながら、それでいて、ハマってほしくないなんて・・・・言ってることが矛盾していることは、自分でもわかってるんだ!でも、約束して欲しいんだ。マスターに抱いてもらうのは、一度だけってことを。」

「わかった・・・・あなたが、そう決めたのなら・・・・・・でも、これだけは信じてね。そのときになると舞い上がってしまって、わからなくなってしまうんだけど・・・・あなたへの気持ちは、変わらないってことを」

それから、私は妻に、自分が“金木犀”に行って、きちんとマスターに話してくることを伝えました。

その後、妻が私を見つめながらおもむろに言い出しました。

それは、私が最も心配していたことでした。

「あなた、わたし、どうすればいいの?これまでと違って、辻本さんと二人だけになるの?」

「おまえに任せるよ。」「おまえ自身は、どうしたいの?」なんて言葉は、愛する妻に対する不実です。

妻に、恥じらいと慎ましさを身に包んだ姿のままでいてほしいのなら、独りで出かけることを止めてほしいと、はっきり伝えなければなりません。

「これは、『できたら・・・・』ではなくて、『絶対に、』男と二人だけでセックスして欲しくないんだ。やっぱりオレは、その最中におまえの傍にいたいんだ・」

「よかった・・・・あなたが『わたしに任せる』って言うんじゃないかと、びくびくしていたんだ・・・・はっきり、そう言ってくれて、嬉しい・」

「済まないんだけど、オレがそのことを男に話して、もし断られたら、このことをきっぱり諦めて欲しいんだ。」

「うん、そうなったら、わたし・・・・人形教室を辞める。」

こうして、妻からの告白は、曖昧なものではなくなって、具体的な詰めを伴って実行に向かうことになりました。

最後にひとつ、妻の心を確かめてみたくなります。

「これは仮の話だけど、もしオレが、『その男と、二人だけでセックスしてもいいよ』って言ったら、どうするつもりだったの?」

「それは、あなたに傍にいて欲しいけど、あなたがそう言うのだったら、多分出かけると思う・・・だって、わたしの夫であるあなたが、そうしたがっているんだから・」

(やっぱり・・・・これから先も、このようなことを続けるごとに、妻は少しずつ変わっていくんだ・・・・ふしだらなことを妻に求めつつ、彼女の心の変容を小さなものに食い止めるには、それ相応の努力が必要なんだ・・・)

【喫茶店のマスター】

その後しばらく経って、男の店を訪れてその本心を確かめ、彼の望み通りに妻を抱いてもらってもいいことを伝える日を迎えました。

予め、電話で名前を名乗り、こちらが伺うことを告げると、マスターは狼狽してしまうでしょう。

普通のお客さんのようにカウンターに座り、頃合いを見計らっておもむろに切り出す・・・・というのが自然な流れのように思えます。

その日の昼下がり・・・・“金木犀”の店内に、この前と同じように焙煎機を動かしているマスターの姿がありました。

コーヒーの半分ほどを空けた私は、手が空いたマスターに向かって、切り出しました。

「ちょっと、よろしいですか?妻が、時々このお店でお世話になっているのですが・・・・その夫の小野と申します。」

突然のことで、そして「妻」「夫」という言葉の響きにどきっとしたのでしょうか、怪訝そうな顔で、私を見つめます。

「実はですね、こんな所でお話しすることではないと思うのですが、お電話をすると返ってあなたを驚かせると思って・・・・何もご連絡せず、突然お伺いしたのです。実は、妻のことについて、お話したいのです。」

私が、話を折り目正しく始めたからなのでしょうか、マスターは話の冒頭部分だけを聞いて、何かを察知したようです。

「失礼ですが、ちょっと、お待ちいただけませんか?」

見ていると、マスターは何事か、若い女の子に頼んでいます。

きっと、込み入った話があるので、すべて任せることを頼んでいるのでしょう

「どうぞ、こちらの方でお話を伺わせていただきます。」

マスターと私は、お店を抜けて、建物の別口から応接室に入りました。

「私、このような者でして・」

名刺を手渡します。

じっと見入っていたマスターが、弾けるような笑顔で答えます。

「いやぁ~驚きました。理香さんのご主人さんですか。まさか、ご主人がお見えになるなんて・」

私は、男の明るさにびっくりしてしまいました。大概こんな場合は、申し訳無さそうにとか、照れくさそうに・・・・というのが通例です。

「妻から、大体の話は聞いたのですが・・・・今日は、あなたの本心をお聞かせいただきたいと思ってやってきました。

それで、妻のこと、好きなのですか?」

「いやぁ~、困りました。ご主人を前にして言いにくいのですが・・・・そうでないと、そんなことしません。」

続いてマスターは、ちょうど店が暇になりそうな時間帯に、妻とその仲間がやってくること、一人になって、本を読んだり、しばしの間編み物をしたりしている姿を見かけること、そして、そんな時、邪魔にならない程度に話し相手になっていることを語ってくれました。

「そうですか。そんなことしてるんだ・」

(ずっと前に、プレゼントしてくれた手編みのセーターは、こんな時間を利用して編んでいたのか・・)

「いつも一緒に過ごしているご主人にはわからないかもしれませんが、素敵な女性が俯いて編み棒を動かしている姿を見たら、誰だって声をかけたくなりますよ。幾度か話しているうちに、奥様の魅力にたまらなくなってしまいました。」

そしてマスターは、妻に魅かれる理由が、容姿や仕草だけではなく、相手の話にじっと耳を傾けたり、そして、時々にっこり微笑みながら頷いたり、その心遣いや優しさにあることを話してくれました。

(単に、妻の体を求めているだけじゃないんだ。女の品性を見る目も持っているのかもしれない。)

「わかりました。それで、あなたが望んでおられること、どうされますか?」

「どうされますかって?もちろん、きっぱり諦めます。修羅場は嫌ですから。まさか、旦那様が来られるなんて、想定外でした。」

そして、マスターは、妻に2~3回そのことを迫ってから、しばらく姿を見なかったので心配していたことなども話してくれました。

「あんな素敵な女性とだったら・・・・と思ったのです。決して、彼女と火遊びを楽しむつもりだったのではありません。でも、結果として、ご主人と奥様にご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫びいたします。」

マスターは、椅子から立ち上がり、深々と頭を下げました。

「そんなこと、なさらないで下さい。お詫びしていただかなくていいんです。私の方から、お願いしたいのです。」

「えっ、・・・・おっしゃっていることが、よくわからないのですが・・・・?」

「妻を、貴方に抱いてほしいのです。私も妻から打ち明けられて・・・・当然のことながら、その男の人をどう思っているのか確かめますよね。その時の妻の返事が、貴方を求めている訳ではないのですが、好意を持っていることは確かなんです。」

「妻と二人で話し合った結果、私は、貴方に妻を抱いてもらうことを決心したんです。」

マスターは、訝しそうに私の顔を見ながら、「そんなことお聞きしますと、びっくりしますよ。何か、特別な事情がおありなのですか?」と尋ねてきました。

「妻を愛していることは間違いないのですが、私にはちょっと変わった癖がありまして・」

この後しばらく、私は、妻を他人に抱いてもらうことに密かな喜びを覚える自分の性癖のことについて話しました。

「そんなことを思っている男の妻でよろしければ、抱いてやっていただけますか?」

「そうですか。そんな方が稀にいらっしゃるとは聞いてはいたのですが、心の内をはっきり言っていただいて・・・・私の心も決まりました。そんな話を聞いたからといって、私が心変わりする程度の奥様ではありませんよ。私の方こそお願いします。」

「ところで、一つお願いがあるのですが・・・・もし、受け入れていただけるのなら、貴方と妻がいる部屋に私も加えてほしいのです。」

「えっ、『小野さんも一緒に』と、言いますと・・・・つまり、3Pをするということですか?」

「いやっ、そうじゃないんです。私は、ただ貴方と妻の行為を傍から見ているだけでいいんです。」

マスターは、ほんのしばらく私から目を離しましたが、すぐに・・・・

「わかりました。小野さんが耐え難いことを忍んで、奥様を私に預けて下さるのですから、そのことを思うと、承知しない訳にはいかないでしょう。」

ちょっと時間が経っていますが、私は再びマスターに会って、房事の決め事や条件などを話し合うつもりはありません。

この機会に、肝心なところだけは決めておきたいと思って、マスターに話します。

「もう一つ、お願いしたいことがあるのですが・・・・今後のことについて約束していただきたいのです。妻とは、一夜限りにしていただけませんか?」

「わかりました。元々、小野さんが私の店に来られて、その話をされ始めた時から諦めようと思っていました。なり行きとは言え、奥様を抱かせていただけるなんて、思ってもみませんでした。奥様にとっては、“不倫”をすることになるのですから・・・・そんなこと、何度も求められませんよ。」

この後、私とマスターは、避妊のこと、妻が嫌がることはしないこと、そして、その行為が行われている間、私は自由にしていいことや、マスターが、妻のことを“理香さん”と呼んでも構わないことなどを確認しました。

最後にそれとなく、妻にフェラを要求しても、彼女がそれに応えてくれないことを伝えておきました。

「これから、ご連絡しなければならないことが出てくると思いますので、携帯の番号をお願いできませんか。」

こうして、綿密とは言えませんが、粗方の打ち合わせが終わって、妻のほのかな願いと言うより、私の醜悪な欲望が、実現に向かって走り出しました。

「小野さん、奥様とのことが終わってから、『これまでと同じように、いつでも私のお店に来て下さい』って、言うつもりなんですけど、よろしいですかね?」

(多分、また友達と一緒に出かけるだろう。しかし、例え一夜の不倫であっても、褥を共にした男と、その後何事もなかったように平静に振舞えるのだろうか。例えひと時でも、身体が馴染んでしまったら、男の誘いを拒めなくなってしまうのではないのだろうか。それとも、どんなに体の相性が合っても、限りなく淫靡な絡み合いの中で歓喜の時を過ごしても、そのことが終わってみれば、さっぱりとして、ただの知り合いの男女に戻れると言うのか?まあ、それは、それからのことだ。このようなことを行うのだから、最悪の場合、妻が私を選ぶのか、この男を選ぶのか・・・・最終局面を迎えるくらいのことは覚悟しなければならないんだ・・・今は、この男を信じよう。)

【居たたまれぬひと時】

三人で軽食を済ませた後、私たちは予約したホテルに到着します。

今日は小雨で、暗がりの中にどんよりとした雲が垂れ込めています。

(妻の心の中は、あの澱んだ雲のように沈んでいるのだろうか、それとも外のネオンのようにきらめいているのだろうか・・・・?)

ホテルでチェックを済ませた後、私たちは交わりを行う部屋に入り、その時が訪れてくるのを待ちます。

妻がコートを脱ぐと、それと知れたところに、食い込むようにフィットしている“ピタッツ”の横しわが目に入ってきます。

(もうすぐ、おまえは、その下に包み隠している艶めかしいものを男の目に晒し、奥深いところで男の精を受け入れてしまうのか・・・・?)

妻がシャワーを浴びて戻ってきましたが、ストレッチパンツがスカートに変わっただけで、平装のままです。

ホテルの寝巻は、不恰好なので身につける気がしないのでしょう。

三人揃ったところで、私が知った風な顔をして、ルームサービスのワインを用意します。

「ちょっと、ゆっくりしませんか。まだ、慌てなくてもいいでしょう。」

こんな場合、互いに見知らぬ間柄ならすぐにそのことを始めるのでしょうが、僅かでも顔見知りであれば、お互いの間をもっと細やかなものに・・・・と、思ってしまうのです。

「辻本さん、こんな妻の実態を知って、がっかりされたんじゃないですか?」

「いやぁ、そんなことありませんよ。私も一応、その眼はもっているつもりで、誰にでも声をかけている訳ではありません。ご主人には申し訳ないのですが、今までずっと想っていたことが叶って・・・・嬉しいですよ。」

「私たちの場合は、まだこんな経験は浅いのですが、辻本さんは人妻との経験を何回かしておられるのですか?」

「私も同じようなものでして、そんなに達者な方じゃありません。よく、登山をするのですが、山から降りてくると無性に人肌恋しくなる時があるのです。でも、だからと言って奥様にモーションかけた訳ではないですよ。」

「そんな風に言っていただいて・・・・理香、女冥利に尽きるんじゃない・・・・?今夜は思いっきり」

妻は二人の会話を聞きながら、じっと下を向いて居たたまれないような表情をしています。

それはそうなのでしょう。

自分のことが話題にされて・・・

いつも閨を共にしている男と自分が好意を寄せる男、愛おしい男二人が話し合っているのですから・・・

(どうもオレは、妻に、とても酷いことをしているようだ・・・・話の中に入ったとしても、妻はどちらの言葉にも相槌を打てないじゃないか。)

「妻に、惨めな思いをさせたくありませんので、そろそろ始めていただけませんか?」

妻は私の言葉に促されたかのように、辻本に手を取られ、テーブルからベッドの方へ歩んでいきました。

無言のまま私から離れていく妻の姿を見ていると、三人で過ごした僅かな時間が、居たたまれぬひと時であったことがわかります。

【小さな意地悪】

白色灯の下に立ったまま、辻本の手が優しく妻を抱きしめます。

すると、妻の両手は、ちょうど逆手懸垂をする時のように、辻本の脇の下を通って肩に届きます。

そんな風に深く抱き合うと、妻の乳房が男の胸に押し付けられて、辻物の膨らんだものも妻の股間に密着してしまいます。

妻はそれまで耐えてきたものを吐き出すように、顔を交差させながら男の唇を求めていきました。

辻本の右手も、それに応えるかのように、妻の髪を優しく撫で降ろします。

瞼を閉じてうっとりとしている妻の姿を見ていると、これから始まる私以外の男との合歓に、胸をときめかせているのかもしれません。

舌を絡み合わせ、酔いしれているような表情を見ていると、妻がその男と褥を共にすることが嫌ではなかったことがわかります。

そのうち辻本は、妻の前に跪くようにして、ブラウスのボタンを一つひとつ丁寧に外していきました。

ぷっくり膨らんだ乳房が露わになり、辻本は首筋から乳房へと舌を這わせ、乳首を優しく吸い上げます。

「あっ、あぁ~ん・・・・・・・」

最近、夫からはしてもらったことがない 忘れかけていた愛撫を、他の男からされているのですから、妻が感じないはずがありません。

やがて、辻本の手がスカートの中に入っていきました。

衣で隠された内部の動きはわかりませんが、多分、その手はショーツの脇をすりぬけて、妻の秘部へ伸ばされているはずです。

彼の指先が淫裂の連なりをなぞっているのでしょうか、妻の両手が辻本の頭を抱きかかえ、うなじが後ろに反っていきます。

「さあ、理香さん、あちらのベッドに行きましょう。」

妻と辻本は、部屋の中央から、二人の交わりのためのベッドに移ります。

辻本がブラウス、ブラを剥いでいくと、妻がスカートを脱ぎ、最後に残った白いショーツが、とても眩しく見えます。

そのうち二人は、柔らかな曲線と硬い直線の肢体を重ね合わせ、倒れこむようにベッドに崩れていきました。

すると、妻はこれから始まる愛おしい男との交わりを待ち焦がれるような仕草で、自分からショーツを脱いでいきました。

辻本は、連れ添うように横になっている妻をしっかりと抱きしめ、体を密着させていきます。

こんな風に抱きしめられると、肌と肌が触れ合う部分が大きくなり、妻の乳房の体温までもが辻本に伝わっていくはずです。

逞しい男の肌の温もり、これから始まる秘め事への期待と不安、私に見られている背徳の心持ちなどが作用して、妻の心はときめいているに違いありません。

「ここが、いつもご主人を喜ばせてあげているところですか?」

辻本は、女の経線をゆっくりと押し広げながら、自分が貫く予定のものを確かめるように眺めています。

まるで、私から強奪し、我が物にした戦利品の品定めをするような眼差しで・・・・

閨の中でしか見せたことがない妻のプライベートな部分が、見ず知らずの男の眼に晒されている姿を見ると、妻自身の羞恥もさることながら、夫という私の存在が冒涜されているような気がして、不愉快な気分になってきます。

でも仮に、私に、妻の他に誰か好きな女性ができたとして、その女性の印を眼にするとき、それを所有する連れ合いに、小さな嫉妬を覚えるでしょう。

辻本が言った言葉の意味がよくわかります。

そのうち辻本は、程よい角度に開いている秘部に顔を埋めていきました。

クンニが、女の性感を急激に高ぶらせ、男根の挿入を待ち焦がれるような心持ちにする最も効果的な方法であることを心得ているのでしょう。

身を包んでいたものすべてが剥がれ、自分の裸身が露わになるとき、女性はチラッと初体験のときのことを思い出すと聞いたことがありますが、本当なのでしょうか。

例え、そうでなくても、妻にとって辻本は、まさしく未体験の男なのです。

狂おしげに身を捩らす妻の姿は、男の舌先が女の最も敏感な部分を愛撫しているからでしょうが・・・

夫以外の男がそれを行っているということも、彼女を感じさせるのでしょう。

「あぁ~・・・・そこは、だめぇ~・」

妻の秘部をなぞる男の舌先が、新たな潤いを湧かせ、両足の角度を広げていきます。

辻本の愛撫によって、肉芽の先から疼くような快感が零れる度に、彼女の意識から、私の存在は遠くなっていくのです。

女性がセックスで感じる悦びは、その前戯においてさえも、男のそれの数倍なのかもしれません。

辻本の舌先、指先が妻の秘部を弄くる度に、喘ぎが洩れてきます。

次第に、妻が肩の力を緩め、両足を大きく開いていく姿を眺めながら、私は、妻への愛おしさ、自分の惨めさが混じった複雑な嫉妬に耐えていました。

「理香さん、あなたにこんなことお願いするの、恥ずかしいのですが・・・・ここを、あなたの手で気持ちよくしてもらえませんか?」

辻本は両足を投げ出して座り、妻の手を取って自分の茎に導くと、妻は辻本の横脇から男のものを握ることになります。

妻の手指の腹が円をつくり、幾分慣れた手つきで辻本のものを慰め始めました。

肘から下を小刻みに動かし続けると、亀頭は大きく膨らんでいきます。

柔軟性に富んだ包皮を上下させるのではなく、茎から一線を画して膨らんでいるカリ首の根元を擦ることが、男に極上の快感をもたらすということは、以前、私が妻に教えたことです。

(でも、男のものを、横脇から愛撫している妻の姿勢は・・・・私の時とは違っている・・・)

私が以前に妻に教えた方法で・・・

そして私が、これまでされたことがない姿勢で・・・

妻が、辻本のものを慰めている様子を見ると、言いようのない嫉妬が湧いてきます。

「理香さん、もう十分です。そろそろ欲しいんでしょ?ご主人の時と同じように、言ってくれませんか。」

妻が、私の了承を求めるかのように、視線をこちらに送ります。

(理香、裸のおまえになってすべて曝け出し、心のままに言えばいいんだよ。悦びを求める女になりきるというのが、二人の約束だったんだ・・・)

私の願いを目線に込めて、妻に送り届けます。

「入れて・・・・これを、挿れて」

「理香さん、挿れて欲しいなら、入れて欲しい所をはっきりと言ってほしいな。」

「お願いします。挿れてください・・・・わたしのラブちゃんに・」

「ラブちゃん?・・・・もっと淫らな言葉を、知っているんでしょ?」

私の予期せぬことが、起こりました。

辻本は、妻のセックスにいくつかの例外があることを知らないのです。

妻にフェラを要求しても応えてくれないことは伝えてありましたが、このことは何も言ってなかったのです。

「ごめんなさい。ねっ、わかって・・・・それだけは、どうしても言えないの・」

妻は顔を左右に振り、辻本に訴えるように、そのことを拒みます。

(多分、私が信頼する妻はいくら相手が好意を寄せる男であっても、そんな猥褻な言葉は口にしないはずだ・・・でも、もしかして・・・?)

(これは、以前にも私が想像したことですが、妻がその言葉を口にしない訳は・・・・余りに卑猥すぎて、妻としてのプライドがそれを許さないのか、それとも恵まれた生育環境や社会人としての良識がそうさせるのか、あるいは、淫蕩な娼婦に姿を変えることにより、私の愛を失うことを恐れているのか・・・・?)

ここで、妻の拒絶に遭っている辻本にも、興味が湧いてきます。

辻本は、懸命にそのことを拒んでいる妻をどう扱うのか・・・・?

(彼は・・・・これから契ろうとしている女の一分を立ててあげるだけの男の優しさ、懐の広さを持ち合わせているのか・・・・?)

妻が選んだ男の度量を推し量ってみたくなります。

愛する妻を他人に抱かせる夫としては、そんな小さな意地悪がささやかな愉しみなのかもしれません。

とにかく今確かなことは、辻本が妻の体を自由にしていいこと、妻が喜びを求める女の姿になりきること、そして、私が妻を愛おしみながら見守ることだけなのです。

「わかりました、理香さん。貴女のような女性を、毎日抱けるご主人が羨ましいですよ。でも、今夜だけは、理香さんは私のものです。ご主人のことを忘れさせてあげますからね。」

「ごめんなさい・・・・無理 言って・」

私は、妻が淫語を口にしなかったこと、辻本がそれ以上、妻に求めなかったことに、ホッとした安堵を覚えます。

【魔性のときめき】

やがて、ベッドの傍らに置いてあるコンドームに手を伸ばし、その包装を破いていきました。

これまでの経験が、彼女をそうさせるのでしょう。

(もうすぐ、あの薄膜一枚隔てて、辻本の勃起と妻の滑りが絡み合うんだ・・)

妻の口から、挿入を求める卑猥な言葉が出ることを諦めた辻本は、正常位での貫きを選んだようです。

辻本は、自分の茎の根元に手を添えて、淫部の潤みを更に濃くするように、動かし続けます。

勃起の先の怒張が、楕円の限られた範囲を泳ぎ回っているようです。

そうすると妻は男に体を密着させたまま、こらえ切れない小さな喘ぎを洩らします。

まるで、女の器が寸時も早い繋がりを求めているかのように、先ほど愛おしんだものによる最初の貫きを欲しがっているようです。

辻本は、女が挿入を待ち焦がれてどうにもならないような状態で、勃起した強張りを入れることが、女により深い悦びをもたらすことを、経験上知っているのでしょう。

ようやく辻本は、妻のわきの下から手を掻い潜らせ、妻の上体と自分のそれを重ね合わせました。

妻の股間を目いっぱいに開き、自分の股間をも大きく広げているのは、私に対する辻本の好意なのでしょうか。

男と体を深く密着させることにより、うっとりとなった妻は男の背中を抱きしめながら、じっと身を預けてそのときが訪れてくるのを待ちます。

そして、いつもの光景が訪れてきます。男の貫きが走るその刹那、妻がじっと私の顔を見つめてきます。

縋りつくような、愁いの眼差し・・・・

このような、切なく狂おしい、そして儚く消えそうな眼差しを受けると、胸がどきどきして呼吸が辛くなるような息苦しさを覚えます。

(理香・・・おまえの女として歓ぶ姿・・・・これまで、それだけを思ってきたんだ。もしかして私は、おまえのその眼差しを求めて、こんなことを繰り返しているのだろうか・・・)

やがて辻本は、それまで妻の股間で揺れていた自らのものを、妻の秘口に宛がいました。

そして、辻本のお尻の筋肉が引き締まり、妻の下半身に向かって腰を沈ませると・・・・

露わになっていた男の茎が、ゆっくりと妻の秘部に呑み込まれていくのがわかりました。

「あっ、ああぁぁ・・・・・・・」

淫らな喘ぎをもらした妻の秘部は、最初の一突を、その奥深く受け入れるに十分潤っていたのです。

明らかに、自分が心を寄せている男性から受け取った最初の貫きは、どのような感じだったのか、後から妻に尋ねてみたくなります。

それから、辻本は、妻の顔をじっと見つめながら、己のものをゆっくりと出し入れしていきます。

激しい律動ではなくて、緩慢な出し入れを繰り返しているのは、辻本の優しさなのでしょう。

その往復がしばらく続くうちに、妻の口から、湧き上がってくるものを扱いかねているような声が洩れてきました。

「ああ~っ・・・ちょっと~ぅ」

男の茎が、膣内の媚肉を擦り続けることによって、女の性感を徐々に高めていきます。

女の体は、一つの貫きから生じる快感をゆっくり味わってみようと思うのですが、矢継ぎ早に刺突が襲ってくるので、次から次へと生まれる快感をどうしようか戸惑っているのかもしれません。

そのような心理的パニックの中で、困惑するような快感が積み重ねられていくのですから、妻の体は、蓄えられたものの始末に困ってしまうのでしょう。

辻本は、律動に、あらんかぎりの優しさを込めて、リズムを刻んでいきます。

抜き刺しを繰り返し、妻が示す反応を観察しながら、膣腔のどの部位が最も感じやすいのか確かめたのでしょうか、辻本は、突く場所を一定にして、刺突を繰り返します。

妻の体は、段々と気持ちよくなっていくのでしょう。

愛の律動が妻の下腹部で数回往復されると、次の喘ぎを漏らすまで、そんなに時間はかかりませんでした。

「ああぁ~・・・・・・だめぇ~・」

男に抱かれながら妻は私との交わりと同じような悦びを感じているのでしょうが、それをつくってくれているのは、今まで経験したことが無い男性の持ちものなのです。

例え、肉棒に擦り上げられて生まれる直接的な快感が、私がつくるものと同質であっても、夫以外の男から貫きを受けているという魔性のときめきが作用して、悦びの深さが格段に違ってくるのかもしれません。

【愛おしい二人の男】

妻の性感が次第に高まっていくのを肌で感じた辻本は、交わりの体位を変えるようです。

妻の背中側に回り、寄り添うように“くの字型”に体を並べました。

そして、妻の片足を、右手で高く持ち上げました。側位の姿勢で、妻の片足が、ゆっくり上がると、愛おしいものの全てが眼に飛び込んできます。

「理香さん、ご主人が見てられますよ。ご主人とも、こんな姿で交わったことがあるんでしょ?」

「・・・」

辻本が私のことを持ち出したのは、夫との睦み合いを思い出させ、私に対する後ろめたい気持ちを掻き立てて・・・・

妻の心を揺り動かすことによって、さらに欲情させたかったのかも知れません。

「さぁ、理香さん、私は今こんな姿勢なので・・・・あなたの手で、そこに宛がってくれませんか?」

自分の耳元から届いた惨い申し出に、妻は一瞬ためらいの表情を見せましたが、何も言わず、そっと男の茎を秘口に導いていきました。

そして、辻本がその秘口に向かって腰を突き出すと、男の茎がゆっくりと稜線の中心に埋もれていくのがわかりました。

(それで、いいんだ・・・・もう私のことは忘れて、これからは・・・・おまえだけの悦びに浸ればいいんだ・・)

私には、妻が私の方を見つめようとしないで・・・・無言のまま、その動作をおこなった心持ちが、よくわかりました。

決して、以前、同じ行為を行った経験が為せる業ではありません。

この部屋の中には、愛おしい男が二人いるのです。

一人は、夫婦として長い時間を共有し、愛情と信頼で結ばれている男、もう一人は、ひと時とは言え、交わりの中で、女の体に悦びを与えてくれる男・・・

夫への愛は、どんよりとした不貞の鬱となって心の底に沈み、男への愛は、徐々に高まっていく悦びとともに、自然に湧いてきます。

夫が求める切なる願いを叶えるためには・・・・そして、背徳と官能、切羽詰った状況から抜け出すためには・・・・

どっちみち、その行為を行うしかないということを、妻はよくわかっていたのです。

その間も辻本は、勃起した茎をできるだけ膣奥深く挿れようとしますが、測位の姿勢では茎の全長分を収めるのは無理なようです。

返って、辻本の血管が浮き彫りになった勃起の方が際立ってしまいます。

一旦、女陰の中に消えた肉棒が露わになると、それはまたその半分ほどの距離を滑って、埋もれていきます。

(だんだんと妻は悦びをこらえ切れなくなっているんだ・・・・男から求められた卑猥な言葉を拒んだこと、私の前で男のものを秘口に導き入れたこと・・・・二人の男への負い目が掻き消えて、それまで我慢してきたものを思いっきり吐き出すんだ・・・)

「あっ、ああぁ・・・・・・いやぁぁ~・・・・・・こんなぁ~・」

かなりの間、妻と交わっていた辻本は、彼女の片足を持ち上げていることに疲れたのでしょうか、結合している部分を外そうとはせず・・・

測位の姿勢から妻を腹ばいにし、その上に体を重ね合わせて、後背位の姿勢になりました。

そして、そのまま妻の腰を引き上げ膝立ちにさせると、私の眼の先に、実に淫らな男女の肢体が露わになります。

普段、私には見せたことがない淫らなポーズ・・・・

まるで、おねだりをしているかのように、男に向けて大きくお尻を突き出し、器をヒクヒクさせているようです。

後ろから見ていると、妻が腰を突き出すように撓らせているため、辻本の股間の隙間から・・・

黒ずんだ欲棒、それが出入りする淫裂の花びら、そして頭をシーツにつけている妻の顔までも見えてしまいます。

形よく膨らんだ乳房と草丘、縦に走る長い淫裂、その中央に向かって出入りする男の茎を眼にすると、たまらない興奮が私を襲ってきます。

そして、辻本は、茎の出し入れに変化を加えていきます。

二~三回、緩やかに浅く突いた後、次の一突を深くします。

三拍子の連動がしばらく続けられました。

突き出すように開いた淫洞の中を、辻本の膨れあがったものが擽るようなリズムで擦り上げると、男に体を預けるしかない受け身の性は、めくるめく悦びを湧き上がらせてしまいます。

「ああっ!いいっ!・・・いっちゃう・・・・・・だめぇ~・」

「だめなら、止めますよ。」

辻本が、動きを止めます。

「あっ」

「理香さん、もう、恥ずかしい思いは十分したでしょう。心も裸になって、思いっきり叫べばいいんですよ。」

辻本が言った「恥ずかしい思い」という言葉が、それまで懸命にこらえてきた堤の堰を切ったのでしょうか、妻の頭の中で何かが弾け飛んだようです。

「お願い、もう、ちょっとなの・」

「もう、ちょっと・・・・どうして欲しいんですか?」

「あぁぁ~・・・いぃぃ・・・・・・もう、構わない・・・もっと気持ちよくしてぇ~・」

今まで、私との交わりでは滅多に口にしない言葉が、妻の口から聞こえてきました。

こんな淫らな言葉を耳にすると、妻の意識の中から、夫という存在が完全に消滅したことを実感します。

(ああぁ~理香、おまえのその言葉・・・・いくら、辻本に誘発されて出てきた言葉とは言え、それほど感じてしまうのか・・・・?今までの私とのセックスでは満足できず・・・・それ以上のものが欲しいのか・・・・?)

この交わりは、あたかも妻がそれを望んでいるかのように仕向けてきたが、実際は、夫の酷い欲望を叶えるために、妻がやむなく行っている行為なんだ。

それとはわかっていても・・・・

愛する妻が、私の目の前で、他人棒の抜き刺しに感じるだけならまだしも、卑猥極まりない言葉でセックスの続きをせがむ姿を見ると、それまで分別顔をして抑えてきた自制の箍が外れ、焼け付くような嫉妬がどっと噴き出してきます。

この狂おしい嫉妬の中には、辻本への恨みは、ありません。

妻への変わらぬ愛を約束したはずなのに、この瞬間ばかりは、妻への疑念、猜疑、詰責が混じった複雑な嫉妬が湧いてきます。

このような光景を見ていると、昔、読んだある話が脳裏を走ります。

それは、戦時中、異郷の地に取り残された夫婦が、食いつないでいくために、ある家の世話になることから始まります。

夫を弟として偽り、姉弟として住み込んでいた妻はそのうち宿主の求婚を断り切れず、夫婦になることを受け入れてしまいます。

毎夜、窓下から洩れてくる妻の喘ぎに耐え切れなくなった夫は、密かにその家を去っていくというものでした。

愛する妻と、そのことに耐えるという約束があったのに・・・・

私の個人的な愉しみを、戦時中の悲惨な出来事に置き換えることは、誠に申し訳ないことですが、実際このような場面になってみると、その時の夫の気持ちがよく分かります。

【最後の抱擁】

後ろからの刺突を続けていた辻本は、妻が身も心も投げだして、自然な姿で絶頂を迎えられるように、再び、正常位の姿勢に戻りました。

見ていると、辻本の手が下に伸びていって・・・ディープスポットへスラストを加えながら、クリを弄っているようです。

女体は、できるだけ一つの刺激に集中しようとしますが、刺激を受けているスポットとそんなに遠くないところから・・・・

新たな刺激を与えられると、快感が一気に高まってきて、頭の中が真っ白になってしまうのでしょう。

すると、最も感じる部位への効果的な貫きが欲しくなってきて・・・・

辻本が、変化をつけた抜き刺しで腰を突き入れると、その動きに合わせるかのように、妻の秘部も男のものを迎え入れようとします。

辻本の方へ腰を送りさえすれば湧いてくる悦びが、もうすぐ自分を絶頂にまで連れていってくれることが、妻にもわかるのでしょう。

「はあぁぁっ・・・・もう、だめえぇ・・・・・・いっ、イっ」

男の貫きを数限りなく送られて絶頂も近いのですが、心の中まで満たされて、その悦びをより深いものにしたいのでしょう、

妻は辻本の背中を強く抱きしめることによって、「もうすぐイキそう」というサインを送ります。

このように、満たされた至福の時間を共有していると、自分に悦びを与えてくれている男がたまらなく愛おしくなってきて当然です。

背中に回された手の動きから、妻が絶頂に達するのも間もなく・・・・と感じた辻本は、妻の求めに応じるかのように、秘部を強烈に貫きます。

(ああ~、辻本の背中に回されたか細い手を、私のために差し出してくれたのは、遥か昔のことだったんだ・・・今、その手は、辻本を抱きしめているんだ・・)

女がもうすぐ極みに届くことが、辻本にもわかるのでしょう。

その頂を何とか自分のものと合わせようとします。

辻本が、やや斜め上に開放されている女陰に向かって、肉棒に全精力を込めて、スラストを激しくしていくと・・・・

「あっ、ああぁ~っ、いっ、イックぅ・・・・・・!イッてぇ~・・・・・・!」

辻本の奔走りを、膣奥で受け止める心の準備ができたのでしょう。

妻の口から、射精を求める究極の叫びがあがりました。

妻の絶頂と時を同じくして、辻本のものも終末を迎えるようです。

男の双球が茎の根元にせり上がっていきます。

(ああっ、あと数回、数秒後・・・男が射精した瞬間、妻は男のものをしっかり咥え込み、噴き出す精を吸い取ろうとするんだ・・)

「うぅ~っ・・・・理香さん、もうすぐだぁ・・・・!」

「ああっ・・・・・・辻本さん、いいっ・・・・・・いってっ、もうイッてえぇ・・・あぁぁっ・・・・・・!」

ついに辻本は、最後の一撃を膣奥の最深部へ送り込み、それまで耐えてきた快感のすべてを奔走らせたようです。

男の臀部が強張って、その中心にあるものが、淫らに脚を広げた妻の股間に押し付けられて、じっと動きを止めている様を見ていると、妻が凌辱される興奮、焼け付くような嫉妬・・・

そして取り返しがつかないことをしてしまったという悔恨がどっと湧いてきます。

そんな思いが、私の脳裏を走っている間にも・・・

妻の子宮は、辻本がすべての雄に共通する短いリズムで噴き出した精を、その律射に合わせるように、より奥深いところへ導こうとしているのでしょう。

時間が止まったような真空のひと時が過ぎて・・・

やがて、妻の胎内で限りなく悦びをまき散らし、愛おしそうに引きとめようとしていたものが、無慈悲にも抜かれると・・・

妻はぐったりとなってベッドに沈みました。

そのことが終わった後も二人は・・・交わりの初めの時と同じように、しっかりと抱き合っています。

まるで、セックスの余韻を楽しみ、より深くなった愛情を確かめ合うように・・・

(あぁ~、私が男と交わした約束は、交わりが終わるまでではなかったのか?理香、おまえは悦びを与えてくれた男が、そんなに愛おしいのか?)

辻本が、想い焦がれた女と決別するための最後の抱擁とわかってはいても、狂おしい嫉妬の後から、後悔が沸いてきます。

(その嫉妬は、誰への嫉妬なんだ?おまえが求める女の姿になりきってくれた妻に感謝こそすれ、恨めしく思うような筋合いではないんだ。セックスの神髄が互いに悦びを分かち合うものである以上、その相手が誰であれ、女が男との合歓に喘いでしまうのは当然のことなんだ。そして、その代償として、彼女が少しずつ変わっていっても仕方が無いことを、おまえは承知の上、敢えてこのようなことを行っているのではないか。)

妻のストリップ
淫らに開かれた妻の股間に男の下半身が割って入り、やがて、勃起したものが潤みの中を抉っていくと・・・・

体から湧き上がってくる悦びを堪えきれず、夫の傍で喘いでしまう妻・・・

こんな淫靡な妄想に憑りつかれ、妻が他の男との愛欲に溺れてしまう姿に堪らない興奮を覚える熟年男です。

「妻を貫いた他人棒」のその後をお届けします。

現在に至るまで、妻を他の男に抱いてもらう「行きずりの男と成行きで・」という交わりが、私の望み通りに事が運んだ確率は・・・・

男にそのことを持ちかけてみて、3回に2回ぐらいになるでしょうか。

妻の相手をしてもらう特定男性を探すのに、ネットを使わないとなればなかなか難しいもので・・・・

おまけに、妻と男との交わりの一部始終をその傍で眺めていたいという・・・・相手の男にとっては目障りな瘤つきのセックスなので、私の望み通りに事が進展する確率は、どうしてもパーフェクトとはいきません。

このように思うに任せないのは、私自身が臆病なこと、そして、私が男に求めるハードルが高いことが影響しているのだと思います。

妻を寝取ってもらう相手を探すのに苦慮しているくせに・・・・

ある程度の男ぶり、女心を擽るような魅力や知性を備えている男でなければ、妻をその手に委ねる気にならないのです。

妻が、「あなたが選ぶ男性に、間違いはないわ。」と言ってくれるのも、この辺りのことに信頼を寄せているのですが、お相手の方を探すのが大変です。

そんな男を探すとなると・・・・狭い地域の中で顔見知りの方と関わって、後で後ろ指を指されたくありませんし、近隣の町にまで食指を伸ばすにしても、思わぬところから風評が立たぬとも限りません。

私の望み通り、妻を男に抱いてもらうには、女を求める輩が集まりそうな街通りをぶらついて、妻が男に言い寄られるのを待つか、または遠出して、同好サークルに加わるか、女性専用サロンなどに行って妻の体をその道に長けた方に預けるしかないのです。

しかし、妻が男との交わりに喘ぐ様を、いつも傍で見ていたい男にとっては・・・・

危険な誘惑の罠が待ち構えているかもしれない未知の世界に妻を放り出すことは、余りにも冒険すぎます。

そう考えると、二人揃って温泉旅行に出かけたり、カラオケバーで意気投合した結果・・・・というパターンが、私たちにとって一番似合っているのです。

指折り数えて、妻を私以外の男に抱いてもらう9回目の体験は・・・・妻と二人で、某温泉へ出かけた時に迎えました。

今回は、別に妻を他の男に抱いてもらうことを意識して出かけた訳ではなく、「たまにはゆっくり骨休みを」という気分で出かけたのですが、成行き上、自然にそうなってしまったのです。

こじんまりとした奥座敷で、二人だけの夕食が終わってからのことでした。親切そうな仲居さんが、私たちに声をかけてきました。

「旦那さん、この後どうされます?ホールに行かれますか?それとも、お楽しみに行かれますか?」

「“お楽しみ”って?・」

妻が、仲居さんに尋ねます。

「ストリップショーのことさ。もしかして、わかっていて、聞いたんじゃない?」

「まぁ~意地悪ね。それで・・・・あなた、そんなの見たことあるの?」

「それは、男なら誰でもあるさ。若い時に、度々って訳ではないけど、何回か見たことはあるよ。どうっ?これも社会勉強だと思って一度見てみないか?まだ、見たこと、ないんだろ?」

「えぇ~?行ったことないから、わかんないだけど・・・・女の人もいるの?」

「ここ、温泉場だよ。多分、お客さんの三分の一くらいは、女性さ。」

夕食が済んだのは、午後八時少し前でした。

旅館の方が手際よくステーションワゴンを手配し、私たちは同宿のお客さんと一緒に“○○ MuSiC”に向かいます。

開演のブザーと同時に幕が開かれ、最初の踊り子さんがあでやかな着物姿で登場しました。

“芸者ワルツ”の曲に乗り、手にした唐傘の舞をひとしきり披露した後、ゆっくりと帯を解き始めます。

最後の単衣がはらりと脱げ落ちると・・・踊り子はステージに身を横たえ、客席に向かって二つ指でゆっくりと淫裂を広げ始めました。

館内はほぼ満席状態で、卑猥な掛け声や雑談が充満して、騒然とした雰囲気です。私は妻と二人だけの会話を小声で楽しみます。

「ど~う、初めて見る感想は?おまえもこの前、あんな風にしてただろ?」

「いやだぁ・・・・私もあんな風に見られていたんだと思うと・」

「あの一番前の特等席・・・・“かぶり付き”って呼ぶんだ。前の男の人たち、食い入るように見つめているだろ?あんな近くで、まじまじと見ると、たまんなくなるよ。」

「あなたが、わたしの姿を見ているのと同じくらいの距離ね。男の人って、あんなのを見ると興奮するんでしょ?」

「そりゃ、もちろん“もっこり”してくるさ。でも、これはショーだもの。おまえが見せてくれるリアルさには適わないよ。女の人が、あんな風に手指で広げて見せる時って、どんなこと思っているのかな?」

「あの踊り子さんが見せているのはお客さんでしょ?わたしが見られる相手はあなたよ。」

「それで・・・・どうなの?」

「こんなこと始めた最初のうちは、恥ずかしさやあなたに申し訳ないことをしているという後ろめたい気持ちでいっぱいだったわ。

「それで・・・・?」

「それから段々と、『もう、知らないっ!』っていう開き直りのような感じになってきて・・・・今では、正直言って、お相手してくださるその方へのどきどき感の方が強いの。」

ステージ上では、二人目の“塚ジェンヌ”風の男装の麗人が現れ、ステップも軽やかに、踊り始めました。

ショーを見ながら、ふと、隣の席を見ると、数人連れの男性客どうしが興奮を抑えられないように会話を交わしています。

一見、揃って30代後半のようで、私たちと同じ図柄の羽織を着ている所を見ると、先程一緒にワゴンでやって来た同宿客のようです。

私たちと男性客との距離が近いこともあって、自然と話し声が耳に入ってきます。きっと、私たちの艶めかしい話も聞かれていたことでしょう。

「あんなの観てると、今夜は寝つかれなくなるな。最後の三番目が終わると、“生板ショー”があるはずなんだ。おまえのだったら恥ずかしくないから、上にあがってヤッてこいよ。」

「そりゃ、興奮してはいるけど・・・・こんな大勢のお客さんを前に、上手くいく訳ないだろ?」

「平生、自慢している割には意気地がないんだな。こんな時こそチャンスなのに・」

「最近は、営業法による取り締まりが厳しくなって、生本番は禁止なんだってこと、知らないのか?」

こんな会話を聞いていると、私の胸に秘めてある悪い虫が鎌首をもたげてきます。

(この男も、仲間が羨むようなものを持っているのか。世の中には、一物自慢が結構いるもんだな。可愛そうに・・・・これじゃ旅館に帰ってから、その自慢のものが疼いて寝つかれないだろうに・・・)

男の誰もが滾るものをじっと抑えて、帰りのワゴンに乗り込むと、商売上手な仲居さんが私たちに声をかけます。

「さあ、この次はホールへということで・・・・九時半頃っていうのは、段々お客さんが少なくなってきて、最高の時間帯ですよ。」

旅館までの帰りの車の中、私は妻に尋ねます。

「どうする?このまま、帰って寝るか?それとも、一杯やっていく?」

「そうねぇ・・・・あなたと久しぶりにってのもいいけど・・・・熱を冷ました方がいいんじゃない?ちょっと、寄っていこうか?」

引き続き、館内のホールに集まったのは、○○MuSiCに行ったお客さんの半分くらいでしょうか、私たちを含めて六人が、それぞれの席に座りました。

そのうち、向こうの方のテーブルの方がにぎやかになったと思ったら、誰彼となく歌い始めました。

「あんな、叫ぶように歌っているのは、先程興奮したせいだろな。どう、おまえも一曲歌ってみたら?みんな疼いていると思うから、セクシーな歌がいいな。」

妻がこぶしをきかせた「むらさき雨情」を歌い終えて席にもどってくると、先程 劇場で隣席にいた方たちの一人が、グラスを手にして私たちの方へやってきました。

「奥様ですか?いやぁ、素敵な歌を聞かせていただきまして・・・・さぁ、一杯どうぞ。あっちの方で、気が置けない仲間どうし楽しくやっているんですが、女っ気がなくて・・・どうです?あちらの席でご一緒しませんか?」

同宿の縁があり、男の愉しみを共有したのみならず、年下の方から親切に声をかけられたとなると・・・・断るわけにはいきません。

私たちを誘った男性が仲間の方に私たちを紹介し、男性客四人に私たち夫婦を交えた歓談が始まりました。

「先程、劇場でご一緒になった方々ですね。あんなの観ると、アルコール抜きでは眠れませんよね。」

「そうですって。疼いてきて・・・・アハハっ、その上、奥さんのあんな悩ましい歌聞かされると、ますます苦しくなってしまいます。」

「どちらから、見えられたのですか?」

「オレたちですか?壮年会の親睦旅行ってことで・・・・S県からです。」

そのうち、妻の傍に座っていた男性陣の一人が、妻に声をかけてきました。

「差支えなければ、奥様とデュエットさせてほしいんですが・・・・よろしいですか?」

(う~ん?確か、この男性は、先程の劇場で、ステージに上がることを勧められていた男だな?)

「奥さん、無理言ってすみません。デュエット、何がいいですか?」

「最近の若い娘の歌は、歌えなくて・・・できれば、大阪の歌が好きなのですが・」

「それじゃ、『二人の大阪、浪速恋しぐれ』がいいかな?それから、『大阪恋めぐり』でもいいですよ。」

「一番、最後の歌で、お願いします。」

アップテンポの甘いメロディーに乗ってデュエットが始まり、妻が男性の方を気にしながら遠慮がちに歌い始めると・・・・

男性の目線が、妻の顔を覗き込むように、送られてきます。

三番目のフレーズになると、図に乗って来たのか、男性の手が妻の肩に添えられています。

『一度、出逢って、二度目で話し、三度、四度で寄り添った・・・・心を寄せ合う傘の中・・・・♪♪』

『酔わせて・・・・ゆらゆら・・・愛して、ゆらゆら・・・♪♪♪』

私も手にしたグラスの氷を揺らしながら、妙に息が合っている二人の姿を見ていると、かって目にしたある光景が思い浮かんできます。

(二人の間に漂っている雰囲気は、昨年 奈良・・・三重方面へ旅行した際、民宿近くのスナックで若い男性と歌った時と同じじゃないか?今回は、そんなことを期待している訳ではないのに・・・・ひょっとして、今夜もそんな風になってしまうんじゃないだろな?)

その後も、他の男性の合間を縫って、妻と男性とのデュエットが続き・・・・

段々とホールにいたお客さんが引き上げていって、館内は私たちのグループだけになったようです。

そのうち、私も勧められて、やむなくマイクを握りながら、ふと妻の方に目をやると・・・

先程のデュエットの男性と楽しそうに話し込んでいる妻の姿が、目に入ってきました。

妻が、助けを求めているのか、了承を求めているのかわかりませんが、そのことを私に打ち明けたのは、閉店の二十分ほど前でした。

「あなた、あの男性から口説かれちゃった。どう、しよう?」

(『どう、しよう?』とは、微妙な言い回しだな。そのことを受け入れる気が全くないのなら、断ってしまうに決まりきってるだろうに・・・)

「どうしようって?そんなの、オレに訊くまでもないだろ?」

「主人と一緒だから・・・・とお断りしたんだけど、かなり強引なの。」

「それで、あの男は、何て言ってるんだ?」

「わたしのこと、可愛いって・・・それで、さっきのデュエットの続きをベッドでしようって・」

「オレが夫だってこと、わかっているのか?」

「今夜、旦那に内緒で、どうかって言うの。」

「そんな、オレが傍に居るのに、内緒になんかできる訳ないだろう?」

「この後、お風呂に行ったようなふりをして、部屋に来ればいいって・」

「・・・・・・・あの男だって、誰彼の別なく闇雲に声をかけてる訳ではないだろ?おまえに、脈がありそうなことを見抜いているんだ。」

(これだけ、ふしだらなことを続けていると、夫に対する背徳の意識が段々と麻痺してきて・・・・ほろ酔い気分も手伝い、今夜のセックスの相手が、単に私から、デュエットの男性に変わるぐらいのことしか考えていないのかもしれない。でも、こんな機会は滅多にあるもんじゃない・・・)

私の心に封印しておいた醜悪な欲望が鎌首をもたげてきます。

その浴衣の下に隠してある愛おしいものを、荒々しい勃起で奥深くまで貫かれ、顏を歪めて喜悦に喘ぐ妻・・・・

こんな姿が脳裏に浮かび上がると、妻が他人と姦通する生々しい様を見てみたいという欲望が、もう止まらなくなってしまいます。

「そうか、そんなにあいつが言うなら・・・今夜は、そんな風になるとは思ってはいなかったが、せっかくの差し入れだ。頂こうじゃないか。あの男性にOKすることを伝えて・・・・ついでに『主人も一緒に・・・・』という条件を出してみろよ。それでもいいと、言うのなら・」

「本当にいいのね。お断りして・・・・このまま部屋に戻ることもできるのよ。」

「あの男もストリップを見た後で、おまえの浴衣姿に刺激されて、我慢できなくなったんだろう。

おまえさえ嫌でなければ、オレは構わないよ。」

「わかったわ、言ってみる。でも、後悔なしよ・」

妻にしても、ストリップ劇場で、今まで見たことがない同性の淫らな姿を目にした上に・・・

男とのデュエットで、これまで自分が行ってきたことを象徴するような『不倫』の言葉を口ずさむうちに、その気になってきたのかもしれません。

私たちのボックスとは少し離れた所に行って、私から言われたことを男性に話し始めました。

(チラチラッと、その男性が私の方に視線を送ってくるのは、妻から聞いた私の性癖に驚いているのか、それとも、そんな常識外れのことを行っている男の顔を、改めて見たいのか。)

こんな内密の話は、こちらの席ではできません。私はビールを片手に、妻と男性が話している席に近づきます。

「驚かれたでしょうが・・・・そんな訳で、貴方が私の条件を飲んでさえくだされば、妻を抱いていただいて構いませんが・・・・?」

「いやぁ、改まってそんな風に言われると、困ってしまうなあ。『奥様とこっそり・・・・』と思っていたんですが・・・・ストリップでの興奮が治まらず・・・・思いがけず素敵な女性とデュエットさせていただいたものですから、つい・」

「それで・・・・お答えは?」

「別に、旦那さんが傍に居ても、一向に構いませんよ。」

「そうですか?実は、悪いんですけど・・・・先程、ストリップ劇場で、あなた達が話していたこと、聞いてしまって・・・・仲間の方から、ステージに上がることを勧められていましたね。その方達が言っていた、『自慢のもの』を、後からトイレでこっそり見させていただく訳にはいきませんか?」

「うふっ、品定めってやつですか?友達が言うほどのものではありませんが、これから奥様にお相手していただくんですから・・・・仕様がないでしょう。」

隣どうし、小用を足しているような風を装って、男性がブリーフから取り出したものを覗き込むと、だらっと垂れた茎が露わになりました。

男性がしばらく擦っているうちに・・・・ストリップを見て興奮した余熱を保っているからなのか、段々と量感を増していきます。

次第に勃起していく強張りも驚嘆に値するものですが、次第にその先の膨らみが大きく張り詰めてきて・・・・

それほどものを持ち合わせていない男からして言えば、こんな野太い陰茎を見せつけられると、何とも言えない興奮が体を走ります。

(この前、奥飛騨温泉で目にした男のものに近い大きさだ。妻にとって全く馴染がない、この赤紫色の膨らみが、彼女の膣奥深く滑り込んで、しとどに濡れた“ひだ”を擦り上げていったら・・・・妻は身も世もないほど身悶えするにちがいない。)

こんな場面を想像すると、普通のセックスとは別物の、下半身が痺れるような疼きが湧いてきます。

しばらく男の刺突を受け入れて・・・・そのうち、悦びの余り身を捩らせる妻・・・・

こんな姿を思い描くと、それを理性で抑えるなんてことは到底できません。

目の前の欲情を滾らせた強張りと、これまで睦み合ってきた愛おしい女淫・・・・

二つの性器が、もう僅かな時の後に一つに結ばれることを想うと、極度に欲情して、胸が震えてきます。

思いがけずとは言いながら・・・・妻に種を蒔かせて、今夜も破廉恥な夜を迎えてしまうんだ。

「ありがとうございました。それじゃ、30分後に、三階の『楓の間』でお待ちしています。その惚れ惚れするもので、妻を悦ばせてやって下さい。」

妻が髪を整えている間に、私は並べて敷いてあった布団をやや離し、枕元に避妊具を用意します。

その男性は、洋介という名前でした。

お互い、旅先での出会いということで、それ以上、素性を語らぬ方がいいだろうということになったのです。

妻はどちらかと言うと、日焼けしていてがっしりしたようなタイプが好きです。

外見だけからしかわかりませんが、洋介さんの肩幅が広い筋肉質の体型は、妻の好みに合っているのでしょう。

「さあ、洋介さんの傍に行って・・・・さっきのショーの続きを見せてくれ。」

洋介さんは、枕元に立ったまま、私の声に促されて歩み寄ってきた妻の体を思いっきり抱きしめました。

洋介さんが妻の下半身を引き寄せ、それに股間を突き出すようにして密着させているのは、それまで抑えてきた疼きが最高潮に達してきているからに違いありません。

そして、多分・・・・妻の陰部に押し当てているものが、間もなくそこを貫くことを、それとなく納得させようとしているのでしょう。

やがて、二人は舌を絡ませあったまま、崩れ落ちるように布団の上に横たわりました。

敷布団だけの褥で、洋介さんが帯を解きほぐしていくと、浴衣の襟が肩口から抜けて、妻の白い裸身が浮かび上がります。

そのうち洋介さんは、片方の手で妻のうなじを優しく抱きしめながら、もう一方の手で、妻の淫裂に指を這わせ始めました。

閉ざされた両腿の隙間を掻い潜った指先が、妻の敏感な部分を愛おしそうになぞっていくと・・・・

妻はその刺激に耐えられないような様で、太腿を擦り合わせます。

「あぁっ、あっ、だめえぇ~っ!そんなことすると・・・あぁっ~・・・・・・!」

太腿を何度も捩り、交差させる淫らな姿を見ていると、本当にその刺激に耐えられないのか、それとも、それよりもっと強い・・・・更なる快感をもたらしてくれる刺激を望んでいるのか、わからなくなってしまいます。

「奥さん、さっきのストリップのように『人に見られる』感じって、どうですか?」

「ぅ~ん・・・・体が火照ってきて、自分がわからなくなってしまうの・」

妻が、愛撫の合間に大きく息を吐き、切なげに呟きます。

「やっぱりそうですか?旦那さんの視線を感じて、全身が熱くなるんでしょ?」

「・・・・ぅん、そうなの。恥ずかしいけど、すっごく感じてしまう・・・あぁ~ん・・・・・・ごめんなさい、あなた・」

そのうち、洋介さんは、指尖を膣内に滑り込ませていきました。淫部の中は見えませんが、秘口に添えられた他の指の動きを見ていると・・・・

親指の腹でクリを刺激しながら、膣内に挿入した指の間接を折り曲げて、媚肉の壁を引っ掻くように擦っています。

もうそれだけで、背筋からゾクゾクと快感が駆け昇ってきて、妻の口から喘ぎが洩れてきます。

「ああぁぁ・・・すっごい、イィ~っ・・・・・・!」

「オマ○コの中が、小刻みに震えてますよ・・・気持ちいいんですか、奥さん?ショーなんだから、旦那さんに見てもらわないと・」

「はぁぁっ・・・あなたに見られながら、イッてしまいそう・・・わたしを見ててぇーっ・・・・!」

肉芽を、右手でつまんだり激しく擦ったりされると、最も敏感な部分なのですから無理もありません。

段々、蕾の芯まで疼いてきて、たまらなくなってしまうのでしょう。

「はあぁ~・・・ちょうだい・・・!もう、我慢できないの・」

妻は洋介さんの指の動きに耐えながら、その行為の先を求めるように、自ら脚を広げ、淫らな部位を突き出すように男性の目に晒しました。

「ごめんなさいね、奥さん。先ほど旦那さんから聞いたのですが、フェラをするのが苦手なようで・・・済みませんが、あなたの手で宛がって、そこに馴染ませていただけませんか?」

すると、妻の手が男の勃起に伸びていって、まるで寸時も早い繋がりを待ち焦がれているような仕草で、男の印を潤みの中に導きました。

掌のひら全体で男の勃起を包んでいますが、それでも完全には掌握しきれないようです。

熱く滾ったものの火照りを感じながら、これから分け入ってくる男のものを潤みの中で泳がせながら、妻は何を思うのでしょうか?

きっと、こんなに量感のあるものがもうすぐ疼きの中に分け入ってくることを思い浮かべ、妻の心は妖しいときめきに震えているにちがいありません。

その勃起したものが、壺口から滲みだす潤みを纏うと、猛々しい強張りが光沢を帯びて一層艶めかしくなっていきます。

(妻が、自分の手で、男のものを秘口で弄ぶなんて・・・・初めて目にする光景だ。もうすぐ、おまえのその手で馴染ませた巨大なものが、疼きの中に分け入ってくることを待ち焦がれているんだろ?おまえにとって未体験の・・・・そして、私にとっても得体が知れないその巨大なものが潤みの中に没入していく瞬間こそ、私が持ち望んでいたものなんだ。)

「あぁ~ぁ・・・・・・もう、だめぇ~・・・ねっ、挿れてっ・」

もう、これ以上焦らされることに耐えられなくなったのか、妻は枕元に手をやると、薄膜の中心を膨れ上がったものに被せていきました。

交わりを前に、もうすぐ自分を貫くであろう男のものを扱いながら・・・・

妻の脳裏には、過去に体験した男とのめくるめく記憶が蘇ってくるのか、それとも、その時とはまた別の・・・・異質で、もっと凄い悦びが全身を駆け上ってくることを期待しているのか?

やがて洋介さんは、両足で妻の股間を広げると、右手で怒張の根元を支え、淫らに広げられた両脚の中心に宛がいました。

後ろから見ていると、男の股間から垂れた怒張が、今にも両の陰唇の中に、突き込まれようとしています。

妻が、私以外の男から貫きを受けるカウントダウンの間、私のペニスは、限界まで怒張してしまいます。

もうすぐ、妻の艶めかしい媚肉が彼の肉棒を包み込み、これまで私が味わったものと同じ快感を男に与えるのか・・・・?

こんなことを思うと、嫉妬の余り、極度に欲情してしまうのです。

そして、男の茎が、しとどに濡れぼそった女陰に沈み込むまでの時間が待ち切れず、自分の膨らみを激しく甚振って自慰に耽ります。

そして、いつものように、妻が貫かれるその瞬間が訪れます。

その刹那、妻の目線が私の方に送られてきましたが、今回のそれは、つかの間で、すぐに私から顔が背けられ、瞼が閉ざされていきました。

その視線は、これまでと同じ、縋り付くような哀願を帯びた眼差しではありません。

瞬時のうちに私から目を離した妻の姿を見れば、私に許しを乞い、夫の覚悟を促すような切ない心情が、徐々に消えつつあることを実感します。

こんな息苦しい瞬間が過ぎて、洋介さんは女陰への挿入を試みようとしますが、先端の膨らみが余りにも大きすぎるせいか、膣口で滑るようです。

「あんっ・・・・・・いやっ・」

そして、挿入に最適な微妙な部位を調整した洋介さんが、反りかえった欲棒を片手で握りしめ、固く引き締まった臀部を沈めていくと・・・・

私の目前で、淫唇を押し分けた肉塊が、“ひだ”の中にヌルリと埋没していきました。

「あっ、ああぁぁ・・・ちょ、ちょっと~ぅ・・・・すっごい・・・」

覚悟はしていたものの、予想を上回る感覚の貫きを受けたせいでしょうか、妻の口からため息が洩れてきます。

「奥さんが馴染ませてくれたおかげで、すんなり入りましたよ。ゆっくりといきますから、しばらくじっとしておればいいですよ。」

洋介さんは、抜き差しを小刻みなものにして、泉の奥から湧いてくる潤みで馴染ませながら、徐々に巨大なものを侵入させていきます。

段々と、欲情の膨らみが奥まで滑っていって、その先端がこれ以上は無理だという所で遮られたようです。

「はあぁ~っ・・・お願い、そこまでで やめてぇ~・」

そんな声を聞くと尚更、折り敷いている女体を更なる官能の世界へ導きたくなるのが男の本能です。

洋介さんは、妻に覆いかぶさると、これまでより幾分ビートを速くして腰を振っていきました。

私のこれまでの経験上、こんなに風に腰を振られると、大概“ぬちゃ、ぬちゃっ”という淫らな音が聞こえてくるものですが・・・・

洋介さんのものが並外れて大きいせいでしょうか、器の容量が目いっぱいになっていて・・・・

膣奥から滲み出た愛液が、火照った媚肉の襞を伝って、ぐちゅっと押し出されるだけです。

「きゃぁっ!大っきぃっ~・・・あぁっ、そんな風にすると・・・・・・!」

最初のうちは、器の全てが張り裂けそうなほどの違和感のために、鈍い疼痛を伴った快感にとどまっていた妻の性感も度重なる刺突を受けているうちに・・・・

徐々に高まってきているようです。

そのうち、洋介さんは、腰に廻されていた妻の両足を肩に担ぎ上げると、緩急のリズムを刻みながら、容赦なく妻の身体を揺さぶり始めました。

結合した二つの性器が貫きの終点でぶつかる度に、潤み溢れたものが止め処なく流れ出てきます。

「ああぁぁ・・・あっ、あっ・・・ぃやあぁ・・・・・・あなたぁ~・・・!」

(おまえの濡れた媚肉は、挿入された男の茎を離すまいと、更に奥へと飲み込もうとしているのか。自分の意思に反して一旦引き抜かれた肉棒が、再び突き込まれるときの感触は、例え様もない程気持ちいいのだろう。突き込まれて、しばらく痺れたまま漂って・・・・そのうちやがて、どっと噴き出す快感を待っているのだろう?)

そのうち、褥の上で妻の体が抱き起こされ、男女の所を変えて、妻の背中が男の厚い胸板に押し付けられるような腹上位の姿勢になると・・・・

妻の両脚が、洋介さんの膝によって大きく割られ、閉ざすことなど許されません。

下肢は最大限に開かれ、正常位のときにも増して、淫らな結合部が露わになってしまいます。

「あっ・・・いやぁ~・・・・こんなぁ」

突然変わった体位に、妻は頑是無く頭を振り、細い腕が何かに縋るようにシーツの上に伸ばされます。

洋介さんが、遠目で私の顔を見つめながら、艶かしい淫穴にすっぽりと埋もれた欲棒を、ゆっくりと突き上げ始めました。

逞しい肉棒が、妻の股間に突き刺さり、抜き差しされる様子が余すところなく私の眼に曝されます。

一旦、埋もれた肉棒が次に露わになると、濡れた茎の艶は更に濃くなり、最後に亀頭が吐き出されるのを見ていると・・・・言いようのない興奮が襲ってきます。

じわじわと陰唇を押し広げながら強張りが引き抜かれていき・・・・その最後に亀頭が吐き出され・・・・

そしてまた、肉襞を押し分けながらそれが消えていく生々しさは、到底ビデオの比ではありません。

こんな動きがしばらく続くと・・・・「・・・・んくぅ・・・・・・あぁん」という喘ぎが洩れてきました。

こんな喘ぎを聞いていると、想像を遥かに超えた巨根を受け入れた時の痛みが、とっくになくなっていることがわかります。

自分に悦びを与えてくれる男と上下の粘膜でつながる至福の陶酔感・・・・妻の官能を貪る欲情の炎が、劇的に高まっていきます。

「・・・・んくぅ・・・・・・ああぁ・・・・・・イイ・・・・・・っ!」

妻の背中をお腹に乗せて腹上位で交わっていた洋介さんが、むっくりと上体を起こし、妻を股間に跨らせると、自然に後ろ向きの座位になり、

強張りが、淫らに濡れた女陰の中心を突き上げると、妻もその動きに合わせるかのように自ら腰を振り、更なる高みへと昇っていこうとします。

交わりの合間に、洋介さんは、妻の肩越しに私に視線を送ってきますが・・・・

それは、「愛する奥さんが犯されるところをしっかり見てください。」という私に対する気遣いなのか、それとも、結合部を食い入る様に見入っている私の姿を見て楽しんでいるだけなのか、詳しいところはわかりません。

でも、彼の黒光りした男の分身が、愛液に塗れた女陰に抜き刺しされる様子だけは鮮明に見えます。

苦痛と快楽が入り交じった妻の顔・・・繊眉が歪められて、堅く瞑られた眦の端から、涙がほおを伝っています。

「あっ、あっ、あぁあ~・・・・・・気持ち、イィ~っ・・・・・・もう、だめぇ」

こんな妻の歓極まった様を目にすると、先程 男から貫きを受ける刹那、私への哀願の視線をつかの間しか送ってこなかったと、彼女を恨めしく思ったことを謝りたいような気持ちになります。

(この涙は、本来望んでいなかった背徳の行為を犯してしまったことを詫びる、後悔の涙なんかじゃないんだ。ましてや、自分の体が汚されて、堕ちていくことを儚む、悲哀の涙でもないんだ。私の“切なる願い”に応えるために・・・・男の貫きを素直に受け入れて、悦びが昂じたが故の、随喜の涙なんだ。)

このように、見知らぬ男に抱かれて、動揺も狼狽も見せず、ただ愛される悦びだけに身を任せる妻がこんなに愛しいと思ったことはありません。

妻が、何度目かの絶頂を繰り返していることを察した洋介さんは、妻を股間から下ろし、最初の交わりのときと同じ体位に変えました。

男なら誰しも、噴走りの最終行為を、交わっている女と体を最も密着できる体位で迎えたいと思うのは当然なのでしょう。

妻の両足を目いっぱいに広げた洋介さんは、茎の全長を使って、以前よりもっと荒々しい動きで妻の下半身を刺突し始めました。

刺突の度に媚肉に擦られて、張り裂ける程に増大した勃起が、恍惚の余り我を忘れた女の象徴へ、容赦なく打ち込まれていきます。

「あぁぁ・・・・・・そっ、そうよ・・・いっ、いいわっ・・・あぁっ、また、イっちゃう・・・・・・もう、どうにでもしてぇ~!」

こんな淫らな言葉から、女体を吹き抜ける快感を察すると・・・・

圧倒的な質量で圧迫され、擦り上げられていくうちに、膣奥からと言うよりは、背筋から悦びの怖気が走って・・・

そのうち、どっと噴き出す快感に身が溶けていく・・・

そして、しばらく官能中枢に届くまでの間、恍惚と彷徨って・・・

佳境に達すると、それは灼けつくような快感となって、彼女の頭の中を真っ白にしてしまうのでしょう。

こんな風に、抵抗の術なく、ただ男の欲棒を受け入れるだけの女の姿を見ていると、受け身の性の悲哀すら感じます。

自分ではどうしようもなく、ただひたすらピストンの蹂躙に身を任せ、体を荒々しく扱われることに被虐の悦びすら感じてしまう女の体・・・・

「はあぁ~もうダメえぇぇ・・・・・・もう、イッちゃってるの~っ・・・・・・!」

「そうですか、奥さん?女は、何度でもイケるって言うから、遠慮しなくていいですよ。オレは、もうちょっとなんだ!」

洋介さんは、腰の動きをさらにアップビートし、止めを刺すかのように、女体への刺突を更に激しいものにしていきました。

もう、堪えるなんてことはできません。身悶えする肢体の中心にある女陰は完全に溶解して、頭の芯が眩むほどの喜悦に震えているに違いありません。

「きゃぁぁ~!もう、止めてえぇ・・・おかしくなる~ぅ・・・・・・!」

たくましく突き上げてくる男の肉棒に身も心も翻弄されて、妻は背筋をグンとのけ反らせ、官能の極みに達した。

その妻の反応をみた洋介さんは、ギリギリまで溜めておいたものを、一気に吐き出すつもりなのでしょう。

「さぁ~っ、いくぞ、いっぱい出すからな・」

最後の一突きを、グイと女陰の中に沈み込ませました。

(あぁ~っ、今この瞬間、ひときわ膨らんだ亀頭の目口から、欲情を込めた見知らぬ男の精が、膣奥深く吐き出されているんだ・・・・・)

男は、その絶妙な媚肉の味わいを堪能するかのように、深々と貫いたままじっと動こうとしません。

目に見えない奥深いところで、妻に対して吐き出されている、見知らぬ男の精液・・・

猛々しく荒れ狂い、妻に気が遠くなるほどの悦びを与えていたものが目的を果たしたことを思うと、胸苦しい興奮、そして何て言っていいのか、後悔に似た心の動揺を感じます。

そのうち、妻の体腔深く幾度も吐射を繰り返した勃起が、秘裂からずるりと抜け落ちると、妻の体がぶるっと震え、津波のようなオーガズムを味わった淫肉が、一、二度 ピクっと痙攣します。

すると、「はあぁ~っ・」妻は総身の体力を使い果たしたのでしょうか、大きなため息を吐いて、ぐったりとなっていきました。

二人は、呼吸を止めて、固まったように愉悦の余韻に浸っています。

しばらくして、男がお礼を述べて立ち去ると・・・・

目の前に見えるのは、何回もイッて、退廃的な妖しさを放っている女の体だけです。

めくるめく快楽を味わった女体は、ひどく消耗したのでしょうか、私は、寝乱れて放心したような妻の傍に歩み寄ります。

「ごめんよ。辛い思いさせて・」

「うう~ん、いいの・・・私こそ、いっぱい欲しがって・・・ごめんなさい。」

「いやらしくて・・・・今までで一番興奮したよ。あんなに凄いもの、受けきってしまったもんな。」

「いや・・・ん、そんなこと言わないで。気持ちよくなってしまって・・・・ごめんなさい。」

「よかったよ・・・淫ら過ぎて、上せあがってしまった。」

「恥ずかしいこと、いっぱいしてしまって・・・・こんな私、嫌にならない?」

「オレが、思い描いていた通りのおまえだったよ。今夜は、忘れられない夜になった。」

「ねっ、今度は、あなたのを、気持ちよくしてあげる。」

男との交わりの後、しばらく放心状態だった妻でしたが、快楽の余韻を引きずるように、私に抱きついてきました。

(これまで、妻が他の男と交わるという私の求めを段々と拒まなくなったことに不安を覚え、経験を重ねるごとに変わっていく姿に怯えていたが・・・・私への愛と恥じらいは、依然として彼女の中に存在しているんだ。)

私に愛されるために、男に汚されても、今ではそれを厭わない強ささえ身に付けた妻が愛おしかった。

他人と朝を迎えた妻
私は小野まさお、妻の名は理香。子育てを終えて、ゆったりと二人暮らし・・・・

「妻を貫いた他人棒」でお馴染みの、四十路を過ぎた夫婦です。

しとどに濡れそぼった媚肉の奥を、他人の勃起しきったものが抉っていくと・・・・体から噴き上がる悦びを堪えきれず、よがりの声を洩らす妻・・・

二年ほど前から、こんな淫らな妄想にとり憑かれて、禁断の扉を開けてしまった私・・・

これまでは、妻が私以外の男に抱かれて喜悦に喘ぐ様を、その傍で眺めながら愉しんできたのですが、

ついに、妻を私の目が届かない場所へ送り出すことに踏み切りました。

初めて、妻を、男が待ち受けているところへ送り出して・・・・

その夜、私が過ごした夜の寝苦しさ・・・・翌朝、他人と朝を迎えた妻に会った時の胸の震えを綴ります。

【開かれた扉】

最初に、私がどうして妻を“貸し出す”ことを決意したのか、その辺りの経緯についてお話します。

妻を、私以外の男が待ち受けている所へ送り出すことについては、当初から躊躇いと抵抗がありました。

私の目が届かない密室の中で、妻と男の間で営まれる悩ましい行為を想像すると、段々と空想の世界が広がっていって・・・・

あられもない姿を男の前に晒し、狂おしげに体をよじる妻の姿が思い浮かんできます。

多分、私が傍にいないので、夫に対する不貞と背徳の陰も随分と薄くなり、悦びの度合いが格段に増すのかも知れません。

でも、私の頭にはびこる、妻が私知らないところで性の悦びに悶える姿は、あくまでも空想であって・・・・

私が傍におればこそ、私の目で優しく見守ってあげることができると考えていたのです。

従って、これまで、催淫剤のようなその誘惑に駆られても、妻を私の目が離れた場所へ差し出すことは思い止まってきました。

(愛する妻を、私以外の男のもとへ貸し出すなんて・・・・それは妻に対する私の捻じ曲がった情愛、とどのつまりは自分のエゴであって、心のどこかに妻を蹂ぶる嗜虐性が潜んでいるのではないか?セックスとは、快楽を求めるものであると同時に人と人の心をつなぐもの、夫婦間の愛情を深めるための手段であって・・・おまえは、妻の心を他人と繋がせたいのか?)

こんな風に、これまで理性でもって“妻の貸出”を思い止まってきたのですが、

ある方とのメールのやり取りで、私のこの思いが、夫側の視点に立った独善的なものであるかもしれないと気づいたのです。

その方から届いたメールは、次のような内容でした。

「・・・『大切な宝物が、徹底的に汚されて、踏みにじられてしまうことは我慢できない』というのは、男性として理解できます。でも、それって、裏を返せば、『奥様は自分の所有物である』という思いの裏返しなのではないでしょうか。奥様の心の中では、そうなればなったで、別室での交わりを愉しむ覚悟はできているかもしれません。ひょっとしたら、いつも傍らで、見知らぬ男性との「行為」を見ている旦那様のことを、『傍にいてくれて安心』と思うのではなくて、『このひとときばかりは、愛する人の目を気にせずに性の悦びに浸り、本当の自分になりきりたい』と、思っていらっしゃるかもしれません。」

このような指摘を受けた時、

(ああ~世の中には、このような考え方もあるのか?)

これまで自制してきた潜在的願望に、メラメラッと火がつきました。

私が、終始、男との交わりに喘ぐ妻の傍に居たい訳は、その生々しい行為のすべてを見て、自分の性的欲求を満たしたいのが最大の理由なのですが、その他に、自分に言い訳できる別の理由もあるのです。

その理由とは・・・・

見知らぬ男に対して、体のみならず次第に心まで開いていく妻の姿をしっかり自分の目に焼き付けて、私の願いに応えてくれる妻のことを、これからも一層愛おしく思えるようになりたい。

そして、決して他人には口外できない“二人だけの秘密”を心の奥底に留めておいて・・・・

同じ咎を背負った者どうし、互いに深く理解し合える間柄になりたい。

でも、それは私にとって都合が良い、独り善がりな理屈であって、妻にとっては、私が傍に居ること自体、何だか監視されているようで、絶えず夫の目を気にしなければなりません。

悦びに震えていても、その官能を控え目に表現しなければならず・・・・

一通のメールが、「愛しているが故の束縛」なんて、妻は望んでいないのかもしれないと思い直させてくれたのです。

妻を一夜、男と共に過ごさせる・・・これまで随分と分別をして、このような誘惑を戒めてきたつもりですが、新たな誘いの手が差しのべられたことによって、未知の体験への願望が止めどなく高まってきました。

さて、一旦このようなことを決断したとなれば、次に考えることは、妻の“貸出”のお相手をどなたにするかということになります?

サイトに溢れる体験談を読んでいますと、奥様を荒々しい男に抱かせたとか、身汚い男の好き勝手にさせたとかいう描写を目にしますが、私はそんな風にして、妻を“行きずりの男”に差し出すところまでは踏み切れません。

「女性は、『絶対に安心』という保証があれば、乱暴にセックスされることに性的興奮を覚え、自分が嫌悪さえ覚える男に身を任せる。」

という女性論もあるようですが、私はどうしてもそのようなことをする気になれないのです。

避妊のことはもちろん、妻が嫌がることをする可能性がある男、女の悦びを逆手にとって、それを躙ることだけを楽しむような男には、絶対に妻の体を預けたくないのです。

こんな訳で、例え、妻がその男に恋い焦がれる余り、私の元を去っていく危険性があるとしても、妻自身が魅力を感じる男にお相手になってほしい。

そして、その好きな男と一つになって、思う存分、性の悦びによがり狂ってほしいと願うのです。

そうすると話は、具体的な妻のお相手のことになる訳ですが、この前、小旅行をしたばかりなので、そんなに度々遠出する訳にはいきません。

限られた範囲で、私が見知っている中で・・・・そして、妻が身を委ねきってもいいという程の魅力がある男性となれば・・・・

妻の体を通り過ぎて行った何人かの男の顔が思い浮かんできますが、私は、その男性を、妻に選んでもらうことにしました。

さぁ、妻を、どのようにして説得するか?

妻が私以外の男に抱かれる最初のうちは、頑なに首を横に振っていたものですが、同じような経験を重ねるうちに、段々と、私の求めを拒むことが少なくなってきました。

想像するに・・・一度、他人に体を開いてしまったということが、心の重荷になり、決して、消すことができない咎を背負ったことが、彼女の抵抗感を弱めてしまったに違いありません。

そんな訳で、『また、一苦労しなければならないな』と、思いつつも、最初の頃のように、頭から撥ねつけられることもあるまいと思っていました。

ある夜、私は妻に、心の内を打ち明けます。

「あのさぁ、前に、冗談半分でおまえにもちかけたことだけど・・・一度、男の人と二人だけで夜を過ごしてみない?」

妻は一瞬、私の目を見つめ、目を落としながら、つぶやくように言いました。

「他の男の人のところへ出かけるってこと?そ~う・・・・とうとう、しちゃうんだ・」

余りに、手応えがないというか、腑に落ちているというか・・・・

まるで、そのことを予期していたような受け答えに、私は何だか、“拍子抜け”してしまいました。

私が知っている限りの妻はどこまでも恥じらいがちの貞淑な妻だったはずです。

「随分と、物分かりが良くなったんだね。」

皮肉が、口をついで出ます。

「そのうち再び、あなたから、そう言われるんじゃないかと思ってた。」

「こんなことを続けていると、先のことまで読めるようになってしまうのか?」

「うう~ん、だって・・・去年だったかなぁ?あなたが私に、『もし、男の人と二人だけでセックスしてもいいよって言ったらどうする?』って、尋ねた時のこと覚えてる?」

「ああ、覚えてるさ。その時、おまえは、『あなたがそう言うのなら、多分出かけると思う』って言ったはずだ。」

「Aさんに抱かれた時よ。あのあたりから・・・・ひょっとして、私の心の中に、そんなことを密かに願っている別の自分がいるんじゃないかって思うようになったの。あの時は、私がAさんに言い寄られて・・・・いつもはわたしが悩んじゃうんだけど、あの時はあなたに決めてもらったわ。」

「それで・・・・?」

「あの時、思ったの。どっちみち、抱かれるのはわたしなのに、あなたに決めさせるなんて、自分がずるいんじゃないかって。どうして、『Aさんのことが好きよ』って、あなたに正直に打ち明けられなかったのかと、自分が情けなかったわ。」

「そんなこともあったな。オレも、おまえの話を平然と聞いていたけど、正直言って、『多分出かけると思う』って聞いた時はショックだった。」

「それからね、あなたからそんな話をもちかけられる度に、『こんなこと、いつまで続けるつもりなの?』って、訊いているけど、本当は・・・もう、元に戻れないことも、急にストップできないことも、自分で分かっているの。」

「それは、そのこと、OKしてくれるという意味なんだね。」

「だって・・・・ここまで来たんでしょ?もう、あなたの申し出を断る理由なんてないわ。」

「それにしても、随分と悟ったもんだ。」

「遅かれ、早かれ、いつかそんな時がやってくると思っていたわ。でも、段々とヒートアップしていって・・・そのまた先、自分がどう変わってしまうんだろうかって考えると、すごく怖いの・」

こんな会話を交わしながら、私は、“お相手さん選び”を妻にもちかけます。

「これまでは、おまえが『あなたが選ぶ人に間違いはないわ』って言ってくれたおかげで、オレが相手の男性を決めていたけど・・・今回は、新しいことに踏み出すんだ。これまで抱かれた男性の中から、おまえが『もう一度、抱かれてもいい』って思える男性を選んでほしいんだ。」

「そんなこと、わたしの口から言わせるの?ひどいこと、言うのね。」

「いやっ、そうじゃないんだ。正直に言うよ。オレたちの“約束”に変わりはないんだ。ただ、初めて・・・他の男と夜を過ごすことになる訳だから、おまえには素敵な男性に抱かれてほしいんだ。」

「そんなこと、あなたの“奥さん”に決めさせて・・・・いいの?」

「今回は遠出するつもりはないんだ。場所は、近場のホテルにしようと思っているんだけど・」

こんな会話が続いて、それから妻が口にした言葉を辿ってみますが、万が一、妻のお相手をしてくださった方にご迷惑をかけると申し訳ないので、名前は控えます。

「Aさんとは、その後ずっと普通の関係で、何もないよ。でも、彼の好意はひしひしと感じるの。だから、それを壊したくないわ。」

「Bさんは、あなたに似すぎているもの。」

「Cさんも、素敵だけど・・・・この前、セックスしてみてわかったの。何となく、合わないって・」

「わかった。南さんだろ?」

「うん、その中で一人ってなると、やっぱり・・・・うふっ、言っちゃった。あなたもそれを望んでいるんでしょ?」

「妻の貸し出し」

・・・・このことは、当分、私と妻の胸内にしまっておいて、南さんには、「この前と同じようなことを、お願いできないか?」とだけ、頼むつもりです。

当日になったら、前回と同じように私の傍で妻を抱いてもらって、その後、「もし、南さんさえよろしければ・」と切り出せば、私の申し出を受けてくれるでしょう。

そのように決めた訳は、やっぱり私の心の中で・・・・

妻がホテルへ出かけていって、家に帰ってくるまで・・・ひたすら独りで悶々とした時間を過ごすことに耐えられそうもなく、それじゃ、余りにも私が淋しすぎると思ったからです。

これまで通りのことと、新たに決意したこと、二つのことを共に行うことで、自分が満足できます。

でも、果たしてこれでよいのか、考え直すなら今のうちだ・・・未知の体験への不安は、その後もずっと私の心に沈んでいました。

【二度目の交わり】

話は、閨での睦言から、“二人の交わり”へと進んでいきます。

二部屋予約しておいたホテルの一室に入ると、南さんが、にこやかに私たちを迎えてくれました。

「小野さん、お久しぶりです。とんと、ご無沙汰じゃないですか?その後、お変わりありませんか?」

「ちょっと、あの店から足が遠のいてしまって。南さんこそ、お元気そうで・・・今日は、妻のこと、よろしくお願いします。」

「奥様、しばらくぶりです。相変わらず素敵で・・・この前、ご縁をいただいて、今日また、お会いできるなんて思ってもみませんでした。」

「きっと、南さんには、ご迷惑をおかけしたと思います。私たちのわがままにおつき合いしていただいて・」

「そんな“わがまま”なんて・・・ご主人とあなたに感謝しています。」

「南さん、あの・・・主人からお話があったとき、当然、わたしもそのことを了承していると思われたでしょ?そんな軽い女とまた・・・・なんて、嫌になりません?」

「そんな訳ないですよ。前にも言ったのですが、小野さんのことが羨ましくて・」

二人の会話には、弾んだような・・・一度、肌を寄せ合った男女が持つ“親密さ”が匂っています。

(あれから、まだ一年とは経っていないが・・・その後、二人で言葉を交わしたこともなかっただろう。これから始まる交わりを悦び多いものにするためには、そして、その後、別室で行われる営みを狂おしいものにするためには・・・)

「どうですか?こうして再会できたのですから・・・妻と一緒に、シャワーを浴びてこられませんか?」

「えぇ~っ、小野さん、そんなことを私に勧める貴方には思えないのですが・・・・何か、心境の変化があったようですね。」

「いや、ただ、南さんが、そうしたいと思っておられるのでは・・・・と、気を利かしたまでなんですが・」

「そうですか。そうおっしゃるなら、せっかくのご厚意ですから・・・・甘えさせていただきますか?」

二人が連れ立って、個室バスに消えたのを見送った私は、独りで物思いに耽ります。

(奇しくも、このホテルの部屋は、前回の時と同じ部屋じゃないか?あの時は互いに初対面で、妻は『小野の家内です』とあいさつしたっけ。緊張の余り、ぎこちなかったあいさつも、今日は随分とスムーズだな。あれから時が過ぎて・・・・変われば変わるもんだ。あの時と比べて最も大きく変わったことは、この後 南さんと交わった妻が、私が立ち入ることができない部屋へ出かけてしまうということだ。)

妻を、一晩中、男と一緒に過ごさせる・・・どうなってしまうかは、私がその男の立場になって考えれば、容易に想像できます。

この後、南さんと交わった妻が部屋を出ていく時、戸口で振り返って私を見つめたら、何て声をかければいいのか?

こんなことを想っていると、隣のシャワー室のことまでも気になってきます。

きっと、赤味がかった室灯の下で、これから交わる女性の全てを見つめ、愛おしむように両手を彼女の背中に回し、彼女の肌の温みを感じようとしているに決まっています。

(多分、心を開いて、思いの程を語り合っているのだろう。まさか、早から始めるってことはないと思うが・・・いいウオーミングアップじゃないか。)

しばらく経って南さんが、妻より一足早く、バスルームから出てきました。

「まぁ、一息つかれたら・・・・?どうですか、理香と「旧交」を温められましたか?」

「“きゅうこう”?アハハッ、まさしく“旧交”ですよね。おかげさまで、十分温めさせてもらいました。」

「ところで、こんなことお訊きするのは野暮なんですが、この前お会いした時は、微塵もそんな話されなかったのに、どうして急に、奥様を同じ男に抱かせる気になったのですか?」

「困りましたね。浴室で、妻が何か言っていませんでしたか?」

「そんなことをおっしゃる奥様ではないことは、貴方がご存じのはずでしょう。」

「そうですね。後から、お話ししようと思っていたのですが、実は・・・もし、南さんさえよろしければ、終わった後も朝までずっと、妻と一緒に過ごしてほしいのです。貴方だったら、多分、この申し出を受け入れてくださるのではないかと思って・」

「それで、私がその相手に選ばれたって訳ですか?ご夫婦の話に立ち入って申し訳ないのですが、一つだけお訊きします。そのことは多分、小野さんが決められたのでしょうが、私の名前が出たのは貴方の方からですか、それとも奥様からですか?」

「どうも、貴方に隠しておく訳にはいかないようですね。妻の方からです。」

「そうですか?そんなことを奥様に言わせる貴方も、罪深い人ですね。」

「年甲斐もなく、恥ずかしいのですが、妻のことが愛おしいのです。妻を、思いっきり愛してやってください。全て、南さんにお任せします。」

「わかりました。そうお聞きした以上、全力で奥様の期待に応えるつもりです。」

そうこうしているうちに、私が望んだ時がやってきて・・・・

シャワーを浴びて、幾分濡れそぼった体と、逞しく引き締まった体が結ばれたのは、それからしばらくしてからでした。

「理香、その時がやってきたようだ。さあ~南さんの傍に行って・」

私は、妻の手をとって、ベッド脇にいる南さんの傍まで連れていきますが、どきどきしている様子がよくわかります。

妻の手が私の手から離れた時、一瞬、喉元が動いて、唾を呑み込むのがわかりました。

でも、そのドキドキ感は、初めて男の前で体を開く緊張から生まれたものではなく、自分が望んだ男と再び一つになれる幸せから生まれたものなのです。

南さんが、隣に寄り添ってきた妻の肩に手を添えると、妻の顔が撓りかかるように南さんの胸に埋まっていきました。

それは、妻が“二度目の性のお相手”に抱かれることを、自らに言い聞かせた瞬間でした。

今、妻が、その胸に顔を埋めている男は、悦びをもたらしてくれることが間違いのない「私以外の男」なのです。

やがて、ゆっくりと南さんの唇が妻のそれに重なっていくと、妻はうっとりと目を閉じて身を預けます。

波打つ胸の動悸に押し出された吐息が聞こえるようで、二人は夢中になって舌を絡み合わせています。

私の目には、それがまるで、何年も連れ添っている夫婦が交わすごく自然な口づけのように映りました。

そして、崩れ落ちるようにベッドに横たわる二人・・・・

南さんが、優しさの限りをつくしながら、妻が身に纏っているものをゆっくりと剥いでいきます。

キャミの肩紐を緩め、ブラのホックを器用に外して・・・・

南さんの大きな手が、その谷間に覗く双方の乳房を優しく愛撫し始めた時、妻の口から今日はじめての喘ぎが洩れてきます。

仰向けに横たわった妻の白のショーツから、うっすらと黒いものが透けて見え、そこに続くところが柔らかに凹んでいます。

片方の手でうなじを抱きしめながら、もう片方の手がショーツの中へ滑り込むと・・・・

その下で固く閉じられている両脚が、次第に力みを失っていきます。

この後、目の前で繰り広げられている前戯の次に訪れる光景は・・・・

妻の体を思いっきり抱きしめながら、体を震わせて、喜びの精を放つ他人、そして、火照った媚肉の奥深く、その欲望の精が奔走るのを喘ぎながら求める妻・・・・

この後もうすぐ、求め続けてきたものが叶う興奮と、その後に襲ってくるであろう言い知れぬ不安を感じながら、私は、ぼんやりと二人の姿を眺めているだけでした。

やがて、ショーツの脇を掻い潜った南さんの指先が、妻の敏感な部分を愛おしそうに愛撫しながら・・・・

耳元で何かつぶやきかけると、熱いため息といっしょに喘ぎが洩れてきます。

「はあぁぁ・・・・・・だめえぇ・・・そんな風にすると・・・・・・・」

優しい言葉と、繊細な指遣い・・・・

南さんの指先が微妙な変化で妻の秘部を弄っていくと、我慢しきれなくなったのでしょうか、妻が、もどかしそうに自分からショーツを脱いでいきます。

仰向けになってゆっくり脚を開くと、しとどに濡れた艶めかしいものが現れ、南さんが、その谷間に顔が埋めていくと・・・・

妻は目を閉じて軽くのけぞり、まるで“おねだり”をするかのように、両脚が段々とその角度を広げていきます。

南さんの舌先が潤いの中心を舐め上げていくと、妻がたまらず膝を窄めようとしますが、南さんの両手が、構わずそれをぐいっと押し広げます。

そして、剥き出しになったものを転ばしていた舌先が、それを吸い上げていくと・・・・妻の声が嬌声に変わっていきます。

「あっ、あぁっ・・・・・・ あっ、そっ、そこ・・・そんなの、だめぇ~っ・・・・・・!」

「そこじゃないでしょ?奥さん?」

口では拒否しながらも・・・・前戯の段階から、愛撫の続きを求めるような言葉を聞いていると、妻が南さんに、完全に心を開いたことがわかります。

身体中が波打つ様にビク、ビクっと反応している姿を見ていると、きっと、全身がクリトリスになったみたいに感じているのでしょう。

そのうち南さんの唇が、妻の秘所から耳元に寄っていって、頻りに何か囁きかけていますが、私にはよく聞こえません。

何度も、何度も、説得するように囁いていますが、妻は首を横に振るばかりです。

やがて、好きな男の期待に応えられないのを悲しむように、妻の肩の力が抜け落ちていくのが傍目からも判りました。

「この後、私の部屋に来るんだから、今言ったこと・・・もう、何も我慢しなくていいんだ。」

その強めの口調が何を意味しているのかはわかりませんが、その声は私に聞こえるに十分な大きさでした。

南さんは、仕様がないといった風で妻の耳元から口を話し、普通の状態に戻って話しかけます。

「奥さん・・・・相変わらず、可愛いですね。でも、今日の方が感じているように見えますよ。」

「自分でもわかっているの。何もかも忘れられそうだって・・・でも・・・・ごめんなさい。」

「もう、“ごめんなさい”と、言えないほど愛してあげますよ。そろそろ、ほしいんでしょ?」

目を閉じて、その言葉に頷く妻・・・・

「はあぁ~・・・挿れてください。もう、我慢できないの・・・」

南さんが、股間に揺れる勃起を握って膝立ちの姿勢になると、妻の両脚が、それを迎え入れるように大きく広がります。

すると、じっとその時が訪れてくるのを待っている妻の淫らな部位に・・・・南さんの双臀が割って入り、剥き出しのものを近づけていきます。

そして、いつものような瞬間が訪れます。

その刹那、妻は南さんの肩越しにちらっと私の方を見やりましたが、それはつかの間の一瞥で、これまでのような憂いを帯びた哀願の眼差しではありません。

すぐに私から目が背けられ、瞼が閉ざされていきました。

でも、私に許しを乞い、覚悟を促すような切ない心情が感じられなくても、私にとっては、妻がチラッとだけでも目線を送ってきてくれたこと自体が嬉しかったのです。

(南さんに求められるまま、悦び多い女になりきろうと、自分の心に決めているはずなのに・・・・

今でもまだ、その眼差しを、私に送ってくれるのか?)

私の位置からはよく聞こえませんが、南さんが妻の枕元に手をついて上体を支えながら、妻に何か囁いています。

すると、南さんの腰脇から妻の手が伸びて、怒張の先をゆっくりと・・・・しとどに濡れそぼった秘所に宛がっていきます。

瞬時の後、南さんの下半身が潤みの中に沈み込んでいって・・・・

強張ったように動きを止めているお尻を見ていると、妻が愛おしい男と一つに結ばれたことがわかります。

正常位では、肝心な二人の結合部が見えないのが不満ですが・・・・

南さんは、潤みきった媚肉の味わいを堪能するかのように、ゆっくり、ゆっくりと肉棒を抜き刺ししていきます。

すると、亀頭のそれほどは敏感でない妻の膣も、抉られているうちに馴らされて、痺れるような快感が湧いてくるのでしょうか、

「んくっ・・・・・・はぁ・・・・・・あ、あぁぁ・・・・・・ いぃ~っ・・・」

徐々に体を覆ってくる快感に堪らなくなったのか、時おり ぶるっと身体を震わせて歓喜の程を表します。

そのうち南さんは、怒張したものをゆっくり引き抜くと、ずぶっと鋭く腰を打ち込む動きを加えて、スラストに緩急をつけていきました。

量の増した肉棒が、最深部を抉っていくと、妻の喘ぎが甘く切ない嬌声に変わっていきます。

このように、くすぐるようなタッチと力強い突き込みを繰り返されれば、女体は否応なしに官能の渦に引き込まれてしまうのでしょう。

懸命に堪えるように堅く閉ざされた妻の眉間の皺が、深くなっていきます。

「あぁぁ・・・・・・南さん・・・・そんなに深く・・・あぁ・・・ぅ・・・」

「もっと、繋がりを深くしましょう。ご主人に見てもらうんです。」

南さんは、妻の体を押し潰すように、両脚を肩に掛けて引き上げ、より深い貫きが可能な体位に変えました。

急に降ってきた南さんの言葉に促されて、私が二人の傍に近づくと・・・・

目の前で、滾ったものを待ち受けるかのように口を開いた女陰が、野太い茎をしっかりと呑み込んでいく様子がよく見えます。

南さんが、勃起の全長を沈ませるために必要な距離をとって、大きく、緩やかなストロークを送り込むと・・・・

艶に濡れた男根が、微かに口を開いた媚孔の中に沈み、隙間すらない程ぴっちりと嵌め込まれていきます。

「小野さん、愛する奥様に、何か声をかけてあげられてはどうですか?」

「よく見えるよ、理香。入っていくところが・」

「いやぁぁ・・・・見ないでっ!お願い、向こうの方へ行ってぇ・・・・!」

今までそんな風に言われたことはなかったが、今の妻にとっては、私が“南さん以外の男”であっても仕様がないのか?

何しろ、体が二つに折れ曲がり、屈曲した爪先が顔の方に触れんばかりになっていて・・・・

絶頂に上り詰めている途上なのでしょうか、その窮屈さすら歓迎しているように見えるのですから・・・・

自分が好きな男に抱かれる至福の悦びに浸るためには、夫という存在が鬱陶しく思えても仕方がないことなのでしょう。

滑った膣奥から抜き出された茎が、再び緩やかに女陰の中に突き込まれていきます。

一定のリズムで緩やかな刺突を受けていると、徐々に膣奥に甘い疼きが湧いてきて・・・・

その刺激を我慢しようとすれば、返って胎内に快感を溜め込んでしまうことになります。

そうするとその分、堰き止めていたものが崩壊した時の衝撃は計り知れないはずです。

「あぁ、もうっ・・・ああぁっ・・・イきそう・・・・」

南さんの度重なる腰づかいに追い込まれ、妻は肢体を捩らせながら喉を大きく反らせ、オーガズムに達しようとします。

じんと痺れるようなたまらない快感に息が上がり、腰から下の力が急速に抜け落ちていくのでしょうか、両脚が開ききっています。

そのうち、南さんは、急激に上りつめていく女体に、自分の意志でコントロールできる僅かな休息を与えたいと思ったのでしょうか、妻に、騎馬位での交わりを求めたようです。

羞恥も他見も忘れて、妻がしっかりと自分の股間を見下ろしながら、肉茎の先が埋もれる位置を確かめて、静かに体重を乗せていきました。

もちろん、もう私に視線を向けるなんてことは忘れ、完全に悦びを求める女になりきって・・・・

「はあぁ~っ、いぃ~・・・気持ちいい・・・・・・・」

妻が、自らのものを肉茎に没入させる動きを頻繁に繰り返し始めました。

腰を降ろしさえすれば湧いてくるものが、どうしてこんなに自分を感じさせてしまうのか驚きながらも身体がもう、次の快感を欲しがっているように見えます。

体から噴き上がってくる途方もない快感を味わっていると、その悦びを何度も何度も欲しくなってきて、貪るかのように、腰を動かし続けます。

「奥さん、ご主人にあっちへ行ってほしかったんじゃないですか。」

「あぁぁ・・・・・・そんなこと、言わないで・・・もう、どうでもいいの。あぁ~っ、気持ちいい-っ・・・・・・!」

意中の人に抱かれる喜び・・・・イッても、イッても止まらない気持ち良さは、津波のような勢いで体を走り、それまで妻の心のどこかに微かに残っていたかもしれない私の存在を、完全に押し流してしまったようです。

そのうち、南さんが妻の体を抱きかかえ、再び正常位の姿勢に戻ったのを見ると、交わりが終わりを迎えそうなことがわかります。

南さんの動きが、先程までの長いストロークではなく、荒々しく激しい動きに変わっていきました。

「あぁぁ~そんな風にすると・・・・・・あっ、あっ、ああぁ~っ・・・いくぅ、イっちゃう~!」

極度に膨らんだ怒張を膣奥深く送り込まれて、激しい動きで抉られると、これまでのように快感を自分でコントロールするなんてことはできません。

膣内を擦られる時間は短いのですが、その分鋭く、速く、何度も“ひだ”を擦られ、削られていくのですから・・・・

快感は急激に高まり、堪えようがないところまで行ってしまいます。

妻がひときわ大きく喘ぐと、南さんは、妻の絶頂と時を合わせるかのように、腰の動きをさらに加速させていきました。

「あっ、あっ、ああぁぁぁ・・・ いっちゃう・・・あぁっ、また、いくっ、いく~ぅ・・・・・・!」

妻は急激に上りつめてくる快感に耐えきれなくなったのか、繋がっている部分を外そうとするかのように身を捩りますが、がっしりと腰骨を掴んでいる南さんの両手がそれを許しません。

すると、もう女体は、体を開ききった状態にして、刺突のすべてを為すがまま受け入れることしかできなくなってしまいます。

全身を小刻みに震わせている姿を見ると、妻がこれまで経験したことのない程の高みへ達したことがわかります。

「んぐっ・・・っぐうぅ・・・・ああぁぁ・・・もう、だめぇ・・・・・・

南さん、お願い、もう、出してぇ・・・・!」

貫きの刹那こそ、胸苦しい興奮は湧いてこきませんでしたが、男の貫きを受けて身悶えしている妻の嬌態を見ていると、流石に狂おしいものが溢れてきます。

(私が求めてやまない女の姿になりきろうとしている妻が、愛おしいはずなのに・・・・すべての恥じらいを忘れる程、おまえは感じてしまうのか・・・)

しかし、この感情は確かに“嫉妬”なのですが、不思議に“焼け付くような嫉妬”ではありません。

何故なのでしょうか?

妻に、悦びを与えている男が、私が心を通わせる男だからなのか?

いや、そうじゃなさそうに思えます。

目の前で、悦びに喘いでいる妻の姿が、私の嫉妬を掻き立てていることは間違いないのですが、その先に、もっと大きな愉しみが控えていることを思うと、“小さな嫉妬”を燃やす愉しみは、胸が焼け付くほど凄いものでなくなってしまうのです。

「そろそろなんですけど、出してほしいところを、ちゃんと言ってほしいな。」

「ああぁぁっ・・・・・・イってぇ・・・・・・もう、逝ってぇ」

「そうか、強情なんですね、奥さん。あぁ~出そうだ・・・・出しますよ!」

「あぁぁ~・・・ください・・・いっぱい出してぇ・・・」

南さんの臀部が、妻の股間に深く沈み込んで、それまで溜めていた男の精を注ぎ込んだようです。

(あぁ・・・・今、この瞬間、私のものとは違う男の精が、妻の膣奥深く放たれているんだ!どぷっ、どぷっと、断続的に続く射精の感覚まで、妻の膣は感じているのだろう。)

南さんの背中を深く抱きしめながら、エクスタシーの余韻に浸る妻・・・・

そのうち、気が呆けたようにぐったりしている妻の陰部から、埋もれていたものがゆっくりと抜き出されると、満ち足りていたものも、潮が退いていくのを感じるのでしょうか、ピクッと震えます。

やがて、南さんは、放心したように身を横たえている妻の体から身を離し、私に語りかけます。

「小野さん、貴方の決意を確かなものにする意味でも、しばしの間、奥様と二人きりで過ごされた方がいいでしょう。これから私は、隣の部屋へ引き取らせていただきますが、奥様が程よく回復された頃を見計らって、お電話ください。」

その言葉を聞くと、固く心に決めたつもりでも、何やら取り返しがつかないことをしてしまったような言いようのない不安が襲ってきます。

(もうすぐおまえは、私の元を離れ、夫と言う存在が皆無の時間の中で、今と同じ場面を迎えてしまうのか?)

私から隔離された部屋で行われるであろうことが、今しがた、目にしたものと同じ営みであっても・・・・

私の目から妻の姿が消えて、妻の視界から私の姿が閉ざされることは、変わってくるのです。

例え、その部屋の中で、私が行ったことがない行為が行われていても・・・・

妻が、今まで以上に歓極まった風情で悶えていても・・・それを窺い知ることはできないのです。

「小野さん、今あなたが望んでいることは、この後 奥様が私と過ごして・・・・その体に、一夜を共にした印を刻むことでしょ?私の自由にさせていただくつもりですが、よろしいですか?」

南さんは、そのことを確かめるような置き言葉を残して、部屋を出ていきました。

【寝苦しい夜から朝へ】

妻はベッドの上で露わな肢体を包み隠しながら、心そこにあらずといった風で、南さんが部屋を出ていくのを眺めていました。

「理香、そんな風にしていると風邪ひくよ。一緒にお風呂に入ろう?」

私は、精根を使い果たし、放心したような妻の肩に手を添えて、バスルームに入ります。

「さっ、洗ってあげる。辛い思いをさせてごめんよ。」

「うぅ~ん?辛い思いをしたのは、あなたの方でしょ?」

私は、ボディソープをつけた両手を、妻の肩から脇の下を通って、形よく膨らんだ乳房へと手のひらを這わせていきますが、泡立った手が腰のくびれを伝って恥丘にまで届くと、その先に進むことを躊躇ってしまいます。

(あぁ~もうすぐ、この淫裂を再び広げて、男の勃起を受け入れてしまうのか?)

そこに、男に愛された名残りをとどめていることを思うと、胸が詰まるような愛おしさを覚えますが、それよりも更に・・・・この後、男と二人っきりになって、再び男のものを迎え入れてしまうことを思うと、やるせない気持ちになってきます。

何だか、その下に続くところが一層艶めかしく思え・・・・その大切なものを、自分の手で汚してしまってはいけないと思うのです。

(一度、好きな男に抱かれて・・・・その後、夫に弄ばされて・・・・再び、別の男に抱かれるってのは、余りにも妻がかわいそうだ・・・)

「おまえの体を、オレのもので汚して、南さんのところへ送り出したくないんだ。おまえには、この部屋から離れたところで 先程以上に悦んで欲しいんだ。」

「あ・・・あなた・・・愛してる・・・抱いて・・・もっと・」

「もう、我慢できなくなってるんでしょ?もうすぐ、わたし、居なくなるのよ。ねっ、その前に、あなたのを気持ちよくしてあげる。」

妻は自分の体に泡立つものを手に付けて、私のものを温かく握ります。

ゆっくり、ゆっくり扱くその動きは、私に快感を与えるというよりも、そのものが愛おしくて堪らないというような指の動きです。

しばらく、その指の動きに任せていると、快感が積もって徐々に膨らんできますが・・・・

(これ以上、妻の思いを・・・・私の方へ向かせておく訳にはいかない。そろそろ南さんも気にしている頃だ。)

「ありがとう、理香・・・そこまでで、いいんだ。」

せっかくの好意を、予期せぬ夫の声で制止された妻は驚いたような表情で私を見上げます。

「わたし、下手だから・・・・でも、もうちょっと待ってね。」

「いや、そうじゃないんだ。おまえには、これから始まることだけを思ってほしいんだ。ごめんよ。悪いんだけど・・・それは、おまえを送り出して、一人残ったオレができる唯一の愉しみなんだ。おまえのことを思い浮かべながら、後から一人でするよ。」

「あぁ・・・・・・あなた」

先程の南さんとの交わりが終わってから、もうすぐ一時間になろうとしています。

私は、南さんの携帯に電話をして、間もなく妻が訪れることを伝えます。

「さあ、そろそろ、南さんも気にしている頃だろ?オレに遠慮なんてしないでいいんだ。たった今から、オレのことは忘れるんだ。」

その声に促された妻が部屋を出ていきますが、戸口の所で立ち止まり、私の方を振り返りました。

その纏わりつくような目線は、私のことを愛おしみながら、これから始まることに対して念を押す眼差しに思えました。

妻を見送って無性に淋しくなった私は、到底、読み物をしたり、テレビを見たりする気にはなれません。

今はまだ、そのことが始まってはいないだろうという予想が安堵をもたらしてくれていますが、やがて時間が経って・・・・

隣室での営みが気になる時間になると、私の興奮と嫉妬、胸苦しさは最高潮に達するでしょう。

こうして、物思いにふけっていると、先程の・・・・

男の腰に跨って、快楽の続きを求めるように腰を沈める妻・・・・

男の精が、膣奥深く放たれるのを、喘ぎながら求める妻・・・・

狂おしい場面が蘇ってきますが、それは私自身が望み、計画し、ここまで時をつなげて実行にまで漕ぎつけてきたことであって、自分が種を蒔いた現実なのです。

(やがて、この狂おしい時間の後に、壁一枚隔てた隣室で、妻は私の“束縛”から解放されて一人の女としての悦びに身を任せるんだ・・・)

同時に、私の心の中に、このようなことを行うきっかけになった言葉が浮かんできます。

「奥様の心の中では、そうなればなったで、別室での交わりを愉しむ覚悟はできているかもしれません。」

これまで、私の目の前で他人に体を開き、素直に女の悦びを表してくれた妻・・・・

でも、その先に、夫への不貞と背徳を気にせずに、思う存分性の悦びを満喫できる、“至福の悦び”というものがあるならば、夫である私の“呪縛”から妻を解き放して、思う存分 官能の世界に浸らせてあげたい。

今、私は、このような魔性の胸苦しさ、ときめきに震えながらも、妻にそうなってほしいことを心から願っているのです。

これまで経験したことがない、震えるような胸の内で・・・・考え過ぎて麻痺してしまったような頭の中で・・・・こんなことを思っているうちに、随分と時間がたってしまったような気がします。

どのくらい経ったのかわかりませんが、そろそろ隣室で営みが始まるのでは・・・・と、気になる時間になると、私は、悶々とした思いを振り払うように、妻が私に与えようとするのを拒んでまでとっておいた、“唯一の愉しみ”に移ります。

多分、これからもうすぐ後に・・・いや、もう既に・・・隣の部屋では、二度目の性交を始めているのかもしれない・・・・

心に穴が開いたような淋しさを慰めるには、滾り立ったものを弄ぶことしかありません。

ブリーフを脱ぎ捨て、露わにした肉茎を握りしめると、手のひらから伝わる熱い脈動・・・

取り出したものを眺めていると、これと同じ形状のものが妻の秘口に宛がわれている光景が思い浮かんできます。

(うっとりとして目を細め、口を半ば開きながら、じっとそれによる貫きの瞬間を待ち望む妻・・・)

そして、潤みの中心に添えられているものは、格段に目の前のそれよりも膨れ上がっているのです。

私は、強張りをゆっくり擦りながら、妻が悦びに喘ぐクライマックスの場面だけを頭に描きます。

待ち焦がれる余り潤みきった媚肉の奥を、ゆっくりと貫いていく他人の勃起・・・

頭が真っ白になるほどの極上の快感を堪えきれず、そこを反り上げるようにしてより深い挿入を求める妻の女陰・・・

こんな光景を脳裏に浮かべながら、私の手は激しく動きます。

そして、極めつきの興奮・・・・欲情の精を迸らせたい場所を思い描くのですが、吐精の“受け皿”になって欲しいのは、やっぱり妻の性器なのです。

(これまで睦み合ってきた、あの温かい媚肉の奥に、思いっきり放ちたい。)

これまで随分と心を定めて、悟ったつもりでも、射精を迎える刹那になれば、そんなものは頼りない細い線になってしまって・・・・

今すぐ隣室に飛んで行き、男にとって代わりたいほど昂ぶってきます。

そして、更に興奮してくると・・・・そんなことができない“役立たずの物”を手指で千切ってしまいたいような衝動すら覚えてしまうのです。

壁一つ隔てた隣室で、私のものと同じ白濁液を浴びて快楽の絶頂を迎える妻の姿を想像しながら、私は想いの精を迸らせました。

朝を迎えて・・・・

昨夜は、妻と男との営みが、部屋一つ隔てたところで行われていることを思うと、胸が締め付けられるような息苦しさ、圧迫感を覚え、なかなか寝つかれませんでした。

しばらく微睡んでいても、すぐに目敏くなってきて・・・・

「妻は今頃、どうしているのだろうか?男に寄り添い、その胸に顔を埋めながら、寝入っているのだろうか?」

と、別室での妻の寝姿が思い浮かんできて、寝たり覚めたり・・・・苦しい胸の内を引き摺りながら、うつらうつらしていました。

ちょうど朝の6時半頃だったでしょうか、枕元の電話が鳴りました。

モーニングコールをした覚えはないので、南さんからの電話であることは分かっています。

「お目覚めですか?私、これから帰りますので、一言、お礼をと思って・」という口上でした。

「そうですか。こちらこそ大変お世話になりまして・・・・これから、お部屋に伺おうと思うのですが、よろしいですか?」

「いや、いい思いをさせていただいて、ありがとうございました。私たちの時間は終わりましたので・・・今朝からは、小野さんと奥様の新しい一日の始まりです。私は、居ない方がいいでしょう。また、いつもの所で、お会いしましょう。」

「ちょっとだけでも、ご挨拶したいのですが・」

「それは、奥様から十分いただきましたから。それに、何だか貴方に申し訳ないような気がして・・・・このまま、お別れさせていただけませんか?」

「わかりました。貴方がそう、おっしゃるなら・・・・ところで、妻はどうしていますか?」

「もう起きて、いらっしゃいますよ。どうやら、奥様、貴方の居ないところで抱かれるのは初めてだったようですね。しっかり、労わってあげてください。」

そんな経過で、南さんは、私たちより一足早くホテルを出たのです。

私は、何だか、後に取り残されたような感じになって・・・・

(そうか、もう起きているのか?南さんが出ていくのを寝乱れたまま黙って見送る妻じゃないはずだ。多分、見送りの言葉をかけたと思うが、その中に再会を願う言葉も入っているのだろうか?)

間もなく、妻が居る部屋に行かなければならないが、ドアをノックするときのことを思うと、胸がどきどきしてきます。

妻は気恥ずかしそうに、目線を伏せながら、私を迎えるのだろうか?

あるいは、昨夜、何事もなかったかのように、いつも通り平然としているのだろうか?

それとも、どことなく“上の空”のような表情で、気怠さを漂わせながら戸口に現れるのだろうか?

数回のノックの後、ドアが開かれると、もうすでに平装に整え終えた妻の顔が現れ・・・・

「あらっ、いつもより早いのね。」

意外に、カラッとした明るい声が降ってきました。

でも、「おはよう。ぐっすり、眠れたかい?」と私が声をかけると、妻の視線が下を向き、気恥ずかしそうに微笑みました。

明らかにその表情には・・・・今までとは違った、夫婦の一線を越えて道ならぬことを行った女がもつ陰りが宿っていて、何だか、私との距離が、遠くなってしまったような・・・・

ぴっしり埋まっていた“夫婦関係パズル”の一片が抜け落ちてしまったような気がしました。

昨夜から、そんなに時間は経っていないのですが、この時ほど妻のことが愛おしく思えたことはありません。

私は、震いつくように、思いっきり妻の体を抱きしめました。

(私だけの理香・・・・あぁ~この体の中に、長い時間を男と過ごした痕跡をとどめているのか・・・)

抱きしめることによって、彼女の気持ちを楽にしてあげたいという気持ちよりも・・・・

男によって微妙に変わってしまった何かを消し去って、二人の関係を元に戻したいという気持ちの方が強いのです。

でも、抱きしめて、自分の手で“私の妻”という存在を確かめ終えたはずなのに、私の口からは・・・・

「疲れているんだろ。気分はどう?」

「朝食、どうしようか?」

「何時ごろ、チェックアウトする?」

畏まったような、当たり障りのない、他人行儀な言葉しか出てきません。

何だか、胸苦しくなって、それでいて、最近は味わったことがないときめきを覚え、ズバッと核心へ踏み込めないのです。

こんな、心底にわだかまりを含んだときめきなんて、久しぶりで・・・・

まだ、お互いのことをそんなによく知らずに、その時々の何気ない仕草や素振りまでが気になった頃を、懐かしく思えます。

一度、このような世界に入ってしまうと、返って愛情が深まる夫婦もいれば、逆に溝が出来てしまう夫婦もいると聞いたことがあります。

臆病なくせに、見栄はりで意地っぱり・・・・

優しい言葉をかけて妻を労わってあげたい気持ちがいっぱいなのですが、ストレートにそれを表現できない私は、

確実に、溝を深くしてしまいそうなタイプで、自分の性格が恨めしくなってしまいます。

朝の光が差し込む部屋の中で、昨夜のことを妻に尋ねるのは余りに酷すぎるでしょう。

妻にしても、心の整理ができていないに違いありません。

妻の方も、何となく私の心情が伝わってくるのか、進んで話しかけようとせず、二人の間に重苦しい雰囲気が漂います。

でも、こうして妻と二人だけになってみると、確かに、気まずいというか、思うに任せない雰囲気が醸し出されているのですが、その中で、私が妻に対して抱いている感情が、決して、憤怒、嫉妬、後悔といったものではないことだけはわかります。

この胸苦しいときめきは何なのか?

ちょっぴり、失恋気分にも似ていますが、今夜、互いに心を開いて思いの全てを語り合えば、消えていくのでしょう。

帰りの車の中・・・・熟睡できなかったせいでしょうか“温泉帰り”のような気怠さを引き摺りながら、車内暖房のせいで火照ってくる体、考え過ぎて麻痺してしまったような頭・・・・

とにかく、気疲れして疲労困憊・・・・その日は、互いに意識する余り口数も少なく、家に帰り着きました。

【寝室での戯言】

そして、その夜、妻と褥を共にしていると、心に伏せておいたものが蒸し返してきます。

こうして、枕を並べて夫婦の情けを交わす時を迎えると、思いの丈をあからさまに語り合えるのが不思議です。

片手を手枕に差しのべて、ぷっくりと膨らんだお尻を撫でていると、昨夜、男の前で裸体を露わにした妻の姿が、思い浮かんできて・・・・

妻と男の間で行われた密室での営みを想像してしまいます。

(あぁ・・・・男の前で、この白い体を仰向けにして、そのすべてを開いてしまったのか・・・)

その胎内に男に愛された痕跡を留めている妻が、今まで以上に愛おしく思え・・・・

私は、妻のお尻を下半身の方に引き寄せて、髪を優しく撫で下ろします。

私の目が届かない場所で、他人に犯され、射精を浴びた妻

私の傍に横たわる妻が、昨夜こんな風に抱かれて・・・・それを、最上の悦びとして受け入れてしまったのかと思うと、胸が苦しくなってきます。

でも、あれからしばらく時間が経ったせいでしょうか、今抱いている感情は、妻に対する怒りや嫉妬といった類のものではなく、

妻が体を開き、他人のものに悦びを感じてしまったことを、今まで以上に愛おしく思う気持ちなのです。

私だけの妻・・・・愛おしい妻・・・・

私の申し出を素直に受け入れて、女の悦びに身を溶かした妻・・・・

肌の温みを感じながら深く抱き合い、昨夜のことを思い出していると、

「あなた・」

妻が、声をかけてきました。

「あなた、ごめんなさい。昨晩、あれから わたし」

(それ以上言わなくて、いいんだ。おまえのことが、ただひたすら愛おしいんだ。)

「また、オレとおまえに戻ったんだ・・・抱いてあげるよ、いつものように。」

「嫌っ、そんな風に、言わないで!わたし」

「どうしてもオレに打ち明けたいことがあるなら、好きなようにすればいいよ。」

淫裂に押し当てた手指の腹で、愛おしいところをなぞり上げると、妻はその愛撫に応えてくれます。

「あなた、ごめんなさい。あの後も、抱かれて・」

「そうか、わかっているよ。それで、南さんは優しかったかい?」

「うん、とっても・・・わたしと体の相性がぴったりで、あなたの許しがあれば、また逢いたいって言われたわ。それに、あなたのこと、とても善い人だって・」

「そりゃ、そうだろ?おまえを抱かせてもらったんだから・」

「う~ん、そうじゃないの。あなたのお酒の飲み方でわかるって言ってたわ。」

「それで、イッたのか?」

「ごめんね。何回もイっちゃった・」

「おれが、いつものように傍に居ないってこと、気にならなかった?」

「はじめのうちは、何だか勝手が違うような気がしたわ。でも、南さんが言ってくれたの。」

「何て、言ったの?」

「あなたのことは忘れ、一人の女になりきって、思いっきり乱れればいいって・」

「ずっと前、わたしに言ったこと、覚えてる?『もっと、乱れてもいいんだよ。見ててあげるから・・・』と、優しく言ってくれたたでしょ?南さんが言ったように、そんなあなたが傍に居ないんだと思うと余計に興奮してきて・・・思いっきり、しちゃった。」

「それで、南さんとは、何回したの?」

「二回かな・・・・?」

「オレが、見ていた時と合わせると、続けて三回か・・・・?」

「うう~ん、最後は、朝方・」

妻が素面になって、正直に答えます。

(そうか、道理で、オレがおまえの部屋を訪れた時、伏し目がちだったはずだ。でも仮に、私が南さんの立場だったとして・・・素敵な女性と性の悦びに浸れる至福のひと時を、限られた時間の中で思いっきり堪能したいとなれば・・・・朝方も抱きたくなって、当然だろう)

女盛りを過ぎたとはいえ、実年齢より若く見られるしなやかな肢体。

自分で言うのも憚られるのですが、昔の初々しさこそ失われつつあるものの瑞々しい体は以前のままです。

潤みきったところを指で弄ると、卑猥な音を立てて指に絡み付きます。

「正常位の他に、どんな格好でしたの?」

「いやだぁ~恥ずかしい。そんなことまで、あなたに言えないわ。」

「どうしても、聞きたいんだ。ここまで言ったんだから、いいだろ?」

「興奮してきたのね。あのね、わたしが上になって跨るのと・」

「それと、まだ他にしたんだな?」

「それと・・・・バックから手を繋いで」

「そうか、両方とも気持ちよかったんだろ?」

妻が、申し訳なさそうに頷きます。

「フェラを、要求されなかった?」

「南さん、そのこと知っているはずなのに・・・それだけは、お断りしたわ。だって、あなたに、申し訳ないもの。」

「あそこを弄られていると、南さんのものを大きくしたくなったんじゃない?してあげたのか?」

「したよ・」

「もう、オレも我慢できなくなってきた。南さんにしてあげたのと同じようにしてくれ。」

「わかった。でも、上手になったなんて、言わないでね。」

「それで、最後はどうしたの?」

「ゴムの中よ。」

「この前、おまえに、そのうちできるようになるよって言ってたこと、やってみた?」

「精液、飲むこと・・・・?」

「そう。」

「しなかったわ。何だか、南さん、してほしそうだったけど・・・・わたし、フェラが駄目でしょ?どうしても、そこまでは、できなかったわ。」

(そうか・・・・そこまではしなかったか。)

妻が口にする言葉はすべて嫉妬を覚えるものですが、こうして私の傍で、心を開いて素直に打ち明けてくれたことを思うと、

それを、寛容な気持ちで受け入れることができます。

私は、妻と南さんとの性交の一部始終を、根ほり葉ほり聞きながら、大きくなったものを徐に挿入します。

どろどろに溶けきった媚肉の“ひだ”を押し分けて、侵入していく亀頭の快感・・・・

(あぁ~ここに何回も男のものを受け入れて・・・・例えようもないほど感じてしまったのか?一夜、意中の男性に身を預けきったとなると、妻にとって今の私は“南さん以外の男”であり、今からが私たち夫婦の新しいスタートなのかもしれない。)

その後も私は、ゆっくり、ゆっくり、ペニスを出し入れしながら、妻との寝物語の続きを楽しみます。

「一つだけ、あなたに謝らなければならないことがあるの。」

「謝らなければいけないことは、オレの方がいっぱいしてるよ。」

「あのね、わたし・・・・あの最中に、言ってはいけないことを口にしてしまったの・」

「仕方がないよ。だって、気持ちイイんだから・・・・オレが聞いたことがないような言葉を口走っても。」

「わたし・・・・あの時にね、とても恥ずかしい言葉を叫んでしまったの。」

「何だか、意味深だな。構わないから、言ってごらん。」

「絶対に怒らないって、約束してくれる?」

「そんな、思わせぶりな・・・・勿体ぶらずに早く言えよ。」

「あのね、あの時ね、『“お〇ん○”してっ』って、叫んでしまったの。」

「」

(ちょっと待てよ・・・・今 言った言葉は、おまえの気品を汚してしまう卑猥な言葉だと、わかっているんだろ?)

連れ添って以来ずっとその胸奥に包み隠しておいたものを、長年経った今しがた、私にではなく他の男に対して露わにしたということは、

私にとって、重い意味があります。

「どうして、そんなことをオレに、打ち明けるんだ?そんなこと聞いて、オレが平気でいられるとでも思ってるのか!黙って、自分の胸に閉っておけばいいじゃないか?」

「だって、こんなこと言ってしまった自分が許せなくて・・・あなたに内緒にしておくのが嫌なの。それに、隠しておくと・・・・あなたとセックスしている時、いつ その言葉が出てくるかもしれないとびくびくしなければならないでしょ?」

今だったら、許してもらえるんじゃないかと思って・・・・

妻の告白を聞いた途端に、猛々しかった私のものが、萎えてくるのがわかります。

「それじゃ、聞くけど・・・どうして、そんな言葉を叫んでしまったんだ?」

「本当はね、あなたも気が付いているかもしれないけど・・・クンニされた時よ、貴方も傍に居たでしょ?あの後、こっそり耳元で、わたしの口で慰めてほしいって言われたの。」

「何やら、おまえが、首を横に降っていたあの時だな?」

「そうよ。」

「そうか、それで訳がわかった。南さん、そのこと、知っているはずなのに・」

「そしたら次にね。それが駄目なら、一番エッチな言葉を、その最中に言ってほしいと言われたの。」

「オレの目の前で、その言葉を言えと言われたのか?」

「だって・・・これまで言ったことがない言葉を、あなたの前で言える訳ないじゃない?」

「それで・・・・二人きりになったら、言えたという訳だな。」

「ごめんなさい。『出してほしいところを言え』って言われて・・・私も、凄く気持ちよかったものだから・・・・それに・・・・あれもダメ、これもダメでは、何だか南さんに申し訳ないような気がして・」

「最初は、断ったんだろ?」

「もちろんよ。『いくら、二人っきりになっても、そんなこと言えない』って断ったわ。」

「それで・・・・?」

「それでね、南さんが言うの。『私だったら、小野さんも許してくれるはずだから、何も考えずに心を裸にしろ』って。」

「それで、その通り、口走ってしまったのか?」

「主人の前でも言ったことがないの。わかるでしょ?それだけは許してってお願いしたんだけど・・・・そしたら、南さんが・・・・『隣の部屋にいるご主人のことは忘れて、俺を、再婚した新しい旦那だと思ってしがみ付けっ!』って、ぎゆぅっと抱きしめられたの。」

「それで、再婚気分になって、南さんの胸にしがみ付きながら言ったんだな。『お〇ん〇の奥に出してぇ』って!」

「抱きしめられてうっとりしていると、南さんの願う通りにしてあげたいという気持ちになってきて・・・・あそこを真上から激しく突かれたら、もう堪らなくなってきたの。そのうち、そんなこと大したことじゃない、どうでもいいようなことに思えてきて・・・・・・言ったわ。きっと、あなたが、傍にいないってことも関係してるんだと思う。」

(シャワー室での会話は、厚顏にもそんなことを言えるほど、一気に二人の距離を縮めてしまったのか?そして、これまで・・・・妻にとってオレのものは、堪らなくなるほどのものではなかったというのか?)

「こんな風に、突かれて言ったのか?」

昨夜、妻が男から与えられた悦びに匹敵するにはほど遠いだろうが・・・・何とかして妻を、その時と同じ状態にさせたいという雄の本能が目覚めてきて・・・・

私は、茎の根元を引き絞りながら膨らみを最大限に大きくし、荒々しい刺突を妻の中に送り込みます。

「あっ、あぁぁ・・・・・・もっと、優しくしてぇ」

妻が口走った卑猥な言葉が、それほど長持ちしない私のものを奮い立たせてくれます。

「今からオレが、その時と同じ言葉を言えるようにしてやるから。こんな風にされて、たまらなくなったのか!」

(妻が、私の前では口にしたことがない言葉を叫んでしまったということは、南さんのことが、たまらなく愛おしくなり、彼の求めに応えてあげたいと思ったのか?それとも、夫が傍に居るという“縛り”から解放されて、彼と二人だけで思いっきり性の悦びに浸りたかったのか?)

どちらが本音であっても、妻が今感じている悦びは、昨夜のそれほどではないことがわかります。

私の刺突を受けている反応から察するに・・・・妻の体に、南さんが与えたものと同じほどの悦びを与えられないことだけは確かなのです。

自分の精の強さが左程ではないことがわかっている私は、妻の性感を高めるために、もう一つの性感帯を同時に刺激します。

ディープスポットを突きながら、片手でクリトリスを擦り上げると・・・・

「あっ、あぁ~っ、ヨクなってくる~ぅ・・・そこ、いいわ~ぁ」

昨夜と同じような喘ぎが洩れてきます。

私の方も、潤みきった膣壁を擦り上げているとたまらない快感が積もってきて、思わず射精しそうになりますが、妻を一度なりとも絶頂に導くために我慢してスラストを続けます。

「あぁぁ・・・イッてしまいそう・・・昨晩のこと、ごめんなさい・」

「オレもそろそろだ。さぁ、出してほしいところを言うんだ!」

「おっ・・・・ぉ・・・・お〇ん○の奥に・・・」

「奥に、どうして欲しいんだ?他の男に言ってしまったことを、今さらオレに言えないってことないだろ?」

「ああぁ・・・あなたにまでこんな言葉を・・・あぁ・・・だめぇ~・・・お〇ん○の奥に、いっぱい出してぇ・・・・・・!」

妻は淫らな言葉を続けざまに口走りました。

多分、その言葉は・・・・昨夜、別室で繰り広げられた交わりで、快感を堪えきれなくなった女体が、官能の極みで叫んだ言葉だったのでしょう。

(その快感は、隣の部屋に私が居ることも委細構わないほど、底が深いものだったのか?)

私は、思いっきり腰を沈めると、最後の一撃を妻の最深部へ送り込み、それまで貯めていたものを思いっきり膣内に注ぎ込みました。

(昨夜、私から遠く離れた別室で・・・・眉根を寄せ、身も世もないという風情で悶えながら、その卑猥な言葉を口にしたのか?欲棒の蹂躙を身に受けて、こらえ切れない程の悦びが高まってきたからと、わかってはいるが、そんな狂おしい場面はこれまでに幾度もあった筈だ。それでいて、今まで口にしたことがない言葉を叫んでしまったということは、今まで夫の醜悪な欲望のために、自我を抑えながら身を捧げてきた鬱憤が・・・・積もり積もったものが・・・・堰を切ったように溢れ出たのかもしれません。)

そんなことを思うと、私が妻を心底から愛しながらも、敢えて、他の男の貫きに喘ぐ姿を求めている以上、妻がどんな痴態を晒しても、どんな卑語を叫んでも・・・・それを責めることはできません。

「お〇ん○のこと、そんなに気にしなくていいよ。これまで、そのおかげで十分すぎる程、喜ばせてもらったもの。」

「本当にごめんなさい。でも、あなたに打ち明けたら、何だか、心の中がすっきりしたわ。」

「これからも、度々、その言葉をオレに聞かせてくれよ。」

「あのね、夜なかなか寝付かれなくて・・・あなたが、今頃一人で辛い思いをしているんじゃないかと思うと、わたしも辛かったわ。」

「よく言うよ。朝方も悦んだくせに・」

「うふっ、だって、そんな風にしたのはあなたよ。」

ついに、夫婦として越えてはいけない一線を越えて、妻の“貸出”を行ってしまった私・・・・

このことを行う前に、思い悩んでいたこと・・・・

妻の“貸出”・・・私の目の前で妻が交わる臨場感に乏しくても・・・・二人の間に漂う雰囲気を窺い知ることはできなくても・・・・

妻が私の知らない場所で男に抱かれている姿を想像すると、胸がせつなくなって耐えられないのではないか?

私にとって、重苦しい、耐え難い時間が過ぎて・・・・

他人と朝を迎えた妻の顔には、きっと・・・一線を越えてしまった女の雰囲気が漂い、私との距離が、心持ち遠くなってしまったことを感じるのではないか?

すべて、その想像通りであったことをお伝えし、終わりにしたいと思います。

何だか、この道に終着点がないことを、思い知らされたような体験でした。

ラブホテルにて
私の目の前で、妻の両脚が大きく押し広げられ・・・やがて、男の怒張しきったものが、しとどに濡れそぼった潤みの中を抉っていくと・・・

体から噴き上がる悦びをこらえ切れず、よがりの声を洩らす妻・・・・・・

これまで、妄想の中でだけしか思い描くことがなかった行為が、実際に目の前で繰り広げられる衝撃と興奮・・・・

その光景が忘れられず、まるで何かに憑りつかれたように禁断の体験を繰り返している四十路男です。

妻と他人との性交を見てみたい・・・

妻の膣奥深く放たれる、見知らぬ男の射精の瞬間を・・・そして、その時を至福の悦びとして受け入れてしまう妻の顔を見てみたい・・・・

すべては、このような淫靡な妄想から始まりました。

「妻を貫いた他人棒」のその後をお届けします。

【親友夫妻との約束】

あれから一年が過ぎて・・・私たちは、雅彦さん夫妻と約束していたお互いのパートナーを交換して交わる日を迎えます。

夫婦交換・・・この行為も、愛する妻を他の男に抱いてもらうという点では「寝取らせ」と同じ類の行為なのでしょうが、私の方も相手の奥様と交わるので、禁忌の行為を互いに行っているという意味あいで、妻の後ろめたい気持ちも、幾分軽減されるのかもしれません。

また今回のような場合、お互いが顔見知りであること、過去に肌を合わせて歓喜の時間を過ごしたことが、互いの仲を一層親密なものにしてくれます。

私以外の男との性交に浸る妻の姿に嫉妬の炎を燃やしながら、その吐け口を相手のパートナーに求める・・・・

こんな歪んだ情念を妖しくときめかせるのが、「夫婦交換」の醍醐味なのかもしれません。

再び、四人が顔を揃えたのは、ホテル近くのこじんまりとした料亭でした。

ここで、軽く夕食を済ませてから、今回は“我が家”ではなく、町外れにあるラブホテルへ行くことになっています。

昨年、私の方から誘いかけた申し出が、思わぬ成行きでお互いの妻を交換することになってしまいましたが、それ以来、雅彦とはほぼ二月に一度のペースで、馴染の店で親交を続けています。

別段、これといった特別な話がある訳ではないのですが、お酒を飲みながら二人で交わす会話自体がとても楽しいのです。

妻を、私以外の男に抱いてもらうことを重ねてきた今では、妻のお相手が・・・・

見ず知らず、行きずりの男であった方が興奮するということがわかってきましたが、この道に踏み込んだときに相談に乗ってくれた・・・・そして、密かな愉しみを共有してくれた親友夫妻との約束は、大事にしなければなりません。

今回の「夫婦交換」は、私自身も加わって・・・・日頃のセックスでは適わない刺激的な興奮を味わってみたい気持ちと、親友夫妻との交誼を深めたい気持ちの両方があるのです。

奥座敷で二人ずつ相向かいになり、食事をしながら四人での雑談が始まりました。

ひとしきり、話題が、メディアで報道されていることや、日々の暮らしのこと、共通する友達のことにまで及んでいきましたが、

そのうち、自然と関心がこれから始まることに移っていきます。

「理香さん、こうして4人が顔を揃えるのも久しぶりだね。その後、変わりなかった?」

「変わり・・・・?いろいろと・・・ありましたわ。」

「ますます色っぽくなってきて・・・・随分と楽しんでいるようだから、そのことを聞かせてほしいなあ。俺達も、初子の秘密まで暴露するようで悪いんだけど・・・・理香さん達と楽しんでから、病みつきになっちゃって・・・・旦那さんに、傍で見られているのってどんな感じ?」

「わたしの方こそ、自分の奥さんを他の男性に抱かせるなんて・・・・男の人の気がしれないわ。ねっ、男の人って、どんな時興奮するの?一度尋ねてみたいと思っていたの。」

「そりゃ、やっぱり・・・・初子が感じてきて、普段言ったことがないような言葉をすらすらと口にする時だな。オレの嫁さんなのに、何だか他の男の虜になってしまったような感じがして・・・・まさおも、理香さんのそんな姿を見ると、たまらないだろ?」

「自分の女房のそんな姿を見ると、誰でもそうなるさ。でも、オレの場合は・・・理香が、男と始める前に、潤んだ目つきでオレを見つめてくるだろ?それがたまらないんだ。」

「ふ~ん、潤んだ瞳で・・・・ね。でも、初子の場合、この前なんかオレから顔を背けるばかりで、そんな目線余り感じなかったけど・・・・初心なのかなぁ。」

「まぁ、雅彦さんたら・・・・・・今夜は、じっとしていてあげるから・」

「まあ、そんな駄々をこねないで。今晩お相手してもらうんだろ?」

「うふっ、冗談よ。そのことだけど、男の人と女の人では違うんじゃない?セックスで気持ちよくなるのは当然だけど・・・・初めのうちはやっぱり・・・・傍にいるんですもの。恥ずかしくって、主人に対して申し訳ないような気持ちになるわ。」

「まぁ、オレとしては、そうあってほしいけどね。」雅彦が答えます。

「でもね、同じようなことを何回か経験していると・・・・今はね・・・・その男性と抱き合って、相手の男性が、じっとわたしの目を見つめてくる時たまらないわ。何だか、自分がこれから淫らなことをされて、変わっていくんだって思うと、ゾクゾクしてくるの。」

「理香さんがそんな風に言ってるけど、初子もそうなのか?」

「理香さんが、言ったことは本当よ。だって、あなたの前で恥ずかしいことをするのだから・・・・いくら、その気になろうとしても、あなたに申し訳ない気持ちはあるわ。男の人にはわからないかも知れないけど、あなたの目にどこまで恥ずかしい姿を晒していいのかって、悩んじゃうの。でも、あなたに見られているんだって思うと、余計に感じちゃって」

「ふ~ん、そうなんだ。おまえが出し入れされている姿を見ていると・・・・『そんなに、気持ちよくなりやがって・・・・』と妬いていたけど・・・・そう言われると、何だかわかるような気がするよ。女心のあやが・」

「女ってね、セックスのとき、精神的なものが大きく作用するの。でも、段々と同じようなことをしていると、主人への後ろめたさは薄らいでいくわ。気持ちよくなってしまうと、体だけじゃなく心まで繋がりたいと思って・・・・そう思うことによって、もっと気持ちよくなるの。」

妻が答えます。

「そうよね。わたしもそんな時は、『もう、知らない!』って思うことにしているの。」

初子さんが、相槌をうちます。

このような会話を聞いていると、忌まわしいことを続けているうちに、夫の前で不貞を犯す罪の意識が徐々に薄らいでいって・・・・

可愛らしい声で喘いでいたのが、遠い昔のことのように思えてきます。

(おまえが、一番興奮するのは・・・・『あなたがわたしの傍で手を握りながら、じっとわたしの顔を見つめてくれる時』じゃなかったのか?)

【ラブホテルにて】

食事を早めに切り上げ、私たちはマイカーでホテルに到着します。

ホテルの入り口は高い塀で囲まれており、私にとって、どうも入りづらい雰囲気がありますが、雅彦は何回か使ったことがあるのでしょう。

ロビーの中央にある部屋のパネルを見ながら、フロントで予約をしました。

部屋に入ると、雅彦が慣れた手つきで室内照明を柔らかくし、枕元のパネルを調整して小さくBGMを流します。

「まぁ、雅彦さんたら・・・・そんなに慌てなくてもいいでしょ?どう・・・・初子さん、一緒にシャワー浴びない?」

妻たちがシャワーを浴びている間に、今回のスワッピングについて説明します。

異なるカップルが、それぞれの妻を交換して交わるような場合、大概は別々の部屋で行うというのが普通なのでしょうが、私と雅彦は、同室で行うことにしました。

それぞれの妻を相手に委ねて、良人がいない部屋で一夜を共にするという選択肢もありましたが、自然とあれこれ・・・・隣室での営みのことが気になって、自分のパートナーに集中できず、相手に嫌な思いをさせることになるでしょう。

それに、ビデオ撮りをするにしても、営みの最中にハンドカメラを手にした夫の冷めた姿を見るのは、妻たちも歓迎しないでしょう。

このように決めた訳は、人妻と情交する自分の愉しみもさることながら・・・・

何よりも、愛する妻が夫の前で他の男に体を開き、性の悦びに悶える姿を我が目で確かめたかったからです。

愛する妻が、夫以外の男に抱かれて堕ちていく様子を、つぶさに見てみたいことを共通の願いとする夫達にとっては・・・・

やっぱり妻に、夫の目の前でそのすべてを晒してほしかったのです。

【妻の交わり1】

今回は、前回とは逆で、初めに雅彦と妻が交わることになっています。

やがて、シャワーを浴びた妻たちが戻ってくると・・・・

理香がベッドに横臥している雅彦の傍に歩み寄り、その胸に顔を埋めていきます。

互いの体を寄せ合いながら、お互いの存在を確かめるように深く抱き合っているのは、昔日の狂おしいひと時を思い起こしているのでしょう。

そのうち、乳房を弄っていた雅彦の手が下半身に伸びると、妻の口から「ふ~うっ」というため息が洩れてきます。

「んっ・・・・すごいよ、理香さん」

雅彦も、淫裂に指を這わせたり、指尖をその中に滑り込ませたり、指戯を施しているうちに女の印が徐々に潤ってくるのを感じるのでしょうか、前回の交わりで確かめたのかもしれない敏感な部分を、指をくっと折り曲げて愛撫すると、妻が両腿を捩らせ始めます。

「・・・あっ、んっ!そんなの、だめっ・・・!ああぁぁ・・・・・・・」

そして、淫孔に埋めた指をそのままにして、肉芽の先を別の指先で軽く捻ると・・・・

余程感じたのでしょうか、妻はガクガクっと膝を震わせていきました。

「さすがにここは、理香さんも我慢できないようですね。」

そのうち雅彦は、指で淫唇の周囲をなぞりながら、舌先を淫裂に這わせ始めました。

淫芽を覆う包皮を優しく剥いて、少さく覗いた蕾を舌でそっと舐めあげると、

「あぁぁっ・・・だめぇ・・・いっ、イい~っ・・・!あぁぁ・・・」

女の最も敏感な部分を吸い上げられて、瞬間的な快感が訪れてきたことを告げる喘ぎが洩れてきます。

次第に性感が高まっていく女体を愛おしんでいると、更に深い快感を与えてあげたいという男の本能がはたらくのでしょうか、雅彦は、丹念に快楽の中枢を舐め上げていきます。

そして、耳元に「この日を待っていたんだ。可愛いよ。」と、熱い囁きをおくると・・・・

「はぁ、はぁっ」と、妻の喘ぎが次第に大きくなっていきます。

「いいかい?いくよ・」

「うん、この前みたいに優しくね・・・そっと、挿れて」

雅彦は、ひざを折って立ち腰の姿勢になると、妻の太腿を引き寄せ・・・・ゆっくりと昂った肉茎を潤いの中心に宛がいました。

こんな貫きを前にした光景を見ていると、いつものことながら胸が震えるような極度の興奮が襲ってきます。

程なく・・・その猛々しいものの蹂躙に身を任し、苦痛混じりの快楽を与えられる妻への情愛・・・・

今はまだ・・・・微かに残っている不貞、背徳を、そのうち悦びにまで昇華させてしまう妻に対する嫉妬・・・・

私の方から誘いかけさえしなければ、多分・・・・こんな光景は終生訪れることがなかっただろうに・・・・

滑らかな光沢を帯びて極度に膨らんだ他人の怒張が妻の女陰に埋もれる刹那、私の複雑な想いが、胸の震えとなって表れるのです。

そのうち雅彦が、妻の方に体を傾け、両手で掴んだ腰骨を引き寄せながら怒張したものを突き出していくと・・・・

妻の体が小さく仰け反り、「ずるっ!」とカリ太の亀頭が膣口を割り裂いて、割れ目の中へと沈んでいくのがわかりました。

しばらくじっと動きを止めた後、雅彦は淫らに開いた妻の下半身に向かって、緩やかな抽送を始めます。

すると、最も膨れ上がった部分を受け入れた妻の性器は、やや緊張の糸を緩めたのでしょうか、野太い勃起がずぶずぶと妻の熱い媚泥の中に取り込まれていきます。

「んっ・・・・・・あぁぁ・・・・・・奥まで、入ってくるぅ・・・」

「・・・どう、理香さん?これからが愉しみなんだよ。」

雅彦は、妻の耳たぶに唇を這わせ、耳元で囁きかけます。

雅彦の腰が、理香の下半身に密着して緩やかな律動を始めると、妻は小さく裸身を震わせ、「んっ・・・・・・あぁぁ・・・」という喘ぎを洩らします。

媚びるように絡みつく“ひだ”を侵していく欲棒は、一旦引き戻され、再び抉るように膣奥深く突き入れられていきます。

「んくっ・・・・・・!はぁ、はぁ・・・・・・あ、あぁぁ・・・いいっ・・・」

私たちが傍で見ていることを知りながら、それでいて、雅彦の抜き差しをごく当然なもののように受け入れている妻の姿を見ていると・・・・

流石に、狂おしいものが心の奥底から湧き上がってきます。

(お互い合意して、すべて承知の上で始めたことなんだ。)

(妻を愛しているのは、確かに“他の男”であるけれども、私の親友じゃないか?)

目の前で繰り広げられている生々しい交わりの興奮と、そこから生まれる妖しい嫉妬・・・・

めらめらっときた嫉妬は欲情の炎に変わり、私は、その吐け口を初子さんに求めてしまいます。

「まさおさん、たまらなくなってきたんでしょ?理香さんへの想いを、そのまま伝えてあげたら?」

初子さんも、目前で夫が他の女性と交わっている姿を見て興奮してきたのでしょうか、私を誘うようにして、二人の枕元へ歩み寄ります。

眼前で繋がっている男女の艶めかしい性器を見た初子さんの息遣いが、次第に早まっていくのが私にも判りました。

心に思い描いていることを実行しようかどうか躊躇っていた初子さんが、意を決したように私のブリーフを下げて股間のものを取り出します。

そして、ゆっくりと指を動かし始めました。

初子さんにとっても、夫が自分以外の女性に悦びを与えている姿を見るのは堪らないものがあるのでしょう。

片手で茎の根元を引き絞りながら、もう一方の手で膨らみを擦り上げると、徐々に快感が湧いてきて・・・・

先程の嫉妬が、薄らいでいくような気さえ覚えてしまいます。

激しく手指を動かす初子さんの行為は、雄の征服欲に満ち溢れ、刺突を続ける夫に向けられているのでしょうか、それとも、その貫きを受けて喘ぐ理香の方へ向けられているのでしょうか。

彼女の心持ちはよくわかりませんが、私へのその愛撫が“妬み”に起因していることだけはそれとなくわかります。

「さぁ、理香さん・・・・?まさおさんの想いを受け取ってあげて・」

初子さんが手にした私のものを妻の枕元に差し出すと、貫きを受けてうっとりとしていた妻が、私のものを握り締めます。

「さぁ、おまえが欲しがっているものだ。同じものでも、今入っているものは、もっとイイんだろ?」

「ああぁ・・・・・・ごめんなさい、あなた・・・でも、気持ちいいの・・・」

「体が感じる、そのままでいいさ。どうやら、いっぱいイカしてもらえそうだな・」

「そんな、あぁぁ・・・もう、どうしていいかわかんない・」

滾り立った私のものを目にしたからというよりも、皮肉混じりの優しい言葉に動揺したのでしょうか、妻が私のものを強く握りしめます。

(ひょっとして、妻は・・・・手にした私のものをそのまま口に運ぶのか?)

妻の心の揺れが見透かせるだけに、「もしかして・」と思いましたが、妻は私のものを強く握りしめながら、もう一方の手でしっかりと雅彦の背中を抱きしめていたのです。

【初子さんとの交わり1】

こんな妻の乱れた姿を見ていると、私に優しい気遣いをしてくれた初子さんのことが無性に愛おしくなってきます。

夫が他人の妻を愛する姿をじっと堪えるようにしている初子さんを見ていると、「この女性を悦ばせてあげたい。」という男の本能が目覚めてきます。

二人が睦み合っているベッドの傍で、下腹部にゆっくりと指を忍ばせ、蕾を愛撫していくと・・・

「はぁっ・・・あぁ~ん、あぁっ・・・」

可愛らしいため息が、洩れてきました。

媚肉の奥は温かく火照り、その入口が男の茎を求めるように指先を奥へと誘います。

「まさおさん・・・・わたしも理香さんのようにしてぇ~・・・」

隣で、理香と交わっている雅彦の姿が、初子さんを妖しい人妻へと変えていくのです。

他見を憚らず、営みに夢中になっている二人に、幾分でも狂おしい思いをさせるためには・・・・

私は、後ろから初子さんの片脚を片手で大きく持ち上げ、ベッド上の二人によく見えるように、初子さんの秘部を晒しました。

そのようにした訳はやっぱり・・・目前で痴態を晒し、喘ぎの声を洩らしている妻に向かって「これ見よがしなこと」をして、

妻を嫉妬させたいという“しっぺ返し”の気持ちが混じっているのかもしれません。

性の虜になって・・・・その男がもたらしてくれる悦びに焦がれ、体を開いていく人妻・・・・

夫の目前で他人に貫かれる背徳の悦びに震えながら、貫きの瞬間を待ち望む人妻・・・・

私に促されるままに、恥部を良人の目に晒す初子さんの姿は、私がそうあって欲しいと願ってきた妻の姿そのものなのです。

片脚を大きく持ち上げた姿勢のまま、私は初子さんの淫裂を手指で弄びます。

「あぁ・・・・・・もう、まさおさんの好きなようにしてぇ・・・・!」

そうしたいのは山々ですが、「交互に交わる」という約束があるので、二人の行為が終わるまでは、それ以上のことは我慢しなければなりません。

妻の姿ばかり気にして、肝心なことに漫ろになっている男に身を任せるのは初子さんも嫌でしょう。

「二人が終わるまで、もうちょっと辛抱するんだ!その苦しい胸の内を旦那に伝えろよ。」

「あなた、わたしも小野さんに・・・あぁぁっ・・・こんなに辛いなんて、思わなかった・」

初子さんは雅彦に、交わりの始めを告げましたが、それは夫に許しを乞うもののではなく、他人妻に性の悦びを振り撒く夫を妬み、同じ悦びを自分が享受しても構わないことを夫に確約させるような言葉でした。

【妻の交わりⅡ】

私は初子さんを愛撫しながら、再び、ベッドで交わる二人に目を移します。

雅彦が、妻の両脚を抱え込んで、次第に下腹部の動きを早めていくと・・・・

妻も、より深いつながりを求めるかのように息を荒げ、堪えきれない快感を喘ぎで表します。

雅彦もまた、刺突のすべて受け入れようとする妻の喘ぎを聞いて欲情し、勃起の全長を“潤み”の中へ送り続けます。

「もうだめ・・・・イってしまいそう・・・・・・ああぁぁ・・・」

私と心根がよく似ているが、私とは違う別の男の抽送を、膣奥深くまで受け入れて喜悦に喘ぐ妻・・・

妻に重なって律動を続けている男を見ると、いくら私が心を寄せる親友と言っても胸が押し潰されるような気がして、倒錯した興奮が体の中を走ります。

そのうち、雅彦は、理香と入れ替わりながら体を仰臥させ、その上に跨るように耳打ちして・・・・

交わりの体位を、向かい合っての騎上位に変えていきました。

本来、“受け身”の性であるはずの女性が、夫を前にしてそのことを自ら行う・・・・

これ以上の羞恥と背徳はないという姿勢を強要されたはずですが、これまでの経験が彼女を大胆にさせるのでしょうか。

自分の股間をしっかり見下ろしながら、雅彦の肉茎の先が埋もれる位置を確かめ、静かに体重を乗せていきました。

ずぶっと肉茎のすべてを膣内に収めきった妻はもう羞恥と他見を忘れ、自らのものを肉茎に埋没させる動きを頻繁に繰り返し始めました。

「理香さん・・・・さぁ、ちゃんとまさおの顔を見て、気持ちがいいことを伝えるんだ!」

雅彦は両手を妻の腰に添え、体の向きを回して、妻が私たちの方を正視できるようにしたのです。

そして、妻に・・・肉茎を呑み込んでいく淫らな部位を良人の目に晒し、その埋没によって生まれる快感を、私に伝えるよう促したのです。

「そんなっ、あぁぁ・・・・・・でも、気持ちイぃ」

「さぁ、しっかり、旦那の顔を見て・・・・言うんだ!」

「ごめんなさい、あなた・・・でも、とっても気持ちいいの」

「そのままずっと、旦那の顔を見ながら、続けるんだ!」

「あなた、いっ、今、雅彦さんのが・・・・入っているの~ぅ・・・・・・ああぁぁ・・・・・・だんだん、ヨクなってくる~ぅ・」

雅彦が、妻の動きに合わせて下からも腰を突き上げていくと・・・・

自分で加減している腰の動きに新たな刺突を加えられると・・・・女体は、もう自分でコントロール出来ないほどの極上の快感の虜になってしまいます。

「そんなに気持ちいいなら、我慢しないで全て言っちゃえよ。」

「あぁぁ・・・・・・あなたぁ・・・雅彦さんのがすごくいいの・・・・・・ああぁぁ・・・・・・雅彦さんに・・・雅彦さんにイかせてもらうの・・・」

腰を下ろしさえすれば湧いてくる快感を貪るようにしていた妻でしたが、更に荒々しい刺突を下から受けると・・・・

意識が飛んでしまうほどに感じてしまったのか、淫らな言葉を口にします。

「旦那の目の前で・・・・悪い女性だ。どこがイッてしまうんだ!」

「ああぁぁ!あなた、ごめんなさい!でも、止められないの・・・・・・わたし、もうダメーっ・・・!お、お〇ん○の奥が・・・・・・あぁぁ・・・・・・!」

さすがに、羞恥と後ろめたさで申し訳なさそうに見えるが、否応なしに噴き上がる快感から逃れることは出来ず・・・・

妻はこの前叫んだばかりの淫らな言葉を口にした。

「そんなこと言うような理香さんには見えなかったけど・・・・こんな理香さんの姿を見て、まさおはどう思うのかな?」

「アァァ・・・・・・ああぁぁ・・・・・・言わないで・・・・・・!もう、ダメっ!イっ、イく~っ!!」

押し寄せる快感の波に私の顔を直視できず、視線を逸らしてしまう妻・・・・

「ほらっ、旦那から目を逸らすんじゃない。ちゃんとまさおの顔を見るんだ!」

「はあぁぁっ・・・・・・もう、だめえぇ・・・おかしくなるぅ・・・」

妻は雅彦の腰の両脇に手をついて上体を支えると、背中をしならせながら後ろの方へ崩れていきました。

【初子さんとの交わり2】

腰を沈めながら、その快感に耐えきれないように妻が後ろへ倒れ込むと・・・・

いつも自分を愛おしんでくれる夫が、他の女性を貫いていることに興奮した初子さんが・・・・

愛する妻が身悶えしてよがる様を見て欲情した私が・・・・

ベッドの傍でそのことを始めます。

あたかも真の夫婦のような合歓を見せつけられた私たちは、極度に興奮しながらもそれを抑えていたのですが、・・・・

また、「お互い、交互に交わる。」という約束もあったのですが・・・・もう、我慢の限界を超えていたのです。

「あんなの見てると妬けてくるだろ?初子さん、今夜は、雅彦の前で別人になるんだ!」

「主人のことは、もう、いいの・・・・まさおさん、いっぱい愛して・」

私が、ベッドで痴態を晒す妻の姿を見て小さな嫉妬を覚えたように、初子さんも、夫が他の女性と交わっているのを見て、何か歪んだものが掻き立てられたのでしょうか、夫以外の男と交わることへの躊躇いが消えていくようでした。

私は、初子さんの秘裂から零れる粘液を勃起に絡め、傍らの二人からよく見えるように、硬直したもので膣口の周りを撫でていきます。

その動きに呼応するかのように柔らかい“ひだ”が纏わりつき、初子さんは隣で営みを続ける夫を意識しながら、不貞の願望を露わにします。

「いいかい?初子さん?挿れるよ。」

「うん、わたしを理香さんみたいにして」

(私が味わったと同じように、愛する妻が両脚を開いていく姿を見て・・・・雅彦にも胸が張り裂ける程の妬みを感じて欲しい・・)

(私が人妻を貫いていく瞬間を・・・・理香にも見て欲しい・・)

私は、初子さんの枕元に手をついて上体を支えると、そのままゆっくりと張り詰めたものを彼女の下腹部に沈み込ませていきました。

その瞬間、生温かい媚肉を抉る快感が走り、動きを止めていると・・・・男の象徴を愛しい女の胎内に収めることができた満足感が湧いてきます。

「初子さん、挿っちゃったよ。どんな感じ・・・・?」

「うぅ~ん、何だか・・・・ドキドキしているうちに、いきなり“ずるん”ってきた感じ・」

暫くの間、ゆっくりしたリズムで茎を出し入れしながら、時々膣奥深く抉っていくと・・・・

媚肉の管を抉られる摩擦に快感が生まれてくるのでしょうか、初子さんが控え目に喘ぎ始めました。

「あぁぁ・・・・・・はぁ~ん・・・・・・・気持ちいい」

更に、初子さんの体の奥深いところを求め、茎の先をずるずると滑らせると・・・・

初子さんは両手を伸ばして私の肩を抱きしめ、一つに結ばれた相手を確かめるように私を見上げました。

そして、緩やかな動きを繰り返していくうちに、段々と震えるような喘ぎを漏らし始めました。

「あぁぁ~っ、まさおさん、気持ちイぃ・・・・・・もっと・・・」

夫が別の女性と交わっている隣で、自分も夫以外の男による貫きを受けているという魔性のときめきが、彼女の羞恥心を奪い去ってしまったのでしょう。

それぞれの視線の先に、妻と夫の姿が重なり合って・・・・倒錯の想いを掻き立てながら、私たちは互いの体を求め合ったのです。

【妻の交わりⅢ】

緩やかな出し入れの合間に隣に目をやると、雅彦と妻との交わりが正常位に変わっています。

雅彦が両肘で上体を支えながら、妻を何度も硬直した茎で突き下ろしていくと、理香のうなじが左右に捩じれ・・・・

更に繰り返される抽送が熱を帯びていくと、・・・・繊眉に刻まれる皺が深くなり、髪が激しく左右に揺れ動きます。

ここまでくると、もう雅彦も彼の意志とはかけ離れて、征服欲露わな雄の本能そのもので体を動かしている感じです。

このように、交わりが佳境に入ってくると、張り詰めた膨らみと媚肉はどろどろに溶け合って、もはや粘膜の境界線など感じられなくなってしまうのでしょう。

互いに共振し合いながら、懸命に抉り抜き、それを引き留めるように締めつけ・・・・二律相反の動きから萌える悦びが二人の体を満たしていきます。

「きゃああぁ~!もうダメえぇぇ・・・・・・好きなようにしてえぇ~っ・・・・・・・!」

「どうしてほしいんだ!ちゃんと言えよっ!」

「ああぁぁっ・・・・・・逝って・・・雅彦さん、イって・・・あぁぁっ!出してぇっ・・・!」

膣口に出入りしている肉棒こそ見えませんが、至福の瞬間が近いことは、雅彦が狂ったように腰を動かしていることからわかります。

明らかに、男が精を放つ直前の動きです。

「あぁぁ~理香さん、出る、出る~ぅ・・・・!」

雅彦は、喉の奥から妻の名を叫ぶと、その股間の勃起をひと際強く妻の下半身に押し当てたのです。

「あっ、あぁ・・・ああぁぁ・・・」

夫である私の目の前で、妻は他人の精を膣奥深く浴びながら、喘ぎの声を漏らしたのです。

根元まで埋まったものがじっとその動きを止めている様子を見ていると、埋もれているものの奥にまで狂想が飛んでいって・・・・

白濁の精が連続して注がれている内部を思い描いてしまいます。

(あぁぁ・・・・・・雅彦が究極の叫びを洩らしたこの瞬間、妻の火照った媚肉の奥深く、幾筋もの精の飛沫が放たれているんだ・・・)

(妻の膣は、断続的に刻まれる吐精の脈動まで愛しそうに受け止めているのか・・・・?)

雅彦のお尻が強張り、女陰に押し付けられたまま動きを止めている姿を目にした私の勃起は、初子さんの膣奥の中で極度に硬直したのです。

(いくら私の親友であるとは言え、つい先程までは他人同士だった二人が互いの性器で深く結ばれ、性の悦びに震えながら終焉を迎える凄まじさ・・・)

(他の男の精液で陵辱され、それをこの上ない悦びとして受け入れる妻・・)

(別の女の体内に“愛の証”を振り撒いて、その行為に満ち足りている夫・・)

私と初子さんはベッド下で重なり合い、その姿に情愛と嫉妬を交錯させながら、二人の至極の瞬間を見守っていたのです。

そのうち、放心したようにぐったりしている妻の陰部から、埋もれていた茎がゆっくりと引き出され、白濁の滴りがどろりと垂れ落ちると、妻がビク、ビクッと、身を震わせました。

(愛おしい男の欲棒でどろどろに溶けきった器を抉られて・・・・底知れぬ快感の余韻に酔いながら・・・

『離れたくない。最後の一瞬まで、絶対に離れたくなんかない・・・・』

そう、思っているのだろう?)

【初子さんとの交わり3】

放心したように体を投げ出している理香の肩を抱いて、雅彦がベッドを離れると・・・・

生々しい射精の瞬間を目にして極度に欲情した私たちがベッドに上がります。

他人妻の名前を呼びながら果てる夫の姿を、初子さんは複雑な思いを交錯させながら見つめていました。

「さぁ、初子さん・・・・貴女の手で挿れるんだ。雅彦によく見えるように・」

「う~ぅん・・・・こうなの・・・・?」

「ちゃんと、旦那に許しを乞わなきゃだめだろ?」

「あなた、まさおさんのが、入っちゃう・・・一つになるの・」

お尻から伸びる肉茎を自分の秘裂に宛がいながら、愛する夫に想いを告げる初子さんの姿が、私の歪んだ欲望を激しく駆り立てます。

側位での結合は浅いのですが、潤いきった媚肉の中を分け入っていくと熔けるような快感が湧いてきます。

「あっ、あぁ~っ・・・・・・挿っちゃった・・・」

どこまでも貞淑だったはずの人妻が夫以外の男の貫きを受けて、一人の女としてその悦びを露わにしているのです。

ふと、傍に目をやると、両手を胸に合わせてこちらの方を眺めている妻、そしてその肩に手を回している雅彦の姿があります。

幾分冷めたような雰囲気は、交わりが終わった直後なので仕方ないのかもしれませんが、その余韻に浸っているような二人の姿を見ていると、それほどよかったのかと思い、そんな気持ちがますます私を猛々しくさせます。

本来、セックスとは、合歓している相手を全精力で愛おしむべきものなのでしょうが、「夫婦交換」という常識外のセックスには、その営みを見守る者が傍に居て・・、背徳、情愛、そして嫉妬や疑念といった特異な感情が混じっています。

私は、初子さんに律動を加えながら、歪んだことを考えてしまいます。

(私が、二人の交わりを見て嫉妬したのと同じような思いを、雅彦にも、そして妻にも与えてやりたい。)

そのために、どうするか?交わりの様子を二人に見せつけて、嫉妬させるには・・・・?

以前、他の男が妻にした時と同じように、初子さん自身の手で淫裂を押し広げさせて、「あなたお願い・・・見て・・・・わたしを見て」と、言わせようか?

(しかし、雅彦は、そのことに興奮するかもしれないが・・・・この耐え難い恥辱に塗れた行為を初心な初子さんに強いるのは、余りに酷すぎるだろう。)

私は、初子さんとの交わりを、二人の結合部位が最も露わになる体位を選びました。

ベッドに足を投げ出し、その上に初子さんの背中を載せて、足を大きくM字に開かせると・・・・淫らな男女の性器が露わになります。

私に背中を預け切っている初子さんの胸の脇を優しく撫で上げ、乳房を揉みながら、下からスラストを加えると・・・・

「ああぁぁ・・・・・・そんな風にすると・・・・・・・」

こんな可愛い声を聞くと、無理なことを求めなくてよかったと思います。

私の動きに応えてくれる親友の奥さんを・・・・可愛い女性を・・・・深く抱きしめていると、この女性をもっと悦ばせてあげたいという気持ちが自然に湧いてくるのです。

徐々に大きくなってくる昂ぶりを抑えながら腰を上に突き上げると、初子さんもその動きに合わせてくれます。

仰向けの後背位のため結合が浅いのを、初子さんはじれったく思っているのかもしれませんが、下から襲う肉棒を迎え入れるかのようにリズムを合わせてくれます。

「はあ~ん・・・気持ちイイ・・・・・・変になりそう」

今まで妻の体を通り過ぎた男たちが行ってきた行為を・・・・雅彦が私の前で行った行為を・・・・

今度は、自分が主体性を持って、可愛い女性に対して行えるという満足感が湧いてきます。

そんなことを話しながら刺突を続けていますが、媚肉の中で蓄えられた快感は、とうに折り返しを過ぎています。

私は、それまでの緩やかな動きから、荒々しく急激なスラストに移っていきました。

臀部の筋肉を引き締めて、滾った茎を、その上方で口を広げる潤いに向かって突き上げていくと・・・・

初子さんは、膣奥を抉られて湧いてくる快感が、堪えられない程の悦びに変わるのを待っているのでしょうか、しばらくの間、私に体を委ねるようにじっとしていました。

女性によっては、一度達すると性器全体が痺れたような感覚になって、何も感じない時間帯がある・・・・そんなことを聞いたことがあります。

初子さんは、スラストの嵐に蹂躙されている器を自分で動かすことを諦めて・・・・欲棒の為すがままの状態にさせています。

しばらく、顔をあらぬ方に向けながら、片方の手で私の体を抱きしめ、もう一方の手でシーツを掻き毟っていましたが、

そのうち、両手をベッドに突くと、体をしならせるようにして大きく仰け反りました。

「初子さん、向こうから丸見えだよ。今、雅彦が、どんなこと思ってるか、わかる?」

「あぁぁ~ん・・・そんな・・・だめぇ~」

「よくなってきたんだろ?もっと、欲しいなら、『突っ込んでっ!』って、おねだりするんだ!」

「嫌っ、そんなこと・」

「嫌じゃないだろ?もっと、旦那を興奮させるんだ。」

「んくっ・、ああぁ・・・・・・でも、そんなこと、恥ずかしすぎて」

「もう、とっくに恥ずかしいこと、しているだろ!」

「ん・・・・・・ぅやっぱり、主人のことが気になって・」

「その主人を、喜ばせてあげるんだ。オレが、雅彦なんだって思えばいい。」

「だって、違うんだもの・・・・そんなの、無理」

「無理じゃないだろう。ここまで来たんだ。旦那に見られながらのセックスを思う存分愉しむんだ!」

「・・・わかった。そう言えるようにして・・・!」

私は、初子さんの腰を両手で上下させ、潤みきった部分を股間に屹立する“強張り”の中へ荒々しく沈み込ませます。

「さぁ、感じるままに言うんだ!」

「ああぁぁ・・・もう、知らない!突っ込んでっ、そこに突っ込んでぇ~!」

私が求めた言葉を二度も口にしたということは・・・・

乱れる肢体の中心から、頭が真っ白になるような快感が湧いてきたのでしょうか、更に数度、刺突を続けると・・・

「いやぁぁっ・・・!わたし、イっちゃう~っ・・・もう、だめえぇ・・・・・・!」

戦慄するような快感が体を走り、背徳を伴った快楽は恍惚の極まりへと高まっていきます。

妻が普段見せたことがないあられもない姿を晒し、おまけに卑猥極まる言葉でセックスをせがむ姿を目にした雅彦が・・・・

「初子、そんなに、いいのか?俺のことなんか気にせずに、まさおにいっぱい愛してもらえよ。」と、初子さんに声をかけます。

(初子さんに優しく語りかけてはいるけれど、妻を見捨てたような物言いは・・・妻がそのような状態に陥ることをわかってはいても、やはり思いは複雑なのか、私との交わりの中で洩らした妻の淫らな言葉を聞いて、かつて味わったことがないほどの異常な興奮に襲われているんだ)

初子さんを絶頂に導くために費やした私の刺突も、そろそろ潮時で我慢の限界を超えています。

人妻が口にした淫らな言葉が・・・・生温かい粘液で満たされた膣奥の蠢きが・・・・射精を誘います。

(このまま、奥深く抉って・・・・初子さんの中で果てたい・・)

(理香が最も嫉妬する私の姿・・・他人妻の体内に精を放つ私の姿を見せ付けたい・・)

沸点を迎えた強張りを、“ずくん!”とひとつ女陰の中へ突き入れると・・・・

その瞬間、ぎゅぅっと収縮した膣壁が亀頭に絡みついてきます。

「ああ・・・・・・あ・・・・・・っ!」

私は、それまで貯めていたものを人妻の膣奥深く、思いっきり放ちました。

交わりが終わって、秘口から欲望の精が垂れ落ちると、初子さんが私に抱きついてきます。

初子さんにとって、私は何番目の男かはわかりませんが、そんなに男性経験は多くなさそうに見えます。

他人である私と結ばれた姿を愛する夫に見てもらい、自分に対して激しい嫉妬の炎を燃やして欲しいと願う女心からなのでしょうか。

めくるめく陶酔感を自分にもたらしてくれた男が愛しくてたまらないというような態で、体を合わせてきます。

こんな可愛い仕草をされると、親友の人妻に、恋心さえ感じてしまいます。

そして、多分、妻にとっても・・・・

ベッドで愛し合い、狂おしい悦びを与えてくれた男に対する思いは、私が初子さんに抱いているものと同じなのでしょう。

このような思いは、浮気や不倫をして他人と密かに愛し合う関係では決して得られない・・・・

夫婦交換という形の交わりでこそ得られる魔性の陶酔感なのです。

【歪んだ性癖】

前回、初めて妻を他人が待ち受ける部屋に送り出して、その夜まんじりともできない寝苦しさを味わい、そして、今回、旧知というより馴染みの男に妻を抱いてもらいました。

しかしながら、そのことが終わってみてわかったことは・・・・

このように、妻のお相手の男に全幅の信頼を寄せながら、その思いの丈までがわかる間柄というのは善し悪しで・・・・

情けが通って喜ばしいことなのかもしれませんが、妻が見知らぬ男から荒々しい貫きを受ける時ほどの興奮はなかったように思えます。

こんなこと、それを仕組んだ私の方から、厚顔にも言えた義理じゃないのですが・・・・

妻にすれば、夫に見られて恥ずかしいという理性と、見られることによって更に感じてしまうという淫欲の両方があると思います。

しかしながら、実際にその場面を迎えてみると、お相手が顔見知り、あるいは見ず知らずを問わず、その男に心底から身を委ねきってしまうのです。

夫を前に、耐え難いような恥辱を伴う行為を行っているのですから、そんな風にならざるを得ないのかもしれませんが、それを傍で見ている私の側からすれば、「抱かれてしまえば、相手が誰であっても同じなのか?」と、狂おしいものが湧いてきます。

そのような嫉妬を感じられるからこそ、妻のお相手は、間柄が親密で馴れ馴れしさを覚える男より、程よい距離があって、余り互いのことをよく知らない男の方を歓迎したいのかもしれません。

妻が、胸を妖しくときめかせながら、次第に体だけでなく心まで開いていく様をリアルに眺められるからです。

今回で、妻を他の男に抱いてもらう体験が、10回を超えてしまったことになります。

後何回ほど同じことを繰り返せば、私の歪んだ性癖は消え去るのか?

実際、私はまだ・・・妻を荒々しい男、毛嫌いするような男に抱かせたことがないので、よくわからないのですが・・・・

ひょっとして、そのような男に嫌々抱かれながら、そのうち喜悦に顏を歪めていく妻の姿を見たら・・・・

もっと興奮するのかもしれないと空恐ろしいことさえ考えてしまいます。

でもやっぱり、そのプレーがどれだけ興奮し、満足のいくものであったとしても、私は二の足を踏んでしまいます。

めくるめく興奮が鎮まって、その後平静な日常がもどってきた時、確実に何かが変わってしまっていて・・・・

それを発見するのが怖いのです。

幸せだった夫婦生活に陰がさして、夫婦関係がわだかまりを含んだぎくしゃくとしたものになったとしても、もう後戻りはできないのです。

まあ、このようなことを繰り返していると、色々と思い悩んで当然なのですが、倒錯した性の欲求をどの辺りで抑えるか、どこで終止符を打つか、程度と頻度の問題でいつも悩んでいます。

今は幸い、その兆しはありませんが、度を過ぎていつの日か、妻と私のどちらかが・・・・

他の相手と過ごしている姿を、車中からそっと眺めるような時が訪れるのかもしれない。

最後に、思うことですが、互いの夫婦を交換して交わる部屋には、自分の他に3人の男女が居ることになります。

「夫婦交換」というのは、倒錯した性の営みなので仕方ないのかもしれませんが・・・・

それぞれ、異なるカップルどうしが悦び合えればいいと割り切っても

自分のお相手のことより、妻のことが気になって・・・・目下のことに集中できないのです。

なかなか、それぞれの気持ちが細やかに行き届き、四人揃って満足して終われるような状態にはならないということがわかりました。

他人妻の憂い
【はじめに】

良人が見ている前で他人と交わる不貞・・・

魔性の興奮に胸を震わせながら、やがて、怒張しきったものが押し入ってくると、甘い悦びが兆してきて喘ぎの声を洩らす妻・・・

こんな妻の姿を密かに思い描くのは、私だけなのでしょうか?

私の名前は、小野まさお、妻は理香・・・二人とも職種こそ異なるものの、公に奉仕する仕事に就いています。

私に限って言えば、40歳の半ばを過ぎてからこのような禁断の世界にのめり込みました。

その後もその時の興奮が忘れられず、人知れずこっそりと淫らな行為を繰り返す私・・・

自然と、このようなことを意企する自分を卑下してしまいますが、自分のために一言弁明すれば・・・

セックスがとても大切な愛情表現であることは疑いないところですが、私の場合はちょっと変わっていて、妻が他の男に抱かれている姿を見ることによって、一層彼女への愛情が深まるのです。

世間の良識ある方は、禁忌の行為、人倫を踏み外した行為とその異常性を指摘されると思いますが、妻を愛しているからこそ、他人に抱かれる彼女の姿を見てみたいと思ってしまうのです。

とにかく私にとっては、妻を私以外の他人に抱いてもらう行為は、この上ない喜びなのであり、妻に対する究極の愛情表現なのです。

あられもない姿を夫の目に晒し、その不貞を苛むように容赦なく貫く他人の勃起・・・

そのうち、官能の渦に身を委ね、愉悦の極みを迎えてしまう妻・・・

性癖が昂じて、理性が麻痺したような状態になっていることは間違いありませんが、その魔性の快楽が忘れられず、続きを求めてしまう私・・・

今回もまた、私から誘いかけられるままに、妻が他人のものを受け入れた件を綴ります。

【馴染の居酒屋】

金木犀の甘い香りがそことも知らず漂い、庭先のいたる所でコスモスが薄ピンクの花を咲かせています。

こうして、季節がめぐってくると、時がゆるやかに流れていくのを実感し、以前に何事もなかったような気がしてきます。

あれ以来、妻の日常生活に変わりはありません。

めくるめく一夜が過ぎ去り、再び平穏な日常生活が戻ってくると、妻も安らぎを覚えるのでしょうか、それなりに私との時間を楽しんでいるように見えます。

クリップボードに留められたレシピを見ながら、甲斐々しく台所で働くエプロン姿はいつもと同じですし、週休日になると、人形教室と料理教室に通っていることも変わりありません。

しかし、人は「忙中、閑あり」の状態が一番良いのでしょう。

私のように、それが逆のような状態になると、ついつい良からぬことを考えてしまいます。

ある一定期間が過ぎると、あの時の興奮が蘇ってきて、その欲望を満足させてくれる処方箋が必要になってくるのです。

そして、その薬は私が服用するのではなく、妻に飲ませて・・・薬効の程を確かめるのです。

この時から遡って、約二ケ月ほど前・・・

電車通りに面した居酒屋で、ママの久美子ちゃん、そして南さんと私の姿があります。

南さんとの情事は、「他人と朝を迎えた妻」に綴った通りですが、それから後も・・・

私と南さんの関係はますます親密になっていきました。

数奇なご縁で知り合い、そして、ただならぬ仲になった者どうしがどのような会話を交わしているのか、お聞きください。

「あの後、帰り際に妻が何か言っていませんでしたか?」

「何かって・・・・?」

「いや、あの・・・・・・機会があったら、また逢いたいって・」

「流石に、それはないでしょう。もしそうなら、そろそろ貴方がその気配を感じ始める頃でしょうから。」

「そうですか。でも、こうして貴方と話していると、『どうぞ、お好きなように・・・・』って、言っても構わないような気がしてきますから不思議ですね。」

「いやいや、この次があるかどうか、それは貴方次第ですが、私の方から好んで手を出すつもりはありませんから」

これまで、私しか知ることがなかったものを味わい、私が大切に温めてきたものを共有した男・・・・・・

妻が密かに彼に思いを寄せていることも、それとなくわかっています。

先々のことはわかりませんが、多分、これからも妻を彼に抱いてもらうことがあるように思えます。

妻を仲立ちにして、のっぴきならぬ縁で結ばれてしまった男どうし、何か通い合うものがあります。

「何だか、楽しいことをなさったみたいですね。」

「う・・・・ん。ちょっとね。」

「南さんと、ただならぬ間柄になってしまったようですが、奥様が可愛そう」

「人が悪いなぁ、聞いていたんですか?でも、その分だけ、小野さんの愛情が深まるんだから・・・奥さんだって幸せですよ。」

「まあ、南さんたらひどい・・・だから、名人芸をお持ちの方を相手に選んじゃダメなのに・」

ママが、微笑みながら私に語りかけます。

流石にそれ以上のことは、ママに聞かれると差し障りがあるので、私たちはボックス席の片隅の方へ行って話を続けます。

「そろそろ、いつもの癖が疼いてくる頃じゃないですか?小野さんの場合、お相手を探すのに色々と苦労するでしょう。貴方のような社会的地位がおありの方が、ネットを使わずに好みの男性を見つけるとなると・」

「そうですね。レインボーフラッグのように、大っぴらにする訳にもいきませんしね。」

「何ですか、それ・・・?」

「“虹色の旗”のことですよ。アメリカのある州では、この旗を公然と窓口に掲げて、レズやホモの正当性を主張しているんです。」

「本当ですか?でも、それとこれとは別でしょう。夫婦間のタブーを破って、世間では許されないことを行う訳ですから・・・・そんなこと、大っぴらにしたら、この辺りに住んでいけなくなりますよ。」

「そうですね。南さんは、色々とその道に詳しいようですから、いい方法があったらまた教えてください。」

「手っ取り早いのは、デリヘル風に出張ホストなどを使うことですが」

「女性と肉体関係を結ぶだけでお金がもらえるなんて・・・男性なら誰でも憧れる夢のような副業ですね。」

「いやいや、そうでもなさそうですよ。ラブホテルへ行ってみたら、厚化粧をしたおばさんが現れたりして・・・・小野さんの場合、奥様は太鼓判なんですが、ホストが余り若すぎても貴方が気に入らないでしょうしね。」

「よく、お見通しで・・・」

「それに何より、相手の男が、貴方に見られながらセックスすることを了承するかどうかが、ネックになりそうですね。」

「そうでしょうね。私が逆の立場だったとしても、余り、歓迎はしませんから・・・」

「そう思うと、どれだけ奥さんに感謝しても、感謝し過ぎるってことはありませんよ。」

(そうかもしれない。本来、受け入れられるはずがないことがここまでまかり通ってきたのだから・・・でも、もっと遡って、私自身が、自分の心に憑りついた妄執を打ち消す意思の強さを持っていたならば・・・そして、妻も断固として私の申し出を拒絶する身持ちの固さを持っていたならば・・・このような道に足を踏み入れることもなかっただろう。しかし、妻の身持ちのことを取り立てて、責める気はない。慎ましく、気品に満ちた良妻の貞操を“なし崩し”にしてしまったのは、私なのだから・・)

しばらく空いた会話をつなぐように、南さんが私に尋ねます。

「ところで、ずっと前の話ですが、以前、私が紹介した寺村とはその後どうなっていますか?」

「いや、その節は、随分とお世話になりました。その後のことは、どうもこうもなく、それっきりですが・」

「奥さんは、その時、どんな風に思われたのでしょうね?」

「そんなこと、あからさまに私には言えないでしょう。でも、何となく、妻とは肌が合わなかったようで」

「そうですか。具合がよかったら、私じゃなくて彼が奥さんのお相手に選ばれているはずですよね。」

「貴方が求める条件に合いそうな奴が一人いるのですが、どうですか?」

「色々と持ち駒が豊富なようですが・・・どんな方ですか?」

「いやぁ、この道には私とよく似たような者がおりましてね。私の方から、話をもちかけることはできますよ。そんなにつき合いは深くないのですが、多分・・・あなたの申し出を断らないと思います。」

「どうして、そんなことまでわかるのですか。」

「小野さんも、そのうちわかってきますよ。よく似たことを経験していると、話の端々から何となくそんな匂いを感じるものです。」

そんな話を聞くと、この道に踏み込むきっかけとなった南さんとの馴れ初めを思い出します。

あの時、初めて・・・・・・南さんを選んだ私の目に狂いはなかった。

そして、その時の経験を糧にその後も温泉場やスナックで何回か、見ず知らずの男性に妻を抱いてもらった。

「経験は、知恵の父」と言われるが、同じようなことを繰り返しているうちに、私も、段々とその“匂い”がわかるようになってきた。

同時に、妻も、狂おしい官能の記憶をひも解きながら、強かになってきた。「記憶は、知恵の母」なのだ・・・

会話の合間に、そんな思いが頭を過るが、再び男どうしの会話が続いていきます。

「随分と、妻にご執心なようですね。何だか、妻がいろんな男と経験を重ねることを願っておられるような」

「いやっ、そんな訳じゃないのですが、貴方には色々とお世話になって」

「私の方こそ、お蔭さまで色々と勉強させてもらいました。貴方を信用していない訳ではありませんが、こんなことは、余り間に人を挟むものじゃないって・・・」

「はは、まったくもってその通りです。ご自分で苦労されて、男を漁るってのもいいじゃないですか?奥さんのお相手は、私のように貴方に近い男ではなくて、馴染の薄い方の方が、格段に興奮しますからね。今度、近々、某所でそのパーティがあるのですが・・・どうです?一度、奥さん同伴で」

「いやっ、せっかくのお申し出ですが、妻と話し合って、大勢の人と交わることはしないでおこうと決めてあるのです。」

「そうですか?まぁ、時が経てば、何かの弾みでそんな時がやってくるかもしれませんから、また、よろしければ声をかけてください。」

こんな経緯を辿って、せっかくの南さんの申し出をお断わりして、妻のお相手を自分で探すことになりました。

【新たな出会い】

ネットや風俗店を使わないとなれば、これまでの経験からお相手が見つかる可能性が高いのは、温泉場の宿泊客やスナックの常連客なのですが、そんなに足繁く通いつめる訳にもいきません。

個人的な伝手を使わないで、そして私たちの生活圏から程よい距離を置いた男を探し出すとなると、南さんが言った「同類の輩は、話の端々からそんな匂いがする。」という言葉を頼りに目星をつけるしかありません。

(リスクが少なく、それでいて刺激的な興奮を求めているのだから、少々時間がかかったり、気苦労があったりしても当然だろう。)

そんな風に腹を括って、周りの男を意識し始めてから二月ばかり経った頃、私の前にある男性が現れます。

私との接点は、妻に勧められて、週二回通うようになったパワージム。

「そんなに、激しいエクササイズは後回しにして、初めは心臓から遠い方の筋トレから始められた方がいいんじゃないですか?」

「そんなものですか?何しろ初心者でして・・・少しでも効果的に筋力アップができたらと思って・」

「私も最初のうちはそう考えていたのですが・・・何も、ボディビルダーのような体になりたい訳ではないんでしょ?普通に生活している一般人にとって、そんな過激な運動は必要ないと思いますよ。」

汗だくになってベンチプレスをしている私に気安く声をかけてくれたのは、40歳を少し過ぎた風に見える男性でした。

私よりは、トレーニングを積んだ期間が長いのでしょう。見事な逆三角形の上体から逞しい上腕筋が伸びています。

その男性の名は、朝岡輝樹(仮名)

トレーニングジムに通う時間帯が偶々私と同じだったこともあって、朝岡さんは、その後も未熟な私に色々とアドバイスをしてくれました。

足腰を強くするのに効果があるスクワットは、ダンベルなどのウェイトを持って激しく行なうこともできるが、それよりも体重の負荷だけで、回数を多くしてゆっくり行なった方が効き目があること・・・・

筋肉は、練習することによって増強されるように思えるが、実際はそうではなく、使うことによってある程度損傷し、次に同じ負荷が掛かっても耐えられるような修復機能をはたらかせること、など・・・・

話の内容から彼の知性を窺い知ることができますし、にっこりと笑いかけながら語りかけてくる彼の態度に、私が好感をもったのは言うまでもありません。

そして、そのうち私たちは、エクササイズが終わった後に、一杯やって帰るような間柄になりました。

汗を流し終えた後は、それまで心の中に淀んでいた醜悪な妄想が霧散して、とても爽快な気分になります。

こんな風になると、ジムへ通うのがとても楽しくなってきます。

練習を始めてから一ケ月くらいは、そのことは、完全に頭の中から消え去っていました。

でも、ある日、いつものように練習を終えてから、隣どうし連れ立ってシャワーを浴びていた時、偶然、彼の股間のものが目に入ってきたのです。

萎えているはずなのに、常人に比べ並外れた大きさの陰茎・・・

艶めかしい曲線を描いて形よく膨らんだ亀頭・・・

その先が、太腿の中ほどにまで届いており、私の目は、水滴を垂らしているものに釘付けになりました。

こんな逸物を目にすると、もう堪りません。

それまで私の心に封印されていた淫靡な妄想が鎌首をもたげてきます。

当然のことながら、それが妻の体に押し入っていく場面を想像してしまうのです。

(今日は、思いがけず、惚れ惚れするようなものを見てしまった・・・人品と言い、持ちものと言い、俺が探している男にぴったりじゃないか?)

それでも、一ケ月ほどはその妄想に蓋をし、逸る思いを抑えていましたが、矢も楯もたまらなくなった私は、とうとう朝岡をまだ一度も訪れたことがない居酒屋に連れ出します。

南さんとの馴れ初めと同じように、お酒を酌み交わしながら、盛り上がってきたところで冗談半分に切り出すつもりです。

「ところで、朝岡さん、私みたいな暇人になると、どうしてもPCを弄ったり、TVを見たりする機会が多くなってくるんですが、今、BSじゃ、韓流ドラマが花盛りですよね。あんなの、お好きですか?」

「お年寄りの方にファンが多いってことは知ってますけど・・・あんな恋愛や不倫ドラマに興味はありませんよ。」

「そうでしょうね。ところで、今おっしゃった“不倫”というのは、女性はもちろんでしょうが、男にとっても魅惑的な言葉だと思いませんか?誰にも知られたくないことを、こっそり行うスリルと興奮・・・・・・男なら誰でも、一度は経験してみたいと思うでしょう?」

「そりゃ、そんな機会があれば拒みはしませんが、相手がいることですしね・・・」

「どうですか?もし、朝岡さんさえよろしければ、私の家内と一度その関係を愉しんでみませんか?」

「えっ、藪から棒に・・・どうしたんですか?急にそんなことを言われて・・・」

「いや、まだ、酔いが回ってきた訳ではありませんよ。実は、私には、妻を他の男に抱いてもらうことに興奮するという、妙な癖がありまして・・・・恥ずかしい限りですが、こうしてお近づきになれたのも何かのご縁じゃないかと思って、腹を割ってお願いしているのです。」

「貴方からそんな話を持ちかけられるなんて思ってもみませんでしたよ。余りにも唐突で、何て答えていいのか」

「突拍子な申し出であることは、承知の上です。よく考えていただいて、お気に染まないなら、お断わりしていただいても結構なんです。私の目利き違いじゃないと思いますが、貴方だったら私の願いを叶えてくれそうな気がして」

暫くの間、じっとグラスを見つめながら考え込む朝岡・・・

(私より幾分、年下なので、これから彼のことを「朝岡」と呼ぶことにします。)

このようなことは、自分なりに目星をつけ、ある程度の感触を得たつもりで誘いかけているのですが、

返答に要する時間がこれくらい長いとなると、これまでの経験上、大概はノーです。

そのうち、朝岡が顏を上げ、私の申し出に答えます。

「どうも、そんな風には見えないのですが・・・お会いしてからそんなに長くないおつきあいなのに、よくそんなことまで私に打ち明けられますね。そんなことされて、奥様のこと、不安にならないのですか?」

「そりゃ、私にも色々と不安はありますよ。こんなこと、貴方に打ち明けない方がいいのでしょうが・・・後で、その時、断っていただいた方がよかったと私が思うようになるかもしれません。男女のことは、先が見えませんから」

「・・・」

「どうやら、ご無理を申し上げたみたいで・・・・済みませんが、この話、お酒の所為だということにして、聞き流していただけませんか。」

「仮にですよ。私が貴方の申し出をお受けするとして、そのことを奥様はご存知なのですか?」

「まだ、妻には話してはいませんが・・・多分、貴方だったら、嫌とは言わないだろうと思います。」

「小野さんって、表面づらとはまた違った一面があるんですね。お会いしてから数ケ月程度の男に、よくそんなことまで打ち明けられると感心してしまいますよ。私だったら、断られた時のことを思うと到底言えませんが・・・でも、貴方が私を信頼してくださって、気恥ずかしいことを打ち明けてくれたことはわかります。ですから、ストレートに言いましょう。私だって男盛りです。そんなことを経験してみたい気持ちはあります。」

「朝岡さんにも、好みがおありでしょうから、今度、飲む時に理由をつけて妻を迎えに来させますから・・・・“品定め”をしていただいて結構です。」

「いやいや、小野さんの奥様ですからきっと素敵な女性でしょう。喜んで、お相手をさせていただきます。それに、ここで私がお断りして・・・ずっと靄々したものを引き摺っていくってのも、お互い嫌でしょう?」

意中の男性からこのような回答をいただいたとなると、少なくとも1~2ケ月後に、興奮の夜を迎えることは確実です。

水割りのグラスを傾けていると、脳裏に・・・

極限状態にまで勃起した怒張を秘芯に宛がわれながら、うっとりと目を細め、それによる貫きを待ち望む妻・・・・

射精の瞬間・・・男の腰が沈むと、それに合わせるように自らの腰を浮き上がらせる妻・・・・

こんな妻の姿が思い浮かんでくると・・・股間のものが、じわ~と熟れてきます。

【官能の記憶】

果たして妻は私が勝手に取り決めたことをすんなりと受け入れてくれるでしょうか?

これまで、そのことを妻に打ち明けた時、妻が言ったいろんな言葉が頭を過ります。

「あなた以外の男性が、私の体を通り過ぎていく度に、わたし達の約束が色あせてくるように思えるの。」

「もう、元に戻れないことも、急にストップできないことも、自分で分かっているの。ここまで来たんでしょ?もう、あなたの申し出を断る理由なんてないわ。」

このようなことを始める前に、確かめ合ったこと・・・・「二人の約束」が根っこにあることは間違いないのですが・・・・

次第に変わっていく妻の様子を見ていると、固く誓ったはずの約束も線が細くなって、頼りないもののように思えてきます。

こんな風に思っているのは、私だけではないでしょう。

妻にしても、表向きは私の申し出に従順な風を装っていますが、この前、夫という存在がない隣室で甘美なひと時を過ごしたばかりです。

私の目を気にせずに、思いっきり官能の世界に身を委ねたいと思っているのかもしれません。

(もしかして今となっては、互いに誓い合ったはずの約束までもが、心の重荷になってきているのでは・・・・?)

こんなことを思うと、男の印を目にして頬を赤く染めたり、愛撫を受けながら小さな喘ぎを洩らしていた頃が懐かしく思えてきます。

今のところ、私と話している最中に着信音が鳴り、アドレスを見て表情が一変するようなことはありませんし、夕方以降、家を空けるようなこともありません。

妻が特定の男性と逢瀬を愉しんでいるような風は見られないのですが、

心の奥底では・・・夫の愛を変わらぬものと信じながらも、それとこれとは別ものと割り切って、意中の男性に体を預けて、再び、身を焦がすような体験をしてみたいと密かに願っているのかもしれない。

(もし、そうだとしたら・・・恥態を晒す妻の傍で、交わりの一部始終を見届けている私は、何て罪なことをしているのだろう・・)

ある夜、私は久しぶりに妻と臥所を共にします。

やはり、そのことを妻に打ち明けるのは、夫婦の営みを始める頃合いが良いのでしょう。

私は、その後妻と南さんが逢瀬を重ねていないことがわかりきっているのに、わざとそのことを妻に尋ねます。

「南さんとのことが終わってしばらく経つけど、その後彼に会ったことある?」

「どうして、そんなこと訊くの?わたしを見ていれば、わかるでしょ。そんな訳ないじゃない?」

「ちょっと、聞きづらいんだけど・・・・・・おまえもたまには、今までお相手してもらった男性のことが思い浮かぶことあるんだろ?」

「また、悪い虫が騒ぎだしたのね。それはわたしだって、女だもん。時にはそんなこともあるわ。」

「へぇ~そう、どんな時・・・?」

「あなたに抱かれて、目を閉じていると・・・・・・時々、他の男の人の顔が思い浮かんでくることはあるわ・・・」

「そんなこと、初めて聞く話だな。まぁ、俺にとっては、嬉しいことだけど・・・それで、そのお相手のことなんだ。」

「もう、南さんは嫌よ。」

「二度も抱かれたのに、もう“お払い箱”ってことはないだろ?」

「そうじゃないの・・・・・・だって、これから先、あんなことが続くと自分がどうなってしまうかわからなくなるもの。そのまま、ずるずるいってしまいそうな自分が怖いの。そんなわたしの気持ち、あなたにはわからないと思うけど・・・」

「よく似た思いは俺にもあるよ。おまえが他の男に抱かれる度に・・・・嵌ってしまって、いつの日か離婚を迫られるのではと、不安に思うことがあるんだ。」

「離婚・・・・・・?へぇ~そんなこと、考えてるんだ・・・・・・もし、もしもよ、わたしに誰か好きな男性ができたとして・・・・その男性といっしょになりたいって言い出したらどうするの?妙に落ち着いて、黙ってわたしを見送るの?それとも、取り乱して『そうしないでくれ!』って引き留めるのかな?」

「それは、そのようになった経緯によるけど・・・・・・多分、引き留めると思う」

「でも、そんなのって・・・余りにも、自分がみじめったらしいと思わない?」

「仕様がないさ。こんなこと、始めたのは俺なんだから・・・それでいて、おまえに傍にほしいと思うのなら」

「そうでしょ?やっぱり・・・・・・だから、無理を聞いてあげてるの。」

「しかし、だな・・・・・・俺達の約束があっても、体の相性ってものがあるだろ?そのことが俺の頭から離れないのと同じように、馴染具合が抜群の男性だったら、それを我慢しているのは辛すぎるだろう?」

「そうね~ぇ、もしもの話だけど・・・私が誰かさんと深い関係になったら、わたしの方からきちんとあなたに言うわ。

しばらく、あなたのところへ帰らないって・」

「それから、どうするんだ?」

「わかんない。だって、南さんにもわたしが知らないところ、いっぱいあるもの。じっくり考えてから、結論出すと思う。」

「おい、おい、再婚の相手は南さんかよ?今度のお相手は彼じゃないから心配しなくていいよ。朝岡と言うんだ。この前、車で迎えに来てくれた時、会っただろ?」

「あなたが、何時にも増して深酒した時でしょ?ジムで知り合った友達だと紹介してくれたけど・・・・あの時、ちょっと変に思ったわ。」

「へぇ~、どんな風に?」

「帰り際に、あなた、『つまらないやつですが、またよろしくお願いします』って言ったの、覚えてる?その時、あっ、この言葉どこかで聞いたことある・・・・って、思ったの。」

「すごい記憶力の持ち主なんだな・・・それで、そのことだけど、おまえさえ嫌じゃなかったら」

それから私は、パワージムで彼と出会った馴れ初めやその後親しくなった経緯などを妻に話しました。

「若い割に人情味があって、いい奴だよ。それからさぁ~、こんなこと、俺が勝手に仕向けたことで、言えた義理じゃないんだけど・・・・彼の了承は、もうもらっているんだ。」

「こんなこと、いけないことだとわかっているのに・・・強引すぎることもね・・・

でも、そんな風に言われて、あなたの申し出を断りきれない自分が嫌になるわ。」

「素敵な男性だよ。人柄もいいし、体の方もジムで鍛えているだけあって、おまえをがっかりさせたりはしないよ。」

「それで・・・・・・この前みたいにあなたと別々になって、私が出かけていくの?」

「おまえを、“通い妻”にはしたくないんだ。いつもと同じように、傍に居させてもらうよ。」

こうして、近からず遠からず、顔見知りではあるが、私たちと適度の距離を置いた魅力的な男性が、妻と合歓のときを迎えることになりました。

男でも惚れ惚れするような筋肉質の胸に顔を埋める妻・・・・

そして、あの逞しい腕で腰骨を引き寄せられ、並外れた剛茎による貫きを否応なく受け入れてしまう妻の姿が浮かんできます。

【甘い陶酔】

交わりの最後に、妻が言った言葉・・・・・・

「今夜のこと、記念にとっておきます。」

それほど、妻にとっても印象深い体験だったのでしょう。

妻の言葉通り、その記念すべき日を書き留めておきます。

平成24年10月27日(土)市内から1時間ばかり離れた某シティホテルの一室・・・

朝岡が妻の後ろに寄り添い、胸脇を潜らせた両手をたすき形にして、妻の乳房を抱きしめています。

「旦那さんを前にして、こんなこと・・・奥さん、初めてじゃないんでしょう?」

「さぁ、どんな風に見えます?もし、そうだとしたら、そんな女はお嫌ですか?」

乳房を背後から抱きしめる朝岡の手に、そっと自分の手を重ね合わせながら、妻が答えます。

「いや、この前、貴女にお会いした時からずっと思っていたんです。もう、しばらくすると、貴方が身に着けているものを私の手で剥がす日が来るんだって」

「でも、主人が傍にいること、気になるでしょ?」

「実は、『不倫を愉しんでみませんか?』ってお誘いを受けた時、てっきり、奥さんと二人だけでと思っていたんですが、後からご主人にお願いされて困っちゃいました。でも、こんな素敵な女性を抱きしめていると、そんなこと、どうでもよかったように思えてきますよ。」

「まぁ~お上手・・・・・・でも、“見かけ倒し”ってこともありますわ。」

「そんなことありませんよ。奥さんの方こそ、私に抱かれている姿をご主人の目に晒すなんて嫌じゃないですか?」

「そんな意地悪、おっしゃらないで。今夜は、朝岡さんの好きになさってくださっていいですよ」

「奥さんも、結果的にご主人の申し出を承知されたと言うことでしょうから、密かに心に思い描いていたものがあるでしょう。今夜は、その思いを叶えてあげますからね。」

「そんな風におっしゃられると、ちょっと怖いわ。期待外れになったらどうしようって・・・」

傍で聞いていると、二人の会話が随分と長いように思えます。

でも、お互いのことをまだよく知らない男女が交わるような場合、限られた時間の中で、その距離を幾分でも縮めたいと願うのは当然なのでしょう。

(無理もないだろう。この前、一度顔を合わせたきりなのだから・・・妻にしたって、朝岡の問いかけに妙にフイットしたように応えているのは、それだけ期待するところがあるのかもしれない。)

こんな会話を聞いていると、この前、妻が言っていた言葉を思い出します。

「その時ね・・・その男性がじっとわたしの目を見つめてくる時たまらないわ。何だか、これから自分が淫らなことをされて、変わっていくんだって思うと胸がどきどきするの。」

そのうち、互いの気心が通い合ってきたのか、双方が待ち望んでいるひと時が訪れます。

自分の手が朝岡の腰に回って、自分の方へ抱き寄せていることにすら気づかない妻・・・・・・

うっとりと目を閉じて、舌を絡み合わせていると、とろけるような感覚が全身に広がっていって、ぼぉ~っとしてくるのでしょう。

朝岡が、妻の耳元に口を当てて何かささやくと、羞恥で妻の頬が微かに染まっていきます。

何もされていないのに・・・・・・多分、淫らなことを言われて、それだけで体が感じてしまうのでしょう。

そんな様子を見ていると、夫に見られて恥ずかしいという理性が、男によってそそられる淫欲に完全に圧倒されてしまっていることがわかります。

柔らかに丸みをおびた乳房・・・甘く蕩けるような唇・・・・

朝岡はそのすべてを堪能し尽くしてから、キャミソールの肩ひもを外していきました。

そして、後ろから妻の背中に寄り添った姿勢で、片方の手をスカートの中に滑り込ませていきます。

夫への不貞と官能への誘いの狭間で、中途半端に開かれた両腿を掻い潜った指先が、妻の敏感な部分を愛撫し始めます。

薄布に隠蔽され、私が窺い知ることができないスポットで、指戯が施されつつあるのでしょう、妻の体がびくんと震えます。

「あっ!あぁっ・・・・・・だめぇ~っ!」

私以外の男の指先が潤った秘部を侵していることを想像すると、次第に興奮が高まってきて、妻の短く切ない喘ぎが、その興奮に拍車をかけます。

(その指先は、私のとは異なって、男の本性を込めた特有のタッチで、妻の秘部を愛撫しているに違いない。)

狂おしげに体を捩る妻の姿態を見ていると、私の胸もどきどきしてきて・・・・・・早くその先に進んでくれと願わずにはおられません。

こんな思いは、私より妻の方が数倍強いのでしょう。

朝岡が為すがまま、身を委ねていた妻でしたが、そのうち、自分からスカートのフックを外していきます。

すると、朝岡が妻の背を抱いてベッドに横たえ、添い寝するような形で向き合いながら、妻のショーツを下ろしていきました。

やや遠目ながらも、その下に連なる陰裂の在処を示すようにふっくらとした恥丘が露わになり、朝岡が、膝を持ち上げて淫裂へ唇を這わせていくと、妻は堪えきれずに腰を捩らせます。

さらに、舌を滑らせながら、その上にのぞく珊瑚色の“つぼみ”を愛撫していくと、妻の顔が歪んできます。

「あぁぁ・・・そんなぁ・・・・・・そっ、そこは・・・・・・」

女体の官能は、男のそれに数倍すると聞いたことがありますが、普段は慎ましく姿を隠しているそれも、

こんな風にされるとたまらないのでしょう。

「そんなこと、されちゃうと・・・・・・・・・だめぇ・・・・・・」

そう言いながらも、朝岡の頭を抑えつけ、襲ってくる快感を逃がさないようにしているようにさえ見える妻・・・・・・・・・

最も敏感な部分は大粒に膨れあがり、女体に官能の波を送り続けているのでしょう。

おとがいを見せながら大きく仰け反り、時おり、ピクン、ピクンと波打つ妻の姿がとても卑猥です。

「あぁ・・・・・・・・・っ!」

そのうち急に、甲高い声が走り、妻の身体が大きく反り返った。

思わず目をやると、朝岡の手が女陰に伸びていて、秘芯を弄っている指先が目に入ってきます。

欲しくてたまらなかった場所に、朝岡の太い指が届いて・・・そこを何度も出し入れされる度に、妻の口から喘ぎが洩れてきます。

「あぁっ、うんっ、んん~んっ!あぁ・・・」

「奥さん、そろそろ欲しくなってきたんじゃないですか?いい感じになっていますよ。」

「はぁ・・・っ、そんな風にされると・・・もう、だめぇ・・・・・・いれて・・・」

「すぐに、そうしてあげますから・・・済みませんが、私のものもあなたと同じようにしてくれませんか?小野さんから、大体のことは聞いていますので、手で結構です。」

妻がブリーフを下ろしていくと、臍に届かんばかりに反り返ったペニスが現れた。

シャワーを浴びる際に、その後も何回か彼のものを目にしたことがあるが、このような時のそれを見るのは初めてです。

私は、幾分遠慮がちに見ていた所から、妻が手にしているものがよく見える所に近寄ります。

欲情を込めた幾本もの筋を浮かべ、根元から屹立している茎は、シャワーを浴びている時に目にしたものの比ではありません。

更にその時より凄くなっていて、見事に区分けされた腹筋の下に息づく肉茎は、樫棒のように勃起していて、赤銅色の光沢を放っています。

こんな並外れた剛棒を見ていると、およそ男の自負や意地なんてものは消し飛んでしまって・・・

到底、妻の不貞を責める気にはなれません。

「さぁ、程よくなってきましたから、アレを被せてください。」

朝岡がベッド脇に目をやると、妻はティッシュケースの傍に置かれた薄ピンク色の避妊具を取り出した。

そして、妻の細い指先が、薄いゴム膜を亀頭から茎の根元まで伸ばしていきます。

でも、伸ばした薄膜が茎の中途で目いっぱいになったのがわかると、妻の顔が火照ってきて、動悸が激しくなっていくのがわかります。

そんな妻の姿を見ていると、お尻の谷間のぷっくりした切れ込みが目に入ってきて・・・

ほどなく、そこに男の印を受け入れてしまうことを思うと、私の胸の動悸が次第に激しくなってきます。

(欲情の滾りを込めて、赤黒く怒張した肉茎・・・・・・正直言って、ここまで凄いとは思わなかった。初めから知っておれば・・・・・・そして、男のものを生で感じられる交わりだったら、妻も気が遠くなるほどの悦びに浸ることができるだろうに・・)

互いの性器を晒け出し、薄膜を付けることなしに、本能のままに結ばれる二人の姿を想像する妖しい自分がいます。

【開かれた官能の扉】

互いにそのことを確かめ合う男女の睦言、十分すぎるほどの性戯が終わって・・・・

今から、私が念じてやまなかった妻と朝岡との性交が始まることを想うと、胸が震えてきます。

「さぁ、いいですか奥さん?挿れますよ。」

やがて、朝岡が妻の両脚の間に身体を滑り込ませ、その手で妻の両脚を抱え、グイと外に大きく押し開く。

「あっ、お願い、そっと・・・そっとよ・・・」

そして、二人の潤んだ瞳が合わさって、濡れたところに硬く反り返った勃起の先端が近づいていく。

ぬちゃっと、濡れ綻んだ淫肉に、亀頭の先端が押し当てられた。

「あっ、あぁぁ・・・」

未知の部分をいっぱい秘めた夫以外の男による貫きを前に、もう、それだけで感じてしまったのか・・・妻の口から甘い喘ぎが洩れ出ます。

そして、チラッと私の方へ目を向けます。

でも、私の方では、この前・・・・・・妻が、私に目線を送ってきてくれたものの、つかの間の一瞥であったというわだかまりが心の中にあって、きっと、彼女が期待していたような優しい眼差しじゃなかったのだろうと思います。

すぐさま、妻の顏があらぬ方に背けられました。

うっとりとして眉を細める妻の表情には、夫のものとは異なる肉茎を受け入れることに慄く表情はすでに消えています。

(いよいよ挿ってくる・・・・・・そう思うだけで、おまえの股間が濡れて、膣奥が燃え上がってくるのだろ?)

妻が、朝岡の目を見つめながら頷くのを合図に、たくましい腰がゆっくりと前へ押し出されていくと・・・・

傘太の肉茎が、卑猥に開いた淫唇を割って、ゆっくりと呑み込まれていきます。

「あぁぁ・・・はいって、くるぅ・・・・・・んんっ、きっ・・・つい~・・・・・・!」

妻には、ずるっ、ずるっと、“ひだ”を押し分けながら挿ってくる肉茎の感触がわかるのでしょう。

その瞬間、顔が大きく仰け反り、苦痛と悦び混じりの喘ぎが半開きの口から洩れ出ます。

そして、肉棒のおよそ半分程が埋まった頃、私の方を見て呟いたのです。

「あぁ~ん、入った・・・・・・ごめんなさい・・・」

こんな言葉を投げかけられても・・・・・・妻の心の中には、既に、私の存在はないはずなのに・・・

その言葉の意味するところがわかりません。

(きっと、男の印を身に受けて、私のものとは余りにもかけ離れた量感に驚き・・・・比べていたものを思いだし、ハッと一時的に人妻であることを思い出したのかもしれない。)

でも、その後すぐに、「はあぁっ・・・」という声を洩らし始め、当面のことに没頭していきました。

そのうち、朝岡は傍で見ている私に気を遣ってくれたのでしょう。

ぴったり重なり合っていた上体を起こすと、妻の両脚をやや持ち上げ、繋がり合っているところをよく見えるようにしてくれました。

こんな姿になると、深く繋がり合った男女の性器はもちろん、淫らな濡れ音まで聞こえてきます。

大きく割り開かれた左右の太もも・・・その中心に、根元まで埋まっていく肉棒・・・・

充分過ぎる硬度をもった肉茎が、ゆっくりと妻を貫いていきます。

「はぅっ・・・・・・あっ、あっ・・・!いいっ・・・・・・あぁぁっ・・・・・・!」

臀部のたくましい筋肉を象徴するかのような野太い茎が、妻の膣を限界まで押し広げ、埋め込まれていきます。

すると妻はその甘苦しい痛みをこらえきれないように眉根を寄せ、内に籠もった熱い息を吐き出します。

私はそんな妻の姿を眺めながら、想像を超えた大きさの陰茎が、妻の下半身に埋まり、彼女を恍惚の表情へと変えていくことに、心の底から満足していました。

小さな喘ぎを洩らしながら、男の背中を抱きしめる白い手指・・・・

男の貫きを受けて、小刻みに揺れるふっくらとした乳房・・・

私は、女の悦びを全身で表す妻の妖艶な姿に酔いしれていました。

まるで、朝岡でなく、私がそのことを行っているかのように・・・

しばらく私は、呆けたように二人の姿に見入っていましたが・・・

猶も二人は潤んだ眼差しを交わし合いながら、合歓の限りを尽くしています。

目を細めながら、体から湧き出るものを噛みしめているかのような妻の表情から察すると、当初の痛みはとっくに消えて、既に十分すぎる程の性の陶酔が兆しているのがわかります。

「小野さん、奥様のこんな姿を見ていると、もう嫉妬を通り越して・・・・・・堪らなくなってきたんじゃないですか?さぁ、奥さん。疲れたでしょうから、少し休みましょう。」

交わりを中断した朝岡が、繋がったままの姿勢で、突然私に話しかけてきました。

「どうです、小野さん?貴方さえよろしければ、もっと興奮するようなことをしてみませんか?」

「“興奮するようなこと”って・・・・?」

「貴方も流石に、男のものを手にしたことはないでしょ?私のものに、さわってもいいですよ。」

「どうも、言っていることが、よくわからないのですが」

「男性なら誰でも、愛する女性が、自分の意思で男のものを受け入れる姿を見てみたいと思うじゃないですか?もっと私の傍へきて、私のものを貴方の手で握って・・・・・・それを奥様が上から受け入れる姿を、近くから眺められてはどうですか?」

「えぇっ、本当にいいのですか?そんなことしても・・・」

「先ほどから、あなたがじっと黙っている姿を見て、気になっていたんです。こんな男冥利につきる機会を私にくださったあなたが辛い思いをしているのに、私だけが愉しんでいては申し訳ないって・・・貴方だったら構いませんよ。奥様さえよろしければ、介添えをしてあげてはどうですか?」

このようなことを、妻のお相手から言われたことは初めてです。

多分、朝岡にしても、初めて抱いた女性にそんな過激なことを強いるのは、初めてに違いありません。

無論、私に対する彼の好意であることはわかりますし、人それぞれセックスの流儀があることもわかっていますが・・・

それに加えて、自分が交わっている女性の伴侶が傍でじっと見守っているという空気の重さに耐え切れず、彼を大胆にさせたのかもしれません。

「どう、理香・・・・?朝岡さんが、そのように言っておられるけど」

「えっ、朝岡さん、お願い!それだけは止めて・・・・!」

「奥さん、いいでしょ?私も嫌われたくはないんですが、もう、火がついているんですから・・・どんなことでも受け入れられそうじゃないですか?」

「いやっ、そんなの、恥ずかしすぎるわ・・・・・・ねっ、止めて・・・!」

「おまえも、朝岡さんの好意がわからないことはないだろ?こんな場面は、前にもあったはずだ。」

「あぁ・・・あなた、そんな前のことまで・・・ひどぃ・・・」

「こんなこともありえるって・・・最初から、心に決めていたんじゃなかったのか?」

「だけど、あなたの前でそんなことするの、耐えられないわ・・・」

「俺がおまえを愛する代わりに、おまえが悦びを求める女になりきるっていうのが約束だろ?」

「いやっ、こんな時に、そんな話持ち出さないで!そんなことされて、わたしがどんな思いをするか、わからないあなたじゃないのに・・・」

「もう、誰に遠慮することもないんだ・・・この前、言っていたじゃないか?時々、そのこと思い出すって・・・新たな一コマが増えるだろ?」

「あぁ・・・もう、いいわ、好きにしてっ!あなたがそこまで言うのだったら・・・」

元より、得心した訳ではないが、二人の男性に押し切られ、やむなくそのことを受け入れさせられた妻・・・

仰向けに寝ている朝岡の傍に行って、間近で彼の印を目にすると、胸が震えるような興奮が襲ってきます。

劣情の全てを包み込んで怒張した勃起・・・その先端が、先程の性交の激しさを表すように赤黒く膨らんでいて、その肉茎から伝わる熱い脈動と、棒のような手応え・・・

男が羨むような逸物を、我が手に握った時の興奮は忘れられません。

こんなことを私に勧めるのも、他人が羨むようなものを持っている男の自信の表れなのだろう・・・

複雑な思いもありますが、私の手は、朝岡が勧めるように彼の勃起の根元を握ります。

(ああ~・・・今私が握っているこの勃起の根元まで、妻自らの意思で、その秘口を沈めてしまうのか・・・そして、こんな途方もないものが、膣奥深く抉っていったら・・・・?)

この上に跨って腰を振る妻を想像すると、茎を支える右手が震えてきます。

(その時、妻は官能の虜になったように、ただひたすら快感を求めて腰を沈めていくのだろうか?それとも、夫の前で両性の器が結ばれる生々しさに耐えられず、顏を背けてしまうのだろうか?ともあれ、こんな野太いものを妻が咥え込む瞬間・・・夫の手で支えられた他人の勃起の上に、腰を沈めていく時の妻の表情を見てみたい・・・・・)

「さぁ、理香、朝岡さんというより、俺のたっての願いなんだ。この上に、ゆっくりと腰を沈めていくんだ。」

「ああ・・・さっきより、また凄くなってる・・・こんなの怖いわ。」

開き直ったように、私と向き合いながら男の上に屈み込み、ゆっくりと真下に腰を下ろしていく妻・・・

これは、単なる性戯なんだと割り切ったつもりでいても、目の前に夫の顔があるのだから、どうしても不貞を意識する。

顔を背ければよさそうなものだが、これだけ夫が間近にいるとなるとそれも憚られる。

諸々の思いを振り払うように、妻は目を閉じて・・・秘芯に宛がわれた肉棒の上にゆっくりと体重を乗せていった。

すると、長大な男根が、淫らに開いた女陰の谷間から懐深く呑み込まれていき・・・

徐々に腰を沈めると、根元を握っている右手の拳に、生温かいものが触れたのがわかります。

しばらく、じっと目を閉じていた妻でしたが、そのうちゆっくりと腰を上下させ始めました。

腰を下ろす度に、媚孔が怒張の洗礼を受けて私の手首に届きますが、妻が、二人の男に同時に貫かれているような感覚に陥っているのかどうかはわかりません。

次第に、官能の炎に媚肉が溶かされていくのか、妻の喘ぎが一気に高まっていきます。

「あぁぁ・・・・・・いっ、いい─っ・・・」

「気持ちいいんですね。奥さん」

「は、い・・・・・・あぁ~っ、いいです・・・」

「ご主人に見られても、もう何ともないでしょ?」

「あぁぁ・・・・・・そんなこと、言わないで・・・・・・もう、変になりそう・・・」

「見えるでしょ、奥さん?繋がっているのが」

「あぁ・・・もう、いや~っ・・・」

「いやじゃ、ないですよ。ほら、よく見て!凄いのが、奥さんの中に入っていく・・・」

朝岡に言われ、妻が恐る恐るという風情で自分の股間に目を落とす。

もちろん、そんな姿を後ろから見ている私にも、傘太の肉茎が妻の膣奥深くまで“ずぶずぶ”と沈み込んでいく様子がよく見えます。

「あぁ~っ、大きい・・・大っきすぎるわ・・・あ、あうぅ・・・・・・でも、気持ちいぃ・・・」

私を避けるように目を合わさないでいるのは・・・言ってしまった言葉にはもう恥ずかしさはないようですが、流石に、私以外の男と繋がっている秘部を我が目で確かめる行為を、夫を前にして行ったことに羞恥を覚えているのでしょう。

そのうち、朝岡は、腹上で悦びに喘ぐ人妻の顔をもっと快感で歪ませたいという欲情に駆られたのでしょうか、頭を振りながら喘ぐ妻を両腿の上に座らせ、下から激しく腰を突き入れ始めました。

傘張った肉茎が、妻の媚泥を無理矢理押し広げ、濡れた膣壁を削っていきます。

「やっ、いっ・・・・・・ちゃう、あぅ・・・・・・う、うごか、ないでえっ・・・・・・!」

これまで自分で加減していた動きに嵐のような刺突が加わると、官能の波がにわかに高まって、一気に快感が押し広がっていくのでしょう。

朝岡が猶も激しく突き上げると、その刺突を避けるように腰を浮き上がらせますが、否が応でも噴き上がってくる愉悦から逃れることができないことがわかると、撓るように体を後ろに仰け反らせていきました。

【限りない悦び】

そのうち、朝岡は、ぐったりと後ろに倒れ込んだ妻の両脚を自分の肩に乗せると、妻の体を∠の字のように押し曲げ、覆い被さっていきました。

私は、ごく間近で二人の交わりを見ているので・・・・

朝岡の肩に両脚を預け、太腿が自分の乳房に密着するほどに身体を押し曲げられた妻の淫部がよく見えます。

「きゃあぁ・・・・・・!あっ、あ、深すぎ・・・ああっ・・・・・・す、すっごい・・・っ・・・」

ただでさえ大きなものが、体を屈曲することによって、一層きつさを実感させられるのか、妻の口から悲鳴があがります。

朝岡は、淫孔から膣奥目指して、大きなストロークでゆっくりと肉茎を落としていきます。

「奥さん、すごいですね。ほとんど入っちゃってるの、わかるでしょ?」

「あぁぁ~っ・・・・・・も、もう無理よ・・・ああぁ・・・・・・無理だわ・・・」

朝岡は、これ以上限界というところまで押し込むと、ゆっくりと動き始めました。

苦悶する妻の貌をながめて満足しているのでしょうか、抉り込むように媚肉を蹂躙していきます。

「いやぁ・・・・・・あ、あぁ・・・お・・・おぉっきすぎる」

朝岡は、妻の悲鳴を無視するかのように、更にぐいぐいと肉茎を押し込んでいきます。

両脚を屈曲させられ、淫らに開いた女陰・・・・・・その上に覆いかぶさる男の股間・・・

硬く引き締まった睾丸に連なる勃起が、欲情を込めて女陰に突き込まれていきます。

二人の息遣いまでもが聞こえる至近距離から、愛する妻が、男が惚れ惚れするような剛茎で貫かれる様を目にする生々しさ・・・

もう、完全に、妻の不貞や自分の因業を煩う理性なんてものは麻痺してしまって、

(ああぁ・・・・・・そんなに大きいものを、すべて受け入れてしまって・・・・そのうち、気が遠くなるほどの気持ちよさが押し寄せてくるはずだから、その快感におまえが身悶えする姿を見せてくれ。)

と、願わずにはおれません。

朝岡が、肉棒を抜き差しする度に、きつく密着するかのように“ひだ”が絡んできて・・・・

突き込まれてずるっと引き込まれた淫肉が、抜かれる時は粘着性を持ってめくれ上がっていきます。

「あぁっ・・・・・・気持ちいい・・・・・・はぁぁ・・・イッちゃいそう・・・・・・いいっ・・・・・・!」

険悪とも思える眉根の“しわ”・・・・

短く切ない喘ぎとうっとりとした瞑目・・・・

こんな風に、ゆっくり引き抜き、間髪をいれず打ち込まれるリズムが一番感じるのでしょうか、妻の口元が次第に半開きになってきて、熱い吐息が洩れ出てきます。

「さぁ、奥さん、随分とヨクなってきたようですから、挿っているところを、あなたの手で確かめてみませんか?」

「あぁっ・・・・・・そんなこと言われても、苦しすぎて~・・・」

もう、妻の心の中には朝岡の申し出を拒むためらいはないのでしょう。

「うん~ん・・・どこ・・・・・・?」

覚悟を決めたように、下腹部を伝ってその手を股間の下にもっていく・・・・

「小野さん、ついでですから、奥さんのもう片方の手を握ってあげてはどうですか?」

私は、こんな言葉を言われるまでもなく、官能の波に身を任せ、男に言われたことを素直に行おうとする妻への愛しさがつのってきて・・・妻の手を握り締めます。

「はあぁっ・・・・・・んくぅ~・・・・・・おっ、おっきい~っ・・・・・・奥まで入ってる~っ・・・・・・!」

「そうか、俺のものより、数倍気持ちいいんだろ?」

「うん・・・・・・ごめんね。すごくイイ・・・・・・ああっ・、あなた、そんなに見ないでぇ・・・」

妻の手が、ひと際強く、私の手を握り返します。

交わりのホットスポットを、アップで目にする興奮・・・

窮屈に折り曲げられている体の狭間を通って、やっと指先を届かせた女陰に男の茎が緩やかに抜き差しされていて、その抽送を確かめるように、妻の手が股間を這います。

(こんな窮屈な姿勢で、他の男のものを受け入れている最中に・・・夫の手の温もりまで感じるのだから・・・・魔性の感覚が作用して、妻の体は悦びの慄気まで感じているのだろう。そのうち、この勃起の管を通って、私のものより数倍たくましい遺伝子をもった精液が、膣奥に注ぎ込まれてしまうのだ・・・・・)

こんな生々しい光景を目にしていると流石に、男たちの欲望のおもむくまま、官能に身を任せている妻が可愛そうになってきます。

「さぁ、朝岡さんも、もうそろそろだろうから・・・お願いして、フィニッシュを迎えろよ。」

朝岡を見上げる妻の瞳がうっとりとしている。

私が手を除けると、朝岡の上体が、妻の両脚をさらに深く折り曲げるように前のめりに傾き、その律動に力がこもっていく。

「あぁぁっ・・・・・・いやあぁ・・・・・・!イクっ、イクっ・・・・・・はぁぁ・・・イッちゃぅっ・・・・・・!」

声を上げると、今まで篭っていた快感が一気に高まってくるのか、妻は今まで押さえ込んでいた分の快感を声で表す。

もう、媚肉は、あれほどに長大な男のものに馴染みきって、抜き差しされる度に愛液を溢れさせている。

このように、媚肉の中を鋭く抉るように犯され、屈辱と快感に塗れながら身悶えしている妻・・・

圧倒的な存在感を発揮する男根にくらくらしながら、身体の芯まで犯されているような気分になっているのだろう。

「ああぁ・・・・・・朝岡さん、お願い・・・もう、出してぇ~・・・・・・!」

「でも、こんな窮屈な姿勢では奥さんも辛いでしょうから、もっと、楽な姿勢にしてあげますよ。」

妻の期待に反して、朝岡は許してくれなかった。

妻を解き放つと、交わりの始めのときと同じような姿勢になって、股間に勃起を突き入れていった。

今までとは違って、膣内をゆるやかに収縮させることが可能な体位になって・・・・

そのまま終わるはずの行為が新たに再開されると、妻は悲鳴を上げた。

「ああっ、こんな・・・こんなことって・・・・・・ああ・、いやぁぁ・・・・・・もういっちゃってるのにーっ・・・・・・」

朝岡の肉棒が、妻の意識を根こそぎ持って行くような激しさで突き込まれ、妻を喜悦の淵へ引きずり込んでいきます。

(おまえの手には、先程触れた私の手指の感触が残っているはずなのに・・・)

どんなに「いけない」と思っていても、圧倒的な快感の前には、僅かばかりの背徳の意識なんて吹き飛んでしまって、女体が求める淫欲に、完全に席巻されてしまっていることがわかります。

こんな狂おしい妻の姿を見ていると、今にも朝岡に・・・

『朝岡さん、ゴムを外してやってください』と言いだしそうで、そんな自分を懸命に抑えます。

(あぁ・・・・・・もうすぐ妻は朝岡の射精を深奥に浴びて、悦びに震えるんだ・・・・・)

男の責めを受け続け、絶頂に追いやられてしまったのか、妻が背筋をぐぐっと弓なりに反り返らせ、つま先を強張らせていきます。

「やっ、ああっ・・・・・・いっ、いいっ・・・・・・あぁぁ・・・・・・!」

妻がイッていることを身体で察知した朝岡は、女体の最深部にペニスを送り、更に激しく腰を前後に振っていきます。

そんな荒々しい抽送を受けると、妻の意識は喜悦の余り朦朧として、今にも消し飛んでしまいそうに見えますが、荒々しく媚肉に打ち込まれる巨根の威力にまた覚醒させられるのでしょう。

「うんっ!、うっ、う・・・・・・んっ、あうっ・、ううぅ~ん・・・・・・!」

官能を訴える声が頻繁にその口から溢れ出し、射精を促すかのように、しなやかな脚を朝岡に絡みつけていきます。

「はぁ、はぁっ、奥さん、よくここまでもちましたね。私も、もう限界です。今すぐ、熱いのを出しますから・」

「あぁぁ・・・もう・・・・・・きて、きてぇ、そこにいっぱい出してぇ~・・・・・・!」

妻は射精してほしい場所を、正確に朝岡に伝えた。

今この瞬間、妻は例え如何なることを強いられたとしても、それに抗ったりはしないでしょう。

心の底から男の射精を欲しているのです。

「思いっきり出しますよ、奥さん。うう~っ・・・・・・でっ、出る・・・・・・!」

朝岡が、さらに十数回、ひと際激しく腰を突き入れると・・・・

その刹那、妻の裸身はぐぐっと弓なりに反り返り、喜悦の叫びが喉奥から絞り出されるように噴走った。

「ひぃっ、ああぁっ・・・・・・いっ、いくっ・・・・・・また、イッちゃうーっ・・・・・・!」

茎の裏筋が特有の縮動を繰り返しているのを見ていると、男の精が膣奥まで送り込まれていくのがわかります。

根元まで埋まって。

じっとその動きを止める男根・・・・・・

(あ・・・・・・ぁ、理香・・・・・・おまえはその奥に男のすべてを受け入れたのか?・・・・・)

時が止まったような沈黙の時が訪れると・・・私の思いが、埋もれているものの先にまで飛んでいって・・・・

白濁の精に満たされた内奥のことまで思い描いてしまいます。

(あぁぁ・・・・・・この息詰まるような無呼吸状態で、なおも朝岡がじっと繋がったまま動かないでいるのは、最後に残った精の一滴まで、妻の体に送り込もうとしているのか。それとも、男だけに与えられた・・・股間の持ち物が蕩けてしまうような媚肉の味わい・・・その極致感を堪能しているのか・・・そして、理香・・・・・・おまえにしても、その熱い奔走りを身に受けて、内奥を精液で満たされた絶妙の感覚に酔いしれているんだろ?)

そのうち、妻の体腔深く幾度も吐射を繰り返した勃起が、秘裂からずるりと抜け落ちると、貫きの後も生々しい愉悦の痕跡が顕わになってきて・・・そこから白濁の精が零れ落ちてこないことだけが心残りです。

そのうち妻は総身の力を使い果たしたのでしょうか、「はあぁ~っ・」と大きなため息を吐き、ぐったりとなっていきました。

二人は、交わりを終えた後も、固まったように愉悦の余韻に浸っています。

(なんだか訳がわからないうちに、膣奥がジワ~ッと温かくなってきて・・・その感覚が体中に広がっていくひと時をこの上なく幸せに思っているのだろう。)

ベッドに身を横たえ、気怠そうに退廃的な美しさを漂わせる妻・・・

あまりの心地よさに意識が霞んでしまって、限りない悦びを与えてくれた男とこのままずっとくっついていたいと思っているに違いありません。

私は、そんなうっとりとした妻の顔を見ながら、心の底から満足していました。

妻が他人の貫きを受けて官能の虜になり、そして、完膚なきまでに他人のものにされた事実を心で噛みしめながら・・・

【他人妻の憂い】

やがて、沈黙の時が過ぎ去り、めくるめく興奮が冷めてくると、それぞれが自分の立場に戻っていきます。

「奥さん、貴女の裸が今も眩しいんですが、こんなに感じてくれて・・・・・・本当に、男冥利に尽きます。それに、小野さん、こんな機会を私に与えてくださってありがとうございました。おかげさまで、十分すぎるほど愉しませていただきました。」

「いや、お礼を言わなければならないのは、私の方です。妻を、心から可愛がっていただいて・・・どうです?よろしければ、このまま、一緒に泊っていかれませんか?」

「いや、いや、流石にそれはできませんよ。ご主人が傍にいらっしゃるのですから・・・それに、奥様もそんなことは望んでいないでしょうし、初めから決めていました。このまま、部屋に引き取らせていただくって・」

「理香、朝岡さんが、そう言っておられるのだけど、せめて、朝岡さんの部屋までお送りしたら・・・・?」

めくるめくひと時が過ぎてしまうと、また、いつもと同じ夫と二人きりの生活が待っていることを感じるのでしょうか、妻は素早くショーツを身につけながら、本来の人妻に立ち戻って答えます。

「はしたない姿をお見せしてしまいました。でも、いっぱい愛してくださって・・・・・・嬉しかったです。」

「私もこの日が来るのが待ち遠しかったのですが、今日は念願が叶って最高でした。」

「わたしもあなたにお会いして、一夜を過ごさせていただきましたこと、記念にとっておきますわ。」

「奥さん、誤解しないで聞いていただきたいんですけど、今夜は素敵だったですよ。」

「うふっ、本当にもう、自分にびっくりしてしまいました。わたし、主人の前であんなこと、できるなんて・・・」

「ご主人が傍にいたからこそ、そんな風になれたのかも知れませんよ。」

「本当に、二人そろってお世話になりました。」

「まぁ、朝岡さん、妻とも仲良くなれたのですし・・・これに懲りずに、今まで通り普段着のおつき合いをお願いしますよ。」

身支度を整えた朝岡を、妻が送っていきましたが、部屋に戻るまでの時間が随分と長いように思えます。

この後、妻が戻ってくると、二人っきりになって、重苦しいひと時を共有することになるのはわかりきっています。

妻が射精を浴びて、交わりが終わったその当座こそは、うっとりとした妻の表情に心の底から満足していたのですが・・・・

狂おしいひと時が過ぎてしまえば・・・・・・私の心の中に劣情の陰りが兆してきて、それが言いようのないわだかまりとなって心の中に沈み込むのです。

こんな風に一人になってみると、数ケ月前、妻を男が待ち受けている部屋へ貸し出した翌朝のことを思い出します。

胸が震えるような嫉妬、疑念・・・猜疑を押し殺しながら、戸口に現れた妻に会った時の胸苦しさ・・・

その後、二十分近く経ってから、妻が部屋に帰ってきました。

部屋の戸口で、簡単なあいさつを交わしただけなら、それだけの時がかかるはずがありません。

朝岡の部屋の中に入ったことは容易に想像がつくのですが、私の求めに応えてくれた妻に対して、それを問い詰めたりすることはできません。

妻はベッドの脇に腰掛けると、肩を落としたまま口を閉ざしました。

何かを言いたいはずなのに、ぴったりした言葉が見つからないのでしょう。

重苦しい雰囲気の中で、以前の二人に戻れる糸口になりそうな言葉を探しているのでしょう。

「理香・・・そんなに思いつめなくていいよ。ありがとう・・・俺の身勝手な願いを受け入れてくれて・・・」

短すぎる言葉ですが、私への愛ゆえに他人に体を開いた妻に対する愛おしさを表すには・・・・

そして、妻にこのようなことを強いた私の罪を償うには・・・・・・そんな言葉しか思い浮かんでこなかったのです。

「随分と、疲れただろ・・・今夜はこのまま、傍にいてあげるから・」

私はそう言うと、横寝になって妻の体を抱き寄せました。

私の目に恥態を晒しながら、男が望むままに抱かれた妻がとても愛おしく思え・・・

彼女が満ち足りた時を過ごしたことが、自分の喜びのように思えたのです。

「おまえが朝岡さんを見送っていって、一人になってからずっと想っていたんだ。また、いつか、朝岡と、今夜と同じような日を迎えるかもしれないって・・・・・・もちろん、おまえの気持ち次第だけど」

「わたしの姿・・・どんな風にあなたの目に映ったの?」

「とても淫らで、よかったよ」

彼女は気恥ずかしそうに、やっと口元に小さな笑みを浮かべました。

「これからもまた・・・こんな夜があってもいいか?」

「わたし達の“約束通り”ってこと・・・?ねえ・・・あの時、わたしの手を握りながら辛くなかった?」

「もう、頭が痺れてしまって・・・あんな嬌態を見ると、嫉妬を通り越して、辛いなんて気持ちはとっくになくなっていたよ。俺が傍に居たからなお更かもしれないけど・・・おまえも凄く感じていたんじゃない?」

「うん・・・感じたよ、とっても・・・頭が真っ白になるほど・」

妻ははにかむように小さな声で呟いた。

「理香・・・それで、今後のことだけど・・・これからも俺の望みを受け入れてほしいんだ。今まで以上に、もっともっと愛するから・・・」

「うふっ、先程聞いた言葉と同じね。」

「先ほどって、朝岡を見送っていったときか?」

「そうよ・・・・・・お部屋に入って、ちょっとだけ話をしたの」

「それで、朝岡は何て言ったんだ?」

「あなたのことよ。『いくら、ご主人が持ちかけたとしても、これからもずっとその願いを受け入れていくつもりですか』って、訊かれたとき、辛かったわ。」

「そうか」

(妙に、親切心がある奴だからな。でも、いくら、一夜を共にしたといっても、“人妻”であることはわかっているはずなのに・・・これからも、妻との逢瀬を望んでいるのかもしれない。)

「朝岡も、おまえとあんな風に過ごして・・・他人の妻は“蜜の味”って言うからな。興奮しすぎたのさ。」

「そんなことない・・・人妻に戻ったわたしに、気がつかないような男性じゃないわ。ベッドでも、色々と気を遣ってくれて、優しかったし」

「それで、そんなこと訊かれて、おまえは何て答えたんだ?」

「だって、わたし、“人妻”ですから・・・・・・今後のことは、主人次第です、って答えたわ。」

「わざわざ、そんなことまで言わなくてもいいのに」

「だって、あんな風にストレートに尋ねられると・・・その問いかけに正直に答えてあげなきゃいけないって、あの時本当にそう思ったの。」

(まぁ、仕様がないか。妻にしたって、部屋の中でもっと話したかったこともあっただろうし、朝岡に言えないこともあったはずだ。)

「それで、これからのこと・・・本当に“俺次第”でいいんだな。」

「だって、最初の“約束”がそうだったでしょ?でも、何となく、朝岡さんを忘れられなくなりそう」

妻は思い悩むように、顏を伏せた。

この後、私たちは、そのまま朝を迎えた。

精力の衰えのせいもあるでしょうが、私が欲しかったのは妻との交わりではなく、

寝物語の中で、妻の心の揺れを楽しみながら、私への愛を確かめたかったのかもしれません。

しかしながら、妻の悦びを自分のものとして満足できたはずなのに、何となく・・・・

言いようのないわだかまりが、心の底に淀んでいることに気づく私でした。

【おわりに】

このように、妻を他の男性に抱かせて・・・狂おしい悦びに身をよじる妻の姿を眺めながら、たまらない興奮を覚える私・・・・

ひょっとして、私は「セックス依存症」なのかもしれません。

ウィキペデアによると、「セックス依存症」について、次のように書かれています。

○性的な興奮や刺激に溺れることが習慣化し、徐々に自己コントロールを失っていく。

○次第に、現在のことでは飽き足らず、もっと過激なことを求めていく。

妻が私の求めに応えてくれて、満足して終われるはずなのに・・・・

それでいて、“わだかまり”を含んだ胸の内なんて、その説明通り、『自己コントロールを失っている』としか言いようがありません。

妻と男との交わりを生で目にする嫉妬と興奮・・・・

その裏には、計り知れないほどの妻に対する愛おしさがあるのは確かなのですが・・・・

同時にまた、重なり合う二人を見ると、大変な喪失感を覚えてしまうのです。

朝岡が妻の中で果てた瞬間・・・・・・恍惚の悦びに喘ぐ妻の表情を見ていると、何だか、とても大切なものを失ったような気がしました。

この喪失感は多分・・・妻の心と体が、私以外の男と完全に一つになってしまったことを知りながら、

以前と変わらぬ愛おしさで妻を愛し続けていくことの苦しさにつながっているのでしょう。

このような喪失感や苦しさが、妻に対する“わだかまり”となって私の心に陰を落とすのです。

そして、この“わだかまり”は、妻に対する所有意識と言うか、強い執着があるからこそ湧いてくることも、自分でよくわかっているのです。

このように、妻と他人との交わりが始まる前までは焦燥に苛まれ、いざ、そのことが始まってしまうと、妻に対する嫉妬と興奮に溺れてしまう。

そして、そのことが終わると、“わだかまり”と“不安”を覚えながらも、また、その続きを求めてしまう私です。

北潟ホテル
【はじめに】

私の名前は小野まさお、妻は理香。年齢の方は40代の半ば過ぎ・・・

職業は専門分野こそ異なるものの、お互い、公務員であることは共通しています。

季節は、三月の終わり・・・

根雪におさえられていた土の下からふきのとうが芽を吹き、外の世界が生気に満ち溢れてくると、私も何やら、浮き浮きした気分になってきます。

ちょうど、一年ほど前・・・今までよりも更に強い刺激を求めて、妻を、男が待ち受けている所へ一人で送り出し、その夜、胸が押し潰されるほどの妻への愛おしさ、まんじりともできない寝苦しさを味わいましたが、その時の興奮が忘れられず、今回再び、妻を他人に差し出すことにしました。

あり様を言えば、今回は私が計画した訳ではなくて、男から誘われるままに、妻を送り出すような羽目になったのです。

このようなことを続けていると、偶発的要因によって、成行きに任せせざるを得ないようなことも起きてきます。

私がこの文章を書き始めたのは、ちょうど、妻へのメールがあってしばらく経った頃・・・

お相手は、この前、抱かれたばかりの男性。

その男性と、“最高のセックス”を愉しみたいと願う妻・・・

意中の男性と二人きりで過ごした一夜の様子を、妻との寝物語風にお話します。

【届いたメール】

私の場合は、妻が他の男に抱かれながら、夫の目を憚らず、身悶えする姿を見てみたいという欲望が、ある一定の周期をもって訪れるのです。

つまり、私の願いが叶って、妻に対する愛おしさに胸がいっぱいになるような瞬間・・・

私にとって至福のひと時が過ぎ去ると、しばらくの間、妄想は影を潜めるのですが、

またそのうち、以前にも増した強い欲望が兆してくるのです。

こんなこと、表立って妻に尋ねてみたことはありませんし、妻の方から私に打ち明けてきたこともないのでよくわかりませんが、

この前、妻が言った言葉・・・・・・

「わたしだって、女だもん。時にはそんな場面を思い浮かべることはあるわ」

この言葉を額面通り受け取れば、一度、禁断の世界に足を踏み入れてしまったからだと思いますが、妻も、私以外の男と再び・・・

胸が震えるような体験をしてみたいと願うことがあるのでしょう。

こんなことを思っていると、妻が言った言葉が自然に思い浮かんできます。

「今後のことは、あなた次第よ」

この言葉には、私に対する揺るぎない信頼と愛情・・・・・・そして、同じようなことを何度か経験したせいでしょうか、私の許しさえあれば、他人に体を開くことを厭わないという積極性さえ込められているように思えます。

(多分、妻が、理性でもって努めてそのことから遠ざかろうとしても、あの時の身が熔けるような甘美さが、体の奥深くに刻まれているにちがいない。そして、再び身を焦がすような体験をしてみたいと密かに願っているのかもしれない・・)

しかしながら、そんなことは、余り疑心暗鬼になって深く考え込まない方がいいのでしょう。

いくら夫婦と言っても、窺い知ることができない部分、互いに立ち入ることを控えるような部分があっても当然なのですから・・・

いつもと変わらぬ単調な日常生活・・・・・・ある日、夕食を終えてくつろいでいる私の傍に、湯あがり姿の妻がやってきて話しかけます。

「ねぇ、あなた・・・朝岡さんに、わたしのメアド教えたの?」

「う、う・・・ん、この前、訊かれてね。別に、彼だったら構わないだろ?」

「昨日、メールがあって・・・・・・突然のことで、びっくりしたわ」

「それで・・・何て、言ってきたんだ?」

「一度、二人だけでゆっくりできる時間をもらえませんか?って・・・」

(この前、ジムで、『もし、小野さんさえよろしければ、もう一度、奥さまに逢わせていただけませんか?』と、お願いされたのだが、早速、それを実行したのか?私に妻のメアドを尋ねるってことは、携帯の番号を知らせていない証拠だ。それに、自分の想いを相手に伝えるのは、携帯よりメールの方が好便なことも多い。あれから大分日が経つので、あの時のお礼ではないと思うが、妻にもう一度、逢ってみたいのだろう・・)

逢った後でどうするのか、その時は、余り深く考えずにメアドを教えただが、改まって、妻からこんなことを聞かされると、話の続きを訊かずにはおれません。

「律儀な奴だからな。おまえにメールしてもいいかどうか、前もって俺に断ってきたよ。それで、メールの内容はそれだけ・・・?」

「う~ん?はじめの方は、わたしに変わりがないかって・・・

それから、できれば聞き届けてほしいという願い付きで、待ち合わせの時間と場所・・・

それに、『あなたによろしく』って、結んであったわ」

「あの時のお礼も、言ってきたのか?」

「そんな訳ないでしょ?あなたも、誰かさんにメールするとしたら、そんなこと言う?」

「そうだな。それで、その待ち合わせの日と場所は?」

「わたしの都合がいい日に、駅前の駐車場で逢いたいって・・・」

「それで、おまえは、どうするつもりなんだ?」

「どうするって・・・・?やっぱり、行かなきゃ悪いと思うけど・・・・・・それを決めるのはあなたでしょ?」

「それは、そうだけど、俺にとっても突然の話で」

妻に送られてきた一通のメール・・・

『今後のことは、あなた次第よ』

すべてを私に委ねてくれた妻の心中を察すると、私が主体的にそのことを決めなければいけません。

私は、じっと考え込み、頭を巡らします。

「やっぱり、行かなきゃ悪いでしょ?」という妻の言葉には、朝岡に寄せる想いの程が込められているように思える。

私の方は、仮に、妻が再び朝岡に抱かれることになっても・・・

そのこと自体は、私がそうなっても構わないと思っていることで、別に異論はない。

食事の後、朝岡は、妻をホテルに連れて行く。もう、一度関係しているので、妻は当然のように従いていくだろう。

ホテルに行けば、私が居ない部屋で、男女の関係をもつことはわかりきっている。

まさか、妻にしても、何も起こらないとは思っていないだろう。

私が返事を躊躇っているのは、その場に私がいないということだけなのだ。

(この次、妻が他の男と交わる時は、避妊具なしで・・・そして、愛おしい女が凌辱され、完全に他人のものにされた証・・・・その秘口から、白い欲望の精が滴り落ちるところを見てみたい。)

あれほど願ってやまなかったことが、この運びでは叶えられそうもないことが、妻への返答を躊躇わせているのです。

「ねぇ、あなた、どうなの?朝岡さんと二人だけで逢っても、いい・・・・?」

「う・・・ん・・・・・・おまえさえよければ、別に・・・」

「でも、朝岡さんと二人きりになると・・・

何となく成行きで、最後まで行ってしまいそうな気もするけど、そうなっても、いいの?」

こんな妻の言葉を聞くと、一応私に確認をとってはいるものの、しっかり朝岡に抱かれる決心をしているように思える。

改めて念を押されると、また、迷いが生じてきて・・・妻への返事を躊躇らってしまいます。

妻が私の目が届かない場所で男と二人っきりになるのは、そんな先の話ではないのだ・・・と思うと、この前、妻を男が待ち構えている部屋へ送り出し、一人隣室で過ごした時の息苦しさを思い出します。

私が、「逢ってもいいけど、食事だけにしたら?」と言いさえすれば、賢い妻のことです。

お互いが楽しいひと時を過ごせるように気を配りながら、男女のことはやんわり扱って、何もしないで帰って来るでしょう。

でも、色々思い悩んだ末に、私の口から出た言葉は、

「もう、ひょっとしたらひょっと・・・・って間柄でもないだろ?そうなっても構わないから、彼の言う通りにしていいよ」

「ほんとに、そうなってもいいのね」

妻が、心なし弾むような口調で確かめる。

これも成行きである。私は思うように事が運ばなかったせいか、内心忸怩たる思いがあるが、ちょっぴり本音をつけ加えながら妻にエールをおくる。

「しっかり、朝岡に可愛がってもらっておいで。ほんとは、傍にいたいんだけど・・・」

「ごめんね。“二人だけで・・・・”って、書いてあるの。あなたも一緒に・・・なんて、言えないわ」

【春木立の庭園】

メールが届いた日から、一週間後、朝岡との約束の日を迎えます。

午後4時頃になってから、妻がお出かけの準備をし始めました。

これから、密かに想いを寄せる男性に逢って・・・

そして、その先にそうなってほしい展開が待ち受けていることに胸が高まっているのか、何だか、今日の妻は仕草が妙に艶を帯びて、色っぽく見えます。

いつもより濃い目の口紅も、予想していることが実際にあって欲しいと願う期待の表れなのかもしれません。

妻が、心を弾ませながらも、その胸の高まりを押さえて、努めて平静に振る舞っている姿を見ていると・・・

こちらも胸がどきどきしてきて、どうしても妻の顏にばかり目がいってしまいます。

「や~ね・・・・・・そんなに、わたしの顏ばかり見て・・・・・・大丈夫よ、ちゃんと帰ってくるから」

微笑みながら私に語りかける顏が、心なしか浮きうきしているように見える。

「あぁ・・・・・・家で待っているから、時間のことは気にしなくていいよ」

「どうする・・・・?遅くなりそうだったら、電話しよっか?」

「そんなことにまで、気を遣わなくていいよ。せっかくだから、思い切り愉しんできなよ」

出かけていく妻の車のエンジン音までもが、いつもより低目に聞こえ、何だか私に対する妻の気遣いのように思えます。

夜10時になって、待ち合わせの時間から5時間が経っているが、まだ、妻は帰ってこない。

妻を見送って一人になると、心にぽっかりと穴が開いたような気分になって、無性に淋しくなってきます。

このような然るべき時間になると、朝岡と同じ時間を過ごしている妻の姿があれこれと思い浮かんできて・・・・

考えるのは妻のことばかり・・・・・・何をしても気がそぞろになります。

『ちゃんと、帰ってくるわ』、『遅くなりそうだったら電話しようか?』という妻の言葉から察すると、自宅へ帰ってくることは間違いないだろうが、それが何時なのか?

何度も二階へ行って、窓から下を眺めてみるが、ガレージのシャッターが上がるような気配がない。

胸の焦燥を抑えるために、グラスを手にする回数が増えてくると、アルコールが効いてきて・・・

麻痺したような頭で物思いにふけっていると、酔いも手伝ってこれまでの狂おしい場面が蘇ってきます。

(あぁ・・・・・・今頃は、朝岡と一緒に風呂へ入り、その肢体を惜しげなく晒しているのか?白い乳房を男の胸に押し付けながら、その先を求めるように男の背中を抱きしめているのだろうか?いや、もう既に、待ち望んでいたことが始まっていて・・・

潤んだところに、欲しかったものを受け入れているのかもしれない。)

こんなことを想うと、すべての“束縛”から解放されて、女としての悦びに身を任せる妻の姿が思い浮かんできて・・・・

納得して送り出したはずなんだと自分に言い聞かせてみても、自分一人だけ取り残されたような気がして、止めておけばよかったと後悔に似たような気持ちが湧いてきます。

悶々とした時間が過ぎて、夜の11時頃、シャッターが上がる音がした。

飛んで行って、すぐに妻を迎えたい衝動に駆られるが、わざと平静を装い、TVを見ているふりをする。

やがて、階段を上がって来る音がして、妻が部屋のドアを開ける。

「ただ今・・・・・・帰ったわ」

「おぉ、お帰り・・・思ったより早かったじゃないか?もう、ちょっと遅くなると思っていたけど・・・」

顔を見てほっとした気持ちと、長い間待たされた腹立たしさ・・・

すぐにでも抱きしめたい気持ちですが、努めて平然と振る舞う私。

一時も早く、核心部分を尋ねたい気持ちは山々ですが、こんな時、最初にどんな言葉を投げかければいいのか困ってしまいます。

ほんのりと妻の顏が赤みをおびているところを見ると、お酒を飲んできたことは間違いありません。

「何だか、ご機嫌のようだけど・・・まさか、運転してきたんじゃないだろな?」

「大丈夫よ。お店から代行で来たから・・・」

「“お愉しみ”の後の酒の味は、いつにも増しておいしかっただろ?」

「ワインをいただいたの。少し、酔っぱらっちゃった・・・ねえ、ねぇ、ちょっとすごいと思わない?ボルドーの年季ものよ」

「朝岡の“年季もの”も、よかったんだろう?」

「う・・・・・・ん、せっかちねちょっと待って・・・・・・あのね、何もなかったの」

途端に、張り詰めていた糸がぷっつり切れたような気分になって・・・・・・同時に、妻に対する疑念が湧いてきます。

「待ち合わせた時間から6時間も経っているんだ。その間、何もなかったってことはないだろ?」

「だって、ここから待ち合わせの場所まで、往復2時間はかかるわ。朝岡さんと一緒にいたのは4時間ぐらいよ」

「そりゃ、それくらい離れた所でないと、他人目につくからな。・・・・で、どんなデートコースだったんだ?」

「最初に、美術館に行ってから、養浩館の庭園を回ったの。回廊から、ふくらみ始めた木の芽を見ていると、やっぱり来てよかったと思ったわ」

「“歴史の庭”の散策か?それから・・・?」

「それから、お食事をして、スナックに寄って来た・・・それだけよ」

妻が、嘘が上手じゃないことは、私がよくわかっています。

時々、こちらがびっくりするような聡い目で本質を見抜くことがあるのですが、そのような鋭い感覚の持ち主は、返って、自分の胸のうちを隠しておくことが下手なのかもしれません。

「朝岡に、一夜を共にしようって、言い寄られたんじゃなかったのか?」

「言い寄られたのは本当だけど、最後まで求めてこなかったの」

「じゃ、何のために、呼び出したんだ?おまえも、あいつの胸の内を計りかねただろうに・・・」

「一言で言うと、わたしの気持ちを確かめたかったみたい・・・“お泉水”を見ながら一休みしている時に、言われたわ。『小野さんが了承されるかどうかわかりませんが、もし、ご主人のお許しを得られたら、また、逢っていただけますか?』って・・・」

「まさか、他の観光客がいる前で、そんな話をしたんじゃないだろうな」

「大丈夫よ。あそこ、たたみ二畳ほどの狭い場所があるでしょ。御台子って言うんだけど、そこで話したの」

「そうか?それで、おまえも、自分の胸の内は伝えたんだろ?」

「伝えたわ。もし朝岡さんがお望みなら、朝までずっと一緒にいてあげてもいいって・・・」

「そんな風に言われたら、男だったら誰でも、『じゃ、この後、一緒に・・・』って具合になるはずだけど、ホテルへは行かなかったのか?」

「朝岡さん、ぶきっちょなのかなぁ?ちょっと、固いの・・・『いくら私でも、前もって、ご主人の許しを得てもいないのに、たった今貴女の気持ちを聞いたからといって、すぐにホテルへ行く訳にはいきません』ですって・・・あなたに、気を遣ったみたい」

「ふ~ん、なかなかの奴だな。そこまで、気を遣うなんて・・・それじゃ、本音を打ち明けたのに、そんな風にあしらわれたらがっかりしただろう?」

「それは、やっぱりね・・・・・・だって、朝岡さんの顔がすぐ傍にあるんだもん。一緒にいるうちに、この前のことが思い出されてきて・・・『わたしのこと、本当はそれほどでもなかったのかな・・・?』って、思ったわ」

「そんなこと、ないさ。メールまで送ってくるほどだから・・・今日のところは我慢して、楽しみを先に延ばしたんだ。おまえも、その時のことを想うと胸がどきどきしてくるだろ?」

「う・・・ん、まぁね・・・」

「それで、もちろん、この次の約束はしたんだろ?」

「したわ。『三度目の出会いでのセックスが最高だから、その時はね』って・・・それに、そのことをあなたにはっきり言って、許しを得てほしいとも言われたわ」

「おまえもそんな言葉を聞いたら、朝岡の手を引いて、すぐさまホテルへ行きたい気分になっただろう?」

「え~ぇ?そんなことまでは言えないわ。女心の微妙なところはそっとしておくものじゃない?」

「俺に、そんな言葉を聞かせておいて、“だんまり”はないだろう?」

「う~ん・・・本当言うとね・・・・・・『この次逢った時、どんなことされちゃうのかしら?』って、何だか胸がどきどきしてきたわ・・・」

(そうか、頭じゃなくて、おまえの体が熱くなるのはこの次か・・・・・)

妻が言った言葉からその時のことを思い浮かべると、私の胸の中にちょっぴり嫉妬を含んだ大きな期待がふくらみます。

その後、妻はワインを飲みながら次回の約束を交わしたこと、スナックでデュエットを楽しんだことなどを語ってくれた。

それらのことはどうでもよかったが、終わりの方で妻が言った、

「朝岡さんて素敵な方よ。色々、気を遣ってくれて・・・夕方になって冷え込んで来たら、『寒くないか?』って、コートを肩にかけてくれたわ」

「とってもさわやかな感じだし、話題やしぐさに嫌味がなくて、女性を大切にしている感じがするもの」

二つの言葉に、不快感を覚える。

妻が帰ってくるまで、胸苦しさを抑えるためにいつもより濃い目の水割りを飲んでいたが、喉に引っかかる言葉を聞いた私は、更に二杯をあおって寝た。

【最後の一線】

この日から数日後、夕食を済ませた私はスポーツジムに出かけ、朝岡と話します。

「朝岡さん、この前は妻が色々お世話になりまして・・・でも、何だかがっかりして帰ってきたようですよ」

「え~っ、そうですか?コロコロ笑っていて、そんな風には見えなかったんですけど・・・・ちょっと、悪いことをしたかな?」

「それは、そうですよ。秘かに期待しているんじゃないかって思わなかったんですか?“女心”を読みとるのは苦手ですか?」

「そんな訳じゃ、ないんですけど・・・・・・本音を言いますと、『逢っていただけませんか?』って誘って、そのままホテルへ直行ってのは、余りにも自分が卑しいように思えて・・・素敵な女性と何もしないでずっとこのまま過ごしてみようって、いいカッコしたかったのが本音かもしれません」

「それに、私に対する遠慮もあったのでしょう?でも、“愉しみ”は、先に延ばしておく方がいいのかもしれませんね。私の方は、別に拒む理由もないですから、この次逢った時は思いっきり妻を悦ばせてやってください」

「小野さんから、そんな風にはっきり言われると、何だか“後ろめたさ”が消えてすっきりしました。その日になってみないとどうなるかはわかりませんが、二度もがっかりさせたくありませんから、私なりに奥様を愛させていただくつもりです」

この時から、数日経ってから朝岡との“約束の日”を迎えますが、

私はと言えば、余り早くからその時のことばかり想うと、神経をすり減らしてしまうことはわかりきっているので、

しばらくの間は、努めてその想いから遠ざかるようにしていました。

でも、“約束の日”が迫ってくると、何だかそわそわしてきて・・・・

思うのはそのことばかりです。

二人だけの部屋で、妻が、これまでに私から与えられたものとは比べ物にならないほどの悦びに悶えるのももうすぐだ・・・

程なくその時が訪れて・・・・・・火照った秘芯に、熱く滾ったものを導き入れてほしいと願う妻・・・

こんな場面を思い描くと、興奮してきて・・・・・・その息詰まるような胸苦しさに耐えられず、早くその日が訪れてほしいと思ってしまいます。

この胸の昂ぶりは、何だか、遠足や修学旅行を前に、期待に胸を弾ませている子どもの気持ちとちょっぴり似ているように思えますが、後ろめたさとそれを待つ時間の苦しさという意味では違っているようです。

悶々とした想いを、時が粛々と解決してくれます。

しばらく、靄々とした想いを引き摺っていましたが、ようやく、妻が“最高のセックス”をする日が明日に迫ってきました。

私はその夜、妻と臥所を共にしましたが、交わることは控えようと心に決めていました。

明日の夜・・・ベッドの上で、憔悴しきるほどに感じてしまうはずの妻のことを思えば、今夜は、寄り添うだけにしようと思ったのです。

(明日の夜・・・・・・男に体を委ねて、否が応でも体から噴きあがる悦びに疲労困憊するのは目に見えている。思う存分、性の悦びに浸るためには、今夜は余計なことはしない方がいいだろう。その代わり、帰ってきたら・・)

私たちは枕を並べながら、“夫婦の会話”に移ります。

「いよいよ、明日に迫ってきたな。ど~う、初夜を迎えるような心境か?」

「う・・・・・・ん、何だか胸がどきどきしていて・・・・・・眠れそうにないわ。あなたも一緒でしょ?」

「夫婦だからな・・・・・・それで、今夜は我慢した方がいいだろう。明日、帰ってきたら、うんと可愛がってあげるから」

「でもね、あなたがいない所で男の人と“二人っきり”になるの、まだ二度目でしょ?思いがけないことが起きたら・・・って思うと、ちょっと怖いわ」

こんな妻の言葉から心中を察すると、何だか、その“思いがけないこと”まで望んでいるように思えます。

彼女は、私と結婚して以来、ずっと貞淑な妻であり、この上ない人生の伴侶であり続けた。

それを、ある時、私が種を蒔いて、このような世界に引きずり込んでしまったのだ。

確かに、妻の体の中に、潜在的な“淫らさ”が棲んでいたのかもしれないが、今夜は明日のことを思い描きながら、想像以上のことまで経験してみたいと密かに願っているのかもしれない。

「この前、スポーツジムで・・・あいつと話したよ」

「えっ、どんな話?ねっ、どんなこと、話したの・・・・・・?」

「この前のデートの時、何も求めなかったのは、そのままずっとおまえと一緒に過ごしたかったんだそうだ。それに、明日のことだけど・・・あいつ、『どんな風になるかわからないが、思いっきり、おまえを愛する』って、言ってたよ」

「・・・」

「“ずっと、二人で過ごしたい”って想いは、俺たち、夫婦の感情に近いものだろ?あいつ、それほどおまえのこと、思っているんだ。体だけじゃなくて、心まで欲しいって」

「そ・・・・・・う、そんなこと、言ったの・・・それで、あなた・・・明日のことだけど、ずっとそのままホテルにいて、帰らなくてもいいの?」

「まぁ、そうするのが自然だと思うけど、それはおまえが決めることだな。普段、『悦びを求める女になりきってほしい』と言ってる俺が、そんなことまで指図する訳にはいかないからな」

しばらく会話が途切れて、妻はじっと考え込んでいる。

私には、妻の返答がどのようなものであるかよくわかる。

このようなことを始めて、もう、ここまで来てしまったのだ。

私がこの忌まわしい性癖に終止符を打たない限り、いや、例え、それが鎮まったとしても、二度と後戻りができないことも互いによくわかっている。

そして、妻は求めているのだ。

私との長年の夫婦生活で満ち足りなかったものを・・・

そして、まだ味わったことがないものを・・・

「あなた、ごめんね。もしかして、そうなるかもしれないけど・・・朝帰りになってもいい?」

「ああ、いいさ。“朝帰り”どころか、もっとゆっくりして、明日の夕方でもいいさ」

このような言葉が、すらすらと口から出てくる自分に驚いてしまいます。

本当は、一刻でも早く、我が家に帰ってきてほしいはずなのに・・・・

終日、ただひたすら悶々と・・・・・・妻の帰宅を待つ苦しさに耐えられそうもないこともわかっているのに・・・

このような“見栄っ張り”は、妻への愛おしさと執着心・・・・・・深く考えれば、妻に対する所有意識の結晶なのでしょう。

妻が私の願いに応えてくれて、求めている姿になればなるほど・・・嫉妬の“燃えカス”が心の底に溜まって・・・・

それが妻への“わだかまり”となって胸奥深くしまい込まれます。

すると、その想いが・・・真の想いとは全くかけ離れた、裏腹の言動となって表れるのです。

妻は私の分身なのであって・・・・・・こんな風に、最愛の妻を虐げることに喜びを覚える私は、自分自身をとことん甚振ってほしいと願う被虐願望の持ち主なのです。

「本当に、そうなってもいいの?これまで、一度もなかったことよ」

「ああ、構わないさ。それから、さっき、“思いがけないこと”って言ったけど、もし、朝岡が、ゴムなしでのセックスを求めてきたらどうする?」

「えぇっ、そんなことまで考えてるの?」

「おまえにも、その時の心積もりってものが必要じゃないのか?ちょっと言い難いけど、正直に言うよ。今度、おまえが抱かれる時は生で交わってほしいとずっと思っていたんだ。もし、おまえさえよければ、何もつけないでしても構わないよ」

「急にどうしたの?確かに、何もつけない方が感じるのは本当だけど、わたしの心の中では最後の一線なの」

「“最後の一線”って、俺に義理立てするつもりなら、そんなことは考えなくていいよ。俺が願っている姿になるには、朝岡のことを俺以上の存在に思うことが大事だろ?心まで満たされる悦びを得るには、“邪魔者”と“余計な物”はない方がいいんじゃないか?」

「そんなことして、あなた・・・それで、何が得られるの?」

「元々は、おまえのもっと生々しい姿を見てみたいという欲望から始まっているんだけど・・・・今回は一緒におれないから、おまえが〝生“で射精される姿を思い描きながら、極めつけの興奮を味わうよ」

「まぁ・・・・・・随分と自分勝手なのね・・・・・・それで、あなた、そんなことしたわたしを、これからもずっと愛し続けられるの?」

「多分・・・前にも増して、おまえのことが愛おしくなると思う。それに、おまえだって、たまには熱いものを直に受け止めたいと思うこともあるんだろ?」

「そんな風に、勝手に決めつけないで!わたしにだって、言い分はあるの・・・そんなことしたら箍が外れて、二人ともだめになってしまうわ。はっきり、言うけど、それだけはダメっ!」

「そうか・・・でも、朝岡は、そのことを受け入れてくれるかな?」

「優しい男性よ。そんなことを私に強いるような男性かどうかは、あなたが知っているでしょ?」

これまで、私はその想いを心に封印していたが、今夜始めて妻に打ち明けた。

全ての煩いや束縛から解放されて、思いっきり女の悦びに浸る妻・・・・

今夜、言葉でこそ、そのことを拒絶したものの、心の奥底はもっと時間をかけて細やかに語り合ってみないとわかりません。

今回は、妻の言い分を受け入れて、いつの日か、「いいわ。あなたが見ている前でなら・」というように事をつなげていくつもりです。

【北潟ホテル】

妻と朝岡との再度の出逢いは四月・・・

全国各地で桜が咲きほころんでいるものの、まだ花冷えがする頃です。

その夜、私が寝苦しいひと時を過ごしたのは、この前と同じ・・・

然るべき時間になって、長い間連れ添ってきた伴侶が肢体の全てを晒け出し、男の愛撫に身を委ねているのだと思うと、胸が重苦しくなってきます。

この前、南さんに抱かれた時・・・

あの時は、妻が私の傍から離れるといっても隣室だったので、そんなに私から遠ざかったような気はしなかったが、今回のように、自宅から遠く離れたところで・・・・・・そして、何をしているのかさえわからないような状況下では、焦燥と共に言いようのない不安がつのってきます。

(まさか、朝岡がついているのだから、そんなことはないだろうと思うが・・・朝もやの公園で、女性の変死体が発見された、なんて事態だけは願い下げだ・・)

悶々とした夜が過ぎ去り、朝、起きて、一人で食べる朝食の味気無さ・・・

昨夜の疲れを引き摺っているせいか、すべてが物憂くなってきて・・・何の気力も湧いてきません。

妻が帰って来たのは翌日の夕方・・・

昨日、朝岡と約束した待ち合わせの場所へ、うきうきと出かけて行った時とほぼ同じ時刻です。

ガラッと、玄関戸を開ける音がした。

私は気を病んでいたのを悟られないように、新聞を開きながら平静を装います。

妻はそんな私の心持ちなど、とっくに見透かしているのでしょう、いつもと変わらぬ様子で帰宅を告げます。

「ただ今・・・随分と遅くなって、ごめんなさい・・・」

妻と目を合わせた瞬間、私は感じた。

(明らかに、いつもとは違う。どことなく、昨日家を出た時の理香ではないような・・・・・)

顔が心持ち上気していて、満足そうな表情に見える。

私の目を直視しない。その瞳の中に憂いはないが、陰りが漂う。

さり気なく振る舞いながらも、意識的にそれらを悟られないようにしている。

無理もないだろう。私の許しを得たことは言え、再度の出逢いでこの前の分も合わせて愉しんできたのだから・・・

「お風呂がわいているから・・・・・・ゆっくり入ってきなよ」

胸に溢れる思いを押し殺しながら、妻に声をかけます。

「何だか、家に着いたら何だかホッとしたわ。せっかくだから、先に入らせてもらうね」

しばらくすると、カーテンドアを開ける音がして、さっぱりした様子の妻が私のところにやってきた。

「・・・で、どうだった?」

「う・・・・・・ん?その話、夜になってからじゃだめ?今から夕食の準備をしたいんだけど・・・長い間待たせたお詫びに、とびっきりおいしいの、つくってあげるね」

“とびっきり”・・・・・・?そんな言葉を聞くと、どうやらセックスの方も格別の味だったようです。

「まだ、そんな時間じゃないだろ?夕食は後でもいいから、まぁ座れよ」

「ちょっと待って、色々ありすぎて・・・」

妻が、台所へ行って冷蔵庫からビールを取り出し、グラスに注ぎながら、一つを私に手渡してくれる。

そして、自分のグラスに目を落している。

「約束だろ?ちゃんと話せよ。どこに泊まったんだ?」

「北潟湖の近くのホテルよ」

「随分と遠出したんだな。菖蒲が咲くのは、まだまだ先だろうが・・・・・・終日そこで、デートを楽しんでいたのか?」

「そうよ。ねっ、知ってる?サイクリングパークにある“おもしろ自転車”・・・あれに乗りながら、ハミングロードを周ったの。楽しかったわ」

そんなことは、どうでもいい・・・

私の問いかけをはぐらかしながら、話題を違う方向にもっていこうとする理香・・・

「いくら、おもしろくても、昼までずっと乗っている訳にもいかないだろ。それから、どうしたんだ?」

「それから、水辺でカヌー遊びをしたわ。朝岡さん、オールを扱うの、すごく上手なの」

「おまえも最近は、オールを扱うの、上手になってきたからな。それで、何回、したんだ?」

「そんな下品な言葉、使わないで。自分で想像してみたら・・・?」

「普通に考えると、3回ってとこかな?」

「大体、そんなところよ」

「それで、避妊のことだけど・・・おまえの願いは聞き入れてもらえたのか?」

「初めに『避妊のこと、どうします?』って、訊かれたわ」

「当然だろうな。それで、どうしたんだ?」

「あなたが言ったようにはしなかったわ。でも、『最高のセックスを愉しみましょう?』って言われた時、思ったの。そこまで言ってくださるんだから、あなたが願っている通り・・・余計なものをつけない方が、もっと悦び合えるんじゃないかって」

「それで、結果的に、ゴムなしだったのか?」

「う~ん、初めはそのまま・・・そして、終わりの方で着けてもらったの」

「そうか。そうやって、“生”の方が具合いいってことを確かめたんだな」

「どうして、そんなことまで言わなきゃいけないの?あなたも一度、女の体になってみるとわかるわ」

こんな風に言われると行き場のない鬱憤がつのってきて、目の前にある両手を引き寄せます。

「ん・・・も~ぅ・・・・・・今はいや。そんな気になれないの。

夜になるまで待って。ここまで待っててくれたんだから、今さら、どうってことないでしょ?」

思わず、夕食の準備に取り掛かかろうとするエプロン姿を、押し倒したい衝動に駆られますが、『思いっきり、愉しんできなよ』と妻に言った手前、その言葉に従わなければなりません。

【最高のセックス】

同じ布団の中に入っても、先程の気まずさの所為でしょうか、お互いがそれを意識し合って何となくぎこちないものがあります。

でも、互いに肌を寄せ合い、言葉を交わしているうちに、二人の距離感が徐々に縮まってくるのも事実です。

「それで、“最高のセックス”は愉しめたのか?」

「あなたには悪いんだけど、すっごく感じちゃった・・・・・・朝岡さんが言った通りだったわ」

その言葉を聞くと、朝岡と二人っきりで愛欲に耽る妻の淫らな姿が思い浮かんできて、下半身にたまらない疼きが走ります。

(この体を惜しげもなく男に与え、両脚を広げたのか。『この次逢った時、どんなことされちゃうのかしら?』なんて言っていたが、自己催眠にかかったようなもので、既に、待ち合わせの場所に出かけるときから感じているのだ。いざ、その時になったら、男に言われるままに何でもしただろう。ひょっとして、潤んだ秘部を両手で広げ、待ち遠しかったものをおねだりするくらいのことはやったのかもしれない・・・・・・そして、最後は、恍惚の表情で射精を受け入れたにちがいない。)

そうなっても構わないと自分が納得したこととはわかっているが、その証拠を確かめたくて、手が妻の秘部へいってしまう。

そして、淫裂を押し開く。

「そんなにここが、気持ちよかったのか?感じすぎてしまうほど・・・」

委細構わず、指腹が妻の花心へ滑り込むと、一瞬、妻が「あ・・・・・・っ」という小さな声を洩らす。

愛液で濡れていることを割り引いても、いつもと違う媚肉の感触・・・・・・ぬる~っと中指が滑るような濡れ具合・・・

学生時代に初めて経験した、あの時の指ざわりと同じだ。

その頃、私には同棲中の彼女がいて、浮気を確かめるために秘芯に指を挿れた時の感触・・・

(あ・・・ぁ・・・・・・間違いなく、男の抽送を数限りなく受け入れた体の味だ。)

そうなると、次に確かめたいのは、妻が言った通り、避妊具をつけてのセックスだったかどうか・・・

きっと、その場に自分がおれなかったことも関係しているのでしょう。

私の方から、『生のまま結ばれるのが自然だろ?』と妻に勧めておきながら、柔肌を抱きしめていると、その痕跡を確かめたくなってきます。

自分では、最後はゴムつきで・・・と言っているものの、それが事実だったのかどうか・・・・?

妻の脚を広げて、経線の“合わせ目”を拡げてみるが、潤み溢れている以外には何の徴もない。

流石に、それ以上のことをするのは、妻を信用していないようで躊躇われます。

堪らず、妻の上に押し被さり、秘口に勃起の先を宛がいますが、当然のことながら、他の男から荒々しい貫きを受ける時ほどの胸の震えは覚えないのでしょう、妻は目を閉じてじっと私のものを受け入れるだけです。

ずるんと亀頭が熱いぬめりの中に取り込まれ、数度抽送を行うが、何となくいつもと違うように思える・・・

(濡れ易い妻ではあることはわかっているが、一体感が乏しくて滑りすぎる・・・“ひだ”の絶妙さを感じない。巨根による数限りない抽送を受けた体の味だ。それも、そんなに前じゃない。男に抱かせるために妻を送り出したことはわかってはいるが、昨日と言わず、今日もとなると・・)

「正直に言えよ!午前中か昼過ぎか、今日も抱かれただろう?」

「あ・・・・・・ぁ、あなた、思いっきりしてぇ」

「ちゃんと、訊いていることに答えろよ」

「ごめんなさい。わたし、朝岡さんに・・・いっぱい、気持ちよくしてもらったの・・・」

「それは、今日になってからの話だな!」

「あぁ・・・っ、そうよ・・・・・・あなた、ねぇ、もうちょっと・・・」

妻から「もうちょっと」と言われた私の甲斐性無さは、自分でよくわかっていますが、お互い、何でも隠し事をしないという約束の下、このようなことを行っているのですから、それをないがしろにする訳にはいきません。

それに、臥所に入るまで、長時間待たされた腹立たしさも残っています。

「ダメだっ、そのことをはっきりさせるまで、ちょっと一休みだ。最後は、どこで、愉しんだんだ?」

「カヌー遊びをしてから、お風呂に行ったの。あの街、日帰り客の旅館があるでしょ?お部屋をとって、そこで食事をしてから、一緒にお風呂に入ったの」

「そこで、昼になってからも、愉しんだんだな」

「お風呂に入っている時、『最後に、もう一回、抱かせていただけませんか?』って、言われたの」

「それで、何て答えたんだ?」

「『主人の元へ帰るまでは、好きにしていただいて構いません』って、言ったわ」

「よくもそんな言葉が、すらすら、口から出てきたもんだな!」

「だって、背中を流してあげているうちに、彼のものが大きくなっていくのがわかるの。わたしが『うん・・・』てさえ言えばって思うと、急に欲しくなってきて・・・」

そんな話を妻から打ち明けられると猛烈な嫉妬が湧いてきて、上半身に身につけているものを剥ぎとり、続きを求めているはずの濡れ口へ、再び挿入します。

「許してあげるから、すべて話せよ。昼過ぎだけでなく、朝方も抱かれたんだろ?」

「う・・・・・・ん、どうして、そんなことまでわかるの?わたしの体・・・?」

「俺だって、誰か好きな女性と一緒に過ごしたら、そうするからな。そうか、朝方と昼過ぎ・・・・・・今日になってから、二度も抱かれたのか?」

「だって、『思いっきり、愉しんでこい』って、言ったのは、あなたよ。なのに、わたしを見ると妬けてくるのね。だったら、ねぇ・・・・・・みんな忘れられそうなくらい、愛して・・・」

「体をがっしり抑えられて、こんな風に突き上げられたのか?」

「ああ・・・・・・あぁ・・・っ、そっ、そうよ・・・・・・そんな感じ・・・」

「まだ、“最高のセックス”の味を訊いてなかったな。昨日と今日、どっちがよかったんだ・・・・・・?」

「あぁ・・・・・・それは、やっぱり・・・・・・昨日の夜よ」

「何が、そんなによかったんだ?」

「うぅ~ん、あぁ・・・・・・始める前からずっと優しいの。長い間焦らされて、もうそれだけでうっとりとなって、夢のような気分だったわ・・・」

「どうやら、二日間、体の芯まで舞い上がってしまったようだな。さぁ、目を閉じて、朝岡の顔を思い浮かべながら、俺を朝岡だと思って・・・・・・その時と同じ言葉を言うんだ」

こうなったら、悠長なリズムで、悦びが兆してくるのを待ってなんかおられません。

私は、妻がどのような反応を見せるか表情を見ながら、あらん限りの力を振り絞って抽送を行っていきます。

「あっ、あぁあっ・・・・・・そっ、そう、もっと、もっとよ、ああっ・・・」

「朝岡に対して、『もっとよ・・・』なんて、言うはずないだろう?

それは、俺に対して言ってるんだな。その次に、何て叫んだんだ!」

「ああ~っ、もう、わかんない。そんなこと、覚えていないもん・・・あぁ・・・・・・」

「そうか、そんなに気持ちよかったのか?俺も、もうすぐだから、最後に言った言葉ぐらい覚えているだろ?」

急速に襲ってくる射精感を堪えながら、妻の体に激しい刺突を送る。

「きて、きてっ、朝岡さん、そこに出してぇ・・・・・・!」

私以外の男の顏を思い浮かべながら、射精を求める妻・・・

私にとっては、妻の心を完全に奪われた屈辱の証だ。

それは、妻が私からの束縛を離れ、悦びを求める女になりきった究極の瞬間の再現でした。

私は、何刻か前に朝岡にも見せたであろう妻の嬌態を見ながら、最奥まで貫いて、思いっきり欲望の精を放った。

【魔性の歓び】

後始末を終えた妻が、私の胸に甘えるように顔を押しつけてきて、そっと呟いた。

「ごめんなさい。ひどい言葉言って・・・」

「そんなこと気にしなくていいさ。俺自身が、そうなることを願っていたんだから・・・」

「そ~う?みんな言っちゃったから、もう嫌になったんじゃないかって思った・・・」

「初めのうちは、結構、口が重かったけどな。これで、気が楽になっただろう?」

「そんな風に見える?こんなこと、いつまで続くのかなぁって思うと、そんな気になれないわ」

「“すべて、“俺次第”って言ったこと、後悔しているのか?」

「う~ん、そうじゃないけど、もう、元にはもどれないことが淋しいだけ・・・」

こんな言葉を聞くと、妻に対するたまらない愛おしさがこみ上げてきます。

この言葉には・・・できるなら、こんなことを始める以前の自分に戻りたいという回帰願望が込められているのです。

なのに、その哀しさを甚振るように無理難題をふっかける私・・・

私が、妻と他人が結ばれることを願うのは、自分自身を奈落の底へ落とすことに喜びを覚えるからなのですが、妻も、薄々は、気づいているでしょう。夫の心の中に、このような被虐願望が潜んでいることに・・・

私の心の中では、そのうち、これらの想いが、妻に対する“慈しみ”に変わっていくのですが・・・

(今夜は、私も、醜態を曝してしまった。

妻はこれから先もずっと、こんな私を愛し続けてくれるだろうか?)

とにかく、今夜は・・・・・・私が妻を、根掘り葉掘りしつこく訊いた所為なのでしょうが、彼女がその最中に男の名前を呼ぶなんてことは、全く予想していませんでした。

これまで、いつも控えめで、生々しいこともオブラートで包んで恥ずかし気に話していたのに・・・

身も心も、すっかりあの男の虜になったのかもしれない。今夜の妻は別人だった。

話は今後のことになりますが、この先、私たちが破局を迎える可能性だって十分にあるのです。

今の時点で、確かなことは・・・・

互いに、相手を「悲しい時も、苦しい時も理解してくれる身近な存在」として認め合っていること。

妻が、「悦びを求める女」になりきる代わりに、私が妻をそれまで以上に愛するという“約束”が存在すること。

そして、二人とも、納得、合意の上で、このような行為を行っているという事実です。

これらのことが、二人の絆となって、互いを繋ぎとめてくれているのだと思いますが、同時に、これらのことを脅かす不安要素もたくさんあります

例えば、朝岡のみならず南さんも関係しているのですが、妻が、そのことが終わった後にいつも言う言葉・・・

「あなた、わたし、ずるずるいきそうな自分が怖いわ・・・」

この言葉のように、世間には、夫や恋人以外の男性と一度肉体的関係を持ってしまったが最後、その後止めどなく男を求める女性もいるようです。

いくら、知的職業に就いているとは言え、妻だけが例外と言うのは虫が良すぎるでしょう。

“最後の一線”なんて言っているところを見ると、今のところはまだ自制しているようですが、そのうち、すべての恥じらいが失せてしまって・・・声をかけられれば、すぐに体を開く女に変わらないとも言い切れないのです。

いつの日か、口を使って男性器を愛撫することや精を飲んだりすることも、抵抗なくできるようになるのかもしれません。

それに、こんなこと、一夜限りの火遊びにしておけば左程問題がないのでしょうが、複数回にわたって妻のお相手をしてもらった男性が、三人に及んだことも不安要素です。

(これらの男は、私たちの住んでいる所から、車で一時間ほどしか離れていない。そのうち、どこからか噂の煙が立ち昇って、身の破滅を招くかもしれない。)

最後にもう一つ、このようなことを続けていると、最初、恐々手を出していたことが普通のことのように思えてきて・・・・

とてつもなく過激に思えていたことが、何でもないことのように思えてきます。

この先、このような麻薬性の感覚が作用して・・・

更なる刺激を求め、危険な匂いがすることにまで手を出すようになるのかもしれません。

このように、離婚や別居など、破局を迎えたらどうしようという不安に脅かさせますが、それでも・・・私とは全てが異なる他人が、妻と結ばれる様を目にする興奮は抑えが利きません。

否応なくこみ上げてくる悦びに身悶えする妻の姿を見ながら、体だけでなく心も他人と結ばれて欲しいと願うなんて、まさに狂想としか言いようがありませんが・・・

最近は妻も、こんな私の心持ちを少なからず理解してくれるようになってきました。

とどのつまり、こんな感覚は、夫婦の一線を踏み越えてしまった者だけが味わえる特殊な情愛なのであって、世間一般の方には理解できないだろうと思います。

終わりになりますが、妻を他人に抱いてもらうようになってから、そろそろ三~四年になります。

最近は、精力の衰えの所為でしょうが、段々とこのようなことを計画するのも億劫になってきました。

しかし、私にとっては、妻が他の男に抱かれ、悦びに喘ぐ姿を見ることが精力維持の秘訣だと思っていますので、もう、しばらく、この“愉しみ”を続けようと思っています。

宵待妻
【はじめに】

私の名前は、小野まさお、妻の名は、理香・・・・・・世間のどこにでもいそうなごく普通の夫婦です。

子ども達は親元を離れて都会暮らし・・・・・・鄙びた田舎で、妻と二人だけの毎日がゆったりと流れていきます。

世の人と比べて私が変わっているのは、ただ、妻が他の男に抱かれることに異常な興味を覚えることだけ・・・

良人が見ている前で、他人と交わる不貞・・・

背徳の怯えに心を震わせながら、やがて、怒張しきったものが押し入ってくると、甘い悦びが兆してきて喘ぎの声を洩らす妻・・・

このようなことを意識し始めたのは、もう三~四年ほど前・・・

それまで妄想の中でしか思い描くことができなかった光景が、実際に目の前で繰り広げられた時の衝撃と興奮は語りようがないほどで、今なお、その時のことがしっかりと脳裏に焼き付いています。

でも、こんなこと、一度経験してしまうと段々とエスカレートしていって、それだけでは満足できないようになってきます。

(男の腰がひと際深く沈み込むと同時に、妻の膣奥深く放たれる他人の精液・・・・・・それが、妻の性器から零れ落ちるところを見てみたい・・・・・・・・)

こんなことを想像するなんて、性癖が昂じて理性が麻痺してしまっているとしか言い様がありませんが、頭に蔓延る妄想を抑えることができず、ひたすら、欲望の実現に向かって突っ走ってしまう私・・・

序章を書いている現在は、頭の中で思い描いていることを実際に行った訳ではありませんが、妻さえうんと言えば、遅くとも一ケ月以内に、そんな日を迎えるでしょう。

【季節の巡り】

はじめに、タイトルについて、少しばかりふれておきます。

この先、どのような展開が待ち受けているのか不透明で、お読みの方の目を汚すような内容になるかもわかりませんが、表題を、それぞれの細章の見出しから一つとって「宵待妻」にしました。

そのようにした訳は、夕方に開花して、夜の間だけひっそりと咲き、翌朝には萎んでしまう今宵待草・・・・・・

植物学的には「マツヨイグサ」と名づけられ、初夏から咲き始め、冬には枯れてしまう越年草らしいですが、妻にとって一夜限りの秘め事が、陽を見ることがないその花の風情によく似ているように思えたからです。

季節は初夏・・・・・・六月になると梅雨入りを控え、水田の苗が青々としてきて、散歩がてらに辺りを眺めると、紫陽花が薄緑の小さな花をつけています。

すっきりした気分で、食卓で妻と向かい合って、二人でいただく朝食・・・

そんなに取り立てて話すつもりもありませんが、私にとって幸せなひと時です。

今朝のメニューは、大根おろしのシラスあえ、ヒラメの素焼き、それにアサリの味噌汁・・・

とりわけ、妻に感謝しなければならないのは、手作りの味噌と梅干し・・・

料理教室で習い覚えたのでしょうか。

毎年然るべき時期になると、妻は近所の主婦連中と連れ立って“自家製味噌”をつくってくれます。

梅干しの方は、遠方の友達から青梅を送ってもらい、漬け込みます。

このような手づくり味を堪能できるのも、妻のおかげなのですが、人は余り幸せすぎると、些かな心尽くしの中に大きな幸せが宿っていることに気づかず、通り過ぎてしまうのでしょう。

しばらくそのことから遠ざかり、平凡で単調な毎日が続くと、何やらまた、変なことを想像してしまいます。

例えば、妻がクローゼットの奥に仕舞い込んだ探し物をしている時など・・・

膝這いの姿勢で、下段の奥隅にまで手を伸ばすと、お尻をこちらの方に向ける格好になります。

そんな姿を見ていると、ごく自然で何気ない動作なのに・・・・

何だか、枕元にある避妊具をとりに、後ろを向いたときの姿を想像してしまいます。

それに、朝の着替え・・・

別に、意図して見ている訳ではありませんが、出勤前に、片脚を伸ばしながらパンストを身につけている姿を目にすると、交わりが終わった後、無言でそれを身に着けている妻の姿を思い起こします。

普段、見慣れているはずの妻の姿を見て、こんなことを想像してしまうなんてことは、いつもの性癖が鎌首をもたげてきた証拠です。

(段々とその回数は減りつつあるが、そろそろ、心に伏せている想いを実行に移す頃合いになってきたのかも・・)

しかし、私の胸に蔓延るこの想いは此処までくると、もう妄想や性癖といった類のものではなく、体の奥深く巣食った“腫瘍”のようなものだろう。

目下、私が切に願ってやまないこと、それは、この次、妻が他の男性に抱かれる時は避妊具なしで・・・

愛おしい女が自ら体を開き、そして、完全に他人のものにされた証・・・

その秘口から、欲望の滴が垂れ落ちるところを見てみたい、ということなのです。

私とは比べようがないほどの他人のペニス・・・・・・それが、妻の性器と、何に隔てられることなく直に結ばれ、互いが恍惚とした快楽に酔いしれながら果てる瞬間を見届けたい・・・

これまで馴染み慈しんできた妻の秘部に、何を宿しているか知れたものではない白濁液が注ぎ込まれ、

そして、それを、妻が悦びの極みの中で受け入れる。

私にとって、これほど甘苦しく切ない瞬間はないのです。

一旦、このようなことを考え出すと、しばらくの間は、寝ても覚めてもそのことばかり頭に纏わりつき、そのうち、胸が苦しくなってきます。

多分、この何かに憑りつかれたような呪縛感は、同じようなことを考えたことがある方にしか理解できないでしょう。

このような状態から逃れて、普段通りの生活に戻るには、一日も早く動き出すしかないのです。

(この前、妻の恥態を目の当たりにしたのは、昨年の・・・・・・確か、金木犀の香りが漂う頃だった。あれから、早一冬過ぎたのか)

その後も、妻を他の男に抱いてもらいましたが、私はそのことを後で妻から聞いただけです。

妻こそ想いが叶って満足したでしょうが、実際にその場におれなかった私が、無性に性の渇きを覚えるのも無理からぬことかもしれません。

こんなことを思っていると、自然と、これまでに妻から返ってきた言葉の端々が浮かんできます。

「でもね、何もつけない方が感じるのは本当だけど、わたしの心の中では最後の一線なの」

妻が言う“最後の一線”とは、何を押し止め、何を守るための線引きなのか?

此処に至るまで、すでに十指を超える他の男に抱かれてきたのだから、彼女の意識の中には、もう、私に対して操を立てたり、背徳や罪業に慄いたりするような感情はないはずだ。

あくまでも、想像の域を超えないが、それら以外のことで妻が守り通したいものがあるとすれば・・・

それは、夫の存在を、自分の心の中で他人と識別すること。

その手段として、自分と夫以外の男を隔てる薄膜をつけることが、妻としての“一分”だと思っているのかもしれない。

遮られていた薄膜が無くなってしまえば、それまで築き上げてきた大切なものが失われてしまうように思えるのだろう。

それほどまでにして守り抜きたいもの・・・・・・“最後の一線”とは、私に捧げる妻の愛情なのだ・・・

こんな風に解釈すれば、妻に対する堪らない愛しさが湧いてきます。

なのに、私は何故・・・・・・妻が他の男に抱かれ、射精を浴びる瞬間を見てみたいと思ってしまうのか?

自問の答えは、よくわかっています。

互いの性器を交合わせているうちに、やがて蕩けるような快感がやってくる。

すると、二人の体が熔け合って、甘く恍惚とした一体感が心を蝕んでいく・・・

そして、妻と男が精神的にひとつに結ばれる。

その時こそが私にとって、最も切ない胸が締め付けられるような瞬間なのであって、夫の存在を忘れきって、至福の悦びに浸る妻の姿を眺めながら、“幸せ”が壊れていく喜びを味わいたい。

突き詰めれば、このように妻の体だけでなく、心まで堕としてしまいたいと願うのは、自分自身に、例えようがない程の苦痛を与えてほしいと願う被虐願望の顕れなのです。

頭の中ではこのように自分を客観できますが、かといって、この欲望に歯止めをかけることはできません。

思い悩んだ挙句も、一旦、心を決めたとなると、実行に向かってまっしぐらに突き進んでしまうタイプが私なのです。

話を先に進めますが、私のこの想いを実行に移すには、何をおいても先ず、妻にそのことを納得させなければなりません。

それから、いくつかの条件を折り合わせ、筋書きを整える手順になるでしょう。

最初に、妻と話し合って決めてあること・・・

ネットを使って、相手を選ばないこと、一度に、複数の男性とはしないこと、これらのことは守らなければなりません。

このように決めた訳は・・・

実は、私たちがこのような道に踏み込んだ初めての体験は、ネットを手掛かりに辿りついたグループセックスでした。

その時分は、夫婦仲が倦怠期を迎えていた頃で、二人ともまだ味わったことがない刺激とスリルに魅入られて、恐る恐る未知の世界に足を踏み入れた訳ですが、まだ慣れていない所為もあったのでしょう。

妻の立場からしてみると、どうやら散々な結果だったようです。

余り、詳しく語りたくありませんが、とにかくそれ以来、ネットを利用して複数の男性と交わることは止めました。

次に考えられることは、秘密裏に行われる近場のパーティに参加すること。

若しくは、遠出して観光地や温泉宿など、旅先で出会った見ず知らずの男にそのことを持ちかけることです。

でも、これらの選択肢にも難があって・・・・・・某所で行われるパーティといっても、何だか不気味で、偶然、私や妻の知人と顔を合わせた時のことを思うと二の足を踏んでしまいますし、温泉場で、行きずりの男性と・・・・と思っても、まさか、得体が知れない全く見ず知らずの男に、避妊具なしでのセックスを許す訳にもいきません。

今、私が心底から望んでいること・・・それは、妻が頑なに拒んでいる避妊具なしでの交わりなのです。

この想いを、すべてのことに優先させたい・・・

こんな風に、錯綜する条件を整えてみると、どうしても旧知の男性に的を絞って、妻を抱いてもらうしか術がありません。

(しかし、これ以上、関係する男性の数を増やす訳にもいかない。そうなれば、やはり、南さんか朝岡に、妻のお相手をしてもらうのが自然な流れだろう。妻にしても、この二人なら嫌とは言わないはずだ。寝物語で二人の男の名前を挙げて・・・・・・果たして、妻が、どちらの男性の名を口にするのか聞くのも悪くない。一番厄介なのは、“最後の一線”を踏み越えることを、妻に納得させることかもしれない・・・・・)

【妻物語】

心の中に燻り続ける邪な想いを我慢できなくなった私は、それから数日経ったある夜、妻にそのことを切り出します。

こうして、実行に向けての第一歩を踏み出してしまうと、頭の中だけで思い描いていた絵空事がより現実味をおびてきて、妖しい胸の震えを覚えます。

「あれから、しばらく経つんだけど・・・また、俺の我儘を聞き入れてほしいんだ」

このようなことを妻にもちかける私の態度も、何かしら説得調になっていることに、自分では気づきません。

「えぇ~?・・・わたし、今、仕事がとても忙しいの。すぐには無理よ。でも、もう、そろそろ、そんなこと言われるんじゃないかって思ってた」

「いつでもいいんだ。ただ、前もって、おまえの許しを得ておこうと思って・・・仕事が一区切りついた時でいいから、頼むよ」

「わたし達の約束通りって、こと・・・・?仕様がないわ。だって、『今後のことは、あなた次第よ』って、言っちゃったんだから・・・でも、ちょっと、早すぎるんじゃない?」

「そんなこと、ないだろ??この前は、おまえ一人で愉しんできたからな」

妻はそんなに深く思い悩む様子もなく、意外にあっさりと私の申し出を受け入れてくれた。

こんな風に素直に受け入れたということは、『あなたが、無理言ったから・・・』なんて、後で、言い訳や申し開きをするつもりもないのでしょう。

いとも簡単に私の願いが通ったことを思うと、何だか、気抜けしたような淋しいような・・・

複雑な気分になってきます。

妻に対して、これまで色々な無理難題を持ちかけ、結果的にそのことを受け入れさせてきました。

夫の求めに対する妻の態度も、私以外の男に抱かれる前までは、頑なに首を横に振っていたものですが、夫婦の一線を越えてよく似た体験を重ねているうちに、段々と、私の求めを拒むことも少なくなってきました。

(想像する限りだが、私との交わりでは味わえなかった官能の記憶が体の奥深くに刻み込まれ、そのうち、他人に体を開く慄きが薄らいでいって、彼女の倫理観が歪んでしまったのかもしれない・・)

「随分とすんなり、聞き入れてくれたところを見ると、おまえもあの時、『今夜のこと、記念にとっておきます』って、言ったほどだから、時々は、そのことを思い出して体が疼くこともあるんだろ?」

「あなたほどじゃないと思うけど、たまには・・・ね」

「朝岡と、昼風呂に入って・・・・・・そそり立ったもので、突きあげられた時のことか?」

「どうして、そんなイヤらしい言い方するの?あなた、この頃、変よ。昔は、そんな言い方しなかったのに・・・・・・何だか、変わったみたい」

「お互い様だろ?こんなことを続けていると、変わってくるのは・・・でも、これから先も俺達ずっと一緒なんだから、本音で答えてくれてもいいじゃないか?」

「朝岡さんと一緒に、お風呂に入った時のこと・・・?

だって、実際にあったことでしょ?正直言うと、たまに思い出すことはあるわ」

「あの時、『今日は、だめっ!』って、答える気にはならなかったのか?」

「そんなの無理よ。だって、昨夜抱かれた男性と今日も一緒なんだなぁと思うと、すごく幸せな気分になってきて・・・それに、『もう一度、抱かせていただけませんか?』って、あんな風に優しく言われると、どんな女の人でも、そうなっても構わないと思ってしまうわ」

「それじゃ、いよいよという時は、もう堪らなかっただろう?」

「う・・・・・・ん、何だか、体がじ~んとしてきちゃって、それが、行き場を失ってびくびくしてる感じかな?頭がぼ~ぅとなってきて、夢中で彼の背中を抱きしめていたわ」

(そうか・・・・・・それほどまでに、よかったのか?心を開いた男性と二人っきりで性戯に浸る悦び・・・そうなっても構わないと私が了承したことだから、それを非難することはできないが、胸がうち震えるような悦びは、夫が傍にいないからこそ感じられる邪淫の悦びなのだろう)

妻が、本来夫に言い難いようなことを、気恥ずかしさを捨てて語ってくれると、夫婦の情が細やかに通ってきます。

そろそろ、本題をもち出してもいいのでしょう。

「それでさぁ、言いにくいんだけど・・・・・・今度は、アレをつけずに“生”でしてくれないか?」

「それは、だめっ!前にも言ったでしょ?わたしにとって、“最後の一線”なんだって・・・」

「もう、ここまで来て元に戻れないことも、急にストップできないこともわかっているはずじゃなかったのか?」

「確かに、あなたの願いどおり、これからもそのことを受け入れようって、心に決めたわ。でも、それとこれとは別なの。わたしにとっての“最後の一線”って意味、わかる?」

「俺なりに、考えてはみたよ」

「そ~う?・・・・で、答えはどうだったの?」

「そんなこと話すと、ますます頼みづらくなるじゃないか?俺のこと、思っていてくれるんだなって、幸せに思ったよ」

「そこまで考えてくれているのなら、わたしの言ってること、わかるでしょ?」

「でも、ゴムなしでするの、今回が初めてって訳でもないだろ?」

「あの時は別よ。だって、あなたと雅彦さん、二人して強引だったもん。初子さんにまで無理言って・・・・・・わたしだけが避妊具つけてっていう訳にもいかなかったわ」

「しかしな、俺の妄想は段々とエスカレートするばかりで・・・おまえが、何もつけずに射精される姿が、頭から離れないんだ」

「そんなこと言われても困るわ。あなたは男の人だからわからないと思うけど、そんなことをしたら、赤ちゃんができちゃうのよ」

「ちゃんと前もって予防するんだから、その心配はないだろう?」

「わたしは、精神的なことを言ってるの。あなた以外の人の精液がわたしの中に入るってことが、どんなことだかわかる?」

「わかっているつもりさ。後から、そを責めたりしないから」

「う~ん、そんなこと、言ってほしいんじゃないの。あなたのことだから、いろいろ気を遣って・・・どっちみち、お相手はわたしが抱かれてもいいと思えるような男性なんでしょう?その男性とそんなことしたら、本気で好きになってしまうわ。ひょっとして、ずっと一緒にいたいって思うかもしれない・・・」

「そう思っても、仕方がないだろうな。そんな風におまえが、相手の男と身も心も一つになりたいと願う姿がたまらないんだから」

「でもね、それって・・・・・・あなたにとって、わたしが限りなく遠い存在になるってことよ。あなた、この前わたしに『もしかして・・・?』って、離婚のこと尋ねてきたけど、本当にそうなった時の覚悟はできているの?」

「そうなってほしくないけど、こんなこと、おまえに持ちかけたのは俺だから、そんな風になっても自業自得だって思ってるよ」

「そ・・・・・・う、わたしのこと、それほど大切に思ってないのね。わたしが出て行ったら後悔するくせに、そこまで考えているのなら、もう、これ以上言わない」

最終的に、妻は私の申し出を聞き入れてくれたが、今夜は、夫としての評価を下げてしまった。

妻がそれほどまでに、頑なに守り通したいもの・・・

それを、そうしてあげたい当の本人によって無残にも壊されたのだから、心に負った傷は深いものがあるだろう。

きっと、理不尽なことを強いる夫の姿に失望したと言うより、幻滅を覚えたに違いない。

それに話は遡るが、妻が、配偶者が隠していた思わぬ性癖に出くわしたのは、結婚してかなり経ってからのことだ。

今はどう思っているのか知れないが、初めてその話を耳にした時は、きっと、戸惑ったというより、情けなく思ったことだろう。

近い将来、大きな代償を支払うことになるかもしれない・・・

このように先のことを考えると、妻の“我慢の糸”が切れてしまうのでは・・・・?と不安になりますが、心の奥底で次第に膨らむ欲望は、揉み消すことができない麻薬性の疼きを伴って、私を後押しします。

再び、夫婦の会話に戻りますが、人間誰しも、自分の主張したことを否定されて、本来望んでいない方向に引き摺られていくことを、不快に思わない人はいないでしょう。

しばらく、夫婦間に重苦しい雰囲気が漂います。

(きっと妻にしても、私の場合と同様に、今回のことがわだかまりとなって胸奥深くしまい込まれ、これからの私たちの夫婦生活に、影を落としていくのかもしれない)

そんなもやもやした想いを振り払うように、私は、妻を自分の布団に抱き寄せます。

「ごめんよ、無理なことを言って・・・・・・ちゃんと、“約束”は守るから。それで、お相手のことなんだけど」

「次は、当然、その話になると思ったわ。さっき言ったように、どなたか、お目当ての人がいるんでしょ?」

「おまえが、『もう一度、抱かれてもいい』って、思っている男性だよ。これ以上、危ない橋は渡りたくないからな」

「はっきり、言って。大体、想像はつくけど・・・」

「南さんか朝岡だったら、構わないだろ?お互い、また機会があったら逢いたいって、約束し合っているんじゃないのか?」

「そんなこと、ない。あなた、ずっと前にわたしが言った言葉覚えてる?『ずるずるいきそうな自分が怖い』って・・・南さんも朝岡さんも、わたしが憎からず想っている男性よ。このまま関係を続ければ、わたしがどうなってしまうか、わかりそうなことでしょ?本当に、そうなってもいいのね」

「あの二人だったら、長いつき合いをしてもいいと思ってるよ。おまえにも異存はないだろ?」

「“あの二人”って、まさか、二人一緒になんてこと、考えているんじゃないでしょね?」

「本当にそうなったら、困るのか?」

「もし、そんなことになったら、もう、あなたにはついていけないわ」

「だって、これまでも色々・・・どきどきするような場面、あっただろ?」

「こんな言葉使って悪いんだけど・・・好きな人とセックスしている姿を、もう一人の素敵な人に見られるなんて、想像するだけでも嫌よ」

「俺だって、その素敵な男の一人なんだろ?」

「えぇ~っ、まさか、本気でそんなこと考えているんじゃないよね。あなたはわたしの夫だから我慢できるけど、好きな人に恥ずかしい姿を見せるのは一人で結構よ」

当然、そうだろう。話の成行きで水を向けてはみたが、傍で見ている男が夫だったらいざ知らず、

好きな男に愛されている生々しい姿を、もう一人の気を引かれる男性の目に晒すなんてことは耐え難いにちがいない。

「わかったよ。それで、どっちにする?」

私に寄り添いながら横寝になっている妻は思い悩むように目を閉じた。

(夫から突きつけられた難問・・・それを解くために、官能の履歴をひも解いて、艶めかしい記憶を反芻しているにちがいない)

しばらくして、妻から答が返ってきた。

「南さんが、いい・・・・・・」

やっぱり、そうか?どっちみち、夫以外の男性に抱かれて、直に射精を受け入れざるを得ないとなれば、人柄や気心だけでなく、相手から寄せられる想いの深さや体の馴染具合など、すべてがフィットする男の方がいいに決まってる。

「また、朝岡との、“最高のセックス”を、願っているんじゃなかったのか?」

「いろいろ思っているうちに、頭に思い浮かんできた顔が、南さんだったの。こんなこと決めるのに、普通の女の人だったら余り思い悩まずに、すぐにその男性の顏が思い浮かんでくるものよね。こんなこと続けているうちに、何だかわたし、変わっちゃったみたい・・・・・・悩んじゃうわ」

(自嘲気味に言っているが、そんなはずはない。私に訊かれた瞬間、二人の顔が思い浮かんできたはずだ。

そして、両方の男を天秤にかけていることに気づき、そんな自分に嫌気がさしてきたのだろう)

「そんなことないさ。俺が願っている淫らな女になるってことは、頭の中にある煩わしいものを、すべて捨て去らないとそうなれないだろ?普段、おまえが仕事や家事をしっかりやってる証拠じゃないか?たまには、アバンチュールを楽しめよ。」

「そんなに、持ち上げてもだめよ。それほど感謝してくれてるんだったら、もっと心を込めて言わないと・・・何だか、他人事みたいに聞こえるわ」

元より、腑に落ちた訳ではないだろうが、最終的に、妻は私の申し出を受け入れてくれた。

妻の了承を得たとなると、後は、南さんにそのことをお願いするだけです。

(一度、彼と会って・・・・・・別部屋をとるか、それとも朝まで三人一緒に過ごすか、話さなければならない)

【馴染みのスナック】

それから、数日たって、私と南さんは馴染みのスナックで落ち合います。

勝手な目論みですが、今日は南さんにそのことを了承してもらって、大まかな日取りを決めるつもりです。

お店の中は、平日だからなのでしょうか、カウンターに数人の客がいるだけで、ボックス席の方は閑散としています。

私と南さんは、その片隅に腰を下ろしました。

「こうして、南さんと一杯やるのも久しぶりですね。まぁ、仕事が忙しいってことは、それだけ幸せなことかもしれませんけど・・・」

「そうですね。この前、ここでご一緒してから三ケ月ぶりですか。こんな風に向かい合っていると、以前、貴方から相談を受けた時のことを思い出しますよ。訊きにくいことなので敢えて尋ねなかったのですが、その後、いいお相手は見つかりましたか」

(南さんにしても、妻が自分に想いを寄せていることは、それとなく気づいているだろうが、あれから後にもう一人、妻の心の中に新たな男性が棲むようになったことを打ち明ける訳にはいかない。ましてや、その後、その男性と二度までも関係をもったなんてことは、口が裂けたって言えない・・・・・)

「なかなか、そんな匂いがする男性には、巡り合えなくて・・・」

「そうですか?そんなに長い間ご無沙汰ってことになると、貴方も辛いんじゃないですか?」

「それは、そうですが・・・・・・ところで、南さんこそ、どうでしたか?あの時言っておられたサークルの集まり」

「そんなこと、貴方に誘いかけたこともありましたね。家内と一緒に参加して、愉しんできましたよ」

「でも、そんなパーティって、求められると拒みづらいんでしょ?奥さん、大丈夫でしたか?」

「いや、気に染まない男だったら、断ってもいいっていうのがルールですから・・・それに、女性の場合、セックスにどれだけ積極的かってことが関係してくるみたいですから、その気になればどこまでもいけますよ。まぁ、個人差もありますし、相手の男性によって感じ方も違ってくるでしょうから、一概には言えませんけど・・・」

「奥さん、積極的なタイプなんですか?」

「貴方もご存知だと思いますが、こんなこと繰り返していると、後ろめたさと言うか、罪の意識が薄らいでいって、私のことなど眼中にありませんでしたよ。きっと、お互いさまって割り切っているんじゃないですか?今度、小野さんに紹介しますから・・・そのうち、そんな日が訪れてもいいでしょ?」

「嬉しいお誘いですけど、せっかくお会いしても、がっかりするだけでしょうから・・・」

「いやいや、所詮、男のものなんて似たり寄ったりで、こんなこと、一度始めちゃいますと関係なくなってきますよ。妻の関心が、別の男に移っていくだけです」

改めて、南さんからそう言われると、その道に関しては私より長けた方の言うことですから、説得力をもって響いてきます。

(そうか、「次第に、関心が他の男に移ってしまう」という言葉には共感できる。多分、現在の妻の状態も同じなのだろう。それでも、妻が私の伴侶であって良かったと思うことがある。“最後の一線”なんて、普通はそこまで考えない。このようなことを繰り返しているうちに慣れきってしまい、罪の意識が麻痺してしまって、気を病むなんてことはこれっぽっちもなくなってしまうのが当たり前だ。自分の心に縛りをかけてまで、私に尽くしてくれる妻のことがとても健気に思える)

そこまで私のことを思ってくれている妻に対して申し訳なく思いますが、せっかく、ここまで時間をかけ、繋げてきた計画をご破算にする気にはなれません。

「実は、たってのお願いがあるのですが」

「そろそろ、本題ですか?貴方からのお願いとなると大体わかりますよ」

「すっかり、お見通しって訳ですか?どうせ、二つに一つって、言いたいんでしょ?」

「ははは、よく、そんなことまで覚えておられますね。それで、私に奥さんを抱いて欲しいのか、奥さんのお相手を紹介してほしいのか、どっちですか?」

「それで・・・・・・最初に言われた方を、お願いできないかなと思って・・・」

でも、久しぶりにこんなお誘いを受けたとなると、何かいわく付きのことでもあるんでしょ?」

「こんなこと、貴方にしか頼めなくて・・・手っ取り早く言うと、ゴムをつけずにお願いしたいんです」

「私の方は願ってもないことですが、女性ってなるとそうもいかないことは貴方もおわかりでしょ?その辺りのことは、ちゃんと道筋つけられたのですか?」

「私が平気でこんなことを考えていると思われるのも無理はありませんが、妻と話し合って、お互い納得済みです」

「そうですか。でも、そこまで漕ぎつけるには、色々とご苦労されたでしょ?」

「どうも、彼女にとって、どうしても譲れないものがあったようで・・・“最後の一線”なんて言ってましたが、それを翻意させてしまったんですから、私も罪が深いですよね」

「それはそうですよ。何てたって、他人の精液を直に受け入れるんですから・・・貴方のことを思えば思うほど、罪悪感に苛まれますよ。一つ、お聞きしたいのですが、相手が私だってこと、奥さんはご存知なのですか?」

「多分、貴方だったら間違いはないと思って・・・・・・順序が逆なのかも知れませんが、言い含めてはあります」

「そんな風に、私の名前が枕元を飛び交ったとなると、その時の奥さんの反応が気になりますね。

あなた達、ご夫婦のことに口出しするつもりはないのですが、

小野さんの方から一方的に、私の名前を出されたんじゃないですか?」

私には、こんなことを尋ねてくる南さんの気持ちがよくわかります。

仮に、私が南さんと同じような立場だったとして、ある女性と一夜を過ごすことをその夫から懇願されたとすると、その女性のお相手をするのはやぶさかではありませんが、当の本人が、どのような経緯でそのことを納得し、そして、どれくらい関心をもっているのか、平たく言えば、どれくらい乗り気なのかは、やっぱり気になります。

「いや、無理を言ったと思っていますが・・・・・・そのことを妻に納得させた後で、貴方の名前を言わせたのです。

「そうですか。言わせたんですか?最後の一線なんて言葉、如何にも理香さんらしいですね。でも、小野さん、どう思われます?仮にですよ、私がこっそり理香さんに声をかけたとして・・・奥さん、貴方に内緒で私に抱かれると思いますか?」

「私に黙ってですか?妻のことですからそれはないと思ってますが」

「いやぁ、これは私の当てずっぽうですが、何となく女の弱みを感じますよ。余り、奥さんに気を回し過ぎたり、買い被ったりすると、返って気の毒ですよ」

(そうか、以前、妻を南さんの待っている部屋へ一人で送り出したが、その時そんな匂いを感じたのかもしれない。私への手前、露骨に妻を誘い出すことは控えているが、声をかければ落ちそうな手応えを感じているのだろう)

「ところで、ホテルの部屋のことどうします?別部屋をとりましょうか?それとも、三人一緒に・・・・ってことにしますか?」

「そんな厚かましいこと、私の口から言えませんよ。あなたが決めることじゃないですか?」

「それはそうですけど、貴方の方が色々と・・・・・・この道には詳しいでしょうから」

「一部屋ってなると、朝までずっと三人一緒に過ごすことになる訳ですから、小野さんが、それを我慢できるかどうかでしょうね」

「もちろん、そうなった時の覚悟はできています。南さんのお望みのようにしていただいて結構です」

「お望みのようにですか?じゃ、好き勝手なこと言わせてもらいますが、貴方の目の前で、奥さんを何回抱かせていただいても構わないってことですね」

「私も、断られても仕方がないようなことを、貴方にお願いしているのですから、その辺りのことは、心得ているつもりです。そうしていただいても、一向に構いません。」

「そこまでお考えなら、別部屋を予約しないでおきましょうか。それから、こんなプライベートなこと、貴方に尋ねるべきじゃないこともわかっているのですが、理香さん、アレ、口にするの、できるようになりましたか?」

「いや、まだです。多分、何か心理的なものが影響しているのだと思いますが、そんなこと、改まって話すこともできなくて・・・」

「そうですか。でも、大事なことですから、貴方の方から切り出して二人で話し合われた方がいいですよ。」

南さんのみならず、誰が考えてもそう思うでしょう。

別に、セックスに対して否定的な訳でもないし、普通の夫婦では考えられないようなことまで経験しているのに、男のものを口にすることだけができないなんて・・・

しかし、セックス時の感じ方や愛の表し方は人様々、生来のものですから、カウンセリングを受けたり、心療科へ行ったりすればすぐに解決できるというほど単純なものでもなさそうです。

あくまで、推測の域を出ませんが、妻が口淫や精飲ができない原因として、幼少時に出くわした思わぬ体験、自分が育った家庭のこと、それに、思春期に交際したであろう男によって植えつけられた男性不信など・・・

あるいは、考えたくはありませんが、過去の性体験がトラウマになって影響している可能性だってありそうです。

しかし、こんな要因は、自分に都合よく、私が勝手に邪推しているだけで、ひょっとして、私が妻に隠し通している密かな被虐願望と同じように妻の方も、理不尽なことを強いる夫への不審や不満が、口淫の拒絶という形になって表れているのかもしれません。

色々な思いが頭を過りますが、この間、私と南さんの会話は途切れています。

きっと二人とも、ここまで話し合ったことを自分の腑に落とすための時間が必要なのでしょう。

こうして、粗方、準備が整ったとなると、後は一週間後にその日を迎えるだけで、早くも、その時のことが私の頭にチラつき始めます。

(南さんと出会ってから、かれこれ三年目か?そして、妻との関係も三度目ともなると、お互いの想いもまた格別のものがあるだろう。初めて、南さんに妻のお相手をしてもらった時、ブリーフから露わになった並外れのペニス・・・その先が、臍に届かんばかりに反り返っていた場面を思い出す。あの狂おしいものの先から、白い飛沫が妻の膣奥深く放たれるのももうすぐだ・・・・・)

【宵待妻】

南さんとの打ち合わせが終わってから一週間が過ぎ、私にとって念願の日が訪れます。

今日は土曜日。朝起きて外を見やると、あいにくの雨模様・・・・・・しとしと、細かい雨が降っています。

先日来、全国各地で大雨注意報が出ていたので仕方ありませんが、部屋の中にいても肌寒いほどです。

うっとうしい鈍色の空に、じと~っとした湿っぽさ・・・

何だか、心の中で引き摺っている私の後ろめたい気持ちにぴったりのような気がします。

窓を開け、新聞を広げていると、台所から匂ってくる焼き魚とネギの香り・・・

相も変らぬ朝食前のひとコマですが、トントンという包丁の音にしみじみとしたものを感じます。

(二~三日前に食べた魚もおいしかったが、今日の朝食はシメサバの炙りか、ハマチ焼きか?いつもながら食べ物は、どこで誰と食べるよりも、やっぱり、妻がつくってくれた手料理に限る・・)

でも、心なしか、台所から聞こえてくる包丁の音が、普段より小気味よく感じられるのは気のせいでしょうか?

まさか、うきうきルンルンではないと思いますが、私が思っているのと同じように妻にしても、今夜のことが、ふっと脳裏をかすめているに違いありません。

しかし、面と向かって、そのことは口にしない方がいいのでしょう。

今夜のことは、もう十分に、お互いが合点しているはずなのですから・・・

待ち合わせの場所は、私たちの住んでいる所から車で一時間ばかり離れた街の住宅街。

ここにあるレストランで夕食を済ませてから、その後車をちょっと走らせて、ホテルへ向かうことになっています。

南さんを待っている間、色々、妻が私に話しかけてきますが、心の中には重たいものがあって、口からは生返事しか出てきません。

ホテルの部屋に入ったら、今、私の隣にいる妻の傍には南さんがいることになるのだと思うと、自然と、黙りこみたくなってしまうのです。

恐らく、妻にしても、気になることがいっぱいあると思いますが、あれこれ無理して私に話しかけてくるところを見ていると、私より数段、人間ができているとしか思えません。

妻との時間を持て余しているうちに、

「やあ、お待たせ」

・・・・・・ようやく、南さんがにっこり笑いながらやってきました。

パールライラックのシャツに、バイオレット色のジャケットをひっかけています。

妻好みの色をさらっと着こなしているところを見ると、密かに期するところがあるのでしょう。

「お久しぶりです。お元気そうで」

私たちの向かいの席に着いた南さんが、妻に声をかけてきました。

「こんばんは」

南さんの顏を見ないまま、妻が、遠慮がちに小さな会釈をおくる。

かって、体を重ねたことがある相手と久しぶりに再会できる喜び・・・

妻の心がときめいていることは間違いないでしょうが、これまでの疎遠が故に、最初にどんなことを話そうか迷っている風に見えます。

きっと何か、あの時の二人に戻れるきっかけになるような言葉を探しているのでしょう。

「久しぶりですね。こうやって、三人で話すのも・・・」

「そうですね。南さんも、お忙しいんでしょ?」

「貧乏暇なしですからね。たまには、あなたのような綺麗な女性の顏も見たくなりますよ」

「まっ、もっときれいな方が周りにいっぱいいらっしゃるんでしょう?でも、そんな言葉聞くの、何年ぶりかしら?」

「何年ぶりってことは、ないでしょ?時々、聞いてるんでしょう?」

「うふっ、勝手に、そんなこと想像するのっておもしろいでしょ?しばらく、楽しめますものね」

どきっとするようなことを言われて、顏に動揺の色が走るかと思ったら、さらっと受け流す妻・・・

そのような受け答えができるということは、一度ならず関係を結んだ相手なればこその安堵があるのでしょう。

「この前お会いしたのは、確か・・・・・・梅の花が咲いている頃でしたから、あれからほぼ一年半ぶりですか?長い間お会いしていないと、何だか体つきまで変わってきたような気がしますが」

「そう思われても仕方ありませんわ。いつまでも若くはないんですから」

「でも、色っぽさだけは変わっていませんよ」

「相変わらず優しいんですね。まだ、そんな風に見てくださるなんて・・・・・・南さんも、その後いろいろおありだったんでしょう?」

逢瀬も三度目ともなれば、次第に会話が滑らかになっていきます。

互いの気心が通い合っているのを確かめ終えた二人の会話が、しっとりしたものに変わっていきました。

「ご主人からお聞きしていると思いますが、今夜は三人一緒ってことで、大丈夫ですか?」

「さあ~どんな風になるか知れませんが、心に決めています。すべて、南さんにお任せしようって」

「そんなこと、おっしゃってはだめでしょう。ご主人の前で」

「ですけど、この前、念を押されましたの。お部屋に入ったら、南さんがわたしのご主人なんだって・・・きっと、後悔なんてしていないと思いますわ」

南さんの前だからでしょうか、何だか、遣う言葉の口調まで改まったように思え、耳に入ってくる言葉が、白々しく聞こえます。

二人の話を聞いていても、私が口を挟んだり、相槌を打ったりするような隙間がなくて、何だか、傍らに“ほってけぼり”にされている気分です。

この場のように、心の中に負い目とときめき・・・・・・それぞれ、異なる心持ちの男女が顔をそろえると、これから始まることに、胸をときめかせている者どうしの会話が幅を利かせても仕方がないのでしょう。

それに、私の方が取り違いしているのかもしれないが、南さんが言った「大丈夫ですか?」という言葉は、多分、私のことが気がかりじゃないかと尋ねているのだと思う。

でも、今夜、枕を並べることになる男の口から出た言葉ともなれば、妻が、その労わりの言葉が自分の方に向いていると思っても不思議ではありません。

妻に対するそんな僻みが、言葉になって表れるのでしょうか、食事中妻が私に相槌を求めてきても、ついつい、見捨てたような・・・妻を困らせるような返事しかできません。

そうこうしているうちに、気まずい感じの食事が終わって、私たちはホテルに到着します。

宿帳には南さん夫婦の名前を書き、続柄は関係ないが、車二台でやって来たので、もし、何か言われた時は、私は妻の兄ということにしてある。

南さんが、ホテルのフロントで、チェックインの手続きをしている間、やっと、妻と二人だけになれる時間が訪れます。

(妻と二人っきりになれる時間・・・・・・そんな貴重な時間は、この先あるはずもない・・・・・・妻と話すことに制約があるという意味では今もそうかもしれないが、私たちに与えられた部屋に足を一歩踏み入れた時から、夫という私の肩書は、完全に消え失せてしまうのだ)

「もうすぐ、部屋に入るんだけど、心の準備はできてんの?」

「う・・・ん、あなたの方こそ、大丈夫?だって、今夜、三人一緒よ」

「その場になってみないとわからないけど、我慢するさ」

「そ・・・う?わたしは、多分・・・・・・そうなっても、我慢できないと思う。

きっと、あなたにつらい思いをさせるわ」

「そんなこと、気にしなくていいよ。体が感じるまま、素直になれば」

「ほんとに、どうなっちゃうか自信がないの・・・・・・それでもいい?」

「いいさ。それが、俺の願いなんだから」

「でも、約束・・・・・・ちゃんと守ってね」

「おまえの方こそな・・・今夜は、南さんが旦那なんだってこと、忘れるなよ」

「そんな風に思えるかなぁ。だって、これまで、いい人は一人だけだったもん」

「俺のことは忘れて、再婚したんだって思えよ」

「うん、そうする。でも、そんな言葉聞くと、何だか胸がどきどきしてきたわ」

実際に、妻が再婚するようなことにでもなったとしたら・・・

心にぽっかり穴が開いたような状態になることはわかりきっているのに、そんな言葉を妻に投げかける私・・・

そして、私のことを愛おしく思いながらも、私との夫婦生活では味わえない、別次元の悦びに身を任せようと心を定めた妻・・・

私たちの会話はほんの片言でしたが、これから後に妻との間で交わされた会話に比べれば、とても満たされたものでした。

間もなく、チェックインを終えた南さんが戻ってきて、私たちはラウンジからエレベーターに向かいます。

南さんの手が妻の腰に回り、優しくエスコートする。

狭い空間で三人一緒に佇んでいる間も、交わす言葉なんてあろうはずがなく、妻は南さんの方に寄り添いがちです。

部屋に向かう間も、南さんから少し距離を置いて後ろに続く妻の姿が、お似合いの夫婦のように見えてしまう。

南さんがドア口にキーカードを差し込むと、小さく灯る緑色のランプ・・・・・・

それが、二度と後戻りできない世界へ足を踏み入れることへの警報のように思え、急に、胸の動悸が激しくなってきます。

浴室とクローゼットを横目に、ツインルームに入る。

室内を眺め渡すと、ベッドだけがトリプルユースになっている。

数十センチの微妙な距離で隔てられた、ダブルベッドとソファベッド・・・

ソファベッドの方は、二台のダブルベッドの足元に据えられ、それよりも九十度、向きを変えてあります。

(この大きい方のベッドが、妻が男の全てを受け入れるところ・・・あぁ・・・・・・ここで、その白い脚を開くんだ・・・・・)

その傍の小さなベッドで、妻の恥態をひっそり眺めることを思うと、隣のベッドのかけ布団のしわまでが艶めかしく見えてきます。

あれこれ思いながらも、南さんの傍にちょこんと座っている妻の姿を見ていると、また別の一コマが思い浮かんできます。

あの時、相手の男は南さんではなかったが、男がシャワーを浴びている間、妻と二人きりになれた。

私は、敢えて私から遠ざかろうとする妻のことがとても愛しく思え、思わず抱きすくめようとしたものだ。

「だめっ、お願い、あなたらしくして・・・」

(その時、返ってきた言葉を今も忘れない・・・・・・今夜は、その時以上にその思いは強いはずだ。これから朝までは南さんと妻が夫婦なのであって、私は、夫という立場を捨てた、ただの傍観者なのだ。これから朝まで、三人一緒に過ごすことになるが、今となっては、それぞれの想いが叶えられればそれでいい・・)

こんなことを思いながら、その後しばらく、部屋の中でくつろいでいましたが、どうも、二人とも私に遠慮しているのか、事に及ぶタイミングを掴みづらいように見えます。

ここはしばらく私が消えた方がいいのでしょう。先にお風呂を使わせてもらうことにしました。

バスタブに身を沈めながら、一人、物思いに耽る。

(とうとう、くるところまで来てしまった。これから先、どんな展開が待ち構えているのか知れないが、先程聞いた妻の言葉から察するに、私の願い通りに・・・・・・いや、自分の想い通りに、妻が振る舞ってくれることは間違いなさそうだ。問題なのは、妻の恥態を見た時の私の心構えなのだ。きっと、息づまるような胸苦しさ、狂おしいほどの嫉妬、その他に、失望や孤独感など・・・ありとあらゆる感情が止めどなく溢れてくると思うが、後悔だけはしたくない。『・・・我慢するさ』と妻に公言したのだから、自分の心に蓋をして、その通りにしよう・・)

瞑想の時間が過ぎて部屋に戻ってみると、早くも半裸の肢体を南さんに預けている妻の姿が目に入ってきました。

ベッドの端に腰掛けながら、お互いが引かれ合うように唇を合わせ、貪るような口づけを交わしています。

傍目から見ても、南さんの思いの丈が伝わってくるのか、妻の体から力が抜け落ちていくのがわかります。

(もう随分と前のことになるが、二ケ月の海外出張を終えて帰ってきたあの時と同じだ。しばらく会えなかった淋しさを癒し、相手の存在を確かめるには、じっと深く抱き合うことに優るものはない。あんな風に舌を絡み合わせ、うっとりと目を閉じていると、肌から伝わってくる温もりが心地よくて、『離したくない・・・・・・』きっと、そう思っているのだろう)

そのうち、自分が気づかないままに、南さんの背中に手を回していく妻・・・・・・

ほどなく受け入れてしまう膨らみを下腹に感じながら、今夜はこの男性の妻なんだと、自分に言い聞かせているにちがいない。

南さんにしても、温かい柔肌を抱きしめながら、久しぶりに味わう女体の感触を確かめているのでしょう。

(きっと、とろけるような感覚が体中に伝わっていって、甘い痺れが全身を覆っていることだろう。こんな二人に言葉はいらない。そして、これはまだ、私の描いた脚本のプロローグに過ぎないんだ・・)

お互いの存在を確かめ合うように抱き合っている二人の姿を見ていると、胸が締めつけられるような圧迫感を覚え、巡らす想いも千々に乱れがちですが、念願がもうすぐ叶う胸の高まりは止まず、私は、魅入られたように二人の姿を眺めていました。

【夜に咲く花】

甘い口づけを交わしていた二人の体が解れ、離れ際に、南さんが妻にささやきかけます。

「そろそろ始めましょうか」

「だって、お風呂に入ってからじゃないと・・・」

「いいじゃないですか?後で、ゆっくり入れますから」

南さんのこんな妖しい言葉を聞くと、胸が震えてきます。

かけ布団をベッドから摺り下ろした南さんが、「さぁ、こっちへ」と妻に声をかけます。

その声に促され、ブラウスとスカートを脱ぎ終えた妻が、私のことなどそ知らぬ風で、南さんが待ち受けているベッドへ歩んでいく。

南さんの隣に身を横たえると、白いキャミソールの中で、女体の徴を示す胸とお尻のふくらみが際立って見えます。

(あれほど願ってやまなかったことが、今から始まるのだ・・・・・・

時を経ずして妻はその下に包み隠したものを露わにして、男の愛撫に身を委ねるのだ・・・・・)

やがて、南さんの手が、夫にしかできないような自然体で肩ひもを外し、その手が下の方に伸びていく・・・・・・

すると、妻が、もどかしそうにキャミを下ろし、脚を抜きあげていきます。

そのうち、お腹を這っていた南さんの手が、ショーツを掻い潜ってさらにその下に滑り込んでいく。

「あっ、あぁ・・・っ」

薄布で覆われた谷間のことはよくわかりませんが、恐らく、潤んだところをなぞられたのでしょう。

その声とともに、妻の首がガクンと後ろに仰け反って、早くもこんな前戯の段階から感じてしまうことに慄くように、短い叫びをあげました。

しかし、見ていると、自分でも気づかないうちに妻の手が、それを拒むというよりその続きを求めるように南さんのそれに重なっていきます。

追っつけ、妻のショーツが足首から抜け落ちると、ふっくらした陰丘が露わになっていきますが、こんな風に、普段は見ることができない女の徴がベールを剥がされるのを見ていると、それが、いつもは慎ましやかに隠されているものだけに、妻のものと言えども煽情をそそられてしまいます。

秘芯に顔を沈めている南さんの愛撫に腰をくねくね動かしながら、内腿の筋をピーンと張らせる妻・・・・・・

早くもその目にしわが寄ってきて・・・・・・

こんな妻の姿を見れば、更なる愛撫を待ち望んでいることが一目でわかります。

やがて、南さんの指先が、秘芯の合わせ目にのぞくパールピンクのつぼみをまさぐっていく・・・・・・

「あぁっ・・・・・・だめぇ~っ!」

最も敏感な部分から、急激に湧き立つ快感を抑えきれなくなった妻が、小さな悲鳴をあげた。

「理香さんも、やっぱり、ここが・・・・・・一番、感じるんですか?」

「ああぁ・・・そんな風にすると・・・ねっ、そっとさわって」

「もっと前から、弄って欲しかったんじゃないですか?」

「うぅ~ん?わかんない・・・」

「でも・・・・・・腰がこんなに動いていますよ」

「そんなこと、言わないで・・・あっ、あぁぁ・・・・・・っ!」

妻は程なく貫きを受ける男の目に恥部を晒す淫らさに恍惚となっていて、後ろの方で、しゃがみ込んでいる私の方など見向きもしません。

私にしても、波打つ白い下腹に続くふくよかな稜線をのぞくなんてことは、ここしばらくなかったことです。

(ゾクゾクするような怖気混じりの快感に身を委ねているうちに、それが、まだ何もされていないところにまで伝わっていって、膣奥に、じわ~っとした熱いものを感じているのだろう)

「何だか、この前より、更に感度がよくなったようですね」

「そんなことない・・・・・・南さんのせいよ。あぁ・・・そんな・・・」

「“南さん”じゃないでしょ?今夜は、“あなた”って呼んでほしいな」

誰に憚ることもない正銘の夫が、興奮しきっている妻の淫裂をゆっくり押し広げ、その窪みに舌を這わせていく・・・

妻の切ない喘ぎが甲高い叫びに変わったのは、南さんの舌先が股間の上の方に移った時でした。

「ん~うぅっ・・・あぁ・・・・・・だめっ、あっ、あぁぁ・・・・・・!」

こんな風にされると、女体のツボを抉られるような甘い痺れが下半身いっぱいに広がっていくのか、妻の口から、快感が急激に昂じてくる時の叫びがあがり、身体を浮き上がらせようとします。

(女性の陰核の快感が、異様に強いことはわかっている。そこを舌先で愛撫されると、もう抗おうとする意思はすべて掻き消えて、男に支配されるまま、ただひたすら絶頂に向かって昇りつめていきたいと願ってしまうのだろう)

狂おしげに股間をよじっている妻の姿を見ていると・・・

『こんなこと続ければ、妻の関心が別の男に移っていくだけですよ』

南さんが言った言葉が、ずっしりと私の胸に圧しかかってきます。

そのうち、ひとしきり妻の股間に唇を這わせていた南さんが、体を起き上がらせ、妻に囁きかけますが、流石に、そのことを心得ていて、フェラを要求しません。

「理香さんも、そろそろ欲しいんでしょ?ご主人の前で気が引けるでしょうが、私のものも馴染むようにしていただけませんか?」

「うぅ~ん、もう、こんなになってるのに・・・・・・これ以上、大きくなるとこわいわ」

「男は、みんな・・・・・・好きな女性の手で弄ってもらうのが嬉しいんですよ」

「そ・・・う?ちょっと、待ってね」

いそいそと、南さんの下半身の方へ体を寄せていく妻・・・・・・

その裸身が、適当に足を開いた南さんの股間に入ると、妻の姿勢が私から見て後ろ向きになります。

ひざまずき、前屈みになっていく後ろ姿を見ていると、お尻の谷間に色づく縦長の経線が目に入ってきます。

長い間待ち望んでいたことがもうすぐ我が身に施され、先程をはるかに凌ぐ悦びを期待しているのか・・・・・・

そのぷっくりした切れ込みが息づいて、嬉々としているように見えてしまう。

男の印を手にした妻が、緩やかな上下の動きをフレナムに加え始めました。

まるで、これから自分の中に押し入ってくるものを愛おしむように・・・・・・

愛しい男に言われたことともなると、夢中になってしまうのか、

後ろにいる私のことなど、全く思いの中に入っていないようです。

もし何か、妻が思い浮かべるものがあるとすれば、それは・・・

今、手にしているものを我が身に迎え入れ、体をくねらせている自分の姿だけなのでしょう。

丸めた手指を動かす度に、茎と一線を画すグランスの彫が深くなっていく。

次第に硬さを増す肉茎と、妖しい艶を帯び、赤黒く張り詰めていく亀頭・・・・・・

(あぁ・・・・・・もうすぐ、あれが理香の中に・・・・・・・・)

次第に猛々しくなっていく他人の勃起が私の目の先で誇示されると、

流石に胸が押し潰されそうな気持ちになってきます。

やがて、南さんが膝を折り曲げ、股間を目いっぱいに開きながら、下腹部を陰所に近づけていく。

自分の方へ覆いかぶさってくる南さんを下から見上げる妻の視線も、心もち潤んでいる。

「挿れますよ。いいですか?」

「いいゎ・・・」

理香が、ぽっつりとつぶやいた。

二人の恥態を眺めている私の位置は、ベッドのやや斜め後ろ・・・

この位置からでは、南さんが上体を起こしている限り、逞しい上半身だけが際立って殆んど何も見えません。

それでも、南さんが妻の腰脇に手をついて上体を前に傾けていくと、股間の隙間から、膨れあがった睾丸とそこに根を張る陰茎、それに女陰の一部が見えてきます。

南さんが、片手で肉茎の角度を整えながら、大きく張り詰めた亀頭をゆっくりと秘口に宛がっていく・・・・・・

すると、妻もその緩慢な動きに応え、膣口で感じるものを迎え入れようと僅かに腰を浮かせる・・・・・・

傍で佇む私に、「しっかり、手を握っていて・・・」と囁いたのは、かなり以前のことだ。

潤んだような眼差しで、私の許しを求めてきた姿も今は無い。

(愛しい男に抱かれ、ましてや、夫がそのことを望んでいるとなると、すべての恥じらいが消えてしまって、夫への背徳を自責する気持ちなんて、これっぽっちも残っていないのだろう)

やおら、南さんがギュンと反り返った強張りを突き出していくと・・・

理香が、小さくひとつ、切ない音色の喘ぎを洩らした・・・・・・

「やっ、あぁっ・・・・・・う・・・くぅぅ・・・」

声にならないような喘ぎを聞けば、強張りがゆっくりと膣口を押し開き、奥深いところにまで達したことは容易に想像できます。

(この、入ってくる瞬間・・・もどかしさを覚えていたところに、やっと待ち焦がれていたものが届いた感じ・・・それこそが、妻が待ち望んでいた瞬間なのかもしれない)

「あぁ・・・動かないで、そのままじっとしててっ」

私の目には、南さんの背中にしがみつこうとする妻の手が、泣きたいほどの幸せを訴えているように映ります。

そのように繋がったままでじっと動きを止めているのは、これから始まる交わりで、我を忘れてしまうのが嫌なのでしょう。

相愛の男性と体を一つにする歓び・・・・・・じんわり伝わってくる肌の温もり・・・・・・

陶酔の時が、つかの間であってほしくないと願っても当然です。

「理香さん、もうちょっとだけ、つながりを深くしましょう。じっと、そのままでいてくださいね」

南さんが、妻の体の奥深いところまで、じわじわ茎の先を滑らせていく。

苦しいほどの大きさのそれも、幾多の悦びを知った妻の性器は徐々に受け入れてしまう。

「はぁ・・・・・・ん入ってくる~ぅ・・・おっ、おっきい・・・・・・んくっ、あぁぁ・・・」

胎内に収めきってしまった肉茎に圧倒的な量感を感じるのか、妻が、苦痛混じりの喘ぎを漏らしました。

「大丈夫ですよ。もう、ほとんど入りましたから」

「はあぁ・・・・・・はっ、はぁ~・・・」

一つに結ばれた相手を確かめるように、体を起き上がらせ、両手を伸ばして南さんの肩を抱きしめる理香・・・・・・

口を半開きにしながら、熱い喘ぎを繰り返しています。

しかし、程なく、大きく広げられた両脚の中心に向かって南さんの抽送が始まると、しばらくの間はその動きに耐えることができますが、

そのうち、肉茎の絶妙な抉りに官能を掻き立てられると、首を左右に振りながら喘ぎ始めます。

「ぅう~ん・・・・・・あぁ・・・ぁ、南さん、いぃ・・・・・・」

南さんの体の陰に隠れて、私が眺めている位置から二人の交わりの接点を見るのは不可能ですが、

妻が、極端に両脚を開かれた姿勢を気にも留めず、抽送の動きに合わせるようにしているのを見れば、

肉茎を少しでも深く受け入れようとしていることがわかります。

そのうち、体の奥深いところから蕩けるような快感が湧いてくるのか、腰がひとりでによがりはじめていく・・・・・・

こんな妻の姿を眺めていると、自然と私も、じ~っと息を潜めていることが多くなってきて、時々、大きく息を吸い込みます。

「ああ・・・っ、だ、だめぇ・・・・・・体がおかしくなっちゃう・・・」

(女体の深奥はよくわからないが、あんな風に腰をくねらせてしまうのは、今味わっている快感が凄すぎて、さらなる高みへ昇るのが怖いのだろうか?それとも、今のそれよりもう少しだけ・・・より、甘美な快感が駆けあがってくるのを待っているのだろうか?)

イギリスの思想家、サティッシュ・・・クマールの言葉に因れば、「もっと心地よく・・・・・・もっと満足したい・・・」という人間の利便性追求には限りがなく、その欲望の起こりは、すべてエゴにあるらしい。

セックスにおいても、まったく同じように思える。

想像する限りですが、自分の意志では抗い難い快感が膣内に広がると、一度、堰を切った快楽のうねりはもう止められず、腰を合わせる度に、とろけるような心地よさが全身を覆っていく・・・・・・

するとまた、より強い刺激への渇望のエゴが湧いてくるのでしょう。

こんな風に、男の刺突に喘いでいる妻の姿を目にしていると、これまでだったら、狂おしいばかりの嫉妬、胸が押し潰されるような圧迫感を覚えたものですが、今夜は、南さんが、“夫”であることを、何度も自分に言い聞かせている所為でしょうか、思っていたよりもすんなりと、妻の恥態を受け入れることができます。

【白い痕跡】

初めに、お許しをいただきたいのですが、前章から此処に至るまで中途のことは割愛して・・・

と言うのは、妻が、私とは全てが異なる他人から施された射精・・・・・・

長い間、持ち望んでいたことが現実になり、私の目の前でなされた最終行為は、強烈過ぎるインパクトをもって私の心に焼きつきました。

確か、途中、体位を変えたぐらいのことは覚えていますが、傍で見ていた私が興奮し過ぎたせいなのでしょうが、そこに至るまでのことをはっきりと覚えていないのです。

それに、私がこの件を書いているのは、その日から二週間ばかり経ってからです。

めくるめく興奮も日が経てば冷めてきて、その時の場面も色あせてきます。

とにかく、これまでよく似たことを経験してきて、その都度、妻が異なる音色を奏でてくれることも嬉しかったのですが、愛する妻の秘口から零れ堕ちる他人の精液を目にした時の興奮は、これまでの比ではありませんでした。

その後の部屋の中の場面を辿っていきますが、此処に至るまで、当事者たちと傍観者との会話は全くなく、私は、蚊帳の外から見守るばかりです。

セックスとは、本来、心を許し合う男女が体を一つにして情けを交わすものですから、第三者がこうなってしまうのもやむを得ないのでしょう。

このような状態になることは、予め、自分でも予想できたことで、恨みがましいことを言うつもりはありませんが、それでも一抹の淋しいものがあります。

(淫らな女になりきってほしいと妻に言いきったのだから、未練がましいことを言えた筋合いじゃないが、せめて、形ばかりの言葉でいいから、戸籍上の夫に声をかけてほしい・・)

そう願いながらも、男に身を委ね、ただ、ひたすら耐えるしかない受け身の性のことを思えば、そんなところにまで思いが及ばなくても当然かもしれないと思い直します。

(昔、ふと立ち寄った辻角の本屋で立ち読みしたことがある。その本の内容通りだとすれば、女性がセックス時に感じる幸せは、結ばれている相手からのみ感じるもので、本能的に、他者による支配や所有は拒絶したくなるらしい。そう考えれば、妻が悦びの最中に、私のことなど思い出すはずがないのだ)

性交という生殖行為の最後に行きつくところ・・・

それは、必然的に、結ばれている男の精を受け入れること。

ぴったりと体を重ね、男の貫きに身をまかせながら、頂に昇りつめていこうとする妻・・・

正常位なので腰を打ち付ける音こそ聞こえませんが、鈍い白色灯の下で、切ない喘ぎだけが聞こえてきます。

「はっ、あぁ・・・・・・んっ、すっごく・・・いぃ・・・・・・っ」

「そんな風に言ってくれると嬉しいですね。でも、もっとよくしてほしいんでしょ?」

「んくうぅ・・・・・・そう、してぇ~」

大きく開かれた妻の股間に動きを刻む南さんの肉茎が激しさを加え、その刺突の回数を増やしていくと、交わりも佳境に入ってきます。

「あぁぁ・・・・・・やっ、こんなの、いやぁ・・・・・・!」

今、感じているものよりも更なる高みへ辿りつきたいと、ぬめった襞で男のものを絞め上げていくと、極めつけの・・・・・・予想を超える快感が生まれるのでしょう。

口から出てくる言葉とは裏腹に、理香が、オルガスムスへ昇りつめていく。

「小野さん、そんな所におられないで、こちらへ来られたらどうですか?遠慮されずに」

私を労わる優しい声が、南さんから届いた。

私が近くに来るのを待っていた南さんが、枕を妻の背中に押しあてる。

そして、折れ曲がったひざの間に肘を立てると、そのまま、体を前につんのめらせていく・・・・・・

こんな格好になると、結ばれている男女の性器が丸見えになります。

十分な溜めをつくり、斜め下に向かって打ち込まれる剛茎・・・

「ああぁ・・・・・・っ、ちょ、ちょっと待って・・・・・・っ、そんな風にされたら・・・」

南さんが、妻の言葉などお構いなしに、律動の合間に大きく抉るような抽送を繰り返していくと、否が応にも官能が増していく。

急激に高まる快感をこらえきれなくなった妻は顏を左右に振っていますが、南さんの動きから察すると、そのまま絶頂を迎えることはまだ許されないようです。

南さんが、さらに力強く男根を突き込んでいく。

すると、妻が、もはや耐えきれないとばかりに「だめっ!」と叫び、南さんにしがみつく。

際限なく沸き立つ甘美な快感・・・・・・宙に浮いた両脚が揺れている。

「理香さん、ここに来て心変わりはないでしょうが、一応、念のために・・・

本当にいいんですね?このまま中に出しても」

「あぁ・・・ぁいいの・・・出してっ、そのまま、出してぇ・・・・・・!」

「どの辺りか、ちゃんと言ってくれなくちゃ」

「奥の、奥の方の感じるところでぇ・・・・・・ぁあぁぁ・・・・・・そこ」

「理香さん、ご主人が傍にいるのに、そんなに感じてしまっていいんですか?」

「あぁ・・・・・・っ、あなた、わたし、もうだめ・・・いっちゃう、イッちゃう─ぅっ!」

妻はすぐ傍にいる私のことなどお構いなしに、淫らな言葉を口にした。

それほど、上せあがっているのだ。

それに、“あなた”とは、いつも聞き慣れた言葉だけに、私のことを指しているのだと思いたいが、深く折り曲げられた体を男に預けて、喜悦を届けてくれる男の貫きを余すところなく受け入れている姿を見ていると、そうではないように思えます。

体の奥にズンとこたえる貫きが、ゾクゾクした怖気混じりの快感を運んでくると、夢中でシーツを掴んでしまう。

こんな風に、頭も体も快感一色に塗りつぶされると、このまま絶頂が続くこと以外、何も考えられなくなってしまうのでしょう。

「あぁ・・・ぁ~ください・・・・・・お願い、もう出してぇ・・・」

快楽と哀願が入り混じった切羽づまった声・・・・・・

私の耳には、その声が絶頂を嚥下しているように聞こえます。

(あぁ・・・そんなに感じてしまって・・・・・・恋火を燃やす男から受ける貫きは、それほど極まりないものなのか・・)

よくよく、自制しているつもりなのに、妻のこんな言葉を聞くと恨めしくなってきます。

そのうち、妻の上体がピクっ、ピクっと震えだし、まるで酸欠状態に陥ったかのように、唇がわなわなと震えてくる。

私が、今まで妻に与えることの出来なかった愉悦・・・・・・妻は今、自分を貫いている男からそれを感じているのだ。

この甘苦しい至福のひと時が続くためなら、私は今、どんな大きな代償をも惜しまないでしょう。

「ああぁ・・・っもう、だめぇ・・・・・・!お願い、早く出して~ぇ・・・」

妻が、射精を求める言葉を叫んだ。

きっと妻にも、南さんが全精力を込めてスラストしていることから、程なく射精の瞬間を迎えることがわかるのでしょう。

その言葉を聞いた南さんが、妻の名前を呼びながら、怒張したものをひとしきり激しく熔濘の中に打ち込んでいく・・・

(もうすぐだ・・・寸時の後に、私のものとは全くかけ離れたDNAをもつ精液が、妻の膣奥深く放たれるのだ。そして、それを妻は・・・・・・悦びの極みの中で、受け入れてしまうのだ・・)

「あぁ~・・・もう、我慢できない」

「ああ・・・・・・ぁっ・・・・・・きて、きてっ・・・いっぱい出してぇ・・・・・・!」

南さんが、妻の下半身を押し潰すように、ぐうっと、ひと際深く腰を入れた。

気が遠くなるほどの快感で、数度に及ぶ絶頂を余儀なくされた女陰が、ほぼ、すべてを収めきり、受精モードに入っていく。

「あぁ・・・ぁっ・・・・・・あぁぁ・・・」

その刹那、妻が歓喜とも困惑ともつかない窮境の声をあげた。

のど奥から洩れるその声が、強張りが最奥まで届いたのを伝える声なのか、あるいは、数限りなく擦り上げられた膣奥にどっと熱いものがあふれ出るのを感じた声なのか、男の私にはわからない。

初めて、近くで目にする他人の射精・・・・・・

艶めかしいフレームに収まったものが、じっと動きを止める。

ビクっ、ビクっ・・・・・・陰茎の裏が特有の収縮を繰り返すと、海綿体を伝う管が時に太くなる。

(私が求めてやまなかったものが、あぁ・・・ここから理香の膣内に・・・・・・放心のひと時・・・・・・頭の芯が痺れるような真空の時間・・・・・)

「さぁ、小野さん、これが見たかったんでしょ?ゆっくりと抜きますから」

(はっ、はぁ・・・・・・もうすぐこの後に、私が待ち望んでいた光景が・・・・・)

不承ながらも、私の申し出を受け入れてくれた妻に対して、今の私ができることと言えば、胸が張り裂けそうなほどの想いで、他人が果てた残痕を見つめることしかないのです。

息を殺し、その秘口から吐精の滴りが尾を引くことを予想しながら、結合部をじっと見入る。

筋を際立たせた強張りが、そろそろと引き抜かれていく・・・・・・

次第に茎の全長が露わになってきて、最後に大きく張り詰めた亀頭が現れた。

媚肉の合わせ目が、広がっているのがはっきり見て取れる。

その間にできた小さな穿ちを食い入るように眺めていたが、暫くは何の兆しもない。

やがて、南さんに促されて妻が背中を起こすと、下向き加減の秘口から、丸みを帯びた滴りが垂れ落ちてきた。

小さく穿たれた秘孔から、一筋、緩やかな尾を引きながら垂れ落ちる他人の精液・・・・・・

これまで幾夜も睦み合い、愛着のほど計り知れないものが、完膚なきまでに壊された証だ。

私の興奮は頂点に達しています。

胸が切り裂かれるような現実を目の当たりにして、本音を言えば、もっと真近に行って妻の秘所を大きく広げてみたいほどです。

しかし、そんなことはいくら夫婦と言っても憚り多く、できることではありません。

南さんにしても、そんなことをして妻にそっぽを向かれ、想われ人の特権をふいにするのは、ご免こうむりたいに決まっています。

そのうち、南さんが妻の耳元でそっとささやいた。

「さぁ、理香さん、ご主人が待ち望んでいたものですよ。貴女も見てあげなくちゃ」

南さんに促された妻が、荒い息を次ぎながら、視線の先を自分の股間に向けますが・・・

その目は虚ろで、そんなこと、どうでもいいように思っている風に見えます。

まるで、自分の体液の一部が流れ出ただけと言わんばかりに・・・

私にとっては、胸を掻き毟られるほどに狂おしい痕跡ですが、妻にとっては自分を慈しんでくれた印なのです。

我が身に随喜をもたらしてくれた愛しい男の体液を、妻が自分のものと思っても不思議ではないのでしょう。

今、この時ばかりは、互いの思いが大きく乖離していることは間違いなさそうです。

(ああ・・・・・・これが、私の待ち望んでいたことだったのだ・・・・・・妻に、気が遠くなるほどの悦びをもたらした他人の精液・・・それを、おまえは恍惚の悦びの中で受け入れたのか?私のものとは似ても似つかぬ体液が、一旦、おまえの体の中に沁み込んだとなると、最早、私と他人を識別するものは、何もない・・・・・)

妻が随分と遠くへ行ってしまったような気がして心が痛みますが、この感情の中には決して後悔の気持ちは含まれてはいません。

私は、垂れ落ちた白い跡形を見つめながら、妻と他人の間で行われた、金輪際、消すことが出来ない事実を噛みしめていました。

しばらくは、息が詰まるほどの極度の興奮に見舞われましたが、崩悦の訪れは意外に早く、歓びは徐々に遠ざかっていきます。

その刹那、胸が押し潰されるほどの興奮を覚えたものが、あれほど、狂おしい思いを込めて見届けたものが・・・

今は単なる残渣にしか思えない。

決して、想いが叶った満足感や本懐を遂げた成就感なんてものはありません。

今私の心に溢れるものは、これまで大切に温めてきたものを失ってしまったという喪失感、そして、妻にポツンと見捨てられたような疎外感、それでいて、妻に対する溢れんばかりの愛しさなのです。

頭の中で、このようなことを思っている間も、心地よい脱力感に身を委ね、退廃的な妖しさを漂わせている妻の姿が目に入ってきます。

俗に、「去る者は、日々に疎し」と言われますが、今この時、二人の傍に呆けたようにしゃがみ込んでいる私は、間違いなく妻から遠ざけられ、そして、疎まれているように思えます。

今風の言葉で言えば、妻にとって今の私は“ウザい”存在なのだ。

欣幸のひと時が過ぎ去り、部屋の中に静寂が訪れますが、二人は猶も、火照った体を癒し合うように抱き合っています。

微かな言葉を交わしながらの抱擁には、悦びを共有した者だけがもつ気やすさがあふれていますが、私は、そんな二人の姿を見ても、何だか、燃え尽きてしまったような感じで、全く嫉妬を覚えません。

とりわけ、南さんに対しては、寛大な気持ちになれます。極端に言えば、感謝の気持ちすら覚えてしまうのです。

(この前、私が、南さんに言った言葉・・・・・・「あなただったら、『どうぞ、お好きなように・・・・』って言っても構わないような気がしてきますから不思議ですね」こんな思いの延長線上に、今の思いがあるのかもしれない)

【ほろ苦い酒】

「理香さん、そんな風にしていると、体が冷えますよ。一緒に、お風呂に入りましょう」

歓喜の後に気怠さが訪れてくるのは、男女とも同じなのでしょう。

二人が連れだって、バスルームに消えていきます。

私はすることもなく、しばらく一人でぼんやりしていましたが、そのうち、再び三人の顏が揃うと、部屋の中に重苦しい雰囲気が充満します。

南さんとは、お互いがそう思っているように気楽に話せそうなのですが、いざ、妻に対してとなると・・・

遠慮、気遣い、わだかまり等何だか躊躇われるものがあって・・・・・・気軽に話しかけられないのです。

こうして、一つの部屋に男女三人が籠りっきりになると、都合が悪いことが少なからずあるように思えます。

一つは、温泉場だったら室内がゆったりとしていて、そんなこともないのでしょうが、狭いホテルの小部屋では、この息づまるような空間から逃げ出したいと思っても、適当なスペースがないということです。

それから、もう一つ、三人一緒ってのもどうも・・・・・・何をするにしても、具合が悪い。

この部屋の中にはもう一人、妻が思いを寄せる男性がいるのですから、妻の心中を思うと、今しがた目にしたことをあからさまに尋ねる訳にもいきません。

いつもだったら、「想いが叶って、本望だろ?」と、皮肉交じりの言葉を投げかけたいところですが、南さんの前で旦那風を吹かして、妻を揶揄することは躊躇われます。

気拙さを振り払うために、冷蔵庫からビールを取り出して、テーブルを囲みます。

時たま、降ってくる南さんの問いかけにも、うつむき加減で答える妻・・・・・・

南さんの傍らに寄り添ったまま、私と目が合うことを避けるかのように、視線の先をあらぬ方に向けています。

風呂上りで幾分上気したうなじまで、どことなく、いつもと違って見える。

私と言葉を交わそうとしない妻の胸中を察するに・・・

私が思っているのと同じように、私に話しかけたいことがあってもためらいがちに遠慮しているのだろうか?

それとも、まだ夜は長いのだ。

この後も抱かれるに決まっている男性と二人きりになれる時を心待ちにしているのだろうか?

前者の方であってほしいと願いますが、その心の中までは読めません。

部屋の中で、時折、ぽつり、ぽつりと、思い出したような会話が行き交いますが、それが交わされるのは南さんと妻の間だけで、たまらなくなった私は、二人の話に割って入ります。

「どうですか?もう少し、飲みましょうか?」

「いえ、これ以上飲んで、酔った勢いでというのは、奥さんはもちろん、貴方も望んでおられないでしょう?」

すぐさま、南さんから明確な返事が返ってきた。

如何にも、回りくどいことを好まない南さんらしい歯切れの良さだ。

(確かにその通りだ。しかし、この重苦しい雰囲気がずっとこのまま続くことには耐えられそうもない。やっぱり、ここは、私の方から何か切り出して・・・私の求めに応えてくれた妻に対して、例え、二言、三言でも、労わりの声をかけなければ・・)

「理香、大丈夫?体の方・・・」

「う~ん、何とか、もどったみたい・・・」

「かなり、乱れていたようだけど、あまり無理をするなよ。次があるんだから・・・」

「・・・」

「どうした?急に黙りこくって・・・・・・気持ち良すぎて、舌が回らなくなったか?」

「そんなこと訊かなくても、ちゃんと見てたんでしょ?」

「見てるだけじゃわからないこともあるからな。はっきり、言ったらどうだ?“純生”がよかったって」

「そんなこと、聞きたいの?南さんの前で・・・」

「南さんだって、おまえの本音を聞きたいと思ってるさ」

「私のことでしたら、別に構いませんよ」

「じゃ、言ってあげる。何だか、中の方が温かくなってきて、とっても気持ちよかったわ・・・」

「ひょっとして、ピル飲んでなくても中に出してもらいたいって思ったほどじゃないのか?」

「そうよ。この前言ったこと、もう、どうでもいいように思えてきたから・・・・・・あなたもよかったんでしょう?思いが叶って・・・」

「あぁ、存分に愉しんだよ。今までにないおまえの姿を見させてもらったから」

「まあ、まぁ、その辺りにして・・・こうして、三人そろって、以前と同じ時を迎えられたんですから、そのことに乾杯しましょうか?」

妻との会話が長続きしないのを見かねた南さんが、取りなしてくれます。

重苦しい雰囲気を振り払おうと、無理して妻に声をかけてみたが、取って付けたような上辺だけの優しさが、妻の心に響く訳がない。

これは私の横恋慕なのであって、妻にとって今夜の私は、無視されても仕方がない赤の他人なのだ。

しばらくすると、ドアをノックする音が聞こえてルームサービスの軽食が届きますが、口にする果物の甘みが足らないような気がします。

「先ほどは、どうも・・・・・・いい思いをさせていただきました。こんなこと、貴方に言うまでもありませんが、奥さんが素敵な女性だってことが改めてわかりましたよ」

「そのお礼は、妻に対して言った方がいいでしょう。随分と、貴方のことが気に入っているようですから」

「でも、貴方だからこそ、恥ずかしさを捨てても構わないって思ったんじゃないですか?」

「そうですかねぇ?ご本人に聞いてみないと」

「理香さん、ご主人に言ってあげたらどうですか?やっぱり、あなたの方がいいって・・・・?」

「二人して、私を困らせたいのね。そんな意地悪言って・・・・・・でも、今夜はわたし、ずっと南さんと一緒よ・・・」

こんな妻の言葉を聞いていると、この後、確実に待っている二度目の交わりのことが頭に思い浮かんできて、不安こそありませんが、胸が塞がれたような重苦しさを覚えます。

どうも、こうして三人一緒にいても・・・

何だか、余り親しくない知人の家に止む無く泊ったような感じで、居心地が良かろうはずがない。

(二人にとって、私の前では話しづらいこともあるだろうし、私にしても、二人が仲睦まじくしている姿をこれ以上見たくない。ここは、アルコールの力を借りて、頭を麻痺させてしまうに限る)

「南さん、妻が思っているように、今夜は私、あなた方にとって他人ですので、好きなようにさせていただけませんか?ちょっと、下へ行って飲んできたいのですが」

「そうですか?そんな気持ちになるのも当然でしょうから、無理に引き留めはしませんが・・・何時頃戻ってこられます?キーをお渡しておきますから」

「多分、十一時過ぎになるかな?そんなに、深酒するつもりはありませんから」

二人が私の存在を気にせず、心ゆくまで過ごせるように、私は妻への未練を断ち切りながら部屋を出た。

ホテルの二階にあるバーに行って、一人でカウンターに座る。

「何に、なさいます?」・・・・・・声をかけてきたママの言葉が耳に優しく響きますが、胸に渦巻く狂おしい想いを静めるには至りません。

冷酒のグラスをじっと見つめていると、先程まで部屋の中で繰り広げられていた淫らな光景が断片的に思い浮かんできます。

私が読んだ“物の本”には、「男の欲望は、一体化と所有を最終目標とする」と書かれていた。

その通りだとすれば、男のセックスは、女の体に所有者としての刻印を刻むことになる。

そして、この論理を対極の性に当てはめれば、女性のセックスは所有されることに悦びを覚えなければならない。

しかし、都合の悪いことにそれは複雑極まりなく、このまま死んでもいいと思うほどの快感から、二度と思い出したくない嫌悪まで、限りなく深い感受性の広がりをもっているらしい。

いずれにせよ女性は、結ばれている男と一つになって、うっとりとなっている時に所有される幸せを感じるらしく、その思いの深さは、相手によって大きく左右されるようだ。

余り、喜ぶべきことではないが、妻の性感はとりわけ感度がいいのだろうか?

所有したいし、されてみたい・・・・・・それほど、南さんとは体の相性がぴったりなのだ。

それから、一つ、妻にわかってほしいことがある。

交わりの最中は当然ながら、交わりが終わった後も、私が妻に声をかけないのは、

もし、そんなことをすれば、妻の方が困ってしまうだろうと思うからだ。

確かに、二人が互いの距離を縮めてしまって、そこに私が割って入る隙間がないのも事実だが、それ以上に、妻のことが愛おしく思えるから、優しい言葉をかけられないのだ。

しかしながら、私のこの思いは、一方通行の片思いのようなもので、どんなに妻のことを思っても・・・

本人が舞い上がってしまっているのだから、私の沈黙が、愛しさに起因していることなんてわかろうはずがない。

歓びの風に吹き流されている間は、想いの矢印が、生活の匂いがする男の方へ向くなんてことはあり得ないのだ。

「一人で飲むのが、お好きですか?」

「えぇ・・・急に、飲みたくなっちゃって」

「でも、その割には、余りお酒がすすんでいないように見えますが」

カウンターの片隅で、ひっそり、グラスを傾けている私をママが気遣ってくれますが、気もそぞろに、思いは二人が籠る愛の部屋へ翔けていく・・・

相棒もおらず、一人で飲む酒のほろ苦さ・・・・・・あれこれ、物思いに耽っていると時間がたつのが思いのほか早い。

そろそろ切り上げ時だが、私が部屋を出てから一時間半は経っている。

私は、明日になればまた、これまで通りの夫婦に戻れるが、南さんにすれば一夜限りの契りなのだ。

彼に、そのことをお願いした際、

「何回でも、奥さんを抱かせていただいてよろしいのですね」

と念を押されたことを覚えているが、二度目の交わりが始まっていても別に不思議ではない。

明日の朝まで、妻は一体何回抱かれるのだろう?

先程から随分と・・・・・・これだけ気を揉んでしまうと、多分、明日の朝目覚めても、以前、隣室のドアから現れた妻の顏を見た時のような胸の震えは感じないだろう。

(自分で決めたことだから、仕方がない。さぁ、部屋に帰って・・・しばらく寝苦しいひと時を過ごすとするか。今の二人がどんな風になっているのか知らないが、二度目の行為が行われている覚悟だけはしておかなければならない)

私は足取りも重く、元妻がいる部屋へ向かいました。

ルームナンバー309・・・・・・部屋の番号を確かめる。この部屋が今の二人の閨室なのだ・・・

ベージュ色のドアが閉ざされて、来訪者の侵入を固く拒んでいるように見える。

部屋の前で足を止め、一呼吸整えてからカードを差し込む。

そっと履物を置き、絨毯が敷かれた床を足音が立たないようにして、ドア口のスペースを進んでいく室内灯の照度が落としてある。

最初に、私の耳に入って来たのは、低く、尾を引くように洩れる甘美な喘ぎ・・・・・・

部屋の中が、香水と体臭が混じりあったような甘い香りで満ちている。

ベッドが見えるところまで近づいていって眼をやると、妻がベッドに顔を伏せており、腰だけがあがっている。

そのお尻を、南さんが手元へ引き寄せています。

ほんのりした灯りの下で、腰骨をがっしりと掴まれ、ゆらゆら揺れる白い肢体・・・・・・

こんな光景を目にすると、前もって予想していたこととは言え、五感のいくつかを一度に襲ってきた衝撃は例えようもなく、私は、固唾を飲んで見守るばかりです。

淫らな艶を帯びた肉茎が、やや下向き加減の角度をとって、双丘の谷間に抜き差しされていく・・・

こんな南さんの姿を見ていると、二度目の交わりを私の帰りに合わせたのでは・・・・?と思ってしまいます。

私の帰りに気づいた妻の視線がチラリと私の方へ向けられましたが、無言のうちに顏が背けられ、すぐさま、その顔が髪の間に隠されていきました。

(こんな場面は、妻にとっても、初めてのはずだ。突然、侵入者が枕元に立ち、恥態のすべてがその目に晒されたのだから、少しくらい狼狽えてくれてもよさそうなものだが・・・・・)

「戻られましたか?悪いんですけど、好きなようにさせていただいています」

私の帰りに気づいた南さんから声が届くが、返す言葉もない。

(今夜は、お情けで“他人妻”の傍に居させてもらうのだ。何を言われても、この先どんなことが起ころうとも、文句は言えない)

【妻の所有権】

南さんが、妻のお尻を股間の方に引き寄せながら、ゆったりしたリズムでピストンを行っていく。

妻は腰に添えられた手が為すがまま、南さんに下半身を預けきっていますが、その表情が、何とも言えないほど気持ちよさそうに見えます。

私は、酔いが回ってきたせいもあって、隣のベッドに体を投げ出したい気分ですが、そんな横着なこともできません。

ベッドから少し離れた所にしゃがみ込みながら、二人の姿を見守るばかりです。

「いいんですよ、理香さん、そのままで・・・・・・ご主人が帰って来られたようですけど、気にしなくても」

「はっ、はぁ・・・ぁ・・・また、イっちゃいそう・・・」

愛しい男に言われるままに官能に身を預けていると、うっとりしてきて、ますます感じてしまうのでしょう。

元々、ずっと遡って、抱かれたい男の名を口にした時から、罪の意識や抵抗感なんてあろうはずもないが、今夜に限っては、すべての行為を受け入れてしまう。

「あぁ~ぁん、あぁ・・・・・・ぁいぃ・・・・・・っ」

体の奥底から湧きあがってくる快感を堪えきれずに、苦し紛れに洩らす喘ぎの声・・・・・・

そのうち、しなっていた腰が崩れて、下半身がベッドに沈みそうになりますが、南さんの両手がそれを許しません。

こんな風に、恍惚の表情で愉悦に浸っている妻の顏を見ていると、私も堪えられなくなってきて、行き場のない嫉妬と興奮が、そうさせるのでしょう。

手先が、自然に自分の股間の方に行ってしまいます。

そして、南さんのものが女陰に分け入っていく様に、手指の動きを合わせながら、同じリズムで慰め始めます。

(妻が、私のこの姿を見たら、どのように思うだろうか?夫を、そうせざるを得ない状態に追いやってしまったのは自分なのだと罪の意識をもつとは考えにくい。今は、官能の虜になっていて、私のことなど眼中にないだろうが、きっとそのうち、失望と蔑みの一瞥を送ってくることだろう。でも、例え、そうなったとしても構わない。妻が、自慰に耽る夫の姿を目にして、さらに妖しく心を震わせてくれるなら・・)

南さんが、緩やかな律動を送りながら妻に話しかける。

「理香さん、今どんなこと、思っているんですか?」

「気持ちよすぎて、あぁ・・・・・・何も考えられないの」

「どんな風にいいのか、教えてくれなくちゃ」

「体の芯が痺れてきて・・・もう、どんなことでもしてあげたくなるのん・・・・・・あぁ・・・いぃわ・・・・・・すっごくいぃ・・・・・・」

「どんなことでもしてくれるって本当ですか?どこかで部屋を借りれば、いつでもできますよ」

「いつでもなんて・・・・・・それは、だめぇ・・・」

「それじゃ、これから時々逢ってくれますか?」

「そんなこと、できっこない・・・もう、しゃべらないで・・・・・・このまま、ずっとこうしていたいの」

今はもう、他人に恥態を晒す羞恥、人倫を踏み外した行為への慄き、すべての煩いから解放されて、官能の赴くままに悦びを表す妻・・・・・・

否応なく湧いてくる甘美な快感が、妻の顔を淫らに染めていく・・・

南さんは、妻とのこんな会話を愉しむように、後ろからゆっくりとピストンをしていましたが、すでに何回かの絶頂を迎えた妻が、より刺激的なセックスを求めているのを感じたのでしょうか、やがて、緩やかな抽送の合間に荒々しい刺突を加えていきました。

「あぁ・・・っ、わたし、もう、だめ・・・ぇおかしくなっちゃう・・・」

時おり抉るように深く肉茎を突き込むと、膣奥が熱を帯びて締まってくるのがわかるのか、その蠢きに逆らうように、さらに勢いよく突き立てていく。

「いっ、いやぁぁぁ・・・・・・あぁっ・・・んんぁぁっ・・・・・・!」

情けない話ですが、私はこれまでの妻との営みから、数回浅く突いた後に深く抉るように押し込むリズムが、妻が一番感じるものだと思っていました。

しかし、今夜の妻の様子から、性感が極まった女には連続して突き立てる荒々しい刺突が、また別の感覚をもたらすことを思い知らされました。

そうこう思っている間にも、南さんが放つ手荒な抽送は止まりません。

体の芯を太い杭に貫かれるような圧迫感を覚えるのでしょうか、妻の眉根のしわが次第に険しくなってきます。

でも、半開きになった口元を見ていると、顏の表情とは裏腹に、熱く熔けた媚濘は男の貫きに否応なくうねり、存分に快感を貪っているように見えます。

(あぁ・・・そんな風にされると、おまえの体の奥からは熱いものがとめどなく溢れ出てくるだろうに・・・・・・・・・おまえの体に火をつけ、淫らな女に変えてしまったのはここにいる私なのだ。おまえが、すべてを忘れ、火照った体を悦びの坩堝に蕩かしたいと願っても是非もない・・)

「んん~っ、あっあぁ・・・・・・もう、だめぇっ、こんなの、続けられたら~っ!」

「また、イッちゃうんですか?これから、もっとヨクなると思いますが・・・でも、こっちも、理香さんのが気持ちよすぎて・・・」

(こんなに妻が感じてしまうということは、私がこの部屋に入ってくる前にも、別の体位で交わっていたに違いない。そうだとすると、南さんもそろそろ限界だろう)

妻自身も願っていることなので、「蹂躙」という言葉は相応しくありませんが、手ひどい刺突を悦びに変えてしまう妻の姿を目にしていると、私のものも滾ってきて・・・

これ以上は無理だというほどに擦りあげてしまいます。

「いいっ、いっ・・・・・・んぁっ、だめぇっ・・・また、いっちゃうぅ・・・・・・!」

南さんも、官能でとろけた媚肉の味わいに性感が急激に上昇していくのか、

欲情を漲らせた男根を突き込む速度を増していく。

その迫力に、かけがえのないものが壊されていくような気がして、息をするのが辛くなってくる・・・

「小野さん、もうすぐですから、貴方もいっしょに」

半端なものを淫している友人に目を向けた南さんが、声をかけてきた。

今まで、長時間の刺突に耐え続けてきた女体も、限界だったのでしょう。

更に、十数回の刺突の後・・・

始末に負えない快感が押し寄せた叫びがあがった。

「あぁぁ・・・・・・っひっ、ひ・・・・・・ィっ!」

妻の口から、極みに辿りついた刹那の悲鳴があがると同時に、南さんの両手が妻のお尻を引き寄せ、自分の股間にぴったり密着させます。

南さんのお尻が固く引き締まり、窄まっていく・・・・

そして、じっと動きを止め、僅かに引き抜いた後にさらに押し込む。

妻の膣内で、熱いものを噴走らせているのを想像するに充分です。

茎が見えないほどぴっちり嵌め込まれて、私ではない男によって為される射精・・・・・・

奥深いところが見えないだけに一層なまめかしさがつのり、男の肉茎を受け入れる時以上に、胸が締めつけられる思いがします。

私の目の前で、埋もれていた怒張が、“ひだ”を押し分けながらそろそろと抜き出されていく・・・

口を覗かせた、小さな秘孔・・・・・・

途方もない悦びを撒き散らしていたものが抜き去られていくと、妻の体がぐったりとベッドに沈んでいきます。

「はぁ、はっ、はぁぁ・・・」

男が放った精液を、柔らかな膣奥に留めながら余韻に浸る妻・・・・・・

(あぁ・・・・・・おまえは、その名残りをいつまでもそこに留めておきたいと願っているのか?そのままの姿勢でおれば、私のものとは全てが異なる体液が、おまえの体に溶け込んでしまうことがわかるだろうに・・・・・)

もう、妻が叫んだ卑猥な言葉を取り立てて、云々する気はありません。

思いを寄せる男と一つに結ばれ、夫の“手染め”とは別色に染め上げられる悦びは、格別のものなのだ。

貫きを受けた痕跡が顕わなのに、その徴が隠蔽された数秒・・・

それは、放たれたものを受け取った妻の悦びと同じくらい、私にとっても、体の芯が沸騰するかと思われるような数秒でした。

(さぁ、今度は俺の・・・・・・そこに馴染きった男の射精を受けとってくれ・・・)

私は、傍まで行って、限界に達した肉茎を思いきり引き絞り、想いの精を妻の背中に走らせました。

そのうち、妻の荒かった息が治まり、安息の吐息が漏れてきます。

ベッドに突っ伏しているその姿を見ていると、何だか、残り火を始末してくれるものを欲しがっているように見えてしまいます。

空白の時間が過ぎ去り、理香がバスルームに向かう。

先程とは違って、一人で浴室に入っていく妻の姿を見ていると、心を整理する時間を与えてあげようとする南さんの配慮を感じます。

しばらくすると、まだ私が一度も目にしたことがないインナーを身に着けた妻が浴室から戻ってきて、湯上りの髪を整えます。

そして、すっかり寝支度を整え終えると、南さんが待っているベッドに体をすべらせていく。

前夫であることを自分に言い聞かせている私にとっては、とてもつらい瞬間です。

南さんが待ち受けているところに体を寄せていく妻の仕草が、急ごしらえの夫婦ではなくて、堂に入っているように見えてしまう。

「小野さん、そんなソファベッドは止めて、こちらのベッドを使われたらどうですか?私たちは、ここで一緒に寝ますから」

「こんなところで意地を張ってもつまらないから、そうさせてもらいますか」

私が隣のベッドに身を横たえると、三人が二つのベッドに分かれて足を伸ばすことになりますが、妻を真ん中に「川」の字にしてくれたのは南さんの優しさなのです。

おそろいの枕を並べている二人の姿を見ていると、流石に三度目はなさそうに思えますが、手を伸ばせばすぐ届く距離に愛しい女性がいるのに、手を伸ばせない・・・

私に背を向けて南さんと抱き合っている妻の寝姿を見ていると、胸が押し潰されそうなほどの苦しさを覚えます。

これは、その場を迎えた者だけにしかわからない苦しさで、お酒が入っているものの、とても“白川夜船”なんて気にはなれません。

あり余るほどの思いが胸に溢れ、語りかけたいことも山ほどあるのに、それを表すことができないのです。

こんなに仲睦まじい二人を隣にすると、別に聞き耳を立てている訳ではありませんが、二人が交わす小声の会話が妙に耳につき、何だか、自分の心を鍛えるための修行を積まされているような気さえしてきます。

時折、南さんの手が妻のお尻の方に回ってくるのも気になります。

そして、それ以上に、妻の手がそれをそっと抑えているのはもっと気になります。

私の僻みのせいなのでしょうが、その手の重なりが、南さんの手の動きを止めるためのものではなくて、火照ったところを手当てしてもらうお礼のように見えてしまう。

こんな経験は初めてで、流石に寝つけません。

交わりはつかの間ですが、一夜ずっと抱きしめて・・・・となると、妻の所有意識がはたらき、何だか既得権を奪われたようで、交わりの最中を凌駕した焼け付くような嫉妬を覚えます。

きっと、夫婦関係と言うのは、ある程度の独占欲があってこそなり立つ関係なのでしょう。

(こんな二人の間に割って入って、言葉を投げかける勇気なんてとても無い。朝までまんじりと、時が過ぎるのを待つだけだ)

胸の動悸をゆっくりした呼吸で抑え、苦しさに耐える私を他所に、隣では小声での夫婦の会話が始まります。

「隣にいるご主人に、話したいこともあるんでしょ?」

「あっても、今は嫌っ・・・」

「どうですか?理香さんさえよければこれから隣へ行って、ご主人を慰めてあげても構いませんよ」

「そんなこと、言わないで。ねっ、このままじっと・・・・・・朝まで抱いていて」

「そう、していてあげますけど、どうせ、朝になったら離れていくんでしょ?さっきも言ったように、また逢ってもらえますか?」

「だって、隣にいる人の前で、うんなんて言えないわ。南さんも、奥様が待ってるんでしょ?」

枕を並べてこんな話をしている二人の姿を見ていると、その話に割り込んで、

「腕枕をしてもらえよ。そうすると、ぐっすり眠れるんだろ?」

と、一言、言ってみたい衝動に駆られますが、喉元まで出てきた言葉をぐっと飲み込みます。

それからもしばらく小声の会話が続き、胸が掻きむしられるような想いに苛まれましたが、慣れない部屋での寝泊まりの上、夕方からの気疲れが拍車をかけたのか、私は瞼が重くなり、そのうち、睡魔に引きずり込まれるようにうとうととなっていきました。

【小さな喘ぎ】

朝方になって、別に、表通りがうるさくなってきた訳ではありませんが、どことなく妙な気配を感じます。

隣のベッドで、何やら、もそもそ動き出したような・・・・・・時計の針を見ると、まだ朝の六時ちょっと前です。

眠ったふりをしている耳に、小声が聞こえてきます。

「そのままにしておきますか、それとも、起こしましょうか?」

「困るわ。そんなこと、訊かれても」

薄目を開けて見ていると、妻が、隣のベッドで南さんに抱きすくめられながら、こちらの方を振り返っています。

「困るわ」というその言葉遣いから察するに、再び抱かれることには戸惑いはなさそうですが、私に悟られないままに、事を済まそうかどうか迷っているように思えます。

(じっとこのまま、狸根入りを装うか?でも、それでは・・・・?南さんは、誠意をもって妻を愛してくれた。そして、妻も私の期待に応えてくれた。このまま寝たふりなんて、やってできないことはなかろうが、そんなことをすれば後で自分が後悔するだけだ)

私は、布団を押し払って起き上がり、二人に声をかけます。

「お早いですね。あっ、別に気にしなくていいですよ。そのまま、続けていただいて」

「やっと、お目覚めですか?でも、そんな風に言われるとつらいなあ。奥さんの気持ちも、私以上だと思いますが」

「そんなこと気にせず、なさってください。せめてものお礼ですから」

「ですが、日付けが変わったんですよ。“一夜だけ”っていう約束だったと思いますが」

「ですけど、“何回でも”っていうのも約束だったでしょ?理香、別に構わないだろ?」

「いいわ。好きなようにしていただいて・・・」

この後、妻は南さんと三回目の関係をもった。もう、目を釘付けにして見入るような気は起こらない。

しばらくすれば、妻が自分のところへ戻ってくるという安心感がそうさせるのか、ゆったりとした気持ちで眺めることができます。

昨夜と違っていたのは、妻が、「わたしの言うことも聞いてね」と南さんに頼んで、交わりを側臥位にしてもらったこと、それに、ゴムつきのセックスを求めたことだけだ。

隣のベッドで、南さんが妻の後ろに腰を持っていく・・・・・・こんな姿勢になると、妻の背後の動きが全くわかりません。

(もしかして、私が寝入っている間にも、二人だけが知っている何かがあったのでは・・・?)

一瞬、何の根拠もない猜疑が頭を過りますが、その疑心を打ち消すように、私も横寝になって妻と向き合います。

これで、南さんの抽送の様子はわからなくても、それを受け入れる妻の表情の全てを眺めることができます。

横寝の姿勢で、互いに顏を合わせ、じっと見つめ合う。

幾分、距離が離れているものの、たまに行う私たちのセックスの時と同じだ。

悦びを届けてくれる相手が変わっても、程度の差こそあれ、妻のセックス時の表情に変わりはありません。

南さんの抽送が始まると顏の表情がうっとりとなってきて、速さが加わってくると多少その顔が歪んできますが、今朝は声には出さず、じっとこらえています。

南さんから送られてくる腰の動きに応えているのは疑うべくもないのですが、

胸元で小さく手を合わせ、両膝は固く閉じられたままです。

でも、そのうち感じてきて、乱れてしまいそうな妻・・・・・・

悦びが高まってくると、目元を歪ませながら懸命にこらえています。

「あぁ・・・・・・ぁん、ぁん、ぁん・・・」

こんな風に、喘ぎを押し殺している妻の表情を見ていると、可愛さ、健気さ、たまらない愛おしさが湧いてきて、思わず、胸元で微かに震えている両手を握ってあげたくなりますが、そんなことをすれば、返って妻の心を乱すだけです。

南さんのスラストを受けているうちに、甘美なものが否応なく湧き立ってくると、縋りつくような目で私を見つめる妻・・・・・・

しかし、切なげに送られてくるその眼差しは、私に許しを乞うたり、私を責めたりするものではなくて、ありのままの自分の姿を、しっかり見届けてほしいと願う妻の思いの表れであることがよくわかります。

久しぶりに、温かい眼差しを送ってくれた・・・

夫の顔が至近距離にあり、じっと見つめられているのだから、あからさまに喘ぐこともできない。

しかし、体の方は素直で、徐々に昂ぶっていく・・・・・・

すぐ傍に私さえいなかったら、体をよじって悦びの深さを表したいところでしょうが、

今の妻にできることと言えば、体が感じるままを、私の目を見つめることによって訴えることだけなのです。

じっと堪えているうちに、悦びがもうどうにもならないところまできているのでしょうが、眉根を寄せながら、それを押し隠す妻・・・・・・

(我慢なんかしなくていいんだ。もっと乱れてもいいのに・・)

こんな時、じっと耐えるしかないジェンダーを思うと、あまりに可哀そうで、切なくなってきます。

「ぁぁ・・・・・・あっ・・・!」

しかし、時おり、急激に襲ってくる快感を扱いかねて、苦し紛れに洩らすよがりの声・・・・・・

その中に、予想を超えた快感が押し寄せたサプライズがこもっている。

そのうち、交わりもフィニッシュを迎えます。

やっぱり、モーニングセックスは、昨夜のそれと比べるともう一つだったのでしょう。

私とじっと顔を突き合わせていたせいかもしれませんが、妻が昨夜以上に乱れることはありませんでした。

朝方の交わりで、私が驚いたこと・・・

それは、妻が南さんに、避妊具つきのセックスを求めたことです。

私からしてみれば、昨夜・・・・・・あれほど頑なまでに拒んでいた“最後の一線”の堰を切って、修復不能のところまで行ってしまったのですから、今さらゴムを付けなくてもいいように思えます。

しかし、前もって、自戒の一線を崩しても「その日だけ」と、固く心に決めていたのでしょう。

その後、私たちは下へ行って、バイキングの朝食をとりました。

三人が、それぞれ気ままな席を選んでテーブルにつきましたが、妻が選んだ席は昨夕、レストランで待ち合わせした時と同じ・・・・・・私の隣です。

朝食の合間に、私が南さんに話しかけます。

「うちのやつ、どこで習い覚えたのか知らないんですが、自家製味噌を作ってるんですよ」

「へぇ~そうですか?料理がお上手なのは知っていましたが、そこまで豆々しいんですか?」

「どう、理香?こんな味気ない味噌汁じゃなくて、もっとおいしいアサリの味噌汁、南さんに、つくってあげたいと思うだろ?」

「そうね・・・どうします?ほんとにそんな日がやってきたら」

「どうしますかって・・・本当にそんなことにでもなったら、今よりもっとお腹が出てきて、毎日遅刻しそうですよ」

「おい、おい、南さんの奥さんを追い出してしまうのか?それじゃ、その間だけ、俺がお相手させてもらうことにするか」

こんないい加減な会話が交わされていましたが、それもしばらくの間だけで、三人そろって無理していることは明らかです。

その後は、そんなに会話が弾むはずがなく、時おり思い出したような片言の会話が交わされるだけでした。

途中、妻がご飯のお代りを勧めてくれますが、尋ねる順序は南さんが先です。

こんな妻の姿を見ていると、心のスイッチを切り替えて私との生活モードに入ったことがわかります。

帰り際、男二人になった時、南さんがそっと私に言った。

「昨夜からずっと・・・・・・つらかったでしょ?」

「自分で蒔いた種ですから・・・・・・おかげ様で、これまでにない経験をさせてもらいました」

「でも、これくらいがちょうどいいんじゃないですか?こんなこと、頻繁に行ったら長続きしませんよ」

「長続き・」という言葉が、南さんと私の間柄を指しているのか、妻との関係を指しているのかわかりませんが、お腹がいっぱいになり、ゆったりとした気分になると、彼の言っていることが正しいように思えます。

「妻の方は、とても悦んでいたと思いますが・・・・・・おっしゃる通りかもしれませんね」

「あの後、奥さんから・・・・・・『昨夜と違ってごめんなさい』と言われた時、そう思ったのです。また、その気になったら声をかけてください。何より、貴方との仲を壊したくありませんから」

「私の方こそ・・・・・・また、これに懲りずによろしくお願いします」

「それから、前々から貴方に誘いかけていることですが、心が決まりましたらいつでもご連絡ください。何なら、先程の言葉通りにしていただいても構いませんよ」

「いや、決して、奥様のことが気に入らないという訳じゃないのですが・・・また、そのことについては、いつものところでお話しましょう」

この言葉を最後に、私たちは別れた。

【終わりに】

狭い小部屋で、三人一緒に過ごした半日・・・・・・それは、私の喜怒哀楽が激しく揺れ動いたひと時でした。

いろんな感情が湧いたり消えたりしましたが、それらの想いの中で私の心を大きく占めていたものを一つ挙げるとすれば、やっぱり嫉妬だったように思えます。

いくら自分の心を整え、わきまえたたつもりでいても、その場に臨めば、想像以上の狂おしいものが湧いてくるのです。

そして、それは、所有意識や信頼感など、相手への想いが強ければ強いほど抑えが利かなくなってきます。

妻との日々の生活では、どちらがリードしているのかわかりませんが、間違いなく歩調を合わせられるのですが、今回のような道ならぬ男女のことになると、自分の感情だけが先走りや空回りをして、合わせることができない想いのズレに苦しめられました。

このように、嫉妬というのは、それを覚える当の本人ですら御し難いのですから、傍目にみっともなく映っても仕方がないのでしょう。

ただ、私たちはこれからも夫婦関係を続けたいと思っているので、お互いに許し合うことにしています。

妻の場合は、交わりが終わった直後に全ての咎が帳消しにされ、許してもらえるのですが、私の場合は、無償で許してもらえる訳がなく、妻の自己犠牲に報いる代償を天秤の反対側に乗せなければなりません。

この後、気遣い、労わり、献身など、あらん限りの努力を傾けた後に、恩赦が待っています。

でも、これは私の愚痴なのであって、これまで私に求められるまま他人に体を開いた妻の心中を思えば、それくらいのことは、為して当然なのでしょう。

このようなことを続けながら、それでいて変わらぬ夫婦愛を保っていきたいのなら、

「自分のことを分かってほしい」ではなく、「相手のことを分かってあげよう」と、自分の方から歩み寄ることが大切なのですから・・・

終わりに、どなたの作品か知りませんが、ネットで見つけた、私のお気に入りの詩をご紹介します。

愛・・・・・・それは、時に美しく、時に人を狂わせる。

君と過ごした、幾つもの夜。

瞼を閉じれば、色褪せない思い出が、今も鮮明に蘇る。

然し、あの頃の君は、もう此処には居ない。

あるのは、君が残してくれた、温もりと、香りだけだ。

She Is My Wife・・・・・・

愛、夢、希望

君と過ごした日々を、俺は、決して忘れはしない。

いつの日か、私にもこんな日が訪れて・・・・・・She Is・・・が、She Was・・・に、変わってしまいそうな気がする。

ワインレッドのセーター
【はじめに】

私の名前は、小野まさお、妻の名は理香。

街中をちょっと外れた田舎に、妻と二人だけで住んでいます。

仕事から帰ってくると、何の変哲もない日々の繰り返し・・・・・・いつもと変わらぬ毎日が淡々と流れていきます。

妻のことを、心より愛しているのに・・・

妻が、私ではない他の誰かとセックスをしている姿を見てみたいと思うようになったのは数年ほど前・・・

(白い裸身を男の目に晒し、ほどなくなされる貫きを前に、うっとりと目を閉じる妻・・・・・・そのうち、甘い悦びが兆してくると、委細構わず男の腰に手を回してしまう妻・・・・・)

こんな妄想に憑りつかれ、初めて妻を他人に差し出したのは、ネットで申し込んだグループセックス・・・

見ず知らずの男の猛々しい強張りが私の目の前に誇示され、いよいよ、そのことが始まろうとする刹那、妻は縋りつくような眼差しで私を見つめてきたものです。

それから時が過ぎ、スワッピング、貸出しと、この道ならではのことを一通り経験してしまうと、「こんなこと、どうってこと・」と言わんばかりに、妻の目線が私から背けられることが多くなってきました。

そして、何だか近頃は、妻のこのような変容ぶりが自分にとって好ましいことのように思えてきたのです。

妻が変わるのと同じように、私の心持ちも変わっていくのでしょう。

今回もまた、既に思考回路の一部に組み入れられてしまったような妄想のおもむくまま、南さん夫婦と連れ立って“おしのび旅行”に出かけてしまいました。

【時の移ろい】

今年はそんなに降雪もありませんが、鉛色の空を見ながら家の中に逼塞していると、靄々したものを外に出てぱあっと発散したくなってきます。

そのうち、ふきのとうが芽を吹く新たな季節を迎えるでしょうが、妻が他の男に抱かれながら喘ぐ様を見てみたいと願う私の欲望に変わりはありません。

私ではない他の誰かに抱かれ・・・・・・やがて、悦びが兆してくると官能の渦に呑み込まれ我を忘れてしまう妻・・・・・・

その姿を目にする欣幸のひと時が過ぎ去り、しばらく単調な毎日をおくっていると、そのうち、以前にも増して疼くような欲望が兆してくるのです。

時が過ぎ、齢を重ねれば、この歪んだ性癖も治まるだろうと高をくくっていても、一向にその兆しがないってことは、自分にその気がないこと以外の何物でもありません。

以前にも述べたように、このような常軌を逸したことを求めてしまう訳は、多分、精力減退のことも影響しているのだろうと思いますが、自分が為し得ないことを他の男にしてもらって・・・・

妻が恍惚の悦びに溺れていく様を、しっかりこの目に焼きつけたいという欲望に起因しているのです。

そして、その欲望も、突き詰めてみれば・・・

妻を辱め、虐げることによって、私自身にこれ以上は無いというほどの苦痛を与えてほしい・・・

そして、その自虐的な性の甘苦しさに酔いしれたい・・・

このような独りよがりな願望に端を発していることは疑いありません。

極端に言えば、妻を他の男に抱いてもらい、それまで温めてきたものが音を立てて崩れていく歓びを味わってみたい。

この一言に尽きるのです。

このような想いも手前味噌で言えば、妻への思いやりと言えないこともないのでしょうが、一度ならず度々、度々私の求めに応えなければならない妻の側にすると、そんな歪んだ夫婦愛もあり得ると理解してくれるでしょうか?

今もそうですが、これまで、ひたすら私に尽くしてきてくれた妻・・・

こんなことを始めるようになった原因は、もちろん私の独り善がりな欲望に端を発しているのですが、妻の方も、変わりようがない平凡で単調な毎日の中で、一度くらいは刺激的な経験をしてみたいと思ったのかもしれません。

そして、夫が心の中で思い描いていたことが現実になってしまってからは、ずっと罪の意識に苛まれ、陰ながら苦しんできたはずです。

とりわけ、彼女にとって不幸なことは、呵責の念に思い悩みながらも同じことを繰り返しているうちに、性に対する自分の意識が変わることまでは予想できなかったことでしょう。

その変容ぶりを一言で表せば、恥じらいや慎ましさが薄らいでいって、代わりに、匂うような色っぽさが濃くなってきたような・・・

その他に、割り切りや開き直り、強かさなど・・・

これはもう、感情や意識というより、ほとんど技能に近いものを身につけてきたような気がします。

でも、このように変わってしまったことは、私が願ったことに妻が従順に応えてくれた証であって、それを責めることはできません。

どんなに彼女が変わったとしても、彼女の心を歪めてしまったのは私なのですから・・・

色々と思いあぐねることがありますが、しばらく退屈な毎日をおくっていると、また、いつもの“渇き”を覚えてきます。

半年ほど前に、避妊具をつけずに射精される妻の姿を見て満足したはずなのに・・・

再び、妻が愛欲に溺れていく姿を見たいと思ってしまうのです。

段々と過激なことを求める一方で、この先どこに辿りつくのか不安になりますが、それを自制する意思の強さが私にはないのでしょう。

今、迷っていること、それは・・・・・・南さん夫婦と連れ立って、不倫旅行に出かけようかということです。

「どうですか?今度、家内も加わって四人一緒にというのは?男二人に女一人というのも具合が悪いでしょうから」

私は、南さんに、夫婦そろっての旅行を誘われているのです。

かなり以前から水を向けられていたこともありますが、私自身が、余り性技に自信を持てないこともあって、これまでずっと返事を濁し続けてきたのです。

しかし、こんなことは、いつまでも先延ばしにすることはできません。

南さんだって、私と同じ性癖の持ち主です。同好の者どうしが、一度スワップの世界に足を踏み入れ、お互いそんなに離れていない所に住んでいるとなると、その後どうなってしまうかわかりそうなものですが、ひょっとして、もっと先のことまで期待しているのかもしれません。

いつものように夕食の後片付けが終わると、私は頃合いを見計らって妻に話しかけます。

「去年の夏から、しばらく旅行に行ってないけど、最近、主婦の一人旅が人気あるの、知ってる?」

「へ~ぇ、そ~う?でも、わたしには向いてないみたい」

「どうして~?自分のしたいこと、好きなだけ楽しめるなんて最高じゃないか?今年は雪が降りそうにもないし、ここら辺りでぶら~っと一人旅ってのもいいだろう」

「それって、専業主婦の話でしょ?わたし、仕事があるし・・・・・・それに、あなた一人だけ放っぽり出して行く訳にもいかないでしょ?」

「女が一人で温泉に浸かっていると、思わぬ出会いが待ってるかもしれないぞ。家のことは心配しなくていいよ。俺一人でも、十分やっていけるから」

オウム返しに答えてしまった後で、その言葉がもつ意味に気づいてハッとします。

(これは、別れ際に言う言葉じゃないか?ひょっとして、妻が私の元を去って行くようなことにでもなったら、今と同じような言葉で見送るのか?)

しかし、いくらこのようなふしだらなことを続けているにせよ、余り裕福だとも言えないまでも、並み以上に暮らしていける幸せや子ども達のことまで打ち捨てて、妻が私の元を去って行くとは思えません。

一番心配なのは、職業的に自立していける力があるだけに、妻の我慢の糸が切れてしまうのではないかということです。

「でもね、やっぱり、あなたを独りにしておくのは心配だわ。旅行していても、寝込んでいるんじゃないかとか、もしかして事故が起きたらとか気になるし・・・・・・それに、わたし達って結構、あっちこっち行っているでしょう?」

「そうだな。それじゃ、もっとたくさん、連れ立って行くってのはどうだ?」

「あら、珍しいわね。ここしばらく、そんなことなかったし・・・・・・何か、いい話でも舞い込んできたの?」

「実はな、南さんから誘われているんだ。一度、夫婦そろって旅行してみないかって」

「えっ」

「見ず知らずの間柄じゃないだろ?

久しぶりに、気心が知れた男性に抱かれるのもいいリフレッシュになるだろ?」

「そんな他人の弱みにつけこむような言い方されると、『あなた次第よ』って言ってしまったこと後悔するわ。そう言えば、わたしが喜ぶとでも思っているの?」

「まぁ、そんなに目くじらをたてるなよ。三度、四度は同じって言うから、別に構わないだろう?」

「ぅ~ん、も~う!好き嫌いをとやかく言う間柄じゃないってこと、よく知ってるくせに・・・」

こんな風に答えるということは、私への手前、諸手を挙げて賛成という訳にはいかないが、少なくとも、関心があることは確かだ。

それに、こんな僅かな時の間に半分乗り気になったところを見ると、密かに次の逢瀬を待ち望んでいるのかもしれない。

「そんな間柄なのに、よく我慢できるな。“それじゃ、明日の夜・・・・”って気にならないのか?」

「あなたの目を盗んで、わたしにこそこそしてほしいの?そんなことにでもなったら、もう終わりでしょ?」

「そうだな。それで旅行の話だけど、今度は南さんの奥さんも一緒に来るかも知れないんだ」

「えぇ~っ、本当?それであなた、南さんの奥さんて、会ったことあるの?」

「今度、紹介するって言っていたから、近いうちに会うことになるだろう」

「でも、一緒に旅行に行くとなると、当然・・・・・・なるようになってしまうんでしょ?大丈夫?」

「些か、衰え気味で自信がないけどな」

「わたしが心配しているのは奥さんの方よ。だって、南さんの奥さんにしても、あなたに会うの初めてなんでしょ?旅行に行くのはいいけど、初対面の男性に抱かれるのって、凄く抵抗があるんじゃないかしら」

「おまえも最初のうちは、そうだったからな。まぁ、男女のことは人それぞれって言うからよくわからないが、賑やかでいいじゃないか?」

「でもね、わたし・・・・・・あなただったらいざしらず、わたしがセックスしてるの、知らない女性に見られるなんて・・・・・・嫌だわ」

(それは、そうだろう。そもそも、夜の営みのことを房事というくらいだから、昔からそのことは、閨室の奥深くでこっそりと為されてきたものであって、異なるカップルどうし・・・・・・その様を他人に見られるなんてことは、普通の人からすれば恥辱以外の何物でもないだろう)

「なぁ、そろそろわかる頃だろ?これは男のエゴなんだけど・・・おまえの恥ずかしい姿を見ると、今まで以上に愛おしくなってくるんだ」

「男の人は勝手な理屈をつけて都合のいいように言うけど、女の気持ちとなるとちょっと違うの。同じ女性に見られるって、耐え難いことよ」

「相手が男でも女でも、見られるってことに変わりはないだろうが」

「あなたや南さんは、わたしのことよく知ってるつもりかもしれないけど、体のことまではわからないわ。でもね、同じ女性だとそれがわかるの」

(それは、その通りだろう。女性にしても、自分の体のことは心得ている。交わりの最中の同性の姿を見て、自分の場合と比べながらその悦びの深さを推し量ることができるのだ)

「それに、わたしもあなたが他の女の人とセックスしてるの見たことがあるけど、もう、あんな思いはうんざりよ」

「何だ、俺に対する嫉妬か?いつも、俺がいつもどんな気持ちでおまえの姿を見ているのか、立場を変えてみるとよくわかると思うがな」

「わたし、一度、経験してみてわかったの。あなたのそんな姿を見ても、初めのうちは嫉妬なんて感じなかったわ。でも、そのうち、初子さんの感じている声を聞いていたら、『んぅ~ん、も~う・・・・・・!この女性をこんなにしてしまって・・・・・・』って、無性に腹が立ってきたわ」

「それも、お前が気づいてないだけで、嫉妬じゃないか?また、同じ思いをさせることになるかもしれないが、南さんと一緒に遠出するのも悪くはないだろ?」

「わたし、今すごく心配なことが一つあるの。何度もね、抱かれていると・・・・・・何だか、いつも通りって感じになってきてるんじゃないかって」

「いつも通りって?持ち物の具合のことか?」

「そうじゃなくて、上手く言えないんだけど・・・・・・久しぶりに会ったはずなのに、何だかずっとその人と一緒だったような気がするの」

「ちょうど、俺が海外旅行から帰ってきた時のような感じか?」

「そ~ぅ、何だか、そんな感じ・・・」

伏し目がちに呟く妻の姿に、妙な艶めかしさを覚えてしまう私・・・

でも、これくらいのことは、あれこれ思い悩みながらも私の申し出を受け入れてくれる妻に対する代償なのであって、当初から、覚悟しなければならないことなのでしょう。

(そう思ってもいいんだ。おまえが他の男に抱かれても、俺のところに戻って来てくれさえすれば・・・胸が押し潰されそうな思いをしながら、嫉妬の炎を燃やした分だけ、これまで以上におまえを愛することができるのだから・・)

【ワインレッドのセーター】

待ち合わせの場所は、町外れにある閑居な佇まいの料亭。今日は、南さんの奥さんを紹介してもらう日です。

店員さんに案内されて奥まった座敷の襖を開けると、私を待ち受ける二人の姿がありました。

側に連れ添っている女性が、南さんの奥さんなのでしょう。

身長の方は、ほぼ妻と同じくらい・・・

ワインレッドのセーターの襟元を飾るオフタートルがアクセントになっています。

「こちらが、小野さん。ここじゃないけど、よく別の店で一緒になるんだ」

南さんが、私を紹介してくれます。

「こんばんは・・・妻の加奈子です。いつも、主人がお世話になっています」

大きい瞳と、にっこり微笑む口元がも魅力的です。

「まぁ、座られたらどうですか?向かいの席が空いていますが、家内の隣にしますか?」

「また、そんな仕様もないことを・・・・・・いやぁ、びっくりしましたよ。こう言っちゃ何ですけど、奥様がこんなに素敵な女性だったなんて」

「ほぉ~?席に着く間もなくお世辞ですか?まぁ、そんな風に言っていただくとこいつも嬉しいはずですが」

「奥さん?いつもは男二人でつまらない話をしているのですが、今日は奥様が一緒で、何だかテンションがあがりそうですよ」

「わたしもこんなお店に来るの、何ケ月ぶりかしら?『一度、小野さんに会ってみないか?』って主人に強引に誘われて、今日はのこのこついてきたんです」

「そうですか?それじゃ、無理してもらったんだ。せっかく、ご一緒させていただいたのですから、おいしいお酒の飲み方でも教えてあげましょうか?」

「まぁ、本当ですか?じゃ、早速お願いしようかしら?」

男女を問わず誰でも、時に、見かけを実体以上に良くしたいと思うことがあります。

こんな無理な印象操作は大概の場合、破たんを招くようですが、初対面の女性と待ち合わせをして、その人が思った以上に綺麗な女性だったとなれば、少々、無理なことでもしたくなってきます。

「人間の舌味というのは誰しも同じらしいですが、食体験によって変わってくるそうですよ。ですから、お酒にしても甘いものが好きな人は“甘口”、しょっぱいものが好きな人は“辛口”って傾向があるみたいですよ。それに、アルコールの強い弱いは、半分は先天的なもの、もう半分は“慣れ”でしょうから」

「うふふ・・・どうしても、家内にお酒を飲ませたいようですね。でも、小野さんらしくていいですよ」

「そんな、笑ったりしちゃ失礼だわ。ごめんなさい。主人、いつもこんな調子で」

南さんにしてみれば、精一杯無理をしている私を見て、吹き出したいところなのでしょう。

夫の言葉を気にとめた奥さんが後を続けます。

「ここ、お座敷ですから、お奨め通り日本酒をいただきますわ」

「そうですか?なら、今の時季で言えば熱燗がいいでしょうから、甘口のそれにしましょうか?」

「小野さんて優しいんですね。きっと、誰に対してもそうなんでしょうけど」

(前々から、いつかはこんな日が来るかもしれないと思ってはいたが、そのうち旅行の話が切り出され、事が上手く進めば、この女性となるようになってしまうのだろう・・)

「でも、主人とそんなに気が合うとなると、たまには、わたしのことが話に出てくることもあるんでしょう?」

「そうですね。話の合間に何度か、お聞きしたことはあります」

「主人、どんな風に言ってるんですか、わたしのこと?」

「ご主人の言葉通りに言えば、『家のことは任せっきりで、放ったらかしにしている割にはうるさく言われたことがないし、何かと助かる』って感謝していましたよ」

「まぁ、そんなはずはないと思いますが、それだけですか?」

「それに、旦那さんに芯から尽くすタイプだそうで、よくできた女房らしいですよ。でも、時々、それが息苦しくなることもあるって」

「小野さん、それくらいで止めておいてくださいよ。今日は、家内を紹介しようと思って連れてきただけなんですから。ところで、今日は珍しいですね。普段、女性に対して口数の少ない貴方がそんなに舌が回るなんて・・・それで、どうだ?小野さんの印象は?」

「そんなこと、ご本人を前にして言えることじゃないでしょ?そのうち、ちゃんとお伝えするわ」

この後もしばらく、目の前に並んでいる料理や互いの趣味のことなど、とりとめがない話が続きましたが、私と加奈子さんが和気あふれる会話を交わしているのを、今日は南さんが所在なさそうに聞いています。

座椅子に背もたれながら、じっと二人の会話を聞いている様はこの前の私と同じで、今日は、南さんが“ほってけぼり”にされる番なのかもしれません。

それまで、口数を控えていた南さんでしたが、二人の話が弾み過ぎるのに業を煮やしたのか、突然、旅行の話を切り出しました。

「実はな、加奈子・・・・・・今度、『四人で、旅行しないか?』って、小野さんに誘いかけているんだ」

「え~っ、そんなの、わたし初耳よ。四人ってことは小野さんの奥様もご一緒ってこと?」

「もちろん、そうさ」

「だけど・・・・・・もし、わたしが嫌だって言ったら、どうするつもりなの?」

「どうもこうもないさ。三人で行くことになるだろうな」

「まっ、わたしを置いてってこと?そんなにまでして、三人で出かけたいなんて・・・ひょっとして、あなた、小野さんの奥さまに気があるの?」

「気があるどころか、俺の“お気に入り”さ。あんな女性といつも一緒に暮らしている小野さんが羨ましいよ」

こんな夫婦の会話を聞いていると、どうやら、南さんは、理香との密事を内緒にしていたように思えます。

しかし、急にこんな言葉を面と向かって言われると、加奈子さんの心中だって穏やかではないでしょう。

「今日はいつになく優しかったから、何だか怪しいなぁって思っていたけど・・・・・・それで小野さんは、主人がそんな風に思っていること、知ってらっしゃるんでしょう?」

「まぁ、それとなく、気づいてはいますが」

「何だか、意味深な言い方ですね。だったら、その旅行の話、もっと聞かせてもらえます?」

「なぁ、一緒に来いよ。そうすれば、おまえの思っていることが取り越し苦労かどうかわかるから」

「でも、そうなると・・・小野さんの奥さまは大丈夫なの?」

「それは、別に気にしなくていいですよ。うちの奴、理香っていうんですが、多分断らないと思いますから」

「まぁ、そんな風におっしゃられると、ますます気になりますわ。小野さんの奥さんてどんな方?」

何杯目かのお猪口に口につけた加奈子さんが、幾分舌足らずな口調で訊いてきました。

加奈子さんにしてみれば、いくら夫の友人だとは言え、見知らずの男性を紹介されて、男どうしの会話から夫の不倫の匂いを感じたとなれば、事の詳細を訊きたくなるのは当然でしょう。

(南さんと妻との情事のことは余り大っぴらにはできないが、先々のこともあるし、ここは程々に、二人の関係を匂わしておいた方が良さそうだ)

「奥様と同じく、炊事、洗濯、アイロンかけまできちんとやってくれる・・・まぁ、それだけが取り柄の古女房ですよ」

間髪を入れず、南さんが後を続けます。

「すごく可愛いくて、おまえと違って色っぽい女性だよ」

南さんの口から二度までもこんな言葉が出てしまうと、私が説明を求められているようなものです。

「そんな素敵な奥さまと、主人も一緒になんて・・・・・・一体、どんな旅行なんですか?」

「いや、何もそんなに遠くへって話じゃないのですが、年度末になると忙しくなりそうだから、一度、仲良し夫婦で連れ立って旅行してみないかって」

「そのお話、どうせ、主人の方が持ち出したんでしょう?でも、そのことを小野さんがきっぱり断らなかったところを見ると、奥さまは、主人の・・・・・・“いい女性”ってことなんでしょう?」

こんな風に訊いてくるということは、きっと、旦那さんに尽くすタイプなのでしょう。

この辺りで、彼女が気を病んでいることを解消してあげた方が良さそうです。

(今、彼女が気にかけているはずのこと・・・第一に、初めて出会った男性の人柄の中に、抱かれても構わないと思えるような何かを発見できるかということ、第二に、夫と肌を合わせたに違いない女のことだろう)

「いやぁ、まいったな。もう、何年ほど前かなぁ?南さんに、初めてお会いしたのは・・・・?その時、私の方から持ちかけて」

「それで、主人と奥さま、何度ぐらいお会いしているんですか?」

「そうですね。私も交えて、二~三度ぐらいかな?」

「ははは、加奈子、それくらいにしておけよ。小野さんにそんなことまで言わせてしまって。はっきり言うよ。今まで黙っていたけど、おまえの想像通りだってことさ」

「そうなんだ。やっぱり・・・」

「一口で言えば、小野さん公認の割り切った関係ってところかな。それに、そうなってしまった以上、別に酒の肴って訳じゃないが、俺たち夫婦もよく似たことを愉しんでいるって言ってあるさ」

「・・・・・・じゃ、小野さんもわたし達のこと、ご存知なのね」

加奈子さんの胸中を察するに・・・

一緒に旅行に行き、間違いなく抱かれることになる相手に内緒事を知られてしまい、動揺しているのでしょう。

「奥さん?身勝手過ぎて理解してもらえないでしょうが、男の中には妻を他の男に抱かせて、ますます愛しくなる変わり者もいるんですよ」

「それは、わかっています。それに、わたしもそんなことを責められるような立場じゃないってことも・・・ただ、わたしに黙ってというのが淋しいだけ・・・」

「夫婦って、別に独占したい訳じゃないですが、多少はそんな気持ちがないとやっていけませんからね。でも、余り相手を拘束し過ぎるのも考えものだって、この前ご主人から教わったばかりです」

「主人、どんなこと、言ったんですか?」

「私たち夫婦のことですけど、『余り、奥さんに気を回し過ぎたり、買い被ったりすると、返って気の毒ですよ』って」

「まっ、自分のこと放っておいて、そんなこと言ったんですか?」

「上手に聞いてほしいんですけど、男ってのは他愛もないもので、妻によくしてもらっていることをわかっていながら、そんなことを求めたがるものなんです」

こうして、私と南さんの奥さん・・・加奈子さんとの顔合わせは終わった。

(どっちみち、夫婦そろって旅行に行くことになると思うが、私の姿は、加奈子さんの目にどのように映ったのだろうか?この人と、セックスをする・・・・・・多分、そんな思いが頭を過ったことだろうが、余り気乗りがしないのか、それとも、そうなっても構わないと思ったのか、それはよくわからない。私の方は、無論、異存はない。後は、南さんさえ奥さんを納得させれば、妻に念を押してその日を迎えるだけだ・・)

【おしのび旅行】

加奈子さんとの出会いからしばらく経って、私たちは旅行の日を迎えます。

行程の詳細については、二人で綿密に打ち合わせるつもりでしたが、きっと私の方がまめなのでしょう。

「どこでもいいですよ、温泉場であれば・・・すべて、小野さんにお任せします」

南さんの言葉で、私が計画を立てることになりました。

思い出すのは二年前の冬、妻と二人で新穂高温泉へ出かけた時のことです。

(あの時は、露天風呂で出会った若い男に妻を抱いてもらった。それは別にして、流石“温泉郷”と言うだけあって、あの辺りには色々といい温泉があった。ここからそんなに離れている訳でもないし、夫婦そろってのんびりするにはもってこいの場所だ)

私が考え、南さんから“お墨付け”をもらった旅行プランを紹介します。

目的地は、飛騨高山から少し離れた平湯温泉。宿泊は二泊。

行程の方は、一日目の午前十時頃に高山に到着、それから昼食までは四人そろって街巡りを楽しむ。

午後からは互いのパートナーを入れ替えて自由行動とし、近場の見どころを回った後、適当な時間になったら安曇野方面に向かい、夕方頃に平湯温泉で落ち合う。

今回の旅行で最も大切なこと・・・・・・南さんが、妻にそうなってほしいと願っていることについては、夕食後が終わってひと段落してからホテルの一室に集まり、互いの恥ずかしい姿を見せ合う。

それから朝までは、いつもとは違う夫婦になって一夜を過ごし、チェックアウトと共にお別れ・・・

二日目は、元の夫婦に戻って旅行の続きを楽しむ。

大体、こんなスケジュールです。

交通手段は、相乗りで出かけるという方法もありましたが、二日目のことを考えると、分乗して出かけた方がいいだろうということになりました。

私たちの住んでいる所から高山までは、R158号線を経由して車でおよそ二時間半ほどの距離です。

ハンドルを握りながら、助手席に座った妻とあれこれ話を交わしますが、もう以前のように、胸の高まりを無理に抑えながら、話題を別の方向にもっていくようなこともありません。

車から見える周りの景色や街並みの様子・・・そして、そこに暮らしている人々の生活のことなど・・・

ごく普通のことを、自然体で語り合えます。

今夜、行われる予定のことは、もう口に出さなくても大丈夫なのでしょう。

互いの腑に落ちているはずですから・・・

そのうち、車が、休憩地点のドライブインに入ります。

すると、この時を待っていたとばかりに妻たちがテーブルで向かい合い、話し始めました。

待ち合わせの場所で四人が顔を合わせた時、妻たちも形ばかりの挨拶を交わしましたが、今夜のことを思うと、それだけでは不十分のように思えるのでしょう。

膝をつき合わせてのお喋りが始まりました。

ここで、改めて、四人の関係を整理しておくと、極めて親密な間柄なのは南さんと私、そして妻の三人。

加奈子さんに至っては、頼りになるのは夫の南さんだけで、理香にいたっては全くの初対面だ。

それとなく聞いていると、久しぶりの旅行なのに妻たちの頭からは家事のことが離れないのでしょうか、話題が食べ物の話になっています。きっと、理香が誘い込んだのでしょう。

「もう少し行くと、朴葉みそが売っている所があるのよ。あれって、元々、麹味がまろやかなんだけど、お肉につけて食べるととってもおいしいの」

「“ほお葉”って、おにぎりなんかを包む大きい葉っぱでしょ?だったら、そのお味噌、焼き茄子や玉ねぎの薄切りに添えても合いそうね」

「帰ってから、“ほお葉”の上に野菜を載せて、味噌をつけて焼こうと思っているの。それにしても、飛騨牛とセットにして売るなんて、よく考えてあるわね」

「きっと、私たちみたいなのがいいお客さんなんじゃない?」

私と南さんは、そんなに話すこともないので、時おり妻たちの方を眺めながら、煙草を燻らせていました。

ドライブインでの休憩を挟んで高山に到着したのは、予定よりも早く、十時ちょっと前・・・

この後は、四人一緒に高山陣屋を見て回ることになっています。

高山陣屋は、江戸時代から現存する唯一の建屋らしいですが、その上に悠然と広がった蒼い空を見ると、やっぱり、来てよかったなあと思います。

冬の晴れ間にたまたま青空が顏を覗かせただけかもしれませんが、私たちの住んでいる所では、こんな澄み切った空は望めないのです。

しばし、のんびりと、建物の中庭に面した部屋から外の景色を眺めていました。

“さんまち通り”をぶらついているうちに昼食の時間になり、適当な店に入る。

ちょうどお昼時で店内が混雑しており、店員さんの案内に従って近くのテーブルに二人ずつ腰掛けます。

「この後、平湯温泉で落ち合うのは、五時ってことでしたね。それまで別行動になる訳ですが、どこか、お目当ての場所があるんですか?」

南さんが、私に尋ねてきました。

「いや、思いつきに任せて適当に回るつもりですが・・・何より、奥さんが行きたい所にしようと思っています」

「そうしますか?せめて、こんな時ぐらいは、女性の言うことを聞いてあげなくちゃね・・・私も、理香さんにナビしてもらいますよ」

料理が運ばれてくるまでの間、手持ち無沙汰で妻たちの方へ眼をやると、話に夢中になっていて・・・

どうやら、私たちのことが話題になっているようです。

「小野さんて優しそうで・・・理香さん、おうちでも幸せなんでしょ?」

「優しいのは優しいんだけど・・・・・・いつ頃だったかな?買い物のことで揉めたことがあるの。『お店の人に散々気を揉ませた挙句、何も買わないで出てくるのは悪いだろう?』って言うの。ほんとに見栄っ張りと言うか、若い女の子に勧められると、すぐ鼻の下を伸ばしちゃうんだから・・・」

「わたしだって、『あれっ、こんなはずではなかった』って思うことがいっぱいありますわ」

加奈子さんが後を続けます。

「ある時ね、帰ってきたら、下駄箱の上に綺麗な鉢植えの花が置いてあったの。気を利かしたつもりで、陽のあたる場所に置き換えたらしおれちゃって・・・・・・そしたら、『誰が買ってきたのか、わかるだろ?五千円もしたんだぞ!』ですって」

「でも、花が好きな人に、悪い人はいないって言いますわ。ご主人、いい方なんですよ」

「本当にそうかしら?でも、『どうして、俺の帰りを待ってからにしようって思わなかったのか?』って、しつこいの。元々、こだわるタイプなのは知っていたけど、『もう、いい加減にしてっ!』て、言いたくなるのわかるでしょ?」

私と南さんは耳に入らない風を装いながら、店内のあちこちを眺めていました。

ともあれ、妻たちが仲良くなってくれるのは、私のみならず南さんにしても大歓迎でしょう。

「南さん、どこから見ても、余り細かいことに頓着しそうもない人に見えるんですが、そんな一面もあるんですか?」

「小野さんだって、時々そんな気持ちになることあるでしょ?言いたいことを内でも外でも我慢していたら、気が滅入ってしまうじゃないですか?」

「よく、わかりますよ」と私が相槌をうった後、南さんが声を落して話し始めました。

「ところで小野さん、宿に着いたらビデオをセットしておこうと思うんですがいいですか?」

「別に構いませんけど、奥さんの寝乱れた姿でも見たいんですか?」

「まぁ、それもありますけど、小野さんだって見たいでしょ?万能スタンドを用意してきましたから、それぞれのベッドにね・・・後で、チップを交換して見るのも悪くないでしょ?」

「彼女たちにばれたら、拙いんじゃないですか?」

「ばれないようにしようなんて思ってませんよ。うちのは前に何回か撮ったことがあるので大丈夫ですから、理香さんだけその場になって渋る訳にもいかないでしょう。いろいろお世話になったせめてものお礼ですから」

それぞれ二組に分かれ、くだらない話を交えながらのランチタイム・・・・

お腹がふくれ、ゆったりした気分で駐車場に向かう。

この後夕刻までは、加奈子さんと二人だけで過ごすことになります。

「どうします?どこか、お目当ての場所があったら・・・」

「そうね、前から一度、合掌づくりの家を見たいと思っていたの。ここから白川郷まで、大分かかるんですか?」

「そうですね。方向的には逆ですから、此処に来る前だったらよかったんですが・・・ここからだと片道一時間半ほどかかりますから、ちょっと無理かもしれませんね。代わりに、この近くに“飛騨の里”がありますよ。そこも合掌づくりですから、そこにしましょうか?」

高山市内から飛騨の里までは、車で20分ばかりの距離です。

車を運転していると、青空に聳える北アルプスが見えてきて、凛とした雪嶺はため息が出るほどです。

“飛騨の里通り”・・・・・・飛騨の里までつづく一本道のリゾートストリート。

季節は冬ですが、思った以上に観光客の姿があります。

時おり吹いてくる風が、頬にひんやりとします。

風になびく後れ毛がはっきり見える距離に並んで歩いていると、加奈子さんの香水の香りが漂ってくる。

(このまま、手を肩にかけようか?今だったら、彼女は嫌と言わないだろう)

意を決して、彼女の肩に手を回す。

「えっ・・・・・・?」

一瞬、驚いたように、私の方を振り向く加奈子さん・・・

それが、今夜、褥を共にする男から差し伸べられた、初めてのモーションだったからか、それとも、道行く人々の目が気になったからかはわかりませんが、その瞬間、彼女の心が揺れ動いたように見えました。

やがて、肩越しに寄せられた手に、そっと自分の手を重ね合わせてくる・・・

「・・・奥さん?」

「奥さんなんて、呼ばないでください」

「じゃ、何て、呼べばいいんですか?」

「加奈子って、呼んで・・・」

「何だか、それも言いづらいから、“加奈さん”て呼ばせてもらおうかな。しばらく、このままでいいですか?」

「そうですか?このままですか?見られますよ」

本当に嫌な男だったら、元々、旅行になんて来るはずがないだろうが、こうして、肩に回された手をそっと握り返してくるところを見ると、今夜のことも覚悟しているように思えます。

「見られても構いませんよ。これだけ、マフラーで口元を隠しているんですから。でも、こんな風にしてもいいってことは、この前の私の印象、まぁまぁだったってことですか?」

「さぁ~あの時どんな風に思ったのか、もう、忘れてしまいましたわ」

「今頃は、向こうの方も同じように、連れ立って歩いているんでしょうね」

「そうね。でも、せっかくですから、わたし達ものんびりしましょ?」

私と顔を合わせずに、下を向きながらつぶやく加奈さん・・・

次に行ったのは、飛騨高山美術館。

主に、ガラス工芸の作品が展示されていましたが、私が気に入ったのはルネ・・・ラリックの噴水。

パリのアーケードで設置されていたものが移設されてきたそうですが、ちゃんと10分おきに水が出ます。

「ドームの天井から光が降ってきて、いいですね。水が出たら、後ろ向きになってコインを投げてみましょうか?」

「うふっ、どんなこと、お願いするんですか?」

「また、貴女に逢わせてほしいってのはだめですか?」

「それじゃ、コインの数を二枚にしなくちゃ・・・でも、願い事が叶うのは、若い人たちだけでしょ?きっと、神様にも好き嫌いがあって、こんな不倫カップルの願い事なんて聞き入れてもらえませんわ」

午後からの観光で一番印象的だったのは、合掌集落飛騨の里・・・

合掌つくりの規模の大きさ、遠くに笠ヶ岳を望む北アルプスの眺望は、私たちのデートコースとしては最適でした。

【ふわふわのベッド】

私と加奈さんが平湯温泉に着いたのは、当初の予定通り、午後五時。

ホテルのフロントで相方のことを尋ねると、「もう、お着きですよ」とのことでした。

(そうか、意外に早く着いたんだな。夕食までは、まだしばらく時間がある。この後、二人の部屋へ行って、昼から過ごしたひと時がどんな塩梅だったのか、それとなく尋ねてみるのもおもしろそうだ)

「加奈さん、向こうは一足先に着いているみたいですよ。先にお風呂にしますか?それとも、あっちの部屋へ行って夕食までしばらくくつろぎますか?」

「そうね。それじゃ、ちょっとだけお邪魔してから、お風呂に行かせてもらおうかしら?」

部屋の中に入ると、片肘をつきながらテレビを見ている浴衣姿の南さん・・・

やや離れたところに理香がちょこんと座っています。

「約束の時間通りになんて、流石に小野さんですね。疲れたでしょう?まぁ、一休みされたら」

「何時ごろ、着いたのですか?随分と早かったようで」

「三時半頃ですよ。見て回ったのは鍾乳洞だけ。その後すぐに、こちらへ向かいましたから」

「そんなに早く着いたとなると、時間を持て余したでしょう?」

「いや、それほどでもなかったですよ。のんびり運転してきましたから」

「そうですか?ところでこの部屋素敵ですね。ベッドが三つもあってゆったりしているじゃないですか?」

「チェックインの時に無理言って、大きい部屋にしてもらったんです。ベッドもふわふわしていて、とってもいい感じですよ。早速、使わせてもらいましたから。思ったより早く着いてしまって、そんなにすることもないし」

私は、思わずベッドに目を向けましたが、明らかに一つのベッドが乱れています。

次に、目をやったのは妻の顏・・・・・・口元にはにかみを浮かべながら南さんの言葉を黙って聞き流しています。

思い立ったようにポットを手にしてお茶を入れようとしますが、困惑を隠しているのは明らかです。

男たちにとってはそんなことぐらい、その時が早まっただけでどうってことありませんが、女となると・・・

部屋に入った途端に夫の口から思いがけない言葉を聞いた加奈子さんの心中が穏やかであろうはずがありません。

だって、午後は新しいカップルどうし、楽しいひと時を過ごし、

そのことは夕食が終わって一息ついてから愉しむ約束だったはずですから・・・

「悪いですけど、先にお風呂に行かせてもらいますわ。どうぞ、ごゆっくり」

流石に、居たたまれないものを感じたのでしょう。

加奈子さんが胸の動揺を押し隠しながら、バッグを手にします。

「ああ、そうしろよ。ここ、穂高に近いだけあって露天風呂からの眺めが最高だぞ。これで、おまえも俺たちの関係、とくとわかっただろう?」

部屋を出ていこうとする加奈さんに、南さんが意地悪く声をかけます。

「悪いですね、小野さん。うちの奴、余りこの辺りのことに慣れてなくて」

「そんな無神経な言い方をされると、誰だって腹が立ちますよ。でも、恨みがましいことを言わずに『お風呂に行ってくる』なんて、可愛いじゃないですか?」

「小野さんの目にはそんな風に映るかもしれませんが、私が惹かれるのはこの女性ですよ」

南さんが、目線を妻に移します。

「・・・・・・」

その言葉に、じっと無言を通す理香・・・

こんな風に言われると、大概の場合は慌ててその言葉を打ち消そうとするものですが、その言葉を投げかけた人が先程抱かれたばかりの男性となれば、そして、胸の内を伝えるべき相手が、背徳の負い目を感じなければならない夫となれば、言うべき言葉が見つからないのでしょう。

「誰でも、隣の芝は青く見えるようですね。私も同じでしたよ。一緒に歩きながら『今夜、この女性と・・・』って思うと、胸がどきどきしてきましたから」

「そうですか。きっと、うちのも同じでしょう。風呂に行って、今夜、貴方の目に晒すところをしっかり磨いておきたいと思ったんじゃないですか?あいつも、その辺りのことは心得ているでしょうから」

南さんが、私の方を見ながらにやっと笑いました。

「どうです、小野さん?もう一風呂浴びてこようと思うんですが、一緒に行きませんか?」

「やっぱり、奥さんのことが気になるんでしょう?今だったらまだ間に合いますよ。向こうの部屋に行って謝ったら」

「できる訳ないでしょう?そんなことしたら、この先ずっと下手に出なければなりませんよ。・・・で、小野さんは、もう少しここで理香さんとゆっくりされるんでしょう?」

こんな風に、妻の名前をスラスラ口にされても、それが至極当たり前のことのように思えてしまいます。

「まぁ、お風呂は後にでも入れるから、そうさせてもらえますか?」

「それがいいでしょう。この後のこともありますしね」

南さんが、互いを深く知り尽くしたような一瞥を妻に向けながら、部屋を出ていきました。

二人でソファに腰掛けると、何から先に話そうかどぎまぎして「どうだった?」って尋ねるのが精いっぱいです。

「どうだったって、昼からのこと?今夜泊まる平湯温泉になるべく近い方がいいだろうということになって、鍾乳洞に行ってきたわ。あそこのルート、結構出口まで距離があって、その上、勾配がきつくて・・・・・・外に出たら、もう、寒くて、寒くて・・・・・・すぐにでも温泉に浸かりたいって気分だったわ」

「それで、一緒にお風呂に入ったのか?」

「そう」

「体が温まったところで、一回戦を楽しんだって訳か?」

「だって、そうならない方がおかしいでしょ?」

「ふう~ん、そうならない方がね」

「変な頷き方して・・・・・・何が聞きたいの?」

「わかっているくせに。どんな塩梅だったかってことさ」

「そんなこと・・・露骨に聞くことじゃないし、聞くまでもないでしょ?」

これでも妻に気を遣いながら訊いているつもりなのに、こんな言い方をされると胸にズキっとくるものがあります。

でも、妻がこのような返答をするのも自分で納得できます。

妻が南さんに抱かれる機会を積極的に提供し、彼女の心が彼に傾いていくように煽り立てているのはこの私なのですから。

こんな風に仕向けているのも元をただせば、自分では為し得ないことを他人にしてもらって、夫婦の愛情をより細やかなものにしたい・・・・・・こんな想いが私の心の底にあるのです。

とにかく、今の時点ではっきり言えることは、これまで夫婦として睦み合ってきた時間は長くても、私は、南さんが妻を愛する程には、妻を愛せないということです。

「それで、以前と比べてどうだった、南さん?」

「そうね。ちっとも変わってなかったわ。この前と同じように優しかったし」

「そうか。それじゃ、最後の方もこの前と同じだったって訳か?」

「また、そんなこと・・・・・・それは違うわ。だって、南さんが言うの。この後十頃になったらあっちと合流するので、その時までとっておきましょうって」

(確かに、そのような話にはなっている。でも、南さんが、避妊具なしでのセックスを先延ばしにしたということは、この後、私と加奈子さんが加わってのセックスに期待するところが大きいのだろう)

一瞬、頭の中に、妻の秘口から垂れ落ちる白い滴りが頭を過って・・・

私はその光景を脳裏に思い浮かべながら目線を下に落とし、浴衣の下に隠された女の徴を幻視していました。

「先程は、加奈さん、ちょっと可哀そうだったな。旦那からあんなことを聞かされた加奈さんの気持ち、おまえもわからないでもないだろう?」

「そ~ね。でも、あんな風に言えるってことは、自分に自信があるからなんじゃない?きっと、加奈子さんも、そんなところが頼もしく思えるんでしょ?」

何度か抱かれていると、そんなことまでわかるようになるのでしょうか。

私たちとは大違いです。

(これまでに妻は都合三回、南さんと関係をもった。妻にとって南さんがとても魅力的な男性で、体の相性もぴったりなのはわかってはいるが、こんな風に答えるということは、彼の性格や人柄にまで心を惹かれてきているのかもしれない。少なくともこの旅行中は、彼に尽くすことが自分の喜びのように思っているのだろう・・)

「それで、あなた達の方はどうだったの?随分と加奈子さんと親しくなったみたいね。名前の呼び方でわかるわ」

「飛騨の里へ行ってきたよ。あそこも歩くと、結構距離があるんだ。女性の肩を抱きながら歩くなんて久しぶりだったな」

「そ~う?ところで、あなた知ってる?加奈子さん、とっても肌が綺麗よ。きっと、あなたも夢中になるわ」

「私と同じよ・・・・って、言いたいんだろ?まぁ、それは、夕食の後大分時間があるから、その間に確かめることにするか?」

「そうね。この後、知らない人と急に・・・なんて、可哀そうでしょ?優しくしてあげないと駄目よ」

ちらりと私の方を見た妻の目が、その後、何か言いたそうに見えましたが、彼女の口から出てきたのは、それだけでした。

夕食は、トリプルルームとは別の和室。

自然と話は、お膳の前にある赤カブ、みず菜など地場産料理や今日のトリップコースのことになりますが、加奈さんは、生返事で応えるばかりです。

南さんから、『話好きで、よく気が回るやつだよ』とは聞いていましたが、自分が馴染薄の男性との距離を少しでも縮めようと躍起になっている時に、夫の方がこれまでの関係を誇示するように、先に手を出してしまったのですから、塞ぎこみたくなるのも当然でしょう。

そんな加奈子さんを気遣って私も色々話しかけますが、顏の表情はどこか上の空・・・

返ってくるのはポツリ、ポツリの片言だけです。

南さんにしても、きっと内心は加奈さんに謝りたいと思っているのでしょうが、夕食の席でも彼女を労わる優しい言葉はありませんでした。

【白い肌】

お風呂から戻り窓を開けると、立春が過ぎたとは言え、ひんやりした山里の冷気が流れこんできます。

夕食の時もそうでしたが、部屋に引き上げてからも、余り場に馴染もうとしない加奈さん。

どうなってしまうか先が決まっていることを前にして、心の整理をしかねているように見えます。

人は一回拗ねてしまうとどこかで元の状態に戻りたいと思っても、なかなかそのタイミングを見出しにくいものです。

ここは、彼女の心を解きほぐしてあげる時間が必要なのでしょう。

「先ほど、あなたがお風呂に行く時、南さん、『露天風呂からの眺めが最高だぞ』って、意地悪したでしょ?あんなに思ってもらえるなんて、幸せじゃないですか?」

「わたしには、そうは思えませんけど・・・」

「あれは、貴女への思いの裏返しなんですよ。私も、色々と妻を困らせるようなことをしてきましたから、その気持ちがよくわかるんです」

「そうでしょうか?でも、そんな風に思えるのは、小野さんが優しいからでしょう?」

「優しいってのも考えもので、あれこれ気を遣いますから、どっしり構えたところがなくなってきますよ」

「でも、せっかく旅行に来たのに、あんな風に言わなくてもいいと思いません?」

「まぁ、あなた方のおうちのことはよくわかりませんが、思い起こせば一つや二つ、ご舅さんと揉めたことぐらいあるでしょう?きっとその時、南さん、貴女の肩をもってくれたんじゃないですか?」

「そんなの、ずっと昔のことで覚えていませんわ。でも、主人のこと、小野さんの目にはそんな風に映るんですか?」

「一言で言えば、鷹揚で懐が広いって言うのかな?決して、弱いところを突っつくようなタイプじゃありませんよ。あなたにわざと意地悪して・・・私に気を遣ったんですよ」

「・・・・・・」

「だって、南さんが貴女にばかり気を遣って、隣にいる女性をぞんざいに扱っていたら、そんなの見るの、貴女も嫌でしょ?」

「そうですね・・・つまらないことで拗ねちゃってごめんなさい」

こんな可愛い呟きを聞いていると、「そろそろ、温めてあげましょうか?」と言いたくなってきます。

(これまで、南さんは奥さんのことを、きっと、お互い様って割り切っているんじゃないかと幾分、自嘲気味に言っていたが、そんなことはない。これまでに何度か、夫以外の男に抱かれたことはあるのだろうが、経験となると多分、理香の方が上なのだろう)

さて、そろそろ・・・このまま何もせずに時を過ごし、急に恥態の限りを尽くす場面を迎えるなんて、

彼女にとっても耐え難いものがあるでしょう。

「加奈さん、いいですか、抱いても?」

「ベッドに行きましょう」

彼女の後ろに回り、浴衣の上から抱きしめる。

私の求めに応えて、唇を合わせてくれる加奈さんの反応にホッとします。

「貴女の肩を抱きながら歩いていた時から、ずっと想っていたんです。この下に隠れているものを見てみたいって・・・これが、貴女ですか?すごく温かい。おっぱい、見せてください。すごい、艶々してる」

「あ・・・・・・っ」

舌を絡み合わせながら乳房の突起を抓むように愛撫すると、加奈子さんがくすぐったそうに反応します。

「感度がいいんですね。ついでに、浴衣の下のものも脱いでしまいましょう。こんなに体が火照っているんですから」

「そうですね」

加奈さんが、二つ返事で浴衣に手をかけていくと、物音一つしない静寂の中で、妖しい人妻の肢体が露わになってきます。

妻のものとは違う手応え・・・・・・妻が指摘した通り、ふっくらした柔肌が私の扇情を誘ってきます。

私は、乳房を揉むようにしながら、時おり乳首に舌を転がして加奈さんの反応を愉しんでいました。

「いけないことを始めてもいいですか?さぁ、体の力を抜いて」

「えぇ・・・でも、恥ずかしいわ・・・」

そのうち、口での愛撫が下半身の方に移っていくと、緊張のせいか内腿の筋を強張らせる加奈さん・・・・・・

「んっ・・・・・・あぁ・・・・・・くっ・・・!」

舌先が珊瑚色のつぼみを弄んでいくと人妻の裸身がピクンと跳ねて、そのまま顔が後ろの方へ仰け反っていきます。

「どうしました?」

「そんな風にすると・・・だめぇ・・・・・・」

(これまで妻に対して、もっと剥きだしの姿を見てみたいと思っていたが、私は今、自分の愛撫に身を委ねる人妻の姿を、もっと見てみたいと思っている。こんな風に思うということは、彼女のことを好きになってしまったのだろうか?)

舌先の愛撫に体をくねらせる加奈子さんの姿を見ていると、そろそろ潮時なのでしょう。

「体が欲しがっているように見えますが、いいですか?」

「待って・・・その前に、ちゃんとつけなきゃ・・・」

この後、加奈さんは私のものを口にしてくれましたが、このことについては余り触れたくありません。

妻がそれをできないことが、私の心に影を落としているのです。

遡ってみれば、もうずっと昔・・・・・・結婚してしばらく経った頃、妻にそのことを求めたものですが、「私が好きなら、できないことわかって」「好きなら俺の気もち、わかるだろ?」と、平行線になったことを覚えています。

その時以来、セックスそのものは普通の夫婦となんら変わることなく睦み合ってきたのですが、口淫のことだけは、「どうせ、できないんだから・」と独りよがりな理屈をつけて自分の心の中に封じ込んでしまったのです。

「おかげで、具合がよくなってきたようですから」

加奈さんにも、程なくその時を迎えることがわかるのでしょう。

ベッドに仰向けになると、ふっくらした恥丘が強調されてきます。

そこを頂点とする両脚の角度は、大きく拡げられている訳でもないし、かと言って、固く閉じられている風でもなく、実に微妙な開き具合だ。

股間に膝を割り込ませ、両脚をグイと外に大きく押し開く。

こんな時、いくらそのことを自分で納得したつもりでも、いざ、他人のものを受け入れる刹那になると、それまでの覚悟と新たな戸惑いの狭間で心が揺れ動くのでしょう。

私を見上げる加奈さんの顏が、幾分緊張しています。

「今から、これが・・・わたしの中に・・・」そう、思っているのかもしれなません。

私は、両脚の下腿部を左右に押しやり、挿入の位置を確かめる。

「んっ・・・・・・あぁぁ・・・」

待ち望んでいたことが、うつつになる瞬間・・・

滾った茎が、熱いぬめりの中にずるっと取り込まれていく感じが何とも心地よい・・・・・・

潤み具合を確かめながら、一旦、肉茎を引き抜き、再びゆっくり押し込む。

「あぁ~っ・・・」

加奈さんの最初の喘ぎが零れ出てくる。

「きついってことはないと思いますが、大丈夫ですか?」

「いぃです・・・そのままで・・・」

「加奈さん、甘えん坊?すごくかわいいですよ」

「そんな、いゃ・・・あぁ、あぁぁ・・・」

「今さら、嫌だってことはないでしょう?どうしてほしいんですか?」

「んんっ・・・あぁ・・・・・・っ、言えません。そんなこと・・・」

加奈さんが、眉根にしわを寄せながら、横を向いて答えます。

欲望のおもむくまま、めちゃめちゃに突き上げたい気持ちを我慢し、大きなグラインドで抉っていく・・・

そのうち、加奈さんが湧き上がってくるものを持て余すかのように、うねうねと腰を捩らせ始める。

こんな人妻の姿を見ていると、性技に余り自信を持てない私でも、口から洩れる喘ぎがよがりに変わっていくのも、時間の問題のように思えます。

「気持ちいいんですか、加奈さん?だったら、嬉しいですけど」

「あぁぁ・・・そんなこと・・・」

「言えないんでしょ?でも、加奈さんのここ、きゅっと締まってきますよ」

「いや、そんな・・・あぁっ・・・・・・うぅっ・・・」

「そんな可愛い声で泣かれるとたまりませんね。しばらく、その声を聞かせてもらえますか?」

加奈さんの甘い声に誘われるように、“柔ひだ”に埋まったものを出し入れすると、両手で私にしがみついてきます。

「はっ、はぁっ・・・・・・あっ、あぁっ・・・」

「どうですか?旦那さん以外の男に抱かれる感想は?・」

「あっ、あぁぁっ・・・いいです・・・」

加奈子さんが、うわ言のように呟きながら両肘を小さく胸元で合わせています。

身体の奥底からこみ上げてくる快感のうねりに、ついつい漏らしてしまう喘ぎ声・・・

こんな声を聞いていると、素敵な女性を我がものにした満足感でいっぱいになります。

今少し・・・・・・時に大きく抉るように抽送を繰り返していく。

すると、ぬめった淫肉が私のものを搾り取るように、そこだけが別の生き物のような動きを見せてくる。

そのうち、加奈さんの喘ぎが頻繁になってきて、腰の動きがせわしくなってきます。

どうやら、オーガズムを迎えるようです。

夫のものより数段見劣りするペニスでも、刺突の数を増やされると快感がせり上がってくるのか、もっと、もっととばかりに肉茎を締めつけてきます。

私の方も、悦びに包まれている人妻の姿を見ていると堪えきれなくなってきて・・・

限界が近づいてくるのがわかります。

これくらいの交わりの長さが、私にはお似あいなのでしょう。

加奈さんの両腿が乳房につくほどに折り敷くと、ひと際激しい抽送を送り込む。

「あ、あぁっ・・・いきそうだ!」

「あぁ・・・あぁっ・・・・・・いってっ・・・!」

加奈さんの喉奥から悲鳴があがる。

私は、ひと際深く腰を沈め、それまで堪えていたものを思いっきり媚肉の中に注ぎ込んだ。

他人妻に施す射精・・・・・・それは、体の芯が痺れてしまいそうなくらい、甘くて熱い悦楽でした。

【蜜の味】

自室に切り上げてからそれぞれのカップルがどのようなひと時を過ごしたのか、互いに知る由もありませんが、約束の10時になって、四人が一室に集まります。

「うちのやつ、どうでしたか?この前、お会いした時から心だけは決めていたように思いましたが」

「こんなに素敵な奥さんと一緒に暮らしていながら、『時々、息苦しくなる』なんて贅沢ですよ。先程は、そのようにしてあげましたけど、あんな鶯のような声で鳴かれるとたまりませんね」

「そうでしたか?どうだ、加奈子?俺の目利き違いってことは無かっただろう?ちゃんと、『最初の印象通りだった』って伝えたか?」

「心配しなくてもいいわ。ちゃんと、お伝えしたから・・・」

「体で伝えたって訳か?どうやら、満更でもなかったような口ぶりだから、これでおまえも落ち着いただろう。それで、“中だし”してもらったのか?」

「まぁ~いやらしい・・・・・・感心するわ。よく、理香さんの前でそんな言葉使えるって・・・小野さん、あなたと違って紳士だから、『約束だから・・・』って、おっしゃったわ」

悪びれた風がない夫の様子に心を決めたのか、今しがたのことを屈託なく夫に伝える加奈さん。

(確かに、ゴムなしでの射精は控えたが、それは先程妻から、南さんが『愉しみは先にとっておきましょう』と言ったのを聞いたからこそで、仮に、南さんが先に生のセックスを愉しんでいたとなれば、私もどうなっていたかわからない)

「これから、お互い恥ずかしいところを見せ合う訳だが、加奈子、大丈夫だろな?」

「その言葉は、理香さんに言ってあげたら?」

「おまえが、夕食の時から黙りこくっているから、心配してるんだ。その場になって、急に変なこと言い出されるのは嫌だからな」

「まぁ、夫婦ですから・・・・・・どうしたって、相手のことは気になりますよ」

「確か、小野さん、前にもそんなことを言ってましたね。妻を他の男に抱いてもらいドキドキしながら、妻に対する自分の愛情の程を確かめたいって」

「そんなこと、急に言わないでくださいよ。まぁ、確かにあの頃は、そんな風に自分に都合よく思っていましたけど」

「でも、別にそんなことしないでも、たまに外食したり、一緒にゴルフに行ったりすれば、確かめられるって思いません?」

「それは俺に対する皮肉か、加奈子?おまえにその気がないから誘わないだけだろう?」

「いくら夫婦でも、相手の思いの深いところまではわからないことがあるんじゃないかしら?だって、こんなことするんだから・・・・・・要するに、わたし達ってみんな自分本位なんだわ」

三人のやり取りを聞いていた理香が、口を挟んできました。

確かに男本位に考えれば、愛する妻を他人に抱かせるということは、渇いているものを満たしてほしい、そして、私の場合は、自分では為し得ないことを他の男に代わってしてほしいと願う自己中心的な欲望以外の何物でもないでしょう。

しかしながら、理香が言うことも正しいように思えます。

この場に、女二人までもが顔を揃えているということは、それぞれがこれから始まることを納得し、幾分の期待をもってこの場に臨んでいるのでしょうから。

「さぁ、そろそろ、旅の思い出づくりを始めることにしますか?」

もう、言葉はいらない。後は南さんの言葉通り、体を重ねて想いのほどを相手の体に刻み込むだけだ。

交わる場所は、私は南さんに勧められて、二台並んでいるベッドの一つ・・・

南さんは、やや離れた所にあるベッドに妻を誘います。

これくらいに適度の距離があれば、相手カップルのことを変に意識しなくても済みますし、加奈さんにしても、夫の目前で他の男に抱かれる自分の姿をまじまじと見られたくはないでしょう。

南さんが立ちあがり、ビデオの撮影モードのスイッチを入れます。

女たちが黙ってその動作を見過ごしているところを見ると、とやかく言うつもりもないのでしょう。

でも、お断りですが、理香はさておき、加奈さんの恥態までここに載せる訳にはいきません。

ベッドで抱き合っている私たちの耳に、早くも向こうから妻の甘い声が聞こえてきました。

「ねぇ・・・もう、いいでしょ?」

「よく、聞こえませんよ。もっと大きな声で言わないと」

「う・・・・・・ん、はやく脱がせて」

「先ほどは、自分で脱いだじゃないですか?向こうを意識しているんですか?」

「いや、意地悪・・・」

「あっちもまだみたいですから、もうちょっと愉しんでからにしましょう」

何度か褥を共にして、互いの体を知り尽くした者どうしの会話・・・

こんな話は、とても私たちにはできないでしょう。

それとなく見ていると、指先三寸で弄ばれているうちに体が昂ぶってくるのか、妻が、南さんの愛撫を股間に受けながらもどかしそうにしています。

指が淫らに濡れた秘芯を弄ぶ度に、ため息混じりの喘ぎを洩らす妻・・・・・・

ふと、挿入を待ち望むように股間を広げている妻の視線が、私の視線と出会いました。

一瞬、瞳孔が固まったように見えましたが、すぐさま、「あっ、あぁぁ・・・」という喘ぎとともに、その顏が背けられていきました。

「ねぇ、小野さん?そんなに奥様の方ばかりちゃいや」

ベッドで抱き合っている私の耳に加奈さんが囁いてきました。

「隣のことは放っておいて、ね、わたし達も・・・」

“さんまち通り”でデートをしている時よりも幾分馴れ馴れしい調子で語りかけてくるのも、

夕食後に一度、肌を重ねたからなのでしょう。

浴衣の帯を解いていくと、先程私の愛撫を受けた恥丘が露わになってきます。

「こんなところ撮られるのって、余り好きじゃないんだけど・・・・・・ねっ、さっきと同じようにして」

「その姿を、とっくりと旦那に見せつけてあげたいって訳ですか?」

「だって、向こうもあんな風にしているでしょ?」

加奈さんの言葉に誘われるように、ぬめった淫裂に指を滑らせていく。

「あぁぁ・・・」

一度、体を馴染ませてしまうと、男の愛撫が先程にも増して心地よく思えるのか、もう今は・・・夫を前にどのように取り繕おうか迷っている風は見えず、加奈さんの口から喘ぎの声が洩れてくる。

「気持ち、いいんですか?」

「ぇぇ・・・とっても・・・」

「私は、このままの姿勢でいますから、加奈さんから動いてくれませんか?」

「え・・・っ、わたしがですか・・・?」

私がこんなことを彼女に頼んだ理由は・・・・・・先程とは別の体位、騎上位で・・・

私の上に跨って顏を歪める人妻の姿を見たかったからです。

「頼みます。しばらく、貴女の顏を眺めていたいんです」

「ん~ん?・・・でも、そんなの・・・・・・いいわ。ちょっと恥ずかしいけどしてあげる」

私はベッドに仰向けになる。加奈さんが自らの手で支点を握り、潤みにあてがう。

そして、私の胸に片手をつきながら、少しずつ腰を下ろしていきます。

「んっ・・・・・・あ、あぁ・・・・・・っ!」

女の淫口が私のものを咥え込み、ずるずると熱いぬめりの中に導いていく。

亀頭が、蕩けた媚泥に包まれていく感触がたまりません。

私の上に加奈さんが跨る格好で、二人が繋がった。

そのうち、加奈さんが欲望のおもむくまま、もっと深くと言わんばかりに腰を動かし始める・・・

「あっ、あぁぁ・・・・・・」

肉茎の全てをおさめきった人妻が、時おり、深い息をつきながら腰を上下させていきます。

初めのうちはそろそろと、そして馴染んでくると程よいリズムで、自分の中を抉っていく・・・

「はあ・・・っ・・・」

私は、加奈子さんの動きに身を任せたままです。

目を瞑ったまま、満足げな顔で自分だけの快感に浸る人妻・・・・・・

仰向けになっている私の眼前に、加奈子さんの上体が揺らいでおり、時々、両手で支えられた上半身が後ろに反り返ると、向こうの様子が見えてきます。

理香がベッドの上で両脚を広げ、その股間に南さんの膝が割って入っている。

どうやら、向こうは正常位で始めるようだ。

私の位置から眺めると、少しばかり距離はあるものの、ちょうど南さんと加奈子さん夫婦が背中合わせの位置になります。

私の方から見ても、南さんの陰嚢の下からチラチラ妻の淫裂が見えるくらいですから、妻の濡れそぼった秘口が、南さんの目に晒されているのは間違いないでしょう。

南さんが肉茎の埋め先を確かめるように、固く張り詰めたものを秘芯の周りで転がしています。

(性交時の男性器を目にする機会なんて、滅多にあるものじゃない。自分のものとは明らかに違う、男が惚れ惚れするようなカリ太の肉茎・・・あぁ・・・あの猛々しいものが理香の中に・・)

こんなことを思い始めると、私の腹上で腰を振っている加奈さんの動きが他所事のように思えてきます。

転瞬、妻の股間に突き立てようとしている南さんがこちらを振り返り、にやっと笑いかけてきました。

しかし、その笑みが、私の腹上で腰を振っている妻に対する妬みなのか、それとも、「妻をよろしく頼む」という私への合図なのか、よくわかりません。

意地悪く解釈すれば、こちらも十分愉しませてもらいますよという暗黙の了承を求めているようにも思えてしまう。

そのうち、卑猥な感触を楽しんでいた南さんの手指が動いて、私が何度か目にした怒張の先が、妻の淫裂に押し当てられる。

「あっ、あぁ・・・・・・入った・・・」

瞬間、怒張の先がずぶりと妻の性器を貫き、妻がその侵入を確かめ終えた声をあげる。

やがて、こんな野太いものによる抽送が始まってしまうと女なら誰しも、

その甘美さにのめり込んでいってしまう・・・

「ふぅぅ・・・あぁ・・・いぃ・・・わ」

「早からそんなに感じてしまったら、体がもちませんよ」

そう言いながら、南さんは妻の両脚を大きく拡げ、ゆっくり腰を沈ませる。

「あぅ・・・っ!」

グイと一突きされた妻が悲鳴をあげる。

更に、南さんがぐぐ~っと腰を押しつける。

南さんが、逞しい肉茎を妻の開き切った女体の中心に埋め込み、動き始めました。

「あぁっ!・・・・・・あっ・・・あっ、ぁっ・・・」

快感の空白を惜しむように、短い喘ぎを繰り返す理香・・・・・・

蕩けそうなほどの快感を味わいながらも、後、数センチ・・・・・・

もう少しだけ、強張りが侵入してくる快感が欲しくて妻が目を閉じる・・・・・・

私との間では決して得られない、他の男によってのみ与えられる悦楽・・・

夫の前で並外れた肉茎に貫かれる禁断の交わりは、例えようもないほど気持ちがいいものなのだろう・・・

【交わりの様を他人に】

乳房を揺らしながら、腰だけを上下に躍らせる人妻・・・・・・

時おり、向こうの様子を眺めながら気もそぞろになっている私を知ってか知らずか、加奈さんが気持ちよさそうに腰を揺らしています。

「あぁ・・・気持ちいぃ・・・・・・小野さんはど~う?」

「こんな風に、人妻にされるがままってのもいいですね」

「そんな風に言ってもらえると嬉しいわ。ねっ、今度は小野さんが・・・」

起き上がって膝の上に加奈子さんを抱え上げると、白い乳房が顔の辺りに迫ってきます。

下から突き上げると、その動きに合わせるようにリズミカルに腰を下ろす人妻・・・

「あん、あん、ぁ・・・あん、いいわぁ・・・すっごくいい・・・」

そのうち、喘ぎが頻繁になってくると腕が首に巻きついてきて、撓れかかるように一体感を求めてくる姿がたまりません。

「さぁ、よくなってきたところで、今度は別の姿勢で愉しみましょうか」

先程の交わりに続いて二度目となると、まだ行っていない体位を選びたくなってきます。

加奈子さんを膝から下ろすと、ベッドに四つ這いにさせ、お尻を引き寄せる。

数回、抽送を行うと、私が細腰を掴んでいなくても、その続きをせがむように加奈さんの腰が追いかけてきます。

「加奈さん?この腰の動き、いいですね。大分、年期が入っているように見えますが・」

「ん~んっ、あぁぁ・・・・・・そんなこと・・・」

「だって、相当経験しないと、こんな風には動きませんよ」

「んっ、あぁ・・・」

その時、私たちの会話を小耳に挟んだ南さんが、加奈さんの方を振り返って言葉を投げかけてきました。

「正直に言ってあげたらどうだ?結構、しましたって」

「あぁ・・・そんな・・・」

その言葉はきっと、自分の素性を暴いた夫の無神経さに対するささやかな抗議なのでしょうが、こんな言葉を聞くと、余りの具合の良さに・・・

他人が越えてはならない夫婦の領域に踏み込んでしまったことを後悔します。

私は、申し分けない気持ちを抽送に込めながら、奥深いところへ送り込んでいく・・・

「こんな風にされると、気持ちいいんですか?」

「ぅん~ん・・・あぁ・・・・・・そのまま」

夫の無慈悲な一言で開き直ってしまうと背徳の怯えが消え、より甘美さが増してくるのか、腰だけをそのままに、頭を床に沈ませる加奈さん。

「ねっ、ちょっと見たら?すごいわ、加奈子さん。あんなに感じてしまって・・・」

褥こそ別にしていますが、横寝の姿勢になっているとこちらの様子が丸見えなのか、同じ女の嬌声が気になった理香が南さんに声をかけます。

「どうやら、夢中になっているようだな。旅行に来てよかっただろ?」

チラっとこちらを見やった南さんが、そのままじっと熱い目線を注いでいます。

おそらく、他人のものを受け入れ、隣で喘いでいる妻の姿に言い知れぬ嫉妬を覚えているのでしょうが、こんな妻の姿を見ている南さんもまた、女が放つ妖しい魅力に惹きつけられていることは疑いありません。

私にしても、普段妻の生々しい交わりを見ている者が逆に見られる側に回る・・・・・・何だか、妙な感じです。

私が抱いているコンプレクスのせいなのでしょうが、人妻を意のままにしていることを誇るような気にもなれませんし、かといって、南さん程には相方を悦ばせてあげられないことを恥じるような気持ちもありません。

妙にくすぐったいような気持ちになって、私はしばらく動きを止めていました。

「ねっ、あっちのことは放っておいて、わたし達も・・・」

私の放漫な動きに気づいた加奈さんが、幾分、恨みがましい目つきで私を見つめてきました。

快感のせり上がりを期待していたのに、水を差されたのですから当然でしょう。

「ごめんなさい。つい、見とれてしまって」

謝りながら、先程より幾分激し目の抽送を行っていく・・・

すると、新たな刺激を送り込まれた加奈さんの上体が再びくねり出し、私の動きに合わせてきます。

引き寄せる細腰がこんな動きを見せてくると、堪えていたものが一気に高まってきます。

「加奈さん、そろそろなんですけど、ゴムつけますか?」

「大丈夫よ。ちゃんと準備してあるから」

「まだ、ご主人の了解、いただいていないんですが」

「いいの・・・」

「本当にいいんですね」

自分が放ったこの言葉が、やがて妻が南さんの精を直に受け入れても構わないことを、

自分に言い聞かせる言葉であることもよくわかっています。

交わりの姿勢を正常位に戻して、射精に至るべく一気に激しいスラストに移る。

男に身を委ね、律動のすべてを受け入れる加奈さん・・・・・・

「あぁ、出そうだ!・・・」

「あぁぁ・・・わたしも、いっしょに・・・」

人妻が、密やかな喘ぎ声を放ち、射精の瞬間を迎えます。

私は、奥深いところまで一気に貫いて欲望の精を吐き出した。

加奈さんにも、膣奥に熱いものが弾けるのがわかるのか、膣内がぴくぴくと痙攣していて、何だか、埋まっているものが奥へ引きずり込まれていくような感じです。

やがて、埋没していたものがそろそろと引き抜かれていくと、加奈さんの体から力が抜け落ち、白い裸身がベッドに横たわる・・・

しばらく、じっと抱き合っていましたが、隣から絶え間なく聞こえる甘美な喘ぎに誘われるように、ふらふらと立ち上がり、ベッドへ歩む私たち・・・

先程から聞こえていた淫声がさらに情感を増して、切羽づまったものになりつつあります。

喘ぎが絶え間なく洩れ出るのも当然で、気がつかないうちに南さんが妻をお腹の上に乗せ、交わりの様が先程よりも激しいものになっています。

これまで何度も目にしてきた光景だ。

必然、両脚の角度が拡がって、大きな怒張が潤んだ女陰にすっぽりと呑みこまれていく様子がよく見える。

南さんの上に跨ったまま、時おり体を後ろに仰け反らせる妻・・・

何か支えになるようなものを求めようとするその仕草を見れば、自分が今どれほどの悦びの最中にあるのか、自分にそれを刻みつけてくれる男にしっかりわかってほしいと、訴えているようにも見える。

(馴染親しんできた男の味だ。これまでの経験から、この後それが我が身にもたらしてくれる悦びの程がよくわかるのだろう・・・あの時経験した、意識が霞んでしまうほどの高みに連れていってほしいのだ・・)

そうこうしているうちにスラストが激しさを増してきて、南さんが淫芽を揉みながら下から剛茎を突き上げていく・・・

「あっ、あぁぁ・・・・・・そ、そんなの、だめ・・・・・・っ!」

たまらず妻が後ろに倒れ込もうとしますが、男の動きから逃れることはできません。

否応なく、せり上がってくる甘美な快感・・・・・・

体の奥が蕩けそうになった妻が、絶頂に届いた幸せを大きな叫びで伝えます。

「あっ、あぁぁ・・・・・・だめ・・・・・・ぇいっちゃう・・・」

このような歓極まった声を聞いていると、今自分がどういう状態なのか、その様を誰が見ているのか、そんなことはどうでもいいように思っているようだ。

多分、同じ女性に見られていることも忘れているにちがいない。

ただ、ひたすら・・・男が腰を動かす度に押し寄せる快感だけが欲しいのだ。

「理香さん、こんな風になるってことは、よっぽど気持ちいいのね」

その声に、ハッとなった妻が私たちの方を見ます。

「ねっ、理香さん、気持ちいいんでしょ?」

「ああぁ・・・・・・加奈子さん、そんなに見ないで」

「気にしなくていいのよ。私も、そうだったんだから。主人のがいいのね」

「ごめんなさい。でも、我慢できないの。あっ、あぁぁ・・・」

「そのままでいいのよ。我慢なんかしなくても・・・」

(交わりの様を他人に・・・・・・ましてや、出会ったばかりの同性に見られる恥ずかしさ・・・・・・男のものを受け入れている様を、その味を知り尽くしている女に見られることによって、背筋がゾクゾクするような、なんとも言えない妖しい興奮が身体中を駆け巡っているのだろう)

「こんな理香さん見てると、小野さんもたまらないでしょ?記念に、あそこのカメラで撮っといてあげるね」

「どうだ?久しぶりにこんな様を目にして、俺が夢中になる訳よくわかっただろう」

「何だか、相性ぴったりって感じね。言われるまでもなく、わたしより理香さんの方がお気に入りなんだって、よ~くわかったわ」

「何を今さら、おまえも愉しんだくせに・・・とにかく、後でとやかく言われるの嫌だからな」

「そんなこと言ってないで、もっと“いい女性”を悦ばせてあげたら?」

「自分だけイッて、高みの見物か?まぁ、いいだろう。これから、この女性の可愛さがよくわかるから」

どうやら、他人と交わる妻の姿に嫉妬するのは、私だけではないようです。

加奈さんの言葉に勇んだ南さんが、妻を正常位の姿勢に戻し、雄の本能をむき出しにした逸物を妻の膣奥深く打ち込んでいく・・・

「んくぅっ・・・・・・いっ、いっ、いっ、あぁ・・・っ、だめ~ぇ・・・・・・おかしくなる~ぅ!」

深く、一突きされる度に女体が肉の悦びを刻まれ、蕩けるような甘苦しさが湧いてくる・・・・・・

段々とストロークの幅が大きくなると、顔を左右に打ち振り、悲鳴に近い声で喘ぎ始める。

「あっ、あぁぁ・・・・・・また、イっちゃう・・・・・・!」

「こっちも、もうすぐだ・・・・!」

私たちの眼前で、二人が極みに達する声が絡み合います。

見ている間にも妻の顏の表情がうっとりとしてきて、受精を待ち望む牝の表情を呈している。

しかし、妻の願いを無視した刺突が凄まじくなると、眉根のしわが深くなってきて、半開きの口元から苦悶に満ちた荒い息が噴き出る・・・

最早ここに至っては、開き切った体ができることと言えばイクことだけなのだ。

男の貫きにすべてを委ね、自分の体を放り出している妻の姿を見れば、どうやら悦びの限界を超えてしまって・・・・・・

射精のことすら、もうどうでもいいように思っているように見える。

私は、妻へのたまらない愛おしさを感じながら、蟲惑的な女の姿に見とれていました。

そのうち、南さんの腰の動きが次第に速まっていく。明らかに、男が精を放つ直前の動きです。

今、この時、懊悩の快楽が続くためなら、妻はどんなことでも厭わないでしょう。

南さんに抱え上げられ宙に浮いている足指の甲が反り返り、喉奥から射精を求める悲鳴があがる。

「ああぁ・・・・・・あぁっー!もう、出して、出してぇ―っ!」

妻の悲鳴を終わりまで聞き届けることなく、南さんが思いっきり腰を突出し、茎の根元を妻の股間にぴったりと密着させた。

「あっ、あぁぁ・・・・・・っ!」

心を通わせる男の奔走りを膣奥に感じながら、悦びの声を放つ妻・・・・・・

絶頂に昇りつめた直後の体が、ぴくぴく震えている。

【“おしのび旅行”の二日目】

この後、私と加奈さんは自室に戻った。

しばらく戯言を交わしているうちに会話も途切れ途切れになり、やがて互いの気息も治まっていきました。

窓際が明るくなってきて隣に目を向けると、隣にいるはずの加奈さんの姿が見えません。

時計の針を見ると、まだ、朝の六時ちょっと前です。

(お風呂に行って、昨夜の痕跡をさっぱり洗い流そうとしているのだろうか?)

普段と違う寝覚めの後、そんなことを思いながらしばらくうとうとしていると、加奈さんが静かにドアを開け、部屋に戻ってきた。

「お風呂に行っていたんですか。よかったでしょう?“旅風呂は三度”って言いますから」

「えぇ・・・」

昨夜のことが頭にあるのでしょうか、気恥ずかし気に俯いて私と顏を合わせようとしません。

(この後、朝食が終われば、旅行に出かける前と同じ・・・いつもの夫婦に戻っていくだけだ。初めて、私と情を交わした加奈さんの思いの程はわからないが、今一度、彼女の気持ちを確かめてみようか・・)

「朝食が終わったら、いつもの夫婦に戻るっていう約束でしたが、このままお別れってのも、何だか淋しいような気がするのですが」

「そうですね」

「加奈さんさえよろしければ、まだ、時間がありますよ」

「ん~ん・・・でも・・・」

「でも、何ですか?」

「同じ女ですもの。奥さまのことも気になりますわ。理香さん、昨夜はあんなに乱れて、旅行中の素振りからは想像もできませんでしたわ」

「そんな風に見えましたか?」

「あの時、奥さまの姿を見ながら思ったの。すべて忘れてなんて言うけど、そんなことできっこないって」

「まぁ、お互い様だと割り切っているとは思うんですが」

「だって、あんなに感じてしまうってことは、ご主人のことが忘れられない証拠でしょ?小野さんだからこそ、どんな恥ずかしい姿を見られても構わないって思ったんじゃないかしら?」

「そう言う加奈さんだって、同じでしたよ」

「そうですね」

「私にもわかりましたよ。南さん、あんな風に強がり言ってましたけど、内心は貴女のことがすごく気になっているんだって」

「それに、自分が嫌になりそうなの」

「よく、わかりませんが」

「昨晩、わたし、主人の前で駄々をこねたでしょ?そんな態度を見せながらわたしも同じことをすると、もう、これから主人に何も言えなくなりますわ」

「やっぱり、今朝は止めておきましょうか。こんなこと、迷いがあったらしっくりいかないでしょうから。また、次の機会を待つことにしますよ」

「ごめんなさい。いい場所があるんでしょう?また、そこでご相談されたら?・・・」

(こんな風に言うということは、この先、私たちにどのような展開が待ち受けているかはわからないが、少なくとも、男たちの交誼が続く限り、再び、同じような日を迎える可能性があるということだ)

その後、私たちは下へ降りて行ってバイキングの朝食をとりました。

食事の合間に短い会話が交わされますが、四人とも流石に昨夜のことを口にする勇気はなく、何事も無かったかのように振る舞います。

話が弾むという雰囲気に程遠いのも、昨夜、それぞれが連れ沿いの艶めかしい姿を見てしまったからでしょう。

私自身が、妻に見られていたかと思うと気まずい感じがするくらいですから、妻たちにしてみれば猶更でしょう。

そんな中でも、南さんと妻は目線で思いを通じ合えるようです。

やっぱり、何度も肌を寄せ合った間柄というのは、一度だけのそれに比べると、格段に違うのでしょう。

温泉泊まりの気怠さを引き摺りながら、ロビーでコーヒーを啜る四人連れ・・・

この後は、それぞれ元の夫婦に戻って、二日目の旅行を楽しむことになっています。

「これで、お別れですか。昨夜は色々と・・・・・・ありがとうございました」

私が、加奈さんに声をかけます。

「いいえ、こちらこそ・・・・・・おかげ様で、楽しい旅行になりましたわ。理香さんにもお礼を言わなきゃ・・・主人がお世話になって・・・」

「まぁ、お礼を言わなければならないのはこちらですわ。

どうやら、うちのも加奈子さんのことが忘れなれくなったみたいですから」

「そうでしょうか?だったら、嬉しいですけど・・・」

加奈さんの顔が、僅かにほころぶ。

こんな会話を最後に、私たちは別々のマイカーに乗り込みました。

この後は、妻と二人で昨日と逆コースを回り、もう一泊する予定です。

いくつかの観光スポットを巡りましたが、覚えているのは、日本でも珍しい二階建てロープウェイに乗ったことぐらい・・・

助手席に妻を乗せ、ドライブを楽しみながらも、胸の底には何か重苦しいものがあります。

お互い、昨夜の狂おしい場面が胸に引っかかっていて、変にそれを意識する余り、思っていることを上手く伝え合うことができないのです。

“おしどり夫婦”を気取って街中を歩いている間も、私たちが昨夜のことを口にすることはありませんでした。

その日の夜、妻がそっと布団に滑り込んでくると、私は思いっきり妻を抱きしめました。

妻の方も、それに応えてくれます。

今夜の妻はいつもとは明らかに違う感じで、こんな風に武者ぶりついてくるなんてことは久しくなかったことです。

夫の前で他人と情交した妻にとって、夫がそのことを口にしなかった時間はとても辛い時間だったのかも知れません。

しばらくじっと抱き合っていると、甘い香水の香りが漂ってきます。

「この匂いで、南さんを虜にしたって訳か?」

「いつもと同じよ。いい匂いでしょ?」

「南さんも以前と同じ匂いを嗅げて満足しただろう。おまえも当分、南さんの匂いが忘れられないだろうが、いい匂いだったのか?」

「いくら何でもそうだったとは言えないでしょ?でも、嫌な匂いじゃなかったわ」

体の匂いについては、自分が持っているDNAと正反対のDNAをもつものに惹かれると言うから、妻がそんな風に思うということは、遺伝上の交配条件が合っているのだ。

体の相性がぴったりなのも、何だかわかるような気がする。

ぽっと小さな嫉妬の火が点くと、一緒に歩いている間は控えていた言葉が自然と口から出てきます。

「昨夜は、すごかったな」

「そ~う?あなたも加奈子さんに夢中だったわ。久しぶりよ。あなたのあんな姿見たの」

「そうだったな。あんな風に可愛い声で鳴かれると、また、これからもって思ってしまうのはおまえも同じだろ?」

「いいじゃない?それで・・・」

昨夜以来、ずっと心の底に残っていた靄々したものが少しずつ薄らいできたのか、それとも、これから始まる夫との営みを密なものにしたいのか、それはよくわかりませんが、今夜の妻は私の言葉をはぐらかすことをせず、ストレートに応えてくれます。

妻の体を引き寄せると、彼女の胸が大きく波打っている感触が伝わってくる。

その大きな息遣いが表すもの・・・それは、瞼を閉じれば自然と蘇ってくる昨夜の光景なのでしょうか?

それとも、他の男に抱かれたすぐ後に、再び別の男に抱かれる異様な興奮なのでしょうか?

少なくとも、思いを寄せた男が去って、否応なく夫との現実に戻ってしまう空しさではないような気がします。

私は、執拗に愛撫を重ねながら妻の体の変化を探り、心持ちを確かめていきます。

「それで、当然、今朝もしたんだろ?」

「うん」

妻が、短く答えます。

こんな返答をぽつりと呟かれると、きっと、私がそのことを加奈子さんにもちかけ、

やんわりと断られたことも影響しているのでしょうが、やりきれないものがあります。

彼女の拒絶が、別室で過ごしている同じ人妻への思いやりからきていることは、他ならぬ私がよく知っています。

なのに、南さんの申し出をすんなりと受け入れた理香・・・

すると、次に訊きたくなるのは、私たちが引き上げてから妻が南さんと二人っきりで過ごした時間のことです。

「それで、二日間で、何回したんだ?」

「終わった後、いつもそのこと訊くのね。そんなこと訊いてほしくないんだけど、言わなくちゃいけないの?」

「都合の悪いことでも、隠し事をしないって約束だっただろう?言えよ」

「う~ん・・・・・・四回よ」

三回までは計算できるが四回となると・・・・・・あの後、私たちが部屋を出てから朝方までにもう一度交わったことになる。

助手席で、気怠さを引き摺りながらぼ~っとしていたのも頷ける・・・

複雑な思いはありますが、それを胸奥に閉って妻の上に覆い被さります。

亀頭が膣口を拡げると、加奈さんの時と同じようにずるっと引きこまれる感触があり、熱いぬめりが私を満たしてくれる。

更に奥を求めて茎をすべらせていく・・・・・・すると、妻の手が私のお尻に回ってきます。

私は両手で上体を支えながら、緩やかな動きを刻んでいく・・・

でも、昨夜のことが意識の底にあるせいか、加奈さんと交わした程は口から睦言が出てきません。

(夫に求められるままに、悦びを求める女になりきってあげたのに、そのことが終わったら、夫の心の底に嫉妬の灰汁が溜まっているなんて・・・・・)

もし、妻が私の心の内を覗いたなら、やりきれない気持ちになるしょう。

そんなことを思いながら動きを激しくしていくと、背中に回った妻の腕に力がこもってきます。

そのうちに、妻が叫ぶ。

「あぁぁ・、あなた・・・きて、もっときて~!」

こんな風に叫ぶということは、明け方の交わりに比べ、量感と迫力に乏しい私のものに物足りなさを感じているのでしょうが、朝方抱かれた同じ日に、再び別の男に抱かれる興奮が妻を淫らに変えていきます。

「ねぇ、もう、ちょっと奥の方まで・・・あぁ・・・そう・・・」

今、スラストされている感覚が、昨夜と同じものに変わっていくことを願って妻が腰を振る・・・

やがて、交りを終えた夫婦の大きな息遣いが部屋の中に漂います。

“おしのび旅行”の二日目・・・・・・その夜の交わりは、これまでにないほど激しいものでした。

終わった後、妻に対するたまらないほどの愛おしさを覚えましたが、今で思えば、その夜の交わりは男の本能に根差すものではなく、妻の所有権をその体にしっかり刻み込むための行為だったように思えます。

果たして、妻の方もこのような夫の歪んだ愛を理解し、生活を共にする幸せを感じてくれたのでしょうか?

【終わりに】

妻と褥を共にする回数がめっきり減り、反比例するかのように妻の男性経験が増えてくると、こんなことを始めた最初の頃が懐かしくなってきます。

最初のうちは、妻の方も「約束・・・ちゃんと守ってね」と、私の心が離れないように念を押したり、千々に乱れがちな心に不安を覚え、「わたしの心をしっかりつなぎ留めていて」と、縋りついてきたものです。

私の方も、妻が嫌がるようなこと・・・

例えば、アブノーマルな性戯を強いたり、卑猥な言葉を使ったりすることは避けてきました。

それに、妻が男のものを口にできない理由も、敢えて尋ねようとはしませんでした。

でも、こんな風に自分の心に何らかの縛りをかけてしまうと・・・

「ジェンダーを尊重して、性に関するプライベートな部分やお互いに差し障りがあるところには触れないでおこう」というスタンスが固まってしまいます。

その結果、微妙にずれがちな互いの想いを修復する必要性が生まれてきて、これまで私たちはお互いを気遣い、思いやりながら「夫婦の日常」を保ってきたのです。

しかし最近、禁断の行為にすっかり慣れきってしまうと、それまで大切にしてきたことが綻んできたような気がします。

「他人の愛撫に身を委ね、淫らな姿を見せても、互いに交わした“約束”を守ろうとしているだけなんだ」

と努めて楽天的に考えようとしても、エスカレートする一方の自分の姿を見れば、南さんのみならず、妻の男性関係がこの先どのように転んでいくのか、その先が読めなくなってきます。

こんなこと、言わずもがなのことですが、妻が他の男に抱かれて得るものは、他人に体を開く背徳の甘さと意識がどこかへ消し飛ぶような官能の悦び・・・・・・

そして、私が得るものは、大切なものを汚され失ってしまう・・・屈辱と自虐の歓びなのです。

この先ずっとそんなものを求め続ければ、そんな日は迎えたくはありませんが、いつの日か、腰を据えて話さなければならない日がやってくるのかもしれません。

(そのうち、最も大切な“約束のピース”までも剥がれ落ちて、別模様の新たなピースが妻の懐深くしまい込まれるのではないか?)と思うことがしばしばです。

しかし、ここまできてしまうと、歯止めをかけるのはもう無理なような気がします。

仮に、私が今までと比べようがない孤独な毎日をおくることになったとしても、それは、それで仕方がない・・・

こんな風に、腹を括っている昨今です。

加奈子と理香(前編)
【はじめに】

私の名前は、小野まさお。妻の名前は理香。

私より幾つか年下の妻はポッチャリ系なので齢相応より若く見られがちです。

私の性格はと言うと、別に不器用ではありませんが口数も少なく控え目な方・・・

そして、妻の方はそんな私に心から尽くすタイプ・・・

二人とも穏やかな性格なので、我を張り合ったり、相手を非難して喧嘩になったりするようなことは一切ありません。

周りの方の目にも“おしどり夫婦”に映るようですが、このように夫婦仲が丸く治まっているのも、お互い相手を理解し、あれこれ気を回しながら向き合ってきたからかもしれません。

しかし、人の心の中はわからぬもの・・・

私が、妻のことを心より愛しているのに、彼女が他の男に抱かれることに異常な興味を覚える裏の一面を持っているなんて、一体、誰が想像できるでしょうか。

決して二重人格ではありませんが、私はこのような願望を仮面で覆い隠しながら、これまで素知らぬ顔で、周りの人々と関わってきたのです。

私ではない誰かに妻を愛してほしい・・・・・・

そして、妻と他人との性の交わりを見てみたい・・・

すべてはこのような妄想から始まり、“パンドラの箱”を開けてしまってからは現在に至るまで、十指を超える男性に妻を抱かせてきました。

このような常軌を逸した行為に夢中になった訳は、妻を他の男に抱いてもらい、その行為によってのみ得られる甘苦しい興奮に酔いしれたかったからです。

そして一旦、魔性の快楽を味わってしまうとその時の興奮が忘れられず、次から次へと男を漁るようになりました。

今で思えば、妻が他の男と交わる姿を見て自分の心に生じる嫉妬や腹立たしさ、不安や失望といった“寝取られ感”を味わいたかったのだと思います。

でも、これは多少ゆとりが出てきた今だからこそ、こんな風に自分を客観的に眺められるのであって、その時点においては、それこそ無我夢中・・・・・・そんな自覚や冷静さはありませんでした。

しかし最近は、それらの感情すら薄らいできて・・・・・・艶めかしいはずの妻の交合を見ても、左程のものには思えなくなってきました。

もちろん、経験からくる慣れや惰性も影響しているのでしょうが、此処まで来ると、私の行いは最早性癖とは言い難く、歪んだ性格や人格の問題なのかもしれません。

【加奈子と理香】

いつもと変わらぬ朝食のひと時・・・テーブル上には、トーストが載っています。

今日は新聞の“広げ読み”は止め、私は食器を並べたり、冷蔵庫にある物を出したり・・・

そのうち、野菜サラダとベーコン入りのスクランブルエッグが運ばれてきます。

テーブルにおおよその料理が並び、ゆったりした気分で窓際に目をやると、菜園のトマトがふらふら熟れて、軒を伝うゴーヤの葉っぱが庇まで伸びています。

「朝から忙しい思いをさせて悪いですね。こんなはずではなかったと思うでしょ?」

「あらっ、そんなこと、元より覚悟してますわ。ただ、勝手がわからなくて・・・・・・今朝は、簡単なものでごめんなさい」

「この後、僕は出かけちゃいますが、帰ってくるまでのんびりして下さっていいですから」

「そんな訳にもいかないでしょ?この後、お掃除に洗濯、それに買い物にも行かなけりゃ・・・」

「家の中のことなら、構いませんよ。二日間ぐらい放っておいたってどうってことありませんから」

「そんな風におっしゃるってことは、すべて、理香さん任せにしているんでしょ?普段だったらそれでいいでしょうけど、昨日、今日は特別な日でしょ?後で、私が恥ずかしい思いをしますから」

あちこちの木々の梢から、蝉の鳴き音が響きわたる盛夏・・・

今、私と南さんは互いの妻を交換して、いつもと違う相手と暮らしているのです。

もちろん、男たちが計画し、妻たちの了承を得て此処に至ったものですが、それぞれの夏季休暇を合わせ、今、加奈さんは私の家に・・・・・・そして、理香は南さんの家に泊りこんでいるのです。

加奈さんにしてみれば、朝方、私を送り出し、そのまま私の家で時間を潰し、夕食の支度をしながら私の帰りを待つ一日になります。

昨夜、加奈さんと、平湯温泉以来二度目の関係をもった。

私に抱かれながら、悦びの声をあげる人妻・・・・・・歓極まって私に縋りついてくる姿を目にすると、「このまましばらくは、同じ日が続いて欲しい」とさえ思ってしまいます。

もちろん、南さんの家に泊りこんでいる理香のことも気にはなりましたが、今少し、この時間が続くことを願って、余計なことは考えないようにしました。

ここで、どうしてこのような顛末になったのか、その経緯をお話しましょう。

平湯温泉で、南さん夫婦とスワッピングをしてから、加奈さんに対する私の想いが徐々に変わってきました。

あの時、別れ際に、理香と加奈さんが交わした言葉・・・

「まぁ、お礼を言わなければならないのはこちらですわ。どうやら、うちのも加奈子さんのことが忘れなれいようになったみたいですから」

「そうでしょうか?だったら、嬉しいですけど・・・」

二人のこの会話に私の想いが詰っているようなもので、どのような形になるかはわかりませんが、そんなに遠くないうちに、再び彼女と肌を合わせることになるんじゃないかという予感めいたものはありました。

決して、妻への愛情が揺らいだという訳じゃなく、この女性のことをもう少し深く知りたい・・・

そして、できることならもう一度、この女性と褥を共にしたいという欲望が日増しに強くなってきたのです。

そんな時、いつもの店で・・・元より、話の弾みではありませんが、南さんの方から切り出されたのです。

「どうですか、小野さん?これでイーブンな関係になれたことですし・・・貴方さえよろしければ、しばらく交換してみませんか?お互い、舅や子どもが家にいないし、やろうと思えば出来ないこともないでしょう?」

「前々から私も、チラッとそんなこと、思わないでもなかったのですが」

いつ頃か定かではありませんが、ある時、南さんと同じ思いが脳裏を過ったことは確かです。

その時は、際限なくエスカレートしてしまいそうな妄想を振り払ったものですが、その後もなお、欲望の火種は私の心底で燻り続けていたのです。

「でも、女房たちの方が納得しますかね?」

「加奈子の方を心配しておられるんでしょ?大丈夫ですよ。あの後、二~三日、ぼ~うとしていましたから。きっと貴方のことを思い出していたんですよ」

「そうですか。こんなこと、貴方風に言えば、あれこれ迷ったら上手くいきませんよね。少々の不安はありますが、思い切ってやってみますか?」

南さんの申し出に誘い込まれるように、私の口からはこんな返答が飛び出しました。

見慣れぬ家の台所に立つ妻のエプロン姿が頭を過った、あの時からずっと・・・

南さんと同じ想いが、淫靡な妄想を伴って私の心を支配し始めていたのです。

(妻を南さんの元に送り出して、一週間ぐらい一緒に生活させた・・・誰にはばかることなく、あの荒々しい勃起で妻を貫き、気が遠くなる程の悦びを彼女に与えてあげてほしい・・・膨れあがった怒張の先から、火照った秘部の奥深く、欲情の精を奔走らせてほしい・・)

こんなことを思っていた最初のうちは、妻に覆いかぶさる男の顏はぼやけていたものですが、次第に、脳裏に浮かぶその顔は南さんでなければならないようになってきたのです。

さて、彼の誘いを即座に承諾した私ですが、改めて考えてみると、流石に“スペシャルカード”を切ってしまうのは勇気が要ります。

(このまま、突き進んだらどこへ行き着くのか、先が見えないことは今も変わりがないが、ますますエスカレートしていって、そのうち、妻の“我慢の糸”が切れてしまうのではないか・・)

おぼろげな不安を感じますが、私がどう足掻いても為す術がない所で、妻の体が、心が・・・

今まで以上に完全に他の男に所有されてほしいと願う麻薬性の疼きは、そんな不安をも押し流してしまいます。

(ひょっとして、妻との離婚にまで事を進めていって・・・最後に、究極の被虐感を味わいたいと願う自分がいるのだろうか?)

こんなことを思うと、空恐ろしくなってきます。

「小野さんも、先々こうなることは、ある程度予想されていたんでしょう?」

「今になって思えば、こうなることがわかっていたから、貴方への返事を先延ばしにしていたのかもしれませんね。これから先、どこに行き着くのか、ちょっぴり不安ですが」

「そんなこと、余り深く考えない方がいいですよ。お互い、したいことをしようって割り切らないと・・・それで時期は、七月の終わりか、盆前あたりがいいと思うんですが・・・・・・どれくらいの日数にしますかね?」

「その前に、泊まり込むのが私たちなのか、家内たちの方なのか決めないと」

「そうですね。理香さんと加奈子には休みを取ってもらうことにして・・・私たちとなると、その間ずっと休みって訳にもいかないでしょ?」

「私たちが泊り込むとなると、南さんとマイカー交換ですか?それに家に帰る時は帽子にグラスをして」

「ははは、まぁ、それは家内たちにしたって同じでしょうけど、勝手知れない家に居座ることになるんですから、どっちみち、色々と面倒なことが出てきますよね。でも、女ってなるとそんな場合何かと知恵が働いて、きっと、私たち程にはまごつかないと思いますが」

「じゃ、今回も、女房たちに無理を聞いてもらうことにしますか?」

「そうさせてもらいましょう。無理なことでも本人たちが満足さえすれば、そうではなくなってしまいますから」

こんな南さんの言葉を聞いていると、妻が南さんに惹かれる理由がよくわかります。

もちろん、妻が人並み外れた肉茎の虜になっていることは疑いないでしょうが、それ以外に、自分の夫にはない強引なところに惹かれるのでしょう。

妻に対する私の態度を主観的に言えば、個性やプライベートな部分を尊重するという手前味噌な理屈をつけて、煩わしいこと、とりわけ気力、体力を要することからは、さっと逃げてしまうようなところがある。

はっきり言えば、男としての猛々しさが欠落しているのでしょう。

煩わしいことや根を詰めることには及び腰になってしまうのです。

それに比べ、南さんには・・・・・・この前平湯温泉で加奈さんに対してとった態度からもわかるように、少々、強引だが、グイグイ引っ張っていく意思の強さと積極性がある。

それでいて、ゆったりと構え、相手の想いを受け入れる鷹揚さも兼ね備えている。

(きっと妻にしても、自分の夫にはない、こんな押しの強さや懐の広さに惹かれるのかもしれない。手っ取り早く言えば、グジグジ煮え切らぬ男とズバッと割り切れる男の違いだろう)

「それで、日数はどのくらいにしますか?小野さんに任せますよ」

大筋で合意さえすれば、後の細かいところはどうでもいいのでしょう。南さんが私に振ってきました。

「やっぱり、二~三日ってところが限度じゃないですか?一週間ともなれば、そのうち、お互いの嫌な面が顔を出してくるでしょうから・」

「私も、それくらいがちょうどいいんじゃないかと思っていました。泊まり込むってなると、あれこれと日常のことも関わってきますからね」

「それじゃ、日数は二日ぐらい・・・・・・週末の木、金あたりにしましょうか?元の生活に戻りたくなったら、週休日に家でゆっくりできますから」

他人に聞かれたくない内緒事を話し合うとなれば、ボックス席の片隅で手短に話すしかありません。

この後、私と南さんは、詳しいことを打ち合わせました。

詳しいことというのは、周りの目を意識しなければならないことによる色々な制約のことです。

例えば、車の助手席に彼女を乗せて街中を走ることや二人連れ立っての買い物などはできるはずがありません。

偶然、顔見知りの方が訪ねてきた時でも、見知らぬ女性が応対に出たならばそのうち、どこからかあらぬ噂が立ち昇ることは目に見えています。

周りの人に気づかれず、これまでと同じように体裁を保ちたいのなら、これくらいのことに気をつけて当たり前でしょう。

私と南さんが確認したことは、おおよそ次のようなものでした。

  • 家への出入りの手前、使う車はそのままにする。私たちの場合で言うと、理香の車を加奈さんが使用する。
  • 二人そろって外出は控える。どうしても出かけなければいけない時は遠出にする。
  • 電話が鳴った時や来客の際は、居留守を使うことにする。
  • 家の中でのことについては特に決め事をせず、それぞれの家庭に任せる。

この他にも、新しいパートナーへの接し方について・・・

・・・バッグひとつだけ持って家に来ることにし、衣服や化粧品はそこにあるものを使う。

・・・夫婦のことは、相手の気持ちを尊重しながら、自分の妻同様に扱えばよい。

おおよそ、こんなことを確認し、その後双方の妻たちを納得させた上で、その日を迎えました。

【それぞれの心模様】

夫婦交換・・・・・・男の側から見れば、自分の良き理解者であり、大切な存在である妻を他人手に委ね、その体に、見慣れぬ“愛の烙印“を押してもらう行為・・・

妻が他人に所有された事実で得るものは、滾る欲情や嫉妬であったり、歪んだ劣情であったり、人様々でしょうが、こんなことをすれば、相手に対する敬慕の念が消え、これまでと同じ生活を続けていくことができなくなって当たり前です。

なのに、中には私のように、そんなことは百も承知で、その不安に優る歪な情愛を求めて、禁断の行為に走ってしまう男もいます。

行き着く先は限りなく不透明ですが、今の私の状態で言えば、夫婦に破滅をもたらすかもしれないリスクですら、何とも妖しい喜びになってしまっているのです。

さて、此処では、そんな行為を自分の腑に落とした四人が、それぞれ自分以外の人のことをどう思っているのか、私なりに想像してみたいと思います。

私たちの場合は二の次にして、最初に南さんは・・・

奥さんの加奈さんに対してどのような思いを持っているのでしょうか?

南さんが“おしのび旅行”を私に持ちかけてきて、奥さんを私に差し出すようなことをしたのは、自分だけが“蜜の味”を愉しんで、私に対して心苦しい気持ちがあったのは確かなように思えます。

元々、理香と深い関係になる前からも、こっそり私たち夫婦とよく似たことを愉しんでいたようですから、彼もまた、私と同じような嗜好を持つ男であることは疑いありません。

きっと、私の場合のように、「妻が、自分以外の男に体を開いていく様をとっくりと見てみたい」こんな思いがその行為の始まりだったのでしょう。

そして、妻の体を私に差し出した今となっては、「お互いの妻を交換して二~三日・・・」こんな突飛もないことを私に持ちかけるくらいですから、少なくとも「その後、どうなるのか楽しみだ」ぐらいのことは思っているでしょう。

あくまで想像の域を超えませんが、仮に南さんがそんな思いをもっているとすれば、彼にとって加奈さんはとても大切な存在であることになります。

連れ沿いのことをこよなく愛しく思えるからこそ、そこまで追い求めるのであって、大事に思えば思う程、通常の感覚では為し得ない域にまで踏み込みたくなるものなのです。

南さんが私と同じように「妻の心まで奪ってほしい」と願っているとは思えませんが、彼もまた、「俺の女が、他人にあんな風にされて」と、妻が他人手に落ち、凌辱されていく姿を見ることによって、彼女への愛情が深まるタイプなのでしょう。

次に、加奈さんの、自分の夫(南さん)に対する思い・・・

加奈さんの夫に対する思いは、平湯温泉での一夜から推測するしかないので余り深いところまではわかりません。

あの時・・・・・・急に旅行の話を持ち出され、そして、夫の不倫相手も交え一緒に旅行する羽目になって・・・

おまけに当日、夫に約束破りの行為をされたのですから、彼女の拗ねてしまいたくなったあの時の気持ちはよくわかります。

多分、旅行の計画を持ち出された時からずっと、腑に落ちない思いがあったのでしょうが、あの時の加奈さんは、恥態のすべてを夫に見られても構わないって思う程、開き直っていたように思えます。

自分の姿をあてつけがましく夫に見せつけ、少しぐらいは嫉妬心を燃やしてほしいと願っても当然でしょう。

ひょっとして、自分が極まっていく様を夫のみならず、その不倫相手の理香にもしっかり見てもらいたいと、思っていたのかもしれません。

「こんなことをOKするくらいだから、少しばかりは私にその気が」と自分に贔屓目で推し量ってみても、彼女が夜のことを期待して、私の所へやってきたとは思えません。

きっと、自分の思いより夫の望みを優先させたのでしょう。

(夫に対する彼女の意識の底には、夫婦として日常生活を歩んできた重みやこれからも、自分の伴侶として生活を共にしていけそうな頼もしさがあるのだ。)

とは言え、彼女が夫の我儘を聞き入れて私の元にやってきたというのは、自分もその行為を承知したのだ。

(南さんになくて私にあるもの・・・・・・無理をして探せば、それは安心感だろう。もし、彼女がこのホームスティの間に、何か私に求めているものがあるとするならば、その期待に応えてあげるだけだ・・)

三つ目に、加奈さんに対する私の気持ち・・・・・・これはもう、自分のことなので、よくわかります。

正直言って、南さんからそれとなく、『奥さんを抱いてほしい』という話を持ちかけられた当初は、『面倒くさいことになったら嫌だな』と、余り、乗り気ではありませんでした。

(南さんはどちらかと言えば押しが強いタイプだから、奥さんの方は多分、遠慮がちで慎ましやかな女性だろう。新たな出会いともなれば、男の方から積極的に働きかけなければならないことが自然と多くなる。いつもリードされている者が、そんな女性をリードする側に回る自信は、有るべくもない・・)

初めのうちはこのように思っていたのですが、“おしのび旅行”で彼女を抱いてからは、そんな想いが確実に変わってきました。

(この先、どのような展開が待ち受けているのかは知らないが、例え、縺れた関係になろうとも、再びこの女性を抱いてみたい・・)

こんな想いが日増しに強くなってきたのです。

元々、セックスとは配偶者間のそれは言うに及ばず、道ならぬ不倫関係においてでさえ、自分の意識を相手の身体の中に埋没させ、そのことによって相手の心を所有しようとする企てなのですから・・・

私が、忘我の一夜を忘れ得ず「再び、この女性を抱いてみたい」と思っても不思議ではありません。

でも、私の心の中には・・・・・・あの時、平湯温泉で、それほどでもない持ち物に接した加奈さんが落胆をおぼえたのではないかという不安が付き纏っています。

あの時、「そんなこと、ないですよ」と、優しくそれを否定してくれはしましたが、それが彼女の本心だとは思えません。

(男性の人柄の中に、自分を大切にしてくれる・・・ちょっぴりでもいいから自分が幸せになれそうな匂いを感じたら、セックスの方はそれほどでなくてもいい。女性は、こんな風に思ってくれるのでしょうか?)

とにかく、人妻を抱いたからといって、到底、夫の南さんほどには彼女を愛せないことはわかりきっているのですから、あまり舞い上がらず、二日間を適度に過ごすのが私にはお似合いでしょう。

最後に、南さんに対する理香の気持ち・・・

私の許しを得てというより、私に勧められて・・・・・・これまでに妻は都合四回、南さんと関係をもった。

そして、彼との情交において・・・・・・私の願い通り、“悦びを求める女”になりきってくれた。

今回の夫婦交換のことについても、私から持ちかけられた話をすんなりと受け入れた程ですから、彼に強く惹かれていることは疑いありません。

しかし、「南さんの家で、二日間共に過ごす」

夫婦にとってずっしりと重いはずの破戒の企てをこれ程すんなり了承されると、新しく始まる彼との日常において彼女が何を期待しているのか、その胸の内を探ってみたくなります。

学生時代のことだが、当時私には二つ年下の彼女がいた。

その後、私は就職し、彼女はそのまま学生生活を続けていたが、ある時、心変わりした彼女から告白されたことがある。

「あなたのことは好きだけど、『すべて、あなたにつくしたい』って、百パーセント、そんな気持ちになれないの」

後になって、彼女に新しい彼氏ができたことを知りましたが、その時思い知ったことがあります。

(男女関係において、ある女性が、同時に二人の男性を好きになること・・・これはありえる。しかし、一方の男性に寄せる想いの程が強くなればなるほど、もう片方の男性に寄せるそれは弱くなっていくのだ。つまり、それぞれの男に対する思いの丈は反比例していくのであって、その女が二人の男性に対して、両方ともに“首ったけ”になるなんてことはあり得ないのだ)

私自身も加奈さんのことを意識し始めてから、自分の心に幾分の変化が兆し始めたので、この辺りのことは確かなように思えます。

従って、理香にしても私への愛情が薄らいだ訳ではないだろうが、思いの丈が南さんの方へ伸びていった分だけ、私への思いの丈は短くなっているのだ・・・

妻は暮らしの知恵があり、編み物や縫い物など手先が器用ですし、その他にも料理・・・人形づくりといった得意分野があります。

しかし、手先の器用さとは裏腹に、顏の表情を隠したり、一度、口から出た言葉を取り繕ったりすることは、余り器用な方ではありません。

南さんとのことに関しても、彼に対する想いが強くなればなるほど、そして自分に正直であればあるほど、「二股かけて」とか、「天秤で計って」なんて、器用な真似はできない女なのです。

好きな男と一緒に暮らせる幸せが、無理をしてつくった幸せなのか、それとも、今後もずっと続いてほしいと願う程の幸せなのか、きっと、彼女自身が今回の同棲で確かめてくることでしょう。

そして、私にしても・・・・・・多分、妻が帰って来た時、今までとは違った妻の姿を見ることになるだろうが、その時、それくらいは仕方がないとさらっと許せる程度のものなのか?

あるいは、心穏やかでなく、嫌悪を覚える類のものなのか?

はたまた、その変容ぶりが好ましいように思えてくるのか?

すべては、妻を出迎えたその時に、自分で実感することでしょう。

【ホームスティの二日目】

今日は金曜日・・・・・・加奈さんにとって二日目の滞在になる。

午後からは、二人一緒に過ごすようにしてある。

午後一時過ぎに帰宅して、ガレージの中を見ると理香の車がある。加奈さんが家にいることは間違いない。

「ただ今。どこかへ気晴らしにでも出かけているんじゃないかと思っていましたが」

「そんな・・・・・・勝手に家を空けるなんてできませんわ。小野さんも、わたしに時間を合わせて・・・・・・慣れないことするの大変でしょ?お昼はどうされたんですか?」

「悪いけど、済ませてきました。ここへ直行の方がよかったかな?」

「もし、遠慮されているんでしたら嫌ですよ。“冷やし中華”だったら、できますけど」

「お昼は、冷やし中華だったんですか?でも、悪いなあ。せっかく来ていただいたのに、これじゃ、家政婦してもらっているようで・・・朝からずっと、勝手わからない家で大変だったでしょう?」

「そうね。でも、これまで自分の家にいると気づかないことがいっぱいありましたわ」

「へぇ~どんなこと?」

「一度、こんな広い家に住みたいって、ずっと思っていたの。家の中見させてもらいましたけど、間取りが広い割には色々工夫されているなって思いましたわ。台所もきちんと整理されていて、使いたいものがどこにあるのか、初めての私でもすぐにわかりましたもの」

「田舎の家って、広いだけが取り柄ですからね。でも、効率は悪いですよ。冷暖房にしたって夏はいいですけど、冬は寒いから」

「それに、お庭の菜園・・・・・・ブルーベリーやハーブなど、スーパーにないものがいっぱい植えてあって、流石、お料理上手な人は違うなぁって感心しましたわ」

「いやぁ、苗床や木棚を作る仕事がこっちに回ってきますからね。トマトにしても、なかなか褒めるのも大変ですよ。出来が悪くても、そんなこと言えませんからね」

加奈さんとこんな話を交わしていると、何だか心が和んできます。

理香が、あっちの家でどんな風に過ごしているかはわからないが、きっと、よく似た話をしていることでしょう。

(一つ屋根の下で、いつものパートナーと相も変らぬ暮らしをしていると気づかないが、生活を共にする相手が変わるだけで、新たな生活の中でちょっとした発見や驚きが生まれ、相手への労わりや気遣いまでもが新鮮で弾んだものになってくる。今の私は妻に対して、小面倒なことが億劫になってきて、ついつい細かな気遣いを怠っている。気疲れすることをしたくないと思うと、自然と怠けや緩みが生まれ、それが倦怠を醸し出しているのだ・・)

「さて、これからどうします?お昼寝なんてどうですか?」

「いいですね。そうしたいけど、昼間から小野さんの前で横になるなんて・・・・・・後でそんなことが主人にばれたら、困ってしまいますわ」

「それじゃ、ちょっとだけ外出ってのはどうですか?車を少し走らせるだけで、涼しい場所があるんです」

「わざわざ、出かけるのも面倒だし・・・・・・せっかくですけど、今日はここでのんびりさせてもらいますわ」

この後、二時間ちょっと・・・・・・加奈さんは雑誌に目を通したり、携帯を弄ったり、気ままに時間を過ごした。

私との会話で話題にあがったのは、ツイッターやネットショッピング、それに旅行の話など・・・

そのうち、雑誌に目を通していた加奈さんが、「ねっ、長崎に行ったことあります?」とか、「グラバー園が良かったわ」とか、話しかけてきますが、流石に、「じゃ、今度、二人でそこに行ってみましょうか?」と誘いかけることはできません。

コーヒーを飲みながらあれこれ話していると、いい時間になる。

「これから、夕食の支度でしょ?何か手伝えそうなことありますか?」

「普段、そんなことされてないんでしょ?主人によく言われますの。『台所に、二人も立つもんじゃないって・・・』任せてくださった方が楽ですわ。ところで、夕食、何がいいですか?そんなに自慢できる料理がたくさんある方じゃないですけど・・・」

「簡単なところで、カレーにしませんか?これでも、じゃがいもや人参の皮くらいだったら剥けますから」

「まぁ、優しいんですね。大丈夫かなって心配しているんでしょ?」

「はい、その通りです」とは言えません。

パートナーが変われば、相手の好みはもちろん、ライフスタイルや物の価値観まで変わってきます。

自分とのギャップを気取られないように、妻との日常以上に気を遣わなければならないことは当然です。

もしかして今回の体験は、最近物憂くなっている妻への気遣いを取り戻すまたと無いきっかけになるのかも知れません。

(妻とのことはさておき、どうやら、加奈さんの目にはわたしのこんな気遣いが“優しさ”に映るのだろう。もし、加奈さんが「私と一緒にのんびりしたい・」そう思っているなら、彼女が望むようにしてあげよう・・)

「それじゃ、全部横取りしてしまうのは悪いから、カレーの付け合わせの方、任せてもらえますか?」

「じゃ、お願いしようかしら?一体、何が出てくるのか楽しみですわ」

「内緒、内緒・・・・・・でも、冷蔵庫にない物を買ってこなくちゃ」

「言ってくだされば、買ってきますから」

「慣れない車で、大丈夫ですか?」

「ずっと家の中にこもりきりでしたから、ドライブってわけじゃないけど、ついでに、この辺りの景色も楽しんでこようかな?」

「じゃ、缶詰フルーツとブロッコリーを買ってきてもらえますか?出かける時は、帽子とグラスを忘れずにね」

加奈さんが買い物から戻ってくると、台所でトントンと野菜を刻む音が聞こえ、加奈さんの隣で私も立ち回る・・・

台所に湯気がこもって、そのうちカレーが出来上がる。

私が作った副食は、フルーツヨーグルト、それにハムエッグ、茹で卵、ブロッコリーの添い合わせだ。

「これが南さんちのカレー味ですか?」

「これくらいのところが手いっぱいですわ。理香さん、お料理が上手だから恥ずかしいわ」

「そんなことないですよ。このカレー、いつもより甘くておいしいです。さっき、擂っていたリンゴを入れたんでしょ?」

「カレーに入れるものって、人それぞれ好みがありますから。小野さんは、いつも何を入れてらっしゃるんですか?」

「疲れ気味の時は、ニンニクを少々・・・・・・今日は、そんな訳にもいきませんけどね」

「まぁ・・・」

こうして、加奈さんと満ち足りた時間を過ごしていると、あっちの家のことも気になってきます。

あれこれ、妻の姿が思い浮かんでくると、加奈さんの問いかけに頷くことが多くなってきて、都合よく相手に迎合してしまう私・・・

でも、これが私の性分なのだ。

(きっと向こうの家では、南さんが、『いつも通り、好き勝手にさせていただきますから』って、前もって理香に断っているに違いない。そして、理香の方も『その方がいいわ。こっちも変に意識しなくて済むから・・・・・・』なんて答えていることだろう)

この後、夕食の後片付けが終わり、テレビをつけながら、それを見るともなく、しばし語り合う。

話にあがったのは、互いの趣味や週休日の過ごし方、それに、それぞれが結婚にまで至った馴れ初めや経緯など・・・

この時ばかりは、互いに興味津々の面持ちで相手の話に聞き入っていましたが、一番関心がある話が終わってしまうと、そのうち、話題箱のツールの数も減ってきて話すことが限られてきます。

二人の会話に切れ間が出てくると、余り、しつこく付きまとうのも気がひけるようで、次のステップに移りたくなってきます。

多分、加奈さんだって心の内では、「そろそろかな?」と、次のことが気になり出している頃かもしれません。

「ちょっと早いけど、お風呂でもわかしましょうか?」

「こんな時間からですか?まだまだ、時間がありますけど」

「ゆったりと長湯ってのもいいじゃないですか?よろしかったら、一緒に入りませんか?」

「えっ!そんなことできませんわ。無理言わないでください!他のことは何でもしますから・・・」

(男の身勝手さで言えば、こんなこと余り堅苦しく考えず、銭湯に出かけるくらいに思えばいいと思うのだが、いくら、覚悟してやって来たとは言え、勝手知れない他人の家で夫とは違う男性に肢体の隅々まで晒すことに戸惑いがあるのだろう。でも、彼女がそう願っているのなら、そうしてあげよう)

【ピンクのキャミソール】

結局、私の願いは聞き入れられず、「どうぞ、お先に・・・」と、一人でお風呂に入ることになった。

湯あがり場に行くと、こんな所にあるはずがない洗濯物が干してあります。

午前中に洗濯をした加奈さんが、間誤つきながら恰好の場所を見つけたのでしょう。

私のシャツに隠れるように、女物の下着がぶら下がっています。

たかだか二日間なのだから、下着類はバッグの奥にしまっておいても良さそうに思えますが、きっと、洗濯かごの中に私の衣類を見つけ、ついでに自分のものも洗う気になったのでしょう。

でも、洗濯物がこんな私の目にふれる所に干してあるということは、彼女が、それを私に見られても構わないと思っていることになります。

昨日一日、一緒に暮らしてみて・・・

今夜も行われるはずのことが、そんなに畏まらなくてもいいことのように思えてきたのでしょうか?

浴槽に身を沈め、ゆらゆら揺れる股間のものを見つめていると、昨夜の加奈さんの姿が蘇ってくる。

(昨夜、恥じらいがちな両脚を無理に押し開き、肉茎をそこと知れたところに押し入れた瞬間、彼女が「あっ」という小さな叫びをあげた。今夜もまた、昨夜と同じような可愛い声で鳴いてくれるのだろうか?)

賢い彼女ですから、「一緒にお風呂に入ろう」なんてことを持ちかける私の下心はもちろん、貧しい心の底まで見透かしていることだろうが、それでも猶、私を受け入れても構わないと思ってくれるのか?

こんな風に思えば、無性に彼女のことが愛おしくなってきます。

この後、加奈さんがお風呂場に行った。

しばらくするとドライアーの音が聞こえ、そのうち、下着姿の加奈さんが、小さな化粧バッグを持って寝室に入ってきます。

昨夜は薄ベージュだったが、今夜はピンクのキャミソールだ。肩口と胸のラインを囲むフリルの花柄がとても可愛い。

彼女と初めて出会った時も、ブラウスの襟元に覗くピンク系のスカーフが良く似合っていたが、どうやら、その色がお気に入りのようだ。

そのうち、枕元にあの時と同じ、甘い香りが漂う・・・

「こんなに早くからお布団に入って・・・・・・朝まで長いですよ」

「お互いをもっとよく知り合うには、夜は長い方がいいでしょう。ところで、どうしてこんなことOKしたんですか?南さんに言い含められたことはわかっていますが」

「多分、理香さんもそうでしょうけど、夫婦のことはそこそこでいいから・・・それよりもっとのんびりできて、心が癒されるような時間があったらいいなぁって、いつも思ってたの」

「私の家に来たって同じでしょうに?」

「炊事、洗濯だけなら、どうってことないですわ。いつものことですから・・・・・・でも、主人となると日曜日は決まってゴルフだし、夜、飲みに出かけることも多いの。その間、わたしはずっと一人ぼっち・・・・・・誰かと一緒にいたいって思ったから、此処へ寄せてもらったのかもしれませんわ」

「それで、お眼鏡に適ったのが私だったって訳ですか?」

「この前、一緒に旅行に行って思ったの。主人から聞いていたのと同じ・・・・・・小野さん、あの時、とっても優しかったわ。主人公認の男性だし、この人と一緒にのんびりするのも悪くないって・・・」

「そうですか。それじゃ、お礼を言わなきゃ。それほど買い被っていただいて」

「余り、気になさらなくてもいいですよ。本当は、遊び半分で来たんですから。朝から晩まで、他の男の人と一緒に過ごすなんて初めてでしょ?どんな風になるのかなあって想像したら、変な気分になってきたわ」

「変な気分ですか?私の方こそ昨夜は妙な気分にさせていただいて、ありがとうございました」

「だって、本当の奥さんのつもりでしたから・・・・・・こっちこそ、怠け者を迎えてくださって、ありがとうございました」

まだ幾分、よそよそしさが残っていますが、不倫をするならこれくらいの距離感があった方がいいのでしょう。

さて、今夜のこと・・・・・・加奈さんが、『後、一夜しかない』って思っているとは思えませんが、少なくとも、閨のことは私に言われるがまま・・・

「すべて、私に任せよう」ぐらいには思ってくれているでしょう。

「加奈さん、お願いがあるんですが・・・・・・一緒に過ごすのは、明日の朝まででしょう?今夜は、これ以上はないっていう程、乱れてくれませんか?」

言ってしまった後で、こんな言葉をスラスラ口にした自分が恥ずかしくなってきます。

どうやら男とは、心が虜になりそうな程の魅力的な相手が現れ、一旦、関係を持ってしまうと、そのすべてが好ましく思え、普段の自分では想像もできない言葉を口走ってしまうものらしい。

「そんな恥ずかしいこと、できそうにもありませんわ」

「でも、こうなってしまった以上、今夜しかできないこともあるでしょう?今夜は、貴女と二人きり・・・・・・何もかも忘れて裸の男女になりたいんです」

「まぁ、そんなこと、言い出しそうもない人に見えたんですけど・・・・・・じゃ、一緒にそうなりましょうか?」

人妻を抱き寄せ、柔肌を合わせていると、抑えが利かない煽情のうねりがこみ上げてくる。

甘い口づけを交わしていると、もう、どっちがどっちの舌かわからないようになってきて、加奈さんの息が上がってくるのがわかる。

「この後、どんな風になるんだろうか?なんて想像していると、自然と濡れてくるんじゃないですか?」

私は、乳房を揉んでいた手をゆっくりとキャミの中へ入れていく・・・

昨夜は「いっ・・・!」と言いながら、半ば反射的に身を固くした加奈さんだったが、今夜は、私の愛撫が為すがまま身を委ねている。

「かわいいパンティですね。脱いでしまいましょうか?」

秘部に伸ばしていた手を動かすと、その気配を感じた加奈さんが自分でそれを脱いでいく・・・

脚の動きが止まると、白くくねった肢体の全てが現れる。

露わになった下半身・・・・・・ちょうどお臍のあたりから太腿にかけて柔らかな曲線が伸びており、その谷間にふくよかな恥丘がある。

「先程の言葉通り、そこをあなたの手で広げて、もっとよく見せてもらえますか?」

「こうですか?」

人妻が恥ずかしげに両脚を広げ、両指を淫裂の左右に当てながらそっと秘芯を開いていく・・・

秘奥につながる女の徴・・・

私の目の前に、そんなものあるはずもないとばかりに慎ましげに隠されていたものが晒け出される。

私の為すがまま・・・・・・じっと動かないでいるところを見ると、きっと今夜は・・・

私の申し出通りに、本性を曝け出すことになっても構わないと思っているのでしょう。

“ひだ”の内部がしとどに潤っている。

ピンクのつぼみを指で転がしていると、次第にそれが充血し、大きくなってくる。

「ここが貴女の一番恥ずかしい場所ですか?すごい、これ、段々大きくなっていく。こんなに感度がいいもの持ってるなんて・・・・・・自分の目で見てみたらどうですか?」

「知りません。そんなの、見たくありませんもの」

「もっと大きくしましょうか?」

そう言いながら、先端を薄紅色に光らせた肉芽を舌先で愛撫していくと、加奈さんの体が後ろに仰け反り、「あっ、あっ、あぁ・・・ん・・・!」という喘ぎの声が頻繁になってくる。

(こんな風にされると羞恥が性感を研ぎ澄まし、淫靡な放蕩感に全身を支配されてしまう。私が舌先で弄んでいる肉芽は、結婚以来、夫の南さんだけが独占してきたものだろうが、それが今、他人である私に委ねられている・・)

「ねっ、今度はわたしにさせて・・・」

やおら、起き上がって私のものを口にする加奈さん。

今まで、妻にはしてもらったことがない口淫・・・・・・柔らかい粘膜が亀頭を刺激してすごく気持ちがいい。

おそらく加奈子さんにしても、懸命の努力を傾けたものが、程なく火照ったところに突き立てられることを思うと、興奮を隠し切れないのでしょう。

私のものを愛おしむかのように、温かい粘膜で包んでくれます。

「幸せそうな顔してますね。いつも、ご主人にそうしてあげているんですか?」

「う・・・・・・ん、たまにはね」

「でも、ご主人のと比べると、がっかりでしょ?」

「この前もそんなことおっしゃったけど、そんなこと気にするなんておかしいですわ。だったら、女なんて・・・・・・もう嫌っていうほど、気にしなければなりませんわ。いい人のものはいいんですよ」

情交の最中にこんなことを思うということ自体、私のコンプレックスのせいなのですが、そんな優しい言葉をかけられると返って気になってしまいます。

彼女が言った言葉通り、一度抱かれてもいいと思った男性なら、そんなこと関係ないと、本当にそう思ってくれているのでしょうか?

【熟れた人妻】

窄まった唇が、亀頭の窪みを何度も往復する。

しばらくこんな時間が続くと、心地よさの余り、交わりの時間が短くなってしまいそうで不安になります。

「そんなところでいいですから。・・・・で、ゴムつけましょうか?」

「小野さんは、どうしたいんですか?」

「だったらもう、何も着けずにこのまま」

「じゃ、いいですよ。ちゃんと、準備はしてありますから・・・」

両膝で加奈さんの股間を大きく割って、M字の中心に滾ったものを押し当てる。

そのまま、ゆっくり腰を入れると、潤みの中に誘い込まれるように、ぬうっという感じで滑っていく・・・

昔、ある女性から聞いたことがある。

初めての性交体験の時、女性は男の分身を受け入れる刹那になると・・・

「いよいよ、これが私の中に」って心を決めて・・・

迎え入れてしまってからは「どうなるんだろう?」って、恐々ながらも密かな期待感をもってしまうって・・・

今回で二度目だ。

恐らく、日頃慣れ親しんだ夫のものとは違って、そんなに深く知る術もない男の印を受け入れる不倫の場合も、同じ気持ちなのでしょう。

こうして、強張りが根元しか見えない程にぴったり埋まってしまうと、極致の妙を感じます。

「当たってますか?いいところに・・・・?」

「ぅん・・・ん、あ、あぁ-ん・・・」

緩やかな往復の動きに合わせ、人妻が緩慢に応えるが、

こちらの方も怒張の先が濡れた粘膜に削がれ、快感という一言では表せないほどの心地よさが積もってくる。

部屋の中から会話が消え、息遣いだけが荒くなっていくと、互いの体が溶け合ったような錯覚すら覚えてしまう。

時おり、自分の股間に目を落すと、一旦、埋もれた肉茎が露わになり、再び、それが濡れた艶を纏いながら女陰の中に呑み込まれていく様子がよく見える。

(女体の深奥はよくわからないが、自分の意思とは無関係に一旦引き抜かれた肉茎が、再び勢いをもって突き込まれるときの感触は、例えようもない程気持ちがいいものなのだろう。浸食されて、味わう間もなく引き抜かれ、同じリズムの抽送を受けているうちに甘苦しい快感が湧いてきて・・・・そのうち、どっとそれが噴き出す瞬間を待っているにちがいない・・)

こんなことを思いながら、一定のビートを刻んでいると、快感の度合いが格段に高まってきます。

私は、努めて淫らなことを思わないように・・・

股間の滾ったものが、自分の持ち物ではないように思いながら愉悦に耐えていました。

しばらく、繋がったままじっと動きを止めていると、それを気にかけた加奈さんが声をかけてきます。

「どうしたんですか?急にやめて・・・」

「あぁ・・・何だか、このまま続けるとイッちゃいそうで」

「イッてもいいですよ。でも、小野さんて嘘をつけないタイプなんでしょ?男の人って、普通そんなこと言いませんわ」

「じゃ、終わりのことは気にせずに」

交わりの最中にこんな会話を交わすこと自体情けない話ですが、彼女が望んでいることぐらいはわかります。

侵食された感覚に浸っている最中に動きを止められると、ついつい、この快感がこのまま続いてほしいと不満を覚えてしまう。

そのままの時間がしばらく続くと、不満が忍耐を奪い去り、今までのそれ以上に甘美な快感が欲しくなってくる。

一旦、色情に火がついてしまえば、「動いて欲しい・・・動いてっ!」と願わずにはおれなくなってくるのだ。

しばらく、じっと性感を鎮めていた私は加奈さんの両脚を抱え上げ、つま先が天井を向くほどに屈曲させる。

そして、しなやかな肢体の中に、ただ一個所だけ浮き上がった腰骨を引きつけ直す。

再び、抽送を始めますが、結合した二つの性器が貫きの終点でぶつかる度に、加奈さんの口から、「・・・んくぅ・・・・・・あぁ~ん・・・」という喘ぎが洩れ出てきます。

淫らに反応する肉体を抑えようと、細い腕が何かに縋るようにシーツに伸びるが、亀頭が熟れた粘膜をこそぐ度に、どうしようもなく喘いでしまう。

「はっ、はぁっ・・・あっ・・・あぁ・・・」

加奈さんが口を半開きにし、時おり、小さく体を震わせる・・・

私は息を整えながら、加奈さんを渾身の力で責め続ける。

心に決めた男と互いの粘膜でつながる至福の陶酔感・・・・・・官能のうねりが否が応にも高まってきているようだ。

そのうち、シーツを握り締めていた手が私の背中に回ってくるが、それが何とも心地よい・・・

熱いぬめりの中に楔を打ち込む度に、肉茎の感度がじんじんと鋭くなってきて、限界が近づいてきます。

「もう、だめだっ!加奈さん、出しますよ!」

「あぁ・・・・・・黙って、そのまま・・・」

背中に回されていた彼女の手が私のお尻に回り、無意識のうちに射精を受け入れる体勢をとってくる。

この誘いに耐えられなくなった私は、覆いかぶさるようにして加奈さんの中にありったけの精を放った。

後始末を終えた加奈さんが、私の胸に顔を埋めている。

「気持ち良さそうな顔してましたね。あんな顔、南さんが見たら怒りますよ」

「いつもと違うお家にいるんですもの。小野さんのことしか考えられませんわ」

「今度は上になってもらえますか?」

「大丈夫ですか?そんなに早く・・・」

加奈さんが、私の股間に目を落す。

「この上に跨るあなたの姿を、ずっと思っていたんです」

「んまぁ・・・?どうしても、そうさせたいんでしょ?仕方がないわ。『思い切り、乱れてあげる』なんて言っちゃったんですから・・・」

目の前に立っている肉棒から目を逸らすことなく、加奈さんが身体をずらし、少し腰を上げて私の上に跨った。

そして、掴んだ肉茎の先を秘口に押しつけ、少しずつ腰を下ろしていく。

そろそろと亀頭の先が花びらを押し分け、熱いぬめりの中に取り込まれていく・・・

「奥まで入ったって感じですね。どうですか?」

「あぁ・・・こんな姿勢になると・・・・・・気持ちいいです」

「まだ、動いちゃだめですよ。しばらくじっと、このままでいたいんですから」

私に言われるままに、加奈さんがじっと動きを止めている。

しかし、ちょっと動きさえすれば手に入る悦びのことを思うと待ち切れなくなるのでしょう。

加奈さんが私のお腹に手をついて、腰を上下させ始めた。

すると、形よく膨らんだ乳房がゆらゆら揺れて・・・・・・上下の動きの合間にそれを私の胸に押し付けてくる加奈さん。

「あぁ・・・・・・いっ、いいわぁ・・・あぁぁ・・・」

対面座位で繋がっている私たちですが、こんな可愛い所作をされると、何か言わずにはおれなくなってきます。

「何だか、この前の時より更に性感が増してきたって感じですね。何か、他にしてほしいこともあるんでしょ?」

「あぁぁ・・・・・・いいっ・・・もっといっぱい突いてっ・・・!」

「こうして、抱っこしているだけじゃだめですか?わかりました。いいことをしましょう」

私は、片方の手で淫唇を割りながら、もう片方の手で肉芽を揉みあげる。

「あっ・・・いやぁ~そんなこと・・・」

「いいでしょう?もっと淫らになれますから」

「あぁ・・・っ!困っちゃう・・・」

私の膝の上で体を上下させている人妻を見ていると、腰のくびれが際立って見えて、

ついつい、意地悪をしたくなってきます。

「こんな風にされるの初めてって訳じゃないんでしょ?何度も他の男に抱かれてきたんでしょうから?」

「ああぁ・・・・・・こんな時にそんなこと・・・」

汗で濡れ光り、ほんのり染まった裸体・・・

私が囁いた言葉は彼女の耳に届いてはいるのだが、誰だって、歓喜に陰りをもたらす言葉なんて聞きたくもない。

これほど切羽づまってくると、我が身に悦びをもたらしてくれること以外のことは考えられなくなってしまう。

人妻の肢体を十分に堪能した私は交わりを再び正常位にもどし、更に抽送を続けていく。

下半身を繋がらせたままで、ふくよかな乳房を我が胸にぴったり合わせる至福の一体感・・・

たまらず、荒々しい一突を加えてしまう私。このようなスラストを繰り返しているうちに・・・・

「ああぁぁ・・・あっ、あっ・・・だめぇ~・・・!」という喘ぎが、部屋中に響き渡る。

きっと今夜の彼女は、「乱れてあげますわ」、自分が放った妖しい言葉にうっとりとなって、今の自分の姿を顧みるなんてことはできないのでしょう。

加奈さんの喘ぎが悲鳴に変わってくると、私の方も射精を求める内なるうねりが高まってきます。

一晩に二回の射精なんて、久しくなかったことだ。

「あぁ・・・・・・もう、だめぇ・・・いっちゃう~ぅ・・・」

極みに達し、それを身悶えで訴える人妻を抱きしめながら、最終の刺突を加える。

「あぁぁ・・・・・・出してっ、わたしの中に出してぇ・・・」

沸点に達し、精を放つ度に下半身から噴き上げるとてつもない快感・・・

じっと動きを止めて徐に抜き出し、さらに深くぐぐっと押し込む。

多分、このような動きをしたくなる気持ちは男にしかわからないでしょう。

(もう少しだけ、この甘美な瞬間が続いてほしい・・・・・・最後に今一度だけ・・・男の印が溶けてしまうような快感を味わいたい。男とは、最後の最後まで媚肉の甘さを味わい尽くしたいと願うものなのだ)

加奈子と理香(後編)
【行く女、来る女】

朝、起きて隣を見ると、掛け布団を肩口にかけて、すやすや眠っている加奈さん・・・

田舎の朝冷えは、起き出したくないほど心地よいのでしょう。

そんな彼女の寝姿を見ていると、二日間が夢のように思えます。

(昨夜、私の願い通りに寝乱れてくれた加奈さん・・・彼女に対するお礼の意味でも、せめて最後の朝ぐらいは、私が朝食をつくらなきゃ・・)

庭先の菜園からトマトとキュウリを捥いできて、それに薄切りサーモンを加え、野菜サラダが出来上がる。

後は、大根おろしのシラスあえに、ネギ入り卵焼きだ。

耳敏く、包丁の音を聞きつけた加奈さんが台所にやってきます。

「まぁ、ひどい。わたしに黙って・・・・・・早く起きなきゃって思ってはいたんですけど・・・」

「いいですよ。そんなこと気にしなくても。我が家の大事なお客様なんですから」

「じゃ、甘えちゃおうかな?いいですね。お家に二人も料理上手な人がいて・・・・・・でも、そんなことなさると、理香さんと上手くいかない時もあるんじゃないですか?」

「たまにはありますけど、大抵はこっちが折れますから」

「そうでしょうね。何となく、わかりますわ。この後、理香さんがもどってくると、またその生活が始まるんですね」

穏やかな笑みを浮かべながら、つぶやくように話す加奈さん・・・

再び家に戻って・・・・・・南さんとのまた新たな生活が始まることを自分に言い聞かせているのかもしれません。

この後、二人相向かいになりながら、朝食をとった。

話題は、この後、私が何をするのかとか、家に帰る時どんな顔して帰ろうかとか・・・

これから先のことになって、時たま笑いが起こります。

お互い、昨夜のことは胸にしまって、カラッとして別れたいのです。

夜のことが話にあがったのは、最後の最後・・・

「あの~う、一つ、お願いがあるんですが・・・」

「何ですか?大概のことなら聞いてあげますが・」

「言い難いんですけど・・・・・・昨夜、わたしがお口でしたこと、主人に内緒にしておいておもらえます?」

「どうして?お互い納得済みですから、どうってことないと思いますが」

「だってそのこと、小野さんから理香さんに話すつもりなら別ですけど、そんなことなさらないでしょう?主人に話せば、きっとまた・・・・・・理香さんにも伝わりますわ。そうなると、可哀そうでしょう?」

こんなことを言われれば誰だって、次の逢瀬を求めたくなる・・・

私が加奈子さんに惹かれる理由が無理からぬことのように思えてきます。

この後、加奈さんは、身支度を整えに自分の部屋に戻っていった。

帰り際、加奈さんが家を後にする時、玄関先でお別れのキスをしてくれた。

「もう、一つだけ・・・・・・今日の朝食のことも内緒にね」と、指を口に当てながらにっこりほほ笑む顔は、

二日前、私の家に来た時と同じ、明るく屈託のない人妻の顏でした。

たかだか二日間とは言え、共に過ごした女性が帰ってしまうと・・・

別に苦楽を共にした訳ではないですが、何だか一人取り残されたような気分になってきます。

加奈さんが帰った後、私は何をするでもなく、しばらくソファに座ってぼ~っとしている。

二階まで行って、几帳面に、彼女の忘れ物を確かめるなんて気にはなれません。

頭の中では、次に迎える場面のことが次第に大きくなっています。

(部屋の中には、加奈さんが過ごした二日間の跡形が残っている。間もなく、九時過ぎになれば理香が戻ってきて、そこで暮らした女の匂いを感じるだろうが、そんなことは別に構わない。一番、困るのは、自分がどんな顔をして妻を出迎えればよいのかということだ。まさか、ちょうど、あの時のように、胸が震えて言いたいことも躊躇いがちに・・・自分の気持ちを上手く伝えられないような状態になってしまうことはないと思うが・・)

道ならぬことをした後で、これまで生活を共にしてきた相手と顔を合わせる気拙さは妻にしても同じだろうが、初めて、妻を隣室に送り出したあの日の翌朝・・・

私のノックを聞いてドアから現れた妻は気恥ずかしそうに顔を伏せていた。

でも、今回はそうではなさそうに思えます。

お互い、納得済みのことですから、いつも通り平然と何事もなかったかのように、車から降りてくるに違いありません。

頭を整理しなければならないのは、その時に話す内容です。

最初に労わりの言葉をかけるとして、それから、向こうの家の様子や家事のこと、それに何より、夜のことなど・・・訊きたいことを数え上げれば切りがありません。

本音を言えば、閨でのこと・・・・・・とりわけ、「どんな風に感じたのか?」とか、「どのくらいしたのか?」とか、すぐにでも尋ねたいことが幾つかありますが、帰ってきたばかりの妻に頭からそんなことを切り出すのも、面はゆ過ぎて気が引けます。

多分、そんなことを尋ねても、妻がすんなりと答えてくれるはずがなく、防御線を張ったり、煙に巻いたりしてくることでしょう。

妻がさきほど加奈さんが乗って行った車で帰って来たのは、午前十時頃・・・

車庫のガレージを閉めた妻がこちらに向かって歩いてくるが、しなしなと歩を進めてくるスカート姿が何とも眩しく目に映る。

(私が加奈さんにしたのと同じように妻も、いや、多分、それ以上に・・・あの体を、南さんの前に投げ出したことは間違いない。体に刻み込まれた艶めかしい痕跡をスカートで包み隠しながら、素知らぬ顔で歩いてくるのだ・・)

「ただ今。帰ってきたわ」

「お帰り。思ったより、いい顔してるじゃないか?」

「あなたもね。何だか、顏の表情が明るくなったみたい・・・」

「どうだ、いいリフレッシュになっただろ?久しぶりに会えて」

「いつもと同じ口ぶりね。でも、そんな言葉聞くと何だかホッとするわ」

「おまえも、疲れただろう?まぁ、家に入れよ」

何だか今までにも増して、艶っぽくなったような・・・

二夜ともなると、歩く姿だけでなく雰囲気まで変わったようで、妙な興奮を覚えてしまう。

別に、血が混じった訳ではないが、普段と違う相手と気を交えてきたのですから、それも当然のことなのかもしれません。

そして、そんな妻の姿が、満更でもないように思えてきます。

「自分の車で帰ってきたところを見ると、上手く加奈さんと落ち合えたようだが、向こうの家まで行ったのか?」

「そんなこと、できるはずないでしょう?加奈子さんが居る所へわたしが帰ってきたら、あなただって困るでしょう?インターの駐車場で、乗り替えたわ」

きっと女どうし、互いの家を出る前に、メールでそんなやり取りでもしていたのかもしれません。

「加奈さん、こっちのこと、何か言ってなかったか?」

「のんびりできてよかったって・・・・・・あなたがいい人だってこと、改めてわかったみたいよ」

「それで、俺によろしくって言ったのか?」

「バカね。そんなこと、言う訳ないでしょ?あなたが聞きたそうなことは、一切話さなかったわ」

話の切り出しはこれくらいにして、次に尋ねなければならないことは、私の面子にも関わること・・・

理香が加奈さんと同じように、家事をしっかりやったかということです。

「ちょっと訊くけど、向こうの家で横着してたんじゃないだろうな?」

「“横着”って、家の中でのこと?まぁ一応、普通にはしたけど・・・・・・でも、どうしてそんなこと最初に訊くの?」

「お客さんじゃないんだからな。向こうへ行っても、しっかり主婦業やってもらわないと」

「そうね。大丈夫よ。おいしい料理もつくってあげたから」

「それで、南さんも手伝ってくれたのか?」

「う~ん?・・・・・・彼が言うの。『いつもと同じようにさせてもらいますから、食事の方、お任せします』って。あなたが自慢したんでしょ?わたしがお料理得意だってこと知ってたみたいよ。でも、そんな風にぶっきらぼうに言われると、返って『私のこと、大事にしてくれているんだなぁ』って思ったわ」

夜のことはこれから訊くつもりですが、こんな風に答えるということはかなり満足して帰ってきた証拠でしょう。

「何か他に、向こうの家で気づいたことはなかったのか?加奈さんは、家の間取りや庭の菜園、それに台所の整理に感心していたけど」

「そうね。うちはエコキュートになっているのはお風呂場だけだけど、向こうは台所までそうだったわ。それに、お布団はベッド・・・」

慣れない他人の家に入って身の周りの環境が変わったのだから、もっと他に気がついて然るべきことがあるはずだと思うが、相手の男に求めるものがセックスともなれば、そんなことは目にも気にも止まらないのでしょう。

(ベッドの寝心地だけがよかったって訳か?ひょっとして無意識ながらも・・・食事の準備や洗濯までも、夜の身返りを期待してのことなのかもしれない・・)

「ところで、今日は珍しいわね。いつもは真っ先に尋ねるのに・・・・・・本当はもっと聞きたいこと、あるんでしょ?」

「あるけど、今回はお互い様だからな。疲れきっているところに色々訊かれるのも物憂いだろう?」

「そ~う?わかってくれてるのね?じゃ、また後から話してあげる・・・」

この後私が尋ねたのは、最初の日はどうやって過ごしたのかとか、他に、まごついたことや困ったことはなかったのかとかいうこと・・・

妻からは、「玄関先のインターホーンが鳴った時、どきどきしながら鳴り終わるのを待っていた」とか、「箪笥の中を見たけど、困っちゃった・・・」という答えが返ってきた。

どうやら、化粧品と下着だけは、男たちの取り決めに反して、持ち主のものを使う気にはなれなかったようです。

「悪いけど、ちょっと寝させて・・・・・・加奈子さんに、のんびりさせてあげたんだから、わたしもいいでしょ?」

「別に、見てた訳じゃあるまいし」

「だって、あなたのことでしょ?何となくね。それからこれ、南さんからお土産だって・・・」

妻がバッグから取り出したのは、小さな封筒・・・

中に入っている物は、聞くまでもない。封筒の量張りを見れば、チップかメモリーステックに決まっている。

中に何が映っているのか、そして、南さんが何を考えているのかは即座にわかるが、こんな物を悪びれた風もなく、私に差し出す妻の心持ちがよくわからない。

南さんにその種の趣味があることは前回の旅行の時にわかった。

でも、彼に言われた通り、恥態のすべてを収めたチップを私に差し出すことを妻がすんなり了承したということは、彼の存在が、それだけ妻の心の中で大きなものになっているのだろう。

鷹揚に考えれば、私の寛大さに甘えきっているとも受け止められるが、答えは、この封筒の中身から察することになるだろう。

「悪いけど、お昼一人で食べて・・・」

妻が階段を上がり、加奈さんが使っていた部屋にもどっていった。

【メモリースティック】

味気ない一人だけの昼食が終わり、ソファに背もたれながら、しばし物思いに耽る。

(この分だと、妻が起き出してくるのは四時か五時頃か。私との話もそこそこに二階に上がったというのは、相も変らぬ夫との会話が煩わしくなったのか?それとも、そうせずにはおれないほど疲れ果てているのか?多分、後者だと思うが、それほど激しく心身を消耗させた顛末は、この封筒の中身が教えてくれるだろう・・)

封筒の中に入っていたものは、予想に違わず、USBのメモリステック・・・

連れ沿いの生々しい情事の一部がこの中に収められているのだと思うと、時を移さずにそれを見たくなってきます。

こんな私の姿を傍から見れば、これまでもう十分過ぎるほどそんな場面を見てきただろうにと思うかもしれないが、自分が関与しない時間と空間を妻が他の男と一緒に過ごしたとなると、そのうち気が向いたら・・・・という訳にはいきません。

どうやら、倒錯した性の世界は、得体が知れない、飽くことの無い世界らしい・・・

さて、件のビデオのことですが、映像の一部を切り取ってここに載せることについては、既に、南さんの了承を取りつけてあります。

話は以前に遡りますが、ある時お酒の酔いも手伝って、私が妻の情交をこのサイトに載せていることを南さんに打ち明けたのです。

「いやぁ、小野さん、『無くて七癖』と言いますが、まだ他にこんな趣味を持っておられたんですか?」それに、やってくれますね。私を相役にして」

「そのうち、正直に話さなきゃって思ってはいたのですが、いつ、言い出そうか迷っていたんです」

「でも、別に構いませんよ。それで・・・私の趣味が陽の目を見ることになりますし、おかげさまで、あなた達夫婦のこともよくわかりましたから」

「本当にいいんですか?もしかして、ご迷惑をかけることにでもなったりでもしたら」

「まぁ、そんなことはないでしょう。万が一、誰かに訊かれでもしたら、『世の中にはよく似た人がいるもんですねぇ』って、笑って済ませればどうってことありませんから・・・そんなことよりも、加奈子の方は困りますよ。これだけは、表に出さないって約束してもらわないと」

いつもの南さんらしいあっけらかんとした態度だが、こんな風に言ってもらえれば私も気が楽になる。

南さんのみならず、私や妻にしても同様の疑いをかけられることが無いとは限らないが、その時は、知らぬ、存ぜぬで、押し通せばいい・・・

さて、妻が眠っている寝室の隣部屋に入る。ここが私の書斎、個室なのだ。

椅子に腰掛け、封筒の中身を取り出し、あれこれ思う。

(こんなことを仕組んだのは無論男たちの方だが、妻たちの方もそれに甘んじたということは、日常の生活の中で、それぞれの満たされぬ思いがあったのだろう。加奈さんの場合は、夫と時間を共有できない孤独と淋しさ・・・そして、理香の場合は、閨から遠ざかりがちになっている夫に対する不満と失望・・・事実としてなされた夫婦交換の行為は、彼女たちが自ら求めた訳ではないが、このような“渇き”が、紛れなく彼女たちの意識の底にあったのだろう・・)

こんなことを思いながら、一つだけ、自分の心に言い聞かせる・・・

(恐らくこれから、妻の限りなく淫らな姿を目にすることになるだろうが、ビデオの内容を手玉に取り、それを誹謗、詰問することはもちろん、妬みや蔑みの感情で彼女に接することはあってはならない。妻をこのような深みに陥れた発端は元より、その後も妻が積極的に他の男を迎え入れるよう意図的に彼女を懐柔してきたのはこの私なのだ。)

これからいつも通りの生活が始まるのだろうが、その中であてつけがましいことを言うこと自体、私の願いに応えてくれた妻に対して申し訳ないことです。

そして、仮にそうでもすれば、私のその姿が妻を苦しめ、やがては不信へと変わっていくことは目に見えています。

パソコンにスティックを差し込み、ログインまでの時間・・・・・・流石に、胸がどきどきしてくる。

サムネイル画像にはベッド脇に立つ南さんと全裸姿の妻が写っている。

耳にイヤホーンを当てながら、それをダブルクリックする。

最初に、画面に映し出されたのは、妻が待ち受けているベッドに戻っていく南さんの後ろ姿・・・

カメラをスイッチオンにしたのだろう。

その南さんがベッドの端に腰掛けると、太腿の上に妻を抱え上げ、ひしと抱き合う・・・

南さんが妻に何やら呟いているみたいだが、皆目見当がつかないため、スピーカーの音量を最大限にアップする。

ようやく小声が聞こえてきたが、妻が小さく頷いた後に南さんの手に添えられた肉茎が、見届ける間もなく妻のそれと知れた所に収まっていったのを見れば、南さんが妻に何を言ったのかぐらいは容易に想像できる。

このように、ビデオの一コマをゆっくり味わう間もなく交わりが始まったのは、それまでに粗方の前戯を終えていたのだろう。

繋がったままの姿勢でベッドに崩れ落ちる二人・・・

そのうち、ごくありふれた姿勢で、南さんの腰が妻の股間に卑猥な動きを刻んでいく・・・

動きが度重なるにつれ、それまで雑音でざわついていた画面に妻の喘ぎが混じってくる・・・

「あっ、あっ、あっ、あ~ん・・・・・・あぁっ・・・」

南さんの腰の動きに応えるかのように、自然と口から零れる喘ぎ・・・

両手が動きの連続をせがむかのように首根っこに回り、両脚は往復の動きを助けるかのように大きく開かれている。

妻と他の男との交わりをはじめてビデオで目にする私・・・・・・何やら、妙な感じです。

南さんの背中を掻き抱いている妻の表情を見ていると、たまらないほどの愛おしさが湧いてくるものの、これまでのような嫉妬や失望は覚えません。

多分、興奮の度合いがそれ程でない理由の一つは、夫婦間で戒しむべき行為を妻のみならず、自分も行ったのだという事実が心に重く圧しかかっているのでしょう。

それに、そんな風に思える理由が他にもう一つある。

そもそも失望や落胆とは、自分が心に思い描いていたことに反して、全く予期せぬような事が起こり、結果が予想に違った時に生じる感情なのだ。

妻が、このように南さんと体を一つにして、快楽の極みに達したいと願っている姿は私が十分に予想できることであり、私自身も、そうなってほしいと望んでいることなのだ。

こんな光景を目にすると、以前だったら・・・

「日々の単調で平凡な生活の中にこそ、幸せがあったのかもしれない」

「願望の実現と引き換えに、それまで大切にしていた心の安らぎ、平穏な生活を永遠に失ってしまったのでは・・・?」と、後悔にも似た念が湧いてきたものですが、今は僅かに良心の呵責こそあるものの、それを悔やむ気持ちは全くありません。

そのうち、交わりの体位が別ものに変わっていく・・・

妻のお尻を手元に引き寄せながら、逞しい強張りが秘所に向かって一送りされる度に、妻のそれが、何の抵抗もなく受け入れてしまう。

突然、動きの中に、小声ではあるが南さんの声が聞こえてきた。

「さぁ、理香!俺はしばらくこのままの姿勢でいるから、自分から動いてくれよ」

「う~ん、も~う・・・・・・そんな風にさせたいの?」

「あぁ~してくれ」

今は、南さんが妻の名前を呼び捨てにしたことも、妻が南さんの問いかけに慣れきった口調で応えていることも何ら腹立たしく思えないし、違和感も覚えません。

(ひょっとして、名前の呼び方ぐらいは、「ねぇ、二日間ぐらい・・・・・・自分の奥さんだと思って、理香って呼んで」と前もって、自分の方から持ちかけたに違いない)

体を重ね合わせた回数が片手で数えられない程にもなれば、そんなことは自ずと当たり前のことになってくるのだろう・・・

ゆっくりと妻のお尻が、繋がりの根元に向かって往復の動きを見せていく・・・

南さんの上体はさして揺るがず、本来ならば腰骨を掴んでいるはずの両手は、やんわりと妻のお尻に添えられている。

しかし、流石に目の前で・・・・・・妻が、南さんの股間に向けて淫靡な動きを往復していくと、心穏やかではなくなってきます。

時おり、俯いている妻が歓極まる随喜の瞬間・・・こちらに向かって泣きそうな顔を見せるのもグッときます。

今はもう、夫のものなんて考えられもしない・・・

ただひたすら・・・・・・腰を送りさえすれば悦びを与えてくれるこの肉茎だけが色欲の対象なのだ。

自らの淫らな動きが頻繁になると女体の官能が粟だってきて、上体が屈み、両脚の角度が次第に広がっていく・・・

そのうち、理香の腰がガクっと落ちる!

そのまま、ベッドに崩れ落ちそうになりますが、南さんの両手が妻の上体を手繰り寄せます。

夫の友人に深く貫かれ、カメラが回っていることも忘れて、至福の悦びに浸る妻・・・・・・

噛みしめた唇に悦びの深さが漂っている・・・

「黙ってないで、何とか言えよ・・・・気持ちいいんだろう?」

「あっ、あぁぁ・・・いい・・・っ!こんな風にするとダメぇ・・・」

「自分でそんな風にしながら、ダメはないだろう?どうだ?小野さんの耳に入ることを承知の上ではっきり言えよ。此処へ来る前からしたかったって」

「あぁ・・・・・・そんなこと・・・」

「そんなこと・・・流石に言えないって訳か?でも約束通り、今夜は好きにさせてもらうからな」

こんな物言いは、到底私にはできません。

理香が帰宅した今だからこそ夫と言う肩書が戻ったのであって、その時点においては、彼らは互いに認め合った夫婦だったのであり、私が他人夫婦の営みに口を挟む資格はないのです。

しかしながら、一言、自分のために擁護させてもらえば、私が南さんのような物言いができないのは、加奈さんとの交わりの回数が、妻と南さんとのそれ程ではないことも影響しているのです。

思うに、まだつき合って日数が浅い男女の会話は、馴染みが深い男女のそれに比べると、どうしても遠慮がちにならざるを得ません。

しかし、これは自分に都合よく解釈した言い訳であって、よくよく考えてみれば・・・

セックスにおける、男としての自信のあり無しが口ぶりに表れてくるのでしょう。

「さぁ、大分疲れたみたいだから交代だ。しばらく、じっとして」

途端に、南さんの腰の動きが激しくなる。

「あっ、あぁ・・・・・・っいっ、ぃい~い・・・・・・!」

私は、下半身にじ~んとした疼きを覚え、食い入るように画面を見つめていました・・・

【白いカーテン】

そのうち、交わりを中断した南さんがこちらへ向かって歩いてくると、急に画面が暗くなり、音声が途絶えた。

多分、カメラのスイッチを切ったのだろうが、南さんがそうするにはそれなりの訳があったに違いない。

(この後、私には見せられないような淫らな行為が繰り広げられたのか?それとも、久しぶりの逢瀬だ。私には聞かれたくない内緒話をしたかったのかもしれない・・)

いずれにしても、事の一部始終は、隣室ですやすや寝息を立てている妻が知っているだろうが、

この後、妻がそのことを包み隠さず私に打ち明けてくれるとは思えない・・・

そのうち、スクリーンには、また新たな映像が映し出される。

タオルで頭を拭きながらベッドに向かう南さん・・・・・・もちろん、身には何も纏っていない。

細かい所に目を凝らすと、妻が言った通り、部屋の中にはシングルベッドが二つ・・・

その側面をベージュ色のカーテンと淡いグレーの壁面が囲っている。

続いて、南さんより少し遅れて妻の姿が画面に現れるが、こちらの方はバスタオルを体に巻いている。

(多分と言うより絶対に・・・・・・一緒にお風呂に入ったのだろう。全く、男というものはよく似たことを思いつくものだが、この二人にとってはそれも自然ななり行きなのだろう)

一瞬、同じことを加奈さんに求め、やんわりと拒まれたことが頭を過りましたが、そんなことよりももっと・・・

ベージュのカーテンが開かれ、その向こうの白地のカーテンが微かに揺れている。

それに、先程のビデオとはやや室内の彩度が違うような気がする・・・

こんなことの方がよっぽど気になります。

(白いカーテンから光が零れているのを見れば、午前中か、昼過ぎなのかは不明だが、夜でないことは確かだ。カーテンが揺れているのは、朝風呂か昼風呂に入って、火照った体を冷やすには冷房だけでは不十分だったのだろう。時々、画像から二人の姿が入れ代わり立ち代わり消えるが、多分、メークをしているか、冷たいビールを飲んだりでもしているに違いない・・)

この後、確実に行われる交わりを前にこんなにゆったりされると、

それを見ている側は苛立ってきて、喉が渇いてきます。

あっちこっちに思いが飛ぶと気が乱れ、整然とした考え方ができなくなってくる。

隣室の妻はこんな私の思いを知っているのか・・・

ようやく、二人の姿がベッドで絡まると、お決まりの愛撫が始まっていく。

南さんが妻を膝上に乗せ、お互いの唇を貪るように求め合っていますが、そんなことよりも、自然と目先が行くのは南さんの手先の動きです。

体の向きをこちらに変えると、南さんの片手が乳房を掻き抱きながら、もう片方の手が妻のバスタオルを払い上げています。

当然ながら、陰ったところが露わになっていますが、南さんがこちらに向かってこんなポーズをとるということは、明らかに私のことを意識している証拠です。

タオルの下に覗く空間で、南さんの手指が微妙な動きを始めると同時に、二人の会話が始まる・・・

「ほら、もうこんなに濡れていて・・・・・・待ち切れなかったんでしょう?」

「あなたのもね。こんなになって」

「大分、それが気に入ったようですから、今夜は特別サービスをしてあげますよ」

「えぇ・・・っ?どんなこと・・・?」

「もう、今日しかないんですから、一通りのことはやらなくちゃ・・・・初めはこんな風に・・・」

「うふっ、ちょっとくすぐったいけど、いいわ・・・」

“あなた”という言葉の響きにも最早特別の感情を覚えず、それがごく自然な呼び方に聞こえてきます。

妻の手は南さんの体躯に隠れて見えませんが、会話の内容から察するに・・・

恐らく、その手は南さんの肉茎を探り当てているのでしょう。

今夜はすべて、男の愛撫に身を委ね・・・

自分の持ちものを如何様に扱ってもらっても構わないという覚悟が「いいわ」という言葉に込められている・・・

私がそんなことを思っている間にも、ビデオは次の場面へと流れていきます。

南さんが横寝になって妻の背後に回り込み、挿入の瞬間を迎えている。

かつて目にした、私とは比べようがない逸物・・・・・・

それが十分な硬度をもって、秘口辺りで揺らいでいます。

程なく為される貫きを前に息をつめていると、これまでの色んな場面が思い浮かんできます。

越えてはならない一線を越えた時・・・・・・初めてその光景を目にした瞬間は極度の興奮と緊張の余り・・・

それこそあっという間・・・・・・感激してしまって、ゆっくり眺める余裕なんてなかったものです。

それから、二度、三度と同じようなことを重ねていると、若干のゆとりが出てきました。

しかし、いざ、その場面を迎えてみると、胸苦しい興奮とともに後悔にも似た念が頭を過り・・・

妻に対する嫉妬と大切なものを失いつつあるという不安の中でその行為を見届けていました。

さらに年月が経ち、同じ男との交わりが数回に及んでしまうと、嫉妬や後悔、失望といった感情は色あせてきて・・・

男の印が妻の股間に埋もれることが、さしたることでは無いように思えてきました。

(程なく、この滾ったものが妻の濡れそぼったところに突き立てられるのだろうが、それはそれで、別にどうってことはない・・)

画面では、南さんが硬直した肉茎を握り、妻がその挿入を助けるかのように、我が手で片脚を抱え込んでいる。

多分、そうするように、こっそり耳元で囁かれたのでしょう。

転瞬、南さんが、ちらっとこちらの方を見やる。

カメラと言うより私のことを意識しての所作だろうが、妻の顔の表情とは相反して、そんなに感激した面持ちには見えない。

その意味あり気な一瞥を察するに、「これから挿れますよ」と私の合点を促しているのか?

それとも、「貴方の最愛の女性を、今夜ばかりは好き勝手にさせてもらいますから・」と、

少しばかり、優越した気分になっているのか・・・

やがて、淫らな光沢を纏った嵩張りが媚肉に埋もれ、茎の全長がそろそろと潤みの輪郭に消えていく・・・

目を瞑っている妻が口元を僅かに歪ませるが、顏にはさしたる表情の変化は見られない。

以前だったら、強張りが潤みの中心をずぶっと貫いた瞬間、妻が「あぁぁ・・・」と喘ぎの尾を引かせたものだが、

同じ男に何回も抱かれてしまうと、これまでのそれと同じ・・・想定内の浸食感だったのでしょう。

そのうち、あれほどの南さんの肉茎が、睾丸しか見えない程にすっかり妻の恥毛帯に収まってしまう。

(カメラに撮られているのだから、後でこんな姿を私に見られることぐらい妻もわかっているはずだ。ここで見せる妻の嬌態は、これまでもこれから先も・・・・・・私に見られても構わないという自分の意思表示なのだ。思うに、我が身の不貞や因業を煩う理性なんてものはとっくの昔に消え失せて・・・今はただ、愛しい男と体一つに結ばれる幸せにしか思いの先がいかないのだろう)

こんな二人の姿を見ていると、その結合がしっくりと腑に落ちて、何だか一仕事終えた後のような満ち足りた気分になってくる。

そのうち、横ざまの姿勢での突き上げが妻の股間に集中され始めると、妻の喘ぎが大きくなってくる。

「あぁっ・・・いっ、ぃい-っ・・・・・・!」

「もう、イッちゃうのか?」

眉根の“しわ”を深くして、南さんの問いかけにこっくりと頷く理香・・・

その表情が、実に気持ちよさそうに見えます。

そのうち、南さんの局部のせり上げが速くなっていくと、妻の顏の表情に歪みが加わってくる。

「その分ではまだ、まだ、イケそうだな。どこをどうしてほしいのか、はっきり言えよ」

「あぁ~っ、いいわ・・・・・・そっ、そこ~っ・・・!」

「ちゃんとカメラが回っているんだぞ。その言葉、旦那に聞かれても構わないってことだな!」

「もう、いいのっ、いっぱいして~ぇ!」

「そうか。もっと突いてほしいって訳か。こんな風に」

「ぁあ-っ、気持ちぃぃ・・・気持ちぃい-っ、あっ、あぁっ・・・・・・だめぇ・・・・・・!」

否応なく体を覆ってくる快感に堪えきれなくなった妻が、時おりぶるっと身体を震わせます。

こんな光景を見ながら、しみじみと思う。

妻の体に悦びを刻む肉茎の卑猥な動きや、交わりの接点に自然と目がいくことは相も変わらないが、それよりも最近は、極みに向かって昇りつめていく妻の顏の表情や声音の変化など、ごく些細なことに気が向くようになってきた・・・

これももちろん、妻に対する独占欲、所有意識の為せる業だろうが、

忌わしいことを行えば行う程、一層それが歪んだ形になって自分の心に表れてくるのだ・・・

例えば、強張りの外周を囲み込んでいる秘唇の色合い・・・

それが、心なし色づいていることが、今の私に慰めになっています。

幾夜となく彼女を愛した証・・・

それだけが、本来許されるはずもない交わりを行っている男に対して私が誇れる唯一のものなのです。

そのうち、映像の流れは、南さんが仰向けになり、その上に妻が跨る交わりへと移っていく。

妻が肉茎を手にして、その量感を確かめるようにゆっくりと根元まで収めていった。

すぐに、互いの動きが始まる。

どうやら、途中でカメラのアングルがやや下に向けられたのを、私は見過ごしたようです。

南さんの刺突が妻の股間に吸い込まれていく様子がはっきりと見えるが、妻の方もしっかりと腰を入れ、抜き差しのリズムに合わせている・・・

でも、その動きを見ている私の心持ちは、「胸が押し潰されそうな・」という感じではありません。

快楽を求める妻の疼きが更に昂じていって、官能のうねりが沸点にまで達するよう、彼女にエールさえ送りたくなってくるのです。

わかり易く言えば、自らの上下の動きを更に激しくしていって、これ以上はないという程喜悦に歪んだ顔で悶えてほしい・・・

こんなことを思ってしまうのです。

この後、ビデオの映像は、騎上位の姿勢だった妻が後ろに倒れ、露わになった秘口から、とろとろと吐精の滴りが尾を引いたのを最後に切れた・・・

【歪んだ愛情】

妻が起き出したのは、私の予想通り、午後の四時半過ぎ・・・・・・

それから妻は掃除と洗濯に取りかかった。

昨日と一昨日、夫と二夜を過ごした女の匂いを消し去り、男の目に晒した自分の証拠物件をきれいにしたかったのでしょう。

妻が起き出した頃合いに合わせ、私も夕食の準備に取りかかったが、

それぞれの仕事の最中に顏を合わせても、互いに声をかけ辛い微妙な雰囲気になっています。

夜になり、どちらが誘ったともなく、一緒の布団に入る。

「ねぇ、まだ微かに加奈さんの香水の匂いがするわ。二日間、この匂いを嗅いでいたんでしょう?」

「今頃、向こうの家でも同じようなことを言ってるさ。どうだ?正直言って、もう懲り懲りか?それとも、また、そのうちに・・・・って感じか?」

「う~ん・・・・・・どうかな?でも、わたしの気持ちは、変わってないわ」

「どうやら、『また、今度・・・・』って、感じだな」

「そうじゃなくて、『あなた次第』ってこと」

その言葉の意味はわかっていますが、一度、迷った風な後でこんな言葉を呟かれると、「いまさら、何を思ってそんなことを・・・・?」と、その胸の内を推し量ってみたくなります。

『あなた次第』ってことは、私の気の向きように因ってどうにでも・・・ということになる。

と言うことは、別に南さんでなくても構わないのだろうか?

以前、朝岡に抱かれた時のことを思い出すが、あの後、男の感覚からして言えば、朝岡に夢中になって然るべきはずなのに、彼ではなく南さんに抱かれることを選んでしまう。

(一旦、このようなことに嵌り込んで、夫に対する不貞や背徳の縛りが解けてしまうと、魅力があって、話題や仕草など自分にフィットしそうな男性ならば、誰彼の別なく抱かれてもいいって思ってしまうのだろうか・・・・?)

「“あなた次第”か?まぁ、俺にとっては嬉しい言葉だけど、それで、二日間で、どれほどしたんだ?」

「早速、本題って訳?一番聞きたかったことを今まで我慢していて辛かったでしょう?わたしも、これまでにないことをさせてもらったんだから、正直に言ってあげる」

「ほ~う?この前に比べ、随分と変わったもんだな。それで・・・?」

「う~ん?大体五、六回ってとこ・・・かな?・・・・・・で、あなたは?」

「俺の場合は、言わずとも察しがつくだろう?」

「それで、加奈さん、何も言わなかったの?」

「“いい人のものは、みんないい”って・・・・・・おまえには、そんなこと言ってもらったことないけどな」

「そ~う?でも、それは当たっているんじゃない?女って、一旦抱かれてしまうと、その人のことしか考えられなくなるもの・・・」

(それはそうだろうが、二日間で五、六回ともなると、ビデオに映っていた場面だけでは計算が合わない。夜はもちろんのこと、昼の日中から交わっていたことは明らかだが、それに加えて、多分、明け方か朝方・・・・・・まだ、瞼が重いうちにも交わっていたとしか考えようがない)

「・・・・で、当然中出ししてもらったんだろ?」

「そんなこと・・・・・・ちゃんと、見たんでしょ?」

「昔は“最後の一線”なんて言っていたものだが、どうやらそんなことはすっかり忘れてしまったみたいだな」

「言ったことは覚えているわ。でも、女って不思議ね。いつもと違う男性に抱かれるって、すっごく感じるの・・・」

「いつもと同じ男だろう、南さんは・・・?」

「そうね。でも何回も抱かれていると、そんなこと、もうどうでもよくなってきて・・・・・・浮気する人の気持ち、何だかわかるような気がするわ」

「その名残りが、ここにしまってあるという訳か?」

妻の返答が私の嫉妬に火をつけると、自然に手が下の方に伸びていってしまいます。

「だめ・・・帰って来たばかりなんだから・・・」

妻が腰を引き、私の手を押し返す。

「帰って来たばかり」じゃなくて、「してきたばかり」だろう?

女性はほとんどの場合、夫以外の男性に抱かれたとなると、同じ日に夫には抱かれたくないと思うらしいが、私も今日は・・・閨のことを無理強いして、艶味を増した妻の体を台無しにするようなことはしたくありません。

少なくとも、ここ数日は、南さんの想いの精が染み込んだ妻の体を、心を・・・

時間をかけながらゆっくりと愛でたいのです。

「どうやら、俺の求めを断るってことは不完全燃焼ではなかったみたいだが、そんなに数多くとなると、当然、今までにないようなこともしたんだろ?」

「優しく言われたわ。『この中に、小野さんの痕跡があるから、それを消し去ってしまいたい』って。」

こんなことを言われると、さっきのビデオの